顧客を主役にする営業
1. はじめに:営業アドベントカレンダー
こんにちはジェイ(@junta_suzuki)です。
本記事は「営業アドベントカレンダー」企画の投稿になります。
クリスマスまで営業の方々が「変わりばんこ」に記事を投稿します。本日12月1日を担当させてもらいます!
この後もぜひ25日まで営業コンテンツリレーをお楽しみください!
また #営業アドベント で盛り上げていただけたら嬉しいです!
ではまず、簡単に自己紹介を。
株式会社RocketsでCSO(最高戦略責任者)をしてます。現在セールステック領域で新プロダクトを開発中です。年明け頃より、お披露目できるかと思います。そんな状況のなか、日々事業戦略を考えております。
プロダクトが出来ていく感じは最高に辛くて、最高に楽しい!
個人的には、営業×スタートアップを得意領域としており、Googleで「営業 スタートアップ」で検索してもらえれば一番上に出てきます。(投稿時)
さて、今回のテーマは「顧客を主役にする営業」です。
- 営業手法に溺れるな
- 業界のプロになれ
- 買うための情報を揃えろ
- 価値(LTV)を高めろ
- 買い手と売り手を対等に
- 顧客をその気にさせろ
- 信頼されてニーズを創造していく
- 自分が業界の集合知になれ
こんな感じの内容になってます。自分らしくまとめてみました。引っかかる言葉が少しでもあればお時間ください。
営業じゃない方も「うちの営業に見せよう!」とシェアしていただけるように頑張ります。確実に見つけて感謝のコメントさせていただきます。
2. Executive Summary(結論)
はじめに結論から言います。
営業は「顧客を主役にさせること」が最重要ミッションです。
そのために、売るための情報より「買うための情報」を揃えよう。情報が循環し弾み車のように成長する仕組みを作り、自分が顧客のための集合知であり続けよう。
という感じです。
3. スタートアップで顧客を主役にすることを学んだ
■ 売ることしか考えてなかった広告営業時代
僕は6年前から営業を始めました。当時は売ることしか考えていなくて、しんどかった思い出ばかりです。顧客からの信頼もなく、単純に顧客と会うことすらもすごく難しかった。
挙句、結果も出ず、会社では罵声を浴びまくることに。怒鳴られすぎて会社に居たくなかったので、空アポしまくってサボってました。嘘の予定ってやつです。まあ、時効ということでw
そしてこの時、僕は営業手法の勉強ばかりしていました。かなり焦って結果を求めていたので。アルファベットが羅列された営業フレームワークなどを片っ端から勉強しましたが、全く効果は出なかったです。
■ 業界のプロを求められたスタートアップ営業時代
営業フレームワークには少し詳しいけど、全く成果が出ない営業でした。そこで、意を決してスタートアップに転職します。ゲーム会社のマーケターさん相手に事前予約という広告メニューを売る営業でした。
そこで営業として衝撃の任務が与えられます。
「ゲーム会社のマーケターに好かれろ」
「業界のプロになれ」
え?
営業の話は?
ちなみに言うと、在籍期間中に営業手法や営業フレームワークの話が社内で出てきたことは一度もありません。とにかく顧客の痛みを知れ、愛されろ、プロになれと何度も何度も言われ続けました。
それから営業手法の勉強より、ゲーム業界について死ぬほど勉強しました。業界の有識者を招いたり、飲みにいったり、一緒にイベントを企画したり、とにかく多くの時間をゲーム業界の人と過ごす時間に費やしました。
すると、ゲームにかける情熱や思いを間近で感じることができるようになり、「純粋にゲーム会社の力になりたいな」と強く思うようになりました。
そして、自分ができることは何かと考えました。
思いついたのが「自らが事前予約広告の集合知になる」ことでした。
横断してゲーム業界の人と関わり、ゲーム会社目線での意見やケーススタディ、ベストプラクティスを集め、集合知になる。
そうすることで最適な情報が提供できると思いました。
結果として「事前予約と言ったらジェイ」と信頼を獲得し「相談したい!」と呼んでいただくことも増えました。これは顧客が主役と思って情報収集し、動き回った結果の信頼だと思います。
今思い返せば成果が出ない時は、営業手法ばかり勉強して、全く顧客と時間を過ごしていませんでした。なので僕は今でも、営業の悩みを解決する方法は顧客が必ず握っていると思っています。
