縦スクロールコミック(Webtoon)の現状について改めてまとめてみる
米国上場したWEBTOON Entertainment Incのニュースが流れてきた。
上記記事を読む限り、期待値(上場時の目論見と、投資家の期待値)に業績が届かずという感じのようだ。
なるほど、大本となる韓国ではユーザーが減り、グローバルでは横ばい、日本でのみ売れているという状況のようだ。
日本では確かに縦スクロールコミック市場は2022年~2024年にかけていろいろなプラットホームが出現して、それに合わせてコンテンツ提供者も増え、市場は活性化しているといえる。
残念ながら儲かっている会社はそれほど多くないと思うが、読者の選択肢が増えているので、読者数が増え、ある程度金額も増えているのだと思う。
だが、レポートにもある通り、LINEマンガは縦スクロール以外のコミックもそれなりな規模で売っており、連結して吸収したebook japanは、どちらかと言えば一般的な横読みコミックの方が多いだろう。
なので、日本での好調もLINEマンガが好調なのは確実だが、タテスクロールマンガが好調かどうかまではデータがない。ただ、まぁ先にも述べた通り、タテスクロール系も数が増えているので、日本においては市場は拡大しているだろうという推測はできる。それほど極端に増えているというわけでもなさそうというだけで。
カカオはどうか?
カカオの第2四半期報告を見てみると、ピッコマ事業のあるセグメントはコンテンツ事業のSTORYセグメントらしい。
ファクトシートにズバリな数字は無かったが、報告書に数字があった。piccoma事業の売上を2023_2QからQごとに追うと
2023_2Q:133
→2023_3Q:129
→2023_4Q:116
→2024_1Q:122
→2024_2Q:116
(単位はビリオンウオン)
となっていて数字は右肩下がりだ。
ただ、記載を見ると為替レートの影響がそれなりに大きいらしく、2024年度上期では流通総額500億円を達成し、ユーザーKPIは過去最高を記録しているということなので、爆発的ではないようだが、ピッコマユーザーは増えて売上も増えているらしい。
ただ、kakaoのSTORYセグメントも右肩下がりの状況なので、韓国や、他の地域については今一つの状況はKakaoの方も変わらなそうだ。
現状の所感
数字で状況を見てみたのであとは所感をまとめておこうかと思う。
まず、提供プラットホーム側の状況だが、新たに楽天「R-TOON」が3/8に、「ジャンプToon」が5/29に開設した。
だが、残念ながら「ジャンプToon」でも人気作品の傾向は他のプラットホームと変わらず、異世界、俺TEEE、令嬢、愛され、的なキーワードの作品が並び、当初あった「ハイキュー」のフルカラー縦スクロール化作品などは影をひそめてしまった。
また、LINEマンガとピッコマが2強で、あとはそれほど影響力をもてていない状況もそれほど変わっていない。
はっきり言えば、コンテンツの消費のされ方が従来の漫画と全く異なるため、コンテンツビジネスとしては別モノとして考えた方がよさそうだ。
過去、コンビニでコンビニ向けの雑誌のような作りをした漫画本を見たことはないだろうか?
あれは、コミックス単行本とは異なり、マンガ好きが買うわけではなく、内容にもそれほど愛着なく、その場で読み捨てする時間つぶしの手段として買われていたケースが多かった。
現状、日本の縦スクロールコミックも同じように、暇つぶし的に刹那的な満足のために読まれているケースが多いように思う。
なのでIPとしての商売の広がりがなかなか作りにくい。あの「俺レベ」ですらアニメにしてもなんか今一つな反応になってしまった。
そういえば「神血」がグッズ作ってPOP UP SHOPをやっていたが、あれは売れたんだろうか?
売れているようであれば、商売の幅が広がっていいことなのだが…。