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デザイナーとPMMの交差点で得た新しい視点

こんにちは!そらっちです!

私はB2BサービスのUXデザイナーとして新機能の体験設計を行う活動とB2B SaaSのプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)の活動しています。この二つのロールを担う中で、デザイナーとPMMの共通点やスキルの転用ができる場面が多いことに気づく機会が増えてきました。

この記事では、私自身のPMMとしての取り組み事例をもとにデザイナーとしての視点から双方に活かせると超個人的に感じた部分を共有します。

PMMとは何か?

一般的にPMM(Product Marketing Manager)の定義と業務内容をざっくり説明すると以下になることが多いです。

PMMの定義
PMM(Product Marketing Manager)は、製品と市場をつなぐ役割を担う職種です。主に、製品の価値をターゲットユーザーに伝え、ビジネス目標の達成をサポートする役割を果たします。PMMは、製品チーム、営業チーム、マーケティングチームなど多くの部署と連携しながら、製品の成長と市場での成功を支援します。

主な業務内容
1. 市場調査:ターゲット市場や競合の動向を分析し、インサイトを提供。
2. ポジショニングとメッセージング:製品の強みや価値を明確にし、効果的なメッセージを策定。
3. ローンチ計画:製品のリリース戦略を立案し、成功に導く。
4. 営業支援:営業チームに必要な資料やトレーニングを提供。
5. 顧客フィードバック活用:顧客からのフィードバックを製品改善に反映。

SaaSにおけるPMMであれば、担当プロダクトの専門家として、ビジネスサイドの各部署を横断しながら、The Model(salesforceより引用)をより効果的に機能させる役割と考えることができると思います。

私のPMMとしての取り組み

上記の業務内容の中でも担当プロダクトは製品リリースの計画は頻繁になかったため、私がここまでで行ったものは以下の通りです。

一般的なPMMの業務内容と私が行なった業務の関係性

ざっくり現状を把握するためのインプットの活動(リサーチ・分析)、利益に繋げるための施策の要求整理・設計(マーケティング強化)、実行に移すための体制の構築(各部門との連携)に分かれています。

以下では個別の業務を少し詳しく解説します。

ユーザーリサーチ

背景と課題
サービスのユーザー属性や購買行動モデル、勝敗分析に関する情報が不足しており、顧客理解を深める必要がありました。私自身もサービスや顧客についての理解を深める必要があると考えリサーチを行いました。
実施内容
・購買行動を可視化するため、エスノグラフィー調査を実施。
・デプスインタビューを7名に実施し、購買行動モデルや顧客インサイト、勝敗理由を特定。
・カスタマージャーニーを作成し、ペインポイントや顧客の心情を明確化。

市場リサーチ

背景と課題
具体的な競合はどのサービスになのかや市場の傾向や先行者インサイト(「経営ビジョン」のための平積みブログ 〚 増田みはらし書店 〛より引用)を把握できておらず、市場における傾向が見えない状態でした。そのため市場の傾向を把握し勝ち筋を見つけたいと思いました。
実施内容
・競合のサイトやコンテンツ、インタビュー記事等をもとに他社勝敗理由を分析。
・他社との製品比較表を作成し機能的な優位性の洗い出しを実施。
・これらの調査を行なって感じた市場の傾向の理解。

顧客データ分析

背景と課題
顧客ステージの分布が不明瞭であり、成約を促すための数的要素を見つける必要がありました。具体的には月毎の各ステージのCVR(転換率)や数を把握し施策の軸となるCSF(Critical Success Factor)を定量的に裏付ける必要があったため顧客データ分析を行いました。
実施内容
・Salesforceや契約データを活用して顧客ステージを分析。
・ユーザーリサーチ結果を裏付ける定量データを収集。
・ここまでのリサーチと組み合わせ、CSF(Critical Success Factor)を特定し、施策設計の指針としました。

タッチポイント・マーケティングの強化

背景と課題
ここまでで分析したインプットをもとに効果的な顧客コミュニケーションを実現するため、コンテンツの軸となるメッセージングの設計とコンテンツマーケティングの見直しをする必要がありました。
実施内容
・勝敗分析結果を基に競合優位性のある製品価値を効果的に伝えるかを記したメッセージキャンバスを作成。
(詳細はLOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティングをご確認ください。)
・バイヤージャーニーを用いてコンテンツマーケティング施策全体を再設計。(実施中)
・コンテンツの見直しと新規コンテンツ設計を実施。