営業活動における主役は絶対的に顧客なんです。
広告営業時代
・成績が上がらず、売れる営業手法を求めた。
・売ることばかりで、顧客から信頼されない。
・顧客からの情報も集まらない。
スタートアップ営業時代
・顧客に愛されるため、顧客の理解に努めた。
・顧客が主役と思って行動し、信頼が生まれた。
・情報が集まり信頼される好循環が出来た。
4. WHY:なんで顧客を主役にさせるのか?
■ 顧客が主役でない受注をすると、そのあと上手くいかない
完璧にサービスのメリットを伝え、効果を説明する。その結果、顧客が営業やサービスに依存した状態で受注することになる。これは営業やサービスが主役になっていて、こうしたケースで上手くいった試しがありません。
これはみなさんも実感のある話だと思います。
受注後に認識の齟齬で揉めたり、期待した効果が出ていないと言われたり。
逆に顧客が本気になり前のめりに導入を決めた場合、上手くいくことが多いです。営業側の完璧さを目指すのではなく「いかに顧客を本気にさせて、顧客を主役にして受注するか」が本当の営業の力量です。
■ 「価値の最大化」に繋がる(LTV、解約防止)
「価値の最大化」とは、顧客の成果を最大化することであり、それは本質的な課題解決だと考えています。つまり表層的なメリットだけに依存した形で受注することは「価値の最大化」とは正反対の営業となります。
また、それは同時に、自社の業績の最大化をも意味し、双方にとっての「価値の最大化」になります。
顧客が前のめりで受注することで双方にとっての価値が最大化します。
逆に顧客が前のめりにならない受注は双方にとって不幸です。その場合、サービス自体や営業手法を見直すことをお勧めします。
5. HOW:どうやって顧客を主役にさせるのか?
■ 情報のギャップを埋めて買い手と売り手を対等に
営業は情報ギャップを上手く利用します。情報ギャップとは、こちらだけが知っている情報があるかどうかです。顧客の知らない情報を持っていない営業が営業活動するのは時間泥棒だとすら思います。
まずは業界のプロとして情報を持ち、アドバンテージとして情報ギャップを作ることです。営業支援の会社の僕は、顧客より営業について詳しくないといけません。当たり前ですが。
そして一般的にはそのギャップによるアドバンテージで商談を優位に進めてクロージングします。ただし、ここではそんなダサいことは言いません。
ギャップを埋めて顧客を焚きつけるのです。
業界の情報、最新のトレンド、直近の事例、代替手段、どんどん公開共有します。正統に売り手と買い手のギャップを埋めることで顧客の合理的な判断を促すのです。
営業として矛盾する話ですが、いかにポジショントークをしないかが重要です。(矛盾や不合理に向き合うのがビジネスでは大事だと思います)
■ 売るための情報より「買うための情報」
そして、情報ギャップを埋める時に注意しなくてはいけないのが、顧客を主役にするために「売るための情報」ではなく「買うための情報」を揃えるということです。そもそも営業とは「サービスを売る仕事」ではなく「顧客がサービスを買うことを助ける仕事」なのです。
この認識があるかないかで、だいぶ普段の営業活動に差がでます。
例えば、そのサービスだけのメリットを伝えても、それは売るためだけの一方的な情報です。
買う側からしたらマクロとミクロの視点で、
「業界はどうなっているのか」
「どんな代替手段があるのか」
「やらない選択肢はあるのか」
など、買うための情報が欲しいのです。
そもそも、営業支援を外注するとはどういうことなのか。
そもそも、SaaSとは何なのか。
顧客の状況に合わせた買うための情報を提供する必要があります。
■ 顧客を焚きつける5つの要素
「買うための情報」で売り手と買い手のギャップを埋めたら、最後に顧客に自分ごと化してもらえるように焚きつけます。
経験上、下記の5つの要素を調べたり、ヒアリングしたりしながら、売り手と買い手の間での共通の土台を作れればいいと思います。
<自分ごと化のための5要素>
① 顧客の商材の強み
② 顧客の商材の弱み
③ 競合商材の強み
④ 競合商材の弱み
⑤ 顧客の商材の成長ロードマップ
顧客にこの①〜⑤までを共有してもらいながら提案を進めていきます。そもそも、この①〜⑤を認識できていない顧客もいます。そんな時はうまくエスコートして言語化を手伝っていく必要があります。
対面している顧客がこの①〜⑤を認識していない場合、顧客は主役になっていません。認識していても、営業側がそれを把握していない場合、いい提案ができていないので、この場合も顧客は主役になっていません。
