名誉毀損罪と侮辱罪で逮捕され勾留されている容疑者へ会いに行った話 序章
近年「見ず知らずの人物からインターネット上で受ける名誉毀損行為」が社会問題となっている。
実際に東京地裁へ出向けば、民事の名誉毀損による損害賠償請求の裁判は多々傍聴する事はできるのだが、刑事の名誉毀損罪や侮辱罪な裁判を見かける事は滅多にない。
何故なら名誉毀損罪や侮辱罪などを犯しても、初犯であれば罪を認めて争わなければ法廷で行われる正式裁判とはならず略式裁判となってしまうからだ。
また警察や検察は、捜査中の情報を一部しか被害者に伝える事ができない為、自分が何故このような目にあったのか、容疑者がどのような理由で今回のような名誉毀損行為を行っていたのか、容疑者は本当に反省しているのか……といった情報を知らぬまま事件が終結してしまう場合も多い。
それでは逮捕された容疑者に直接聞いてみようと、担当の警察官や検察官に
「勾留されている容疑者と直接面会して、理由を聞いてみても良いですか?」
などと相談などしようものならば、まず間違いなく本気で制止されるし、当方が相談した2名の検察官、3名の警察官は口を揃えて「被害者が容疑者に会いに行くって話は聞いたことがないし、面会したら容疑者に顔を知られてしまうので辞めたほうがいいですよ」と話していた。
※本件とは別にあと2つの名誉毀損罪/侮辱罪の事件が進行している為、2名の担当検察官と3名の担当警察官がいます
だが今回は容疑者に対する刑事告訴が2回目であった事、また逮捕も2回目、あった事から、流石の検察官や警察官も
「一度会って話してみるのもありかもしれないですね、Aは吉野さんの顔をすでに知っていますし。けど、おすすめはできませんが…」
…と、完全制止がかからなかったので、当方は留置施設に勾留されている容疑者から直接「名誉毀損をした理由」を聞く決意をした。
当方が留置施設で面会をした日数は計4日、容疑者の言いたい事は大体理解できたが、聞き取りをした当方は皆様に声を大にして言いたい。
「もし貴方が名誉毀損をされたとしても、絶対に容疑者と面会をしてはダメですよ!!」
…と。
序文
何故、名誉毀損を受けるようになり、逮捕された容疑者へ会いに行く事にしたのか
当方に対し「X(Twitter)」(以下、ツイッター)上で名誉毀損行為を行い逮捕されたのは、数ある国産スーパーファミコンエミュレーター作者の一人だ。
以降は「A」と、今は記載させて頂く。
Aと当方は一度も会ったこともなければ、メールなどでやりとりをした事もないし、彼はツイッターのフォロワーですらない。
だがAは当方のツイッターをよく読んでいたようで、たまに荒い言葉遣いでリプライしてきたり、当方が不愉快に思うような事をリプライし続けていたので、2023年8月下旬にAをブロックした。
これに腹を立てたのか、Aは西村博之氏や、堀江貴文氏といったフォロワー数の超多い超有名人へのリプライを利用し、当方への悪態を書き始めるようになる。
当方の有するツイッターアカウントであれば、Aをブロックをする事により問題を回避できるが、第三者のコメントリプライ欄となると手の打ちようがない。
後にAが自身のツイッターに「アクセス数のある有名人のコメント欄で一応スレの趣旨に沿った体を装って拡散行為をしている」といった趣旨の事を投稿した事を考えると、どんな手を使ってでも当方への嫌がらせを拡散したかったのだろう。
そこで当方はツイッターの運営元であるX Corp.に対して発信者情報開示請求を行い、そこで開示されたAの通信記録を証拠品の1つとして刑事告訴をすることにした。
だが本当の地獄はここから始まった。
X Corp.に対して開示請求の申し立てを行うと、X Corp.はAに対し「Xでの法的書面の受領について」というメールを送付するので、結構早い段階でAは何者かが開示請求をしたという事を知る筈だ。
通常であればここで「誰かが自分の投稿に対して開示請求をしてきた。これはマズイ事になったぞ…」と考え誹謗中傷の投稿を止めると思うのだが、Aはその後もマイペースに当方に対する誹謗中傷を続けた。
2024年1月中旬、裁判所からの開示命令を受けて当方はX Corp.の代理人(弁護士事務所)からAがツイッターに投稿をした際の通信記録を入手。
この通信記録を元にAの使用するプロバイダーに対し、ログの保存依頼と発信者情報開示請求の手続きを行った。
