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カビンさんと春(全文読んで気に入ったら投げ銭100円)
感覚は自分だけのもので、時に過敏すぎる、繊細すぎる自分に、苦しくなることもあるけれど、
でも、この感じる心を手放したくはないのです。(本文中より)
私がカビンさんで良かったと思う季節の一つが春です。
(花粉症の方にとっては、春は辛い季節かもしれませんね。
ご不快に思われたかもしれません。ごめんなさい)
私が現在住んでいる北海道帯広市も、
生まれ故郷の網走市も、
自然が多いというよりは、
自然の中に人間が住まわせてもらっているという感じなのですが、
この季節、
春の一歩手前の時期、
冬の間に降り積もった雪が解け始めて、
しばれた空気がふっとゆるんで、
日々の忙しさに追われているうちに、雪がほとんどなくなっていて。
畑の向こうの山や、広い公園の樹々、道路わきに並ぶ街路樹達が、
ある時ふと、
んんっ・・・と、木の芽が力を入れたみたいに、
全体がうっすらと紅くなったように見える時があるのです。
「あ、来た…」
と思った時には、何故だか胸がいっぱいになって。
「今年はこの瞬間を見られて良かった」と思うほど、
自然の多い場所に住んでいても、
うっかりすると見落としてしまうような一瞬の「時」
芽吹きの前の、木々の目覚めの瞬間。
きっと、調べたらこの「時」を表現する言葉が日本語にはある気がするのだけれど、
でも、そういうのじゃないのです。
調べて、その言葉を知るのでは無くて、
何かの偶然でその言葉を目にして、
「ああ、わかる…」
と、その言葉が自分の中にゆっくり沁みていく。
そんな風に、その言葉と出会いたいのです。
だから、山が赤くなるその瞬間も、
そこから先の季節も、
神様が少しずつ様々な緑色のカラースプレーを、
うす~く、うす~く、
少しずつ、少しずつ、
塗り重ねていくように、
樹々や、山々や、大地が色を重ねていく。
そんな季節を思うだけで、
胸が熱くなる。
胸がいっぱいになる。
そんな時、
私は過敏な性質で良かったと思うのです。
とは言え、
他の方の感覚は判らないので、
こんな風に感じるのが、
カビンさんだけとは限らないかもしれないのですが。
また、カビンさんだとしても、
こんな風に感じるとは限らないとも。
感覚は自分だけのもので、
時に過敏すぎる、
繊細すぎる自分に、
苦しくなることもあるけれど、
でも、
この感じる心を手放したくはないのです。
この世界は色鮮やかで、
時に残酷で、
心が痛む事もあるけれど。
それでも。
過敏さに悩み、
苦しんでいる方も、
困っている方もいると知っていても、
それでも。
私はこの過敏な性質を持っていて良かったと思うのです。
色々と、生きる工夫が必要だけれど、
でもそれは、
過敏体質じゃない方も、
何らかの工夫をしていると思うので、
生きていれば、
生きるための工夫をするのが当たり前だと思って、
生きて行こうと思っています。 (了)
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