【和訳】バーチャル異性装が日本でブームに:仏紙リベラシオン
フランスの有名新聞「Libération」 のVTuber特集記事第2弾! ついにVTuberの「中の人」の性別に真面目に迫る本記事。世界は「バ美肉」をどう受け止めるのか?
記事の和訳が出来ましたのでぜひご覧ください。
海外の著名新聞で「バ美肉」の言葉が踊ってるの、シンギュラリティみが深いです…!!! 私「バーチャル美少女ねむ」の発言も取り上げて頂いています!
こちらの記事、はてブでエントリー1位になりました!
ジャーナリストの佐々木俊尚さんに記事紹介して頂きました(≧∇≦)/
※「Libération」(リベラシオン) は1973年に実存主義のサルトルがパリで創刊した、フランスの伝統的な日刊紙だそうです。
※フォロワーさんに翻訳してもらいました。不正確な部分もあると思いますが、御容赦ください。
※翻訳記事の掲載について原文の記者さんより許可を頂いています。
※前回の記事:【和訳】この少女の裏には誰が隠れているの?:仏紙リベラシオン
※元記事(リベラシオン):
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バーチャル異性装が日本でブームに
2020年9月21日 アニエス・ジアール 「リベラシオン」
日本で人気のあるVTuberは、その正体が誰にも分らない漫画風の美少女キャラクターです。一般的には「中の人」は男性だったりします… しかし、その事実は彼女たちの輝きを減らすものではなく、それどころか。
2016年、Vtuber現象は「バーチャル配信」のスターであるセクシーな3次元キャラクター、キズナアイから人気が出ました。彼女の名前は「愛の絆」と訳すこともできます。キズナアイは公式に人工知能(AI)として紹介されています。「私は人間ではありません」と彼女は主張します。当然ながら、誰も騙されていません。誰かが、このデジタルなマリオネットを動かしています。それは男性なのか、女性なのか? 2020年4月24日に、ついにこの公然の秘密が明らかになりました。春日望という女優が彼女に命を吹き込んでいます。しかし巨大な産業に成長したキズナアイは例外中の例外です。この分野で、特にアマチュアの間では女性はまれなのです。その様に打ち明けているのは、(ケ・ブランリ美術館のウエブサイトに配信された学会「Desired Identity」に参加していた)日本人の研究系VTuberチーム「holographic」の2人です。彼女たち曰く「日本では多くのVtuberの使い手は美少女の姿を借りた男性です」 そして、その男性の一部は、自分のことを「バ美肉」、つまりバーチャルな美少女に受肉した存在と、そう定義しています。果たしてこれは異性装なのでしょうか?
VTuber=ハイテク異性装?
はい。Holographicのクリエイターの二人はそう答えています。バ美肉は一時的に自分の性別を変えるためにアバターを使っている男性たちです。化粧に非常に近いものだと、彼女たちは言います。化粧は付けたり落としたりできます。アバターも「着る」ことも、脱ぐこともできます。唯一の違いは、アバターは魔法のステックの様に「着る」 人の体を隠して認識できない様にするという点です。「もし自分とまるで違う容姿、まるで違う存在を選ぶことができたら、どの様なものを選びますか?」 VTuberになれば、「好きなものになれます」と、Holographicが主張します。機械、素敵な動物、女性、イケメンの男性。作るのはあなた次第。実際、VTuberたちは名誉の印として自らのアバターを(2次元で)画面上で描いたり(3次元で)モデル化したりしており、それを自分の延長として、生身の身体の様に考えています。(*1) そうした理由から、彼らがこの様に空想して、そして自らの手で作ったアバターこそ、本物の自分の、最も偽りのない鏡なのです。
夢の身体は現実よりリアル
VTuberには「生まれ持った体は本当の自分を反映していない」と言う者もいます。方や、ランダムな遺伝子の組み合わせに起因する肉の身体、方や意図的な選択の結果であるデジタルな身体。どちらが本物か、そしてどちらが嘘か? 一部のVTuberはそのように自問しています。
メディアサイトgrape Japanに掲載された興味深いインタビューの中で記者のBen Kは日本で最も有名なVTuberの一人「バーチャル美少女ねむ」に、「リアルの自分の『生々しさ』を隠す工夫をされていますか?」と質問しました。ねむの答えは「スカートがめくれ上がったときに中が映らないように気を使う必要があることくらいでしょうか (笑)。(真面目に答えると) していません。『美少女』は演じるというよりは、さらけ出した自分そのものだからです」
次にBen Kは着ぐるみアーティスト(*2)「ひょっかめ」のクリエイターであるたくろうに質問します。たくろうも異性装をしていますが、VRのアバターを必要としません。性別を変えるためには、肌を一センチも見せない身体全体を覆う着ぐるみの衣装を身につけます。「自分のアイデンティティを(中略)表現するために、着ぐるみを作る人もいます」とたくろうは説明します。自分の「元の身体」を隠すことは重要です。
出生時の性別は偶然の問題
着ぐるみの界隈では、「中の人」が男性なのか女性なのかを訊くとひんしゅくを買ってしまいます。秘密は守られなければならないため「タブーである」、とたくろうは主張します。もし秘密がなかったら「美少女」は魅力を失ってしまう… 少なくともファンの一部はそう考えます。ファンたちはもちろん騙されているわけではないのですが、彼らのアイドルを夢みるために、この領域をあえて曖昧にするあんもくの了解をもつ傾向があります。
ねむは、「中の人」が男性であったとしても魅力を失わない、その謎めいたVTuberの性質をこう説明しています。「『バ美肉』という言葉は(中略)ちょっとトゲトゲしい語感ですし、暗に中の人が男性だと示す含みがありますが、私は中の人の性別にはもはやなんの意味もないと思っています」ねむにとって、全ての人間は男性であると同時に女性であり、出生時の性別を知ることは、もはやなんの意味も持たないのです。この意見は日本で共感を集めているようです。もはや見た目だけに頼らない理由があるでしょうか。もし人が女性の身体を借りたら、それは内なる女性性を表現するためとは言えないでしょうか?
