16年間二人きりで暮らしてきた母親を金髪のチャラ男に寝取られた時の話(泣)
「寝取られ」の定義や同人誌への注意書きの有無などをめぐり、各地で論争が起きました。更に「BSS (ぼくがさきにすきだったのに)」という概念も導入され、事態はどんどん泥沼に。このあたりの話は、快楽天で連載しているコラムの方に書きましょうかね。
僕は高校生の頃、16年間二人暮きりで生活してきた母親が、美容師のチャラ男と再婚した経験があります。
恋人や配偶者ではないので、厳密には寝取られには当てはまりませんが、今までずっと共に生きてきた家族が美容師のド派手な男をつれてきて「私、この人と結婚するから」と告げられた際のシチュエーションと衝撃は、間違いなく母親寝取られモノのエロ漫画でしょう。
今回は、母親が他人のモノになったあの日の話をしていきます。
前述した通り、生まれつき父親が居なかった自分は、常にボロアパートで母親と二人で暮らしていました。
メンヘラな部分も多く、包丁持って自殺未遂したり、自分を置いて家出したりと、決して世間的には良い母親ではありませんでしたが、それでも唯一血の繋がった家族として互いに支え合いながら生活してきたのです。
さて、「寝取られ」を盛りあげる上で重要なのは、伏線と葛藤だと考えています。何の脈絡もなく彼女がヤリチンのチャラ男と浮気するだけでは、FANZA人気ジャンル同人版1位の寝取られ界で生きていくのは難しい。
僕の母親の再婚も、例に漏れず伏線があったのです。エロ漫画ならともかく、現実でそんな丁寧な話作りしないで欲しいが。
いつも通りの生活が続く中で、ある時をさかいに母親の外出時間が増え、髪の手入れがやたら丁寧になり、髪色と髪型が若者に近くなり始めました。この時は、まだお母さんだって三十代なんだし、そんな気分もあるだろうとしか考えてませんでした。完全に「寝取られる側」の思考。
ある日、急に母親から「髪切ったりしたくない?」と誘われ、あまりの唐突な質問への返答に窮する間に、「タダで切ってくれる美容師の友達ができたんだけど行かない?」と続く。
友人とはいえ、他人の子供の髪をタダで切りたがる美容師ってなんだよと思いつつ、そもそも急に髪を切りたくなるわけがないので断ろうとしたのですが、母の強引さに負け、しぶしぶ美容室へ行くことに。思えば、この時からイヤな予感はしていたものの、本能で深く考えないよう塞ぎ込んでいたのです。
美容室に入ると、ド派手な金髪の男が登場。見た目の時点で、僕のようなオタクと絶対に気が合わないと確信。
金髪の男は、僕に対して妙に優しく振る舞い、欲しい物や現状の生活への不満など、美容室での雑談の域から外れた質問を投げかけてくる。彼はときおり母親の方を見ながら「子供は親と違ってしっかりしてるな」と軽口を叩き、母親も「もぉ~」と一笑する。
つまり、「寝取られた対象を前にして怪しまれない程度に堂々とイチャつく」お決まりのパターンまで行われていたのです。男側がちゃっかり女のケツ揉んでる感じのアレです。アレが現実に行われている!
