Togetterを2つに分割します。アーカイブの喪失を回避し、収益の改善を目指すリニューアルへ
みなさん、こんにちは。Togetterを運営するトゥギャッター社の代表のyositosiです。
一昨年の2023年の年末にはこんな記事を書かせていただき、多くの方に読んでいただけました。
記事の中では、「X(Twitter)のEnterpriseAPIの支払いが高くて大変だよー」という話や、「Web広告の単価が下がってきてて、ウェブメディアの運営が厳しい」みたいな話を書いたのですが、昨年はその予想を遥かに超えるピンチが押し寄せてきました。
今回は、現状を皆様に共有させていただきつつ、今後のTogetterとTwilogに関わるアップデートや方向性を共有させていただきます。
2024年はTogetterにとって厳しすぎる年でした
2023年に買収したTwilogのリニューアルをし、サブスクを開始するなどして、良い話も多かったのですが、その母体となるTogetterには厳しい一年となってしまいました。
前述の「広告単価の低下」に加えて、「Google検索からの流入減」や、「Google Discoverでの露出がゼロになる締め出し状態」などの要因で、トラフィックも減少してしまい、ここに月600万円を超えるXのAPI利用料の支払いが重なることで、ダブルパンチどころかトリプルパンチ状態の打撃を受けました。
サービスの性質上、XとGoogleという巨大プラットフォームに依存している危険性は重々承知していながらも、TogetterやTwilogは「Xのポストを集めてコンテンツにする」という機能を強みにしている以上、そこから離脱するわけにもいきません。心中覚悟で引き続きXとGoogleに依存し続けている現状です。
従来のメディアであれば、到底サービスの存続などは不可能と思われる現状であると考えますが、幸いにしてTogetterやTwilogはCGMサービスであり、ユーザの方々が日々ここにしかない唯一なコンテンツを作成してくれるおかげで、それをチェックしにまた多くの方がサイトに訪れてくれるという循環が機能しています。これにより、一定のトラフィックが確保できていることで即死を免れている状態です。
あの年にスタートした僕らのインターネットを残したい
ギリギリの状況でなんとか持ちこたえているTogetterですが、このままでは遠からずサービスの死はやってくると言えます。Twitterが日本で急速に知名度を獲得した2009年。Web 2.0やマッシュアップといった言葉が華やいでいたこの年に生まれたTogetterとTwilogは、そこから途絶えることなく15年間に渡ってTwitterとXのログを貯め続けています。2011年の東日本大震災でTwitterが情報インフラとして活躍した中で、Togetterも情報整理と拡散の側面で大きくトラフィックを伸ばしました。その当時のまとめも全部まだ残っています。Twilogがあれば、あの日のあなたのツイートを一瞬で巡ることもできます。
この15年の間に、多くのTwitter関連のサービスが終了しました。特にXに変わってからのAPI有料化で多くのツールが最後のトドメを刺されてしまいました。toB向けのツールであれば幾つか存在していますが、toC向けのサービスを展開していて、Enterpise APIを購入しているところは国内ではTogetterを除いて存在していないのではと考えています。
僕らがこの危機的状況になってもサービスを続けているのは、Twitter黎明期から続くこのカルチャーとこれらのデータを失いたくないからに他なりません。殺伐としたインターネットの中で、ネットらしいものの一部分を担っている自負があります。やめてしまうのは簡単であるし、Togetterがどこかの会社の一部だったら、とっくに閉鎖されていることでしょう。実際そういう議論もしていますが、ギリギリまでチャレンジするという選択をしているのは、自分たちがやりたいのはビジネスではなく、「TogetterやTwilogの文化をつないでいくこと」に重きを置いているからなのでしょう。なので、形を変えながらもその魂を残せる方法を考えています。
Togetterを分割し、コンテンツの質と量の改善に着手します
この状況を打開する目的でTogetterに大きなリニューアルを実施する予定です。その第一弾として、
Xを起点としてトレンドを中心とした独自コンテンツ(まとめ)を作成していくメディア(togetter.com)
これまで通りに多くの利用者が自由にまとめを作成・シェアできるプラットフォーム(新ドメイン)
に分割いたします。
「Togetter」を独自コンテンツ発信の場に変える理由