この段階でAの手元にはプロバイダーから「発信者情報開示請求の意見照会書」なる書面が届いた筈だが誹謗中傷は止まる事はなく、当方は粛々とAの使用しているプロバイダーに対し発信者情報開示請求の裁判の手続きを開始する。
2024年5月上旬、Aの使用するプロバイダーから当方宛てに、Aの氏名/住所/電話番号/電子メールアドレスが書かれた書類が送付された。
同時にA宛てへ発信者情報開示のお知らせが送付される。
このプロバイダーから開示されたAの住所を見た当方は「あれ? この住所、Aがネットで何となく公開している地域と違うな……けどまぁ個人情報が開示されたんだから、流石にもう嫌がらせはやめるだろう」と思ったが、Aは個人情報が開示されたのを嘲笑うかのように誹謗中傷の投稿数を倍に増やした。
「これはもしかして別にメインプロバイダーが存在しているのでは?」
そう考えた当方は、再びX Corp.に対して膨大な数の発信者情報開示請求を行う。
そして開示された膨大な通信記録の中に、僅かではあるがAが拠点として公開している地域密着型プロバイダーのIPがある事に気づく。
この新たに判明した地域密着型のプロバイダーへ対し、2023年6月に信者情報開示請求の手続きをしたところ、Aはプロバイダーから届いた書面の写真と共に、当方をツイッター上で「キテ○イ」呼ばわりしはじめた。
この日を境に始まる誹謗中傷やデマ発言は、今読みなおしても筆舌に尽くし難く、これを表現の自由というのであれば、日本国民が人に対してどんな暴言や卑猥な言葉を吐いても逮捕されないレベルであったし、後にこの文言を読んだ検察官も「あれは流石に無いですね」と言ったくらいだ。
そして事件発生から約11ヶ月後の2024年7月下旬、Aはやっと逮捕されたのだが、この誹謗中傷されている期間中、ずっと当方の頭の中には「何故ブロックされただけで、ここまで恨みを募らせたのだろう?」という疑問があった。
なので当方は担当の警察官と検察官に「いまAが留置所にいるので、何で嫌がらせをしたのか直接聞きに行ってもよいですか?」と相談したのだが、共に
「それは絶対にやめた方が良いです、相手が逆上する可能性がありますし、容疑者と被害者が面会するなんて聞いた事がないです。」
…と言った感じの趣旨の言葉で強く反対してきたので、当方は「昔から、餅は餅屋って言うし、本件は犯罪のプロ達にまかせておこう」という結論になった。
そして2024年8月中旬、Aは名誉毀損罪で罰金刑に処される。
しかし、それから1ヶ月も経過しないうちにAは再び当方への名誉毀損行為を再開、そして嫌がらせが加速していく。
「ありえねー!! 絶対に許さない!!!!!」
そう思いながら再び裁判所と警察に出向き、当方は粛々とAを名誉毀損罪と侮辱罪の2つの罪状で刑事告訴。
東京地裁 民事9部の賢明な判断と、警察のご尽力により2024年11月下旬、Aは再び逮捕された。
1回目の逮捕の時もそうであったが、待てど暮せどAからの謝罪文や和解の交渉の連絡は無く、逮捕から2週間ほど経過した頃には「もしかして、まさか、ひょっとして、これは、全く反省していないのでは?」と当方は考えるようになる。
そこで今回改めてAを取り調べしている警察官と検察官に対し「勾留されているAと話をして、彼が実際に何を考えているか知りたい」と相談をした。
担当の検察官
「前は、会って話すのは辞めたほうがよいと言いましたが、短期間での再犯ですし。うーん……一度会って話してみるのもありかもしれないですね、Aは吉野さんの顔をすでに知っていますし。けど、おすすめはできませんが……」
担当の警察官
「これだけ警察官をやっていて、被害者が容疑者に会うって話は夫婦喧嘩がらみの事件でしか経験した事がないから、警察としては面会をおすすめはできないんだけども、うーん……もしかしたらAが吉野さんに会ったら考えが変わるかもしれないから、面会はありかもしれないね。けど多分Aは吉野さんに会わないと思うよ、だって普通、容疑者は突然面会にやってきた被害者に会おうって思わないでしょ。」
……という感じに、1回目の逮捕時とは違い少しだけ肯定的な意見であったので、当方は容疑者が留置されている警察署のへ向かい、Aが何故このような事件をおこしたのか? を当人から直接聞くことにしたのだ。だが、当方はこの行為を今でも死ぬほど後悔している。
次回 「彼の謝罪、そして名誉毀損をした理由」
ここまで長々と読んで頂き、本当にありがとうございました。