「なぜか母親と非常に親しげに話し、不自然に自分の生活や内面を探ろうとしてくる謎の金髪美容師」による散髪を終え帰宅すると、母親から「今日の人どうだった?」とやたら尋ねられる。ここまでされると、疑念は確信へ変わりつつあるのですが、それでもやはり事実を認めきれない。
これまでも、母親が彼氏を作ることはありました。その度に、知らない男と母親の間に挟まれた自分が手を繋ぎ、仮初の家族ごっこをしてきたのですが、今回は「新しい彼氏」程度ではない予感がする。
そして、その日はやってきます。夜中に漫画を読みながらゴロゴロしていると、あの金髪美容師を連れて母親が帰ってきたのです。「なんで、この男が一緒に……?」、答えはもうわかっているのに、それでも脳内は様々な疑問が入り乱れて加速していく。そんな僕の混乱をよそに母は冷静に口を開く。
「私、この人と結婚するから」
遂にはっきりと告げられ、ここまで予想を裏切らないと逆に冷静になる。なるほど。紆余曲折ありながらも16年間二人で暮らした思い出よりも、その金髪美容師と共に歩む未来のほうが大事なのか。よくよく考えると当たり前だ。僕のようなキショいオタクの一人息子と生きていくよりも、しっかり働いている男性に支えられて生きていくほうが何百倍安定しているか。
覚悟を決めていた母親はともかく、美容師の方はどうしていたのかと言うと、僕が持っている漫画やフィギュア、プラモデルなどの量に唖然としていた。もう、この時点で「このナヨナヨしたオタクが息子になるのか」という残念ムードが伝わってくる。僕は僕で、再婚はともかくこんなオタクを虐めてそうな金髪チャラ男なのかよと恐怖に包まれており、ヒロイン(母)に見守られる中、僕と美容師は互いに目で死闘を繰り広げており、その様子はさながらシグルイ。
こちらが一歩でも引くと、いずれは漫画やゲームを捨てられる可能性は高く、向こうも攻めすぎると再婚が無しになる可能性もある。互いにここは母のために引こうとアイコンタクトで示しあい、僕も「そうなんだ。とりあえず一人で考えてもいいかな」と見に徹しようとするが、母親は完全に感情になっているので「ウチらの結婚を反対する理由ある?」と攻めの一手。小学生が使うエドモンド本田並みの攻めっぷり。こうなると、ただの高校生には白旗をあげる他ない。
それから超スピードでコトが進み、三人で暮らすためにボロアパートを引き払って引っ越し。生まれて初めて自室が誕生したので、「自室のみでオタク趣味を完結し、あなたたちの生活に一切迷惑をかけない」と暗黙の了解を制定し、どうにか漫画やゲームが捨てられる危機を脱するも、義父となった男は根本的にオタク嫌いらしく、ことある度に「インターネットより現実に向き合え!」「アニメやゲームばかりするな!」と叱るように。まぁ一般的に見ると至極真っ当なことを言っているので、べつに虐待とかではないのですが。
突然、知らない金髪のチャラ男が母親を寝取っていって挙げ句、自分は部屋の隅に追いやられ、母親とチャラ男がイチャつく様子を毎日見せられるハメに……。こんなに寝取られモノのバッドエンドが体現されるような事があるんだと悲しみに打ちひしがれているうちに……
寝取られモノが大好きになりました。
自分自身が体験してしまったことは置いておくとして、この理不尽さやオスとしての相手の強さに逆らえない敗北感、惨めさ、喪失感はすごい。ジョルノがギャングスターに憧れたように、僕もこの体験から寝取られに対し強い憧れを持ったのです。
あれから即家を飛び出して上京し親とは縁を切ったのですが、母親とチャラ男がリビングで暖かい家庭を演じる中、できる限り視界に入らないようコソコソ暮らすネズミのような生活は一生忘れることはないでしょう。
しかし、いつまでも現実を恨んでいたって仕方ない。逆に、ここまで惨めな寝取られ体験をしたのだから、寝取られモノに感情移入しまくっていく方が大好きな美少女ゲームも更に楽しめる。
今ではむしろ、上京する切っ掛けになったことも含めて「寝取ってくれてありがとう」とすら感じています。今の人生ってifルートなんですよね。再婚がなければ、今でも沖縄で母親と二人で日雇いでもしながら細々暮らしていた可能性が高いわけですし。ifルートに入ったなら、それはそれで進行していかないといけない。
さて、話のオチですが、そんな義父はいまどうなっているですが、見事に政治批判だけをRTするアカウントになっており、最悪な感じになっています。ツイート全て政治の愚痴。インターネットはこわい! というお話でした。