オンライン遠隔授業成功までの道程 (5)
これまで名古屋商科大学ビジネススクールのオンライン遠隔授業の挑戦とその成功を、(3)NUCBスタッフの側面から、(4)名古屋商科大学理事長のリーダーシップの側面から振り返ってきた。今回は、同僚の教授陣の側面から振り返ってみたい。
(4)でも述べたように、僕は抵抗勢力である。しかし、ITリテラシーは低くない。仮にITリテラシーが低かったら、AccentureとIBMで仕事はできない 笑。以前在籍していた国立大学の教授陣の中では、ダントツの最高レベルでITリテラシーが高かったと確信を持っている。だから、新しいチャレンジに抵抗するときは、できないのではない。面倒くさいのである。と、これまで胸を張って啖呵を切ってきたのだが、名古屋商科大学に移籍して、胸を張れなくなった。
僕のITリテラシーは決して低くないが、僕以上にITリテラシーが高い先生、または、すぐにスキルを習得する先生が散見される。変化に対して臆せず、貪欲に変化に対応する先生が多い。今回のオンライン遠隔授業導入の際も、次から次へと新たなツールを使いこなし、遠隔授業の質を短期間で向上させていく。しかも、〇〇科長とか、△△学部長とか、通常「あがりのポジション」で変化になんか対応しないだろうという偉い先生たちが、ガンガン変化に対応していく。そんな中で、平のペーペー教授である僕が変化しないというのは、かなり恥ずかしい状況で、変化せざるを得ないし、変化できるという状況にあった。
オンライン遠隔授業の成功はテクニックではなく、マインドセットに由来する
オンライン遠隔授業を本格的に始めるまでは、テクニカルな問題をどこまでクリアするかが、成功のカギだと考えていたのだが、実際オンライン遠隔授業を始めてみると、それはそれほどクリティカルな問題ではないということに気がついた。
僕の友人には大学教授も多く、それぞれの大学がオンライン化を進めようとしていて、その様子をFacebookなどでお互いに見ているのだが、大半の日本の大学は亀にも劣るスピード感である。それは、テクニカルな問題で彼らのスピードが遅いのではない。大学スタッフも「できない」「やったことがない」を先に言い、大学の理事会も「できない」「想像もつかない」と言い、教授に至っては、ITリテラシーもほとんどなく、変化に対応するマインドもない。まあ変化には対応できないだろうし、仮に変化に対応するとしても骨抜きの対応する振りになるだろう。
結局、オンライン遠隔授業を成功させるには、テクニカルなスキルではなく、(3)で振り返った大学スタッフのコミットメント、(4)で振り返ったリーダーのフロンティアスピリット、(5)で振り返った教授の先進性、柔軟性が必要なのである。だから、オンライン遠隔授業の成功はテクニックではなく、マインドセットに由来する。
改めて名古屋商科大学ビジネススクールというのは面白い環境であり、この環境の中で、リアル授業の充実と同様にオンライン授業の充実という武器を並列で持つことができるようになることはアドバンテージだ。文部科学省はこれまで、授業の配信は大学からと厳格に定めていたが、今回のコロナ危機に際し、自宅からの配信を認めるようになった。で、早速それを試してみる先生もちらほらいる。マジでそのスピード感が速い。大変な時期ではあるが、このタイミングでこの組織に在籍することは、僕のキャリアにとってもかなりのアドバンテージになりそうだ。
次回以降は、実際に授業を行った経験に基づき、細かいテクニカルな領域、Tipsなどを振り返っていく。