伊藤春香(はあちゅう)さんと学ぶ! 発信者情報開示門前払い入門
みんな大好き、伊藤春香(はあちゅう)さんから大量の発信者情報開示請求が各接続プロバイダさんに流れて行っていることが確認されました。しかしながら、誠に遺憾なことに、私には発信者情報開示請求が届いておりません。何ということでしょう。悲しみに包まれております。
私は全部実名で書いているので掲示板を利用する必要もないだけなんですが、どうも周辺から聞くに「これだけ大量にある侮辱で発信者情報開示請求が通れば、一件ぐらいは山本一郎の手によるものに違いない」と思っていたのだそうです。残念でした、私はまったく書いていません。何で私が匿名で掲示板に感想を書く必要があると思っているのかさっぱり分かりませんが、ただ、発信者情報開示請求が着弾をしている人にとってはびっくりですよね。法的措置童貞はいきなりテレサ文書がプロバイダから送られてきたら勃つものも勃たず、思わず伊藤さんに謝罪のメールでも送ってしまいかねないので注意が必要です。
伊藤さんやその代理人とされる福永活也さんはそんなことをしないと思いますが、うっかり謝罪をすると、その書き込みに「害意があった」として慰謝料請求することだってあり得ます。その発言に違法性がない可能性があるにもかかわらず、です。まあそうなったらそうなったで、改めて発言の違法性を巡る裁判をやるだけではあるのですが。
いずれにせよ、そういう「いきなりテレサ文書が来てしまって、どうしたら良いのか分からない」というご相談を何件か頂戴しております。
以下に、テレサ文書が来た場合に必要な対応についてまとめてみました。参考にしていただければと思いますし、個別で書き方が分からない、どう理由をつけたらいいか悩んでいるなどの対応に苦慮される方がおられましたら、もちろん無料で相談に応じますので、私宛にメールなど頂戴できれば幸いです。 BZT00066 あっとまーく nifty の ne の jp です。喜んで対応させていただきます。
また、悪質な内容にも見えないのに、東京地裁の裁判官ガチャでうっかり伊藤さんファンの裁判官に当たってしまったなどの理由で情報開示請求が認められてしまい、接続プロバイダさん側が負けて、どうやら本格的に訴えられそうだ、という話などあるようでしたら、その方面に強い弁護士のご紹介なども含めて対応をアドバイスできることは多いと思います。
■1. 魚拓を取ろう
先日、ウェブを巡回していたら伊藤春香(はあちゅう)さんという人がマネーフォワードを薦めていました。
前半部分はてめえの不注意で各種ポイントサービスが失効したという失敗談をフックに読者の共感を持たせたり溜飲を下げさせたりしておきながら、途中から「ちなみに、自分のポイントの総額や資産の総額を知りたい人にオススメのアプリがあってですね、マネーフォワードというアプリがオススメです」などと急降下爆撃的に営業が始まります。
これが噂のステマなのでしょうか。伊藤さんのほんわか失敗談を見て楽しんでいたら突然のセールストークの開始。サウナでほかほか汗かいた後で水風呂に飛び込むような落差が素敵なコンテンツであります。「ちなみに」じゃねえよ。飲んでたアイスラテ噴いたじゃねえか。
そんなイライラ感マキシマムなコンテンツを発見しましたら、まずは「魚拓」を取りましょう。
魚拓の取り方は簡単です。こちらのサイトに行き、以下フォームに問題となるURLを緑の枠のところに入れてボタンを押すだけです。
何故魚拓が必要か?
それは、万が一、伊藤さんから発信者情報開示請求があり、お前の書いていることは侮辱だという言いがかりをつけられた際に「このような伊藤さんの記事は不自然なアプリ紹介が突然入り、動画へと誘導する目的で記事が構成されていて、日本ではJIAAガイドラインなどで問題だとされているステルスマーケティングの疑いが強いと感じたため、これについての個人の感想を加えたものです」と背景事情の説明をつけられやすくなるのです。
この背景事情の説明は、最高裁判所平成22年4月13日判決「本件スレッドの他の書き込みの内容,本件書き込みがされた経緯等を考慮しなければ」「権利侵害の明白性の有無を判断することはできない」で示される通り、単に文章中に「基地外」が一言入っているだけでは侮辱とは解されず、前後の文脈(コンテクスト)によるのです。そして、大概において伊藤さんの書き込みを受けてリアクションした内容が、仮に「ババア」など一般的に著名人に対する論評や感想として社会通念上の受忍限度内のものであれば、侮辱すら成立しないということになります。
これら侮辱の判断基準として「社会通念上許される限度を超える」かどうかがあり、その考慮要素として「スレッド(掲示板の場合)の他の書き込みの内容、本件書き込みがされた経緯等」というのがありますので、「伊藤さんがこういうことを書いていたので、そのリアクションとしてこのような書き込みを行いました」という説明を加えることによって、よほどストレートな侮辱でもない限りは問題にはなりません。
もちろん、書かれた本人はムカつくかもしれませんが、それが嫌ならば「著名人としての執筆活動はやめろ」という話になるのかなと思います。ましてや、否定的な反応すらも嫌なのだとすれば「人生コンテンツ」などと標榜すること自体が矛盾した行動と言えます。
なるだけ魚拓をきちんととっておき、言及する場合でも魚拓のURLを使うと先方に余計なPVをくれてやることもありません。ぜひ魚拓を活用しましょう。
魚拓を呼び出すときも簡単です。元のURLを検索すれば、ちゃんと出てきます。ゴミ記事が高らかに歌い上げる黒歴史に花を添えましょう。