Togetterをサービスとして存続させるためには、サーバやデータの保持にかかる費用や、それを維持するための人件費などのコストを回収する必要があります。Togetterの収益は主にGoogleからの流入により得ているので、まずはGoogleからの流入の回復を期待して、サイト内のコンテンツの改善に取り組む必要があると考えています。
Googleからのトラフィックを得るには、サイトの評価を上げて、Googleに気に入られるしかありません。そして、そのために必要な施策は、Googleが評価する質のいいコンテンツを揃えることになってきます。
Togetterというサービスの特性上、サイト内にあるコンテンツ(まとめ)は、多くのユーザが自由に作成しているものです。Xから得た権利の範囲内で、ポストを自由に組み合わせることでまとめを作ることができます。また、ユーザの目的も様々で、拡散を目的としたものから個人での用途まで多くのユーザがそれぞれの使い方をしています。「誰でも自由にまとめコンテンツを作れる」という仕組みは、Togetterの大きな強みでもあります。
一方で、クオリティのコントロールができません。サイトとしては、作られたものをサイト上で目立たせるかどうか、くらいの調整しかできないのです。1日に数百も作られるまとめをチェックして判断するのもコストが掛かります。つまり、現行の運用体制のままではGoogleからの流入増のためのコンテンツの質のコントロールに限界があります。
この状況を打開するために、Togetterでは独自の編集体制を構築し、質を維持するガイドラインに沿ってコンテンツを作成し、より魅力や内容に富んだ情報を提供していくことを決めました。これまで多くのユーザーが作るまとめの管理に掛けていたコストを、コンテンツの拡充に振替えるイメージです。
我々が信念を持って運営してきたTogetterが生み出すコンテンツは、その他のどこにも存在しえないものです。外にある話題やコンテンツ、クリエイターが生み出すものなどありとあらゆるもの内包することができ、それらに新しいコンテクストを与えて、シェアできる形に変換するハブのような役割を担うことができます。この強力な仕組みを再利用し、ここでしか読むことができないコンテンツを提供し続けることで、評価と収益性を向上させていくことで、結果的にユーザのみなさんが生み出したコンテンツの維持に繋げていければと考えています。
これまでのまとめと機能は新ドメインのサイトに移管
一方で、これまで通り「誰もが自由にまとめ作成しシェアできる機能」や「みなさんが作ってきた全てのまとめ」は、新サービスとして、別の場所にお引越しいたします。イメージとしては、今までのTogetterとmin.t(Togetterの簡易版)が統合され → 新ドメインに移行される感じです。
Togetterが持つまとめ作成機能などはもちろん、新着やランキングなどのコンテンツの露出を増やす仕組みはそのまま残ります。一方で min.t 等でこれまで作られたコンテンツのプライバシーの設定などは引き続き維持されます。「多くの人に見て欲しい」「プライベートに使いたい」というニーズも両立できるような機能も提供いたします。
Togetterが持っていたサービスと機能を分けることで、これまで通りのユーザ体験をできる限り維持しつつも、サービスとしてのコスト回収を達成できる運用体制へのシフトを目指す方針です。もちろん、サービスが存続し続けられればの話ですが。
まとめを作成するスタッフを募集しています
Togetterは今後、スタッフによるまとめが中心のサービスに移行します。リニューアルに向けて、昨年からサイトにこれからのTogetterでまとめを一緒に作ってくれるスタッフを募集するバナーを掲載させていただいています。こちらも引き続き募集しております。
特に、これまでTogetterで質の高いまとめを多く作っていただいた方々には、リニューアル後のサービスでも引き続き活躍いただきたいと考えています。もちろん、方向性が合致することが大前提ではありますが、ご協力いただければ幸いです。ぜひ、ご検討ください。
それ以外のアップデート予定について
トラフィックの強化・改善という視点とは別に検討していることについても書いておきます。
Twilogの機能強化およびサブスクプランの改定
Togetterサポータープランの設置
寄付を受け付けるクラウドファンディング
少ないリソースの中でどこまでスピーディーに提供していけるかは不透明ですが、驚くべき値段のEnterpise APIの支払いをサポートいただくという名目で、幾つかの課金要素も提供していく予定です。ぜひ、無理のない範囲で最大限のサポートいただけると嬉しいです。
引き続きTogetterとTwilogにご期待ください。今後のお知らせは、@togetter_jp をフォローしてご確認ください。