VTubeuse*のリアル身体が観たい?
(*訳者注:「VTubeuse」はフランス語でVTuberの女性形で、モデルの見た目の性別が女性のVtuberの事を意味します)
リアルの性別には意味がない。ファンの間では、この意見は非常に広く受けられている様です。2020年3月に「なもなき」というアバターユーザーがTwitterで「VTubeuseのリアルの身体」が観たいかどうかについてアンケートを行いました。
アンケートでは1248人中、31.5%は(どの部位も)「ダメ」、24.1%は「手足等ならOK」、13.1%は「顔が写ってなければOK」(身体全部)、そして31.3%は「(中略)顔が写ってても気にしないよ!」と答えました
VTubeuseのファンの大多数は、現実に直面することをあまり恐れていませんが、できるだけ生物学上の身体を見たくないようです。「美少女」は男性が動かしても良いと認めているだけでなく、むしろ場合によってはそれが「彼女たち」の魅力をより高めるのです。しかし、その魅力を発揮するためには「美少女」を舞台の中心に置く必要があります。欲望の表現である彼女の身体こそに意味があります。VTubeuseである彼女こそが彼らの恋愛対象なのです。
バーチャルな「美少女」に恋することは可能でしょうか? 乞うご期待です。
※参考文献:
・Being Bishōjo: A dialogue between independent Vtuber Virtual Bishōjo Nem & kigurumi artist Takurō – grape Japan
・Défense du secret, d’Anne Dufourmantelle, manuels Payot, 2015
・des interviews sur Grape Japan, comme celle de Junji Ito et plus.
・ Holographic - YouTube
・ひょっかめ - 公式webサイト
・ねむ - ねむちゃんねる - YouTube, 人類美少女計画 - 公式webサイト, 「仮想美少女シンギュラリティ」- 小説
・“Desired Identities. New Technology-based Metamorphosis in Japan” - シンポジウム
・Port du masque : danger, perte d’identité ? ; Faire «l’expérience d’un allaitement virtuel» ? ; Qui se cache derrière cette fille ?
※脚注
(*1) 私は理解した上で、企業によってアバターが最初から作成され、そして契約関係にある俳優や女優に委託されるケースを省いています。その場合のアバターは企業の所有物であるため、定めらた条件を満たさない場合、その俳優や女優を解雇することもできます。こういう場合のアバターは言わばアメコミのスーパーヒーローの様に(脚本や作画などの)担当チームが変わるという現象に似ています。
(*2) 着ぐるみというのは合成繊維で全体を覆う疑似的な肌(ゼンタイ)の上に、女性の服装と、漫画の美的意識から着想されたキャラクターの頭を再現したヘルメット(マスク)です。
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ついに「バ美肉」を世界に届けてしまった…!!!
キリスト教の「受肉」という概念を我々が超解釈した「バ美肉」(バーチャル美少女受肉) を、カトリックの本場であるフランスの新聞が好意的に論じてくれているって、結構ものすごいことではないでしょうか? 世界は思ったより懐が広かった…!?
世界最古の個人系VTuber「バーチャル美少女ねむ」
バーチャルアバター技術による「バーチャルコスプレ」(見た目)
ディープラーニング技術などによる「声コスプレ」
そして、ブロックチェーン技術などによる「経済コスプレ」
全人類がこの3つのコスプレにより生身の肉体を離れ、バーチャルに活動(バーチャル美少女活動)することで、個人のアイデンティティ・社会経済の在り方をアップデートし、差別や戦争のない、究極の理想世界を作れるのではないか?
私はこのテーマを【人類美少女計画】と称して、テレビに出たり、小説を出版したり、クラウドファンディングで曲を作ったり様々な実験的な活動に挑戦しています!
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