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■2. テレサ文書に回答しよう
それでも、伊藤さんをはじめ自分に対する酷評を見てムカついたという人は、掲示板サイトなどを相手取って発信者情報開示請求を行い、これが裁判所によって認容されると、掲示板などが保存しているIPアドレスを使って今度は接続プロバイダに発信者情報開示請求を求めることになります。
ここで、書き込み者に対してテレコムサービス協会が規定している書式、通称「テレサ文書」を使った照会が行われ、「発信者情報を開示するか、しないか」と「しないとして、その理由を説明しろ」という話になります。
心を平静にし、荘厳な面持ちで「発信者情報開示に同意しません」に〇をつけましょう。
ここからは、接続プロバイダさんの法務の皆さんが書き込み者の代わりにもう一戦、交えてくれます。
そして、接続プロバイダさんの圧勝を祈願します。戦いは、この文書を返信したときから始まるのです。
知り得る限り今回発信者情報開示請求が出た一連の伊藤さんへの書き込みのほぼすべては「個人の感想」であり、基本は伊藤さんの発言や関連報道に対するリアクションです。見る限り事実摘示の要素はゼロのため、事実関係で争う必要はないことから「回答書書式(1)」で必要とされる[理由]は空欄でも構いません。ただし、本件では上記にも述べましたように魚拓などで背景事情が明確にあり、伊藤さんがクソくだらねえ記事を書いてて読んでいる側がムカついて精神的安寧を乱されたと主張ができる部分があるならば、それは話の経緯がありますので「別紙に理由等を記載いたします」と書き込んだうえで、書き込み者が読んでムカついて血圧の上がった伊藤春香文書をコピーし不愉快に感じた理由なども数行記して、そのような書き込みを行った理由を提示するとより丁寧になります。
例えば、本件が上記スレッドへの書き込みが発信者情報開示請求の原因であれば、「著名人である伊藤春香(はあちゅう)さんが自身の頭髪を奇抜なオレンジに染めたと報じられ、本人もまた、『自分でも笑っちゃうくらい派手~!』と認めている記事を読み、率直な感想として掲示板に記したものであって、違法性のある侮辱という認識はありません」とでも理由に添えておけばよいと思います。これが、今回の訴訟の背景事情のすべてになります。
また、背景事情については、より証拠性の高いものとして、私も先日陳述書の雛形を用意しました。伊藤さんからのテレサ文書が次々と着弾した話を受けまして、内容を補強した「対伊藤春香さん専用増強版陳述書」を作ろうかとも思っております。
■3. PDF、スクリーンショット、エクセルの3点セットを揃えよう
ここで接続プロバイダさんが情報開示を求める伊藤さんとの間で本訴になる可能性もまた高いわけですが、具体的に裁判になる場合に備えて伊藤さんの素敵な発言の軌跡をまとめたPDF、スクショ、まとめたエクセル表による3点セットを作るとなお親切です。
エクセル表といっても、書かれていた伊藤さんの珠玉のお言葉集をそのままコピペし、発言日時とURLを置くだけで構いません。もちろん、誰が編集しても同じことになりますので、裁判に関連する当事者が増えれば増えるほど、同じ作業はみんなで分担できるとエレガントですよね。
さらに、どうも今回の伊藤さんや代理人の福永活也さんは特定の掲示板の、特定のスレッドからしか侮辱発言を吸い出していないようなので、同じスレッドでの発言で発信者情報開示請求を去れている場合は必要とされる直接の証拠はみな共通のものになります。上記のスレッドであれば、伊藤春香さんがオレンジ色に髪を染めたという記事を見てみんなで楽しく個人の感想を述べているというだけですので、その内容と私が記しました一般的な伊藤春香さんに関して説明した陳述書が添えられていれば問題ないと思います。
しかしながら、これらを全部個人でまとめるといちいち伊藤さんの文書を検索したり読み直したりして時間がかかりイライラしてしまうという弊害もありますので、まずはご自身に関連したところのみをまとめ、残りは有志による伊藤さん対策選抜隊でwikiやGoogle Driveなどで取りまとめたハチュペディアを作成する計画が進んでいます。
■4. おわりに
ネットで誹謗中傷をされていたはるかぜちゃんが書き込み者の特定を行って裁判をした結果、先方が和解を申し入れてきて300万円あまりの慰謝料でまとまったという報道がありました。
しかしながら、本件と伊藤さんの案件とには決定的な違いがあり、はるかぜちゃんの場合はネット民を挑発するような書き込みを行わず、炎上すると言っても伊藤さんのように仕掛けていくやり方とは異なります。
さらに、今回代理人に立っている福永活也さんは、彼自身が批判的な書き込み者に対し、「(社会的に)底辺」などと侮辱を繰り返していて、書き込み者の同定可能性がなくても侮辱は成立することを忘れてあれこれ書いては魚拓を取られておられます。いずれも「背景事情として、不特定多数を煽り不快な発言を行うことで自己を目立たせ、インフルエンサーとして経済的利益を得ようとする行為」に他ならず、さすがに周辺から酷評されて当然と思います。
いずれにせよ、一連の発信者情報開示請求でテレサ文書が来たとしても、可能なことは粛々とやり、「うわ、法的措置が来ちゃったどうしよう」と悩むよりも「ああ、これが法律というものなのだ。いい経験ができそうだ」とポジティブに捉え、ともに苦難を乗り越えることで得られるものがあると信じて頑張っていくのが良いのではないでしょうか。