6. WHAT:顧客を主役にさせるために何をするのか?
■ 営業が突破すべき4つの項目
情報は顧客のステータスに合わせて仕分けていきます。新規獲得営業が突破すべき4つの項目についてちょうど1年前のアドベントカレンダーでnoteに書きましたのでご参照ください。
ここで言及した4つの項目は下記です。
信用されて、必要と思ってもらい、指名してもらった上で、急いでもらう。これらを突破することが営業には重要と書きました。
①信頼される
↓
②必要と思ってもらう
↓
③自社を指名してもらう
↓
④急いでもらう
けれども、今日の内容の流れで言うと、③自社を指名してもらう情報や、④急いでもらう情報というのは「売るための情報」になりがちです。受注というゴールに近いから当たり前です。
特に若手はこのゴールに近い部分の「売るための情報」に力を入れがちです。ただし、今日のテーマは「顧客を主役にする」ことです。
より抽象度の高い①信頼される情報や②必要と思ってもらう情報が大事になってくるのです。キチンと信頼される情報や、自らニーズを創造していく情報を持っていないといけません。
例えば、僕はアウトバウンド営業支援のサービスを提供しておりますが、
- そもそもアウトバウンド営業は何で必要なのか?
- どんな事業のフェーズで必要になってくるのか?
- どんな体制が社内にあるといいのか?
- 内製するのとアウトソースするのは何が違うのか?
- どんな営業体制があればいいのか?
などなど
このように具体的なサービスの前に話すことは沢山あります。ここら辺の状況を信頼関係を気づいた上で探っていき、それに合わせた適切な情報をお話します。
これらはまさに顧客目線の「買うための情報」だと思っています。いくらでもこれらをすっ飛ばして競合優位性や事例や効果などの「売るための情報」だけで提案することはできます。が、しません。
なぜしないかは、前述の4. WHY:なんで顧客を主役にさせるのか?で書いたとおりです。営業としてしっかりと信頼されて、ニーズを創造していくという土台を決して怠らないようにします。
そしてこれら「買うための情報」は顧客目線の情報なので、顧客と会えば会うだけ顧客に詳しくなり、強力にアップデートがかかるのです。
■ 情報が循環し、弾み車のように成長する仕組みを作る
キチンと「買うための情報」を集めていくと、顧客に会えば会うほど情報がアップデートされ、弾み車のように成長する仕組みを作ることが可能です。その仕組みで、自分が顧客のための集合知になることが出来ます。
ここでは、この「情報が循環し、弾み車のように成長する仕組み」のことを営業フライホイールとします。
<営業フライホイール>
① 買うための情報をインプットする
② 買うための情報をアウトプットする
③ 顧客から信頼されるようになる
④ 顧客と会えるようになる
①〜④のサイクルをグルグル回すのです。
買うための情報は売りたいだけの情報とは一線を画す「スーパー顧客目線」なので、継続してアウトプットすれば着実に信頼されるようになります。信頼されるようになると、当たり前ですが顧客と会う機会が増えます。
顧客と会うことは「買うための情報」を最もインプットできます。なので、④まできたら、また①に繋がります。顧客と会うたびに情報が増えるので、回転すればするほど動力が強くなる弾み車のような成長が可能です。
そうやってこのサイクルを回せば回すほど、信頼も高まり、顧客との接点も増え、買うための情報やケーススタディが集まります。自分自身が顧客のいる業界のプロとして、集合知になっていくことが可能です。
とにかく、顧客との時間を多く過ごすことがエネルギー源です。
例えば、新規営業に困っているときに最新の新規営業の集合知みたいな人がいたら絶対に会いたくなりませんか?
7. おわりに:1分1秒でも顧客と過ごす
ということで、改めてまとめます。
バーッとまとまりもなく書いてみました。
この内容は紛れもなく僕自身が日々実践していることです。
自ら信頼を勝ち取り、ニーズを創造し、顧客を主役にした上で、指名される。そのためには「買うための情報」が必要で、その答えは顧客が持っている。顧客と過ごす時間が動力源になって強力な成長サイクルが回る。
もし、どうやったら売れるか悩んでいる方がいれば、営業手法ばかり勉強するのではなく、ちょっとでも顧客と仲良くなって遊びに行ったらいい。
1分1秒でも多く顧客と過ごすと、営業の世界は広がる。
最後まで見ていただき、ありがとうございます。
ぜひ、今後ともよろしくお願いいたします!
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■ 先ほど言及したアウトバウンド営業に関する記事です!
みなさんの営業活動があらゆる事業を推進させ世界が前進しますように!
ありがとうございました!