インサイドセールス・プロモーションとの連携

背景と課題
インサイドセールス・プロモーション部門との連携が不十分であり、それぞれが得たインプットや感じる課題感を共有する場がない状態でした。そのため、企画立案した施策の予実管理や顧客の声を収集する仕組みを構築するためにインサイドセールス・プロモーションとの連携を強化しました。また必要に応じて各調整を行いました。
実施内容
・定例MTGを軸に以下を実施
 ・各施策のスケジュールや結果をチーム内に共有。
 ・各施策やコンテンツに対し各部門視点から見た改善点をヒアリングし都度改善を実施。
 ・インサイドセールスの課題をヒアリングし、成約に対してのROIが向上するような施策を企画。
 ・インサイドセールスの顧客問い合わせ内容をヒアリングし市場の動向を定期的に確認。
 ・顧客問い合わせ内容をもとに製品改善点をPdMチームに共有。

UXデザインとPMMの共通点

ここまで自分の実際に行ったPMMとしての経験を記載しましたが、この経験の中で私が感じるPMMとUXデザインの共通点は、「共感・理解」と「設計」にあると思っています。

  1. 共感・理解:リサーチベースの顧客理解
    PMMとして追う指標は契約数や利益などの成果に直結するものが中心ですが、それでも顧客理解の重要性は高いと考えています。
    理由は、効果的なコミュニケーション設計の対象が顧客であるためです。どのタイミングでどのように顧客に情報を提供するかは、深い顧客理解なしには設計できません。特に競争の激しい市場では、購買行動が同じようなパターンになることが多く、インサイトの発掘が困難なケースが多いため、勝敗分析が鍵になると考えています。またマーケティング自体がが製品設計に依存する部分も多いため、マーケティング視点だけで利益向上を考えるには、よりシビアな顧客理解が求められると思います。

  2. 設計:サービスブループリントに準じた考え方
    UXデザインが主にユーザー体験を焦点に当てるのに対し、PMMは顧客体験と組織全体の運用体制を統合的に考えて設計する必要があると思う機会が多かったと感じています。この観点から、サービスブループリント(Sevendex Postより引用)のような考え方はPMMにおいて非常に重要であり常に考える必要性があると思います。顧客コミュニケーション施策がどれだけ優れていても、運用するための組織体制が整っていなければ成功にはつながりません。この視点は、デザイナーとしての設計範囲が広がるところは一般的なUXデザイナー等とは大きく違いますが、根本的なデザイン・設計への考え方は同じであると考えており、両者の役割には強い共通点があると感じています。

この記事を書いていて感じた超個人的な所感

ここまで自分の行なってきたPMMのキャリアの整理にあわせ、改めてPMMとデザイナーの関係性について個人的な視点から考えてみました。(まだまだやれている範囲も狭く、経験が少なく、浅い理解になっている部分が多いとは思いますが、、、、、)

PMMとUXデザインには、顧客の課題を共感的に理解し、体験を設計するという共通点がある一方で、PMMは「利益の最大化というゴールに対して、より効果のある本質的な戦略や要求を整理し、組織として結果に繋げるためのサイクルを構築するスキル」が求められるような気がしています。

追っている目的が事業視点であり大きいため、考える範囲がめっちゃ広く、個人だけでは時間とリソースが足りないなと思います。そのため自分が何をどこまでやるべきで、誰に協力してもらうのか、そのためにどう立ち振る舞いコミュニケーションをとるのかを意識して行動することが重要だと思う機会が多いです。

また組織が大きくなればなるほど大きなインパクトを生み出せるポテンシャルがある一方でコミュニケーションコストが上がる傾向があるので、その問題をどう解決するかは重要だなと思いました。(個人や少数で事業をすることと、事業を大型の組織でやることのそれぞれのメリットデメリットがよくわかった気がします。)

そのためPdMやPMMのロールは組織自体をデザインの対象として考える必要があるなとも思う今日この頃です。

このような経験をしていく中で改めて、自分がどの領域に対し、どのくらいの範囲の広さで、どのくらいの深さをミッションとして背負いながら働きたいかを考えると自分の目指したいキャリア像が描けると思いました。

以上、思ってみたことそのまま書いてみた所感でした👋


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