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ガチでるろうに剣心初めて読んだ

 『るろうに剣心』を初めて読みました。

 理由は単純、今やってるアニメの薫殿がかわいかったから……。本当にそれだけ。CV高橋李依、最高! 薫殿かわいいし! 成人男性のクセに「おろ~」とか言ってる主人公えっちだし! よっしゃ全巻買うか!!

 ……こんな感じで、ぬるっとるろ剣を全巻買って読みました。ぬるっとしたキッカケで読み始めたので、この記事もぬるっと始まります。全体的にぬるっとした温度感なので、暇な時にでも読んでやってください。

 どうぞ、よろしくお願いします。



るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-

東京編

1巻

『るろうに剣心』1巻より

 和月コメントの味が濃すぎる。

 えっ、なにこれ……。単行本買ったら登場人物制作秘話までついてくるオトク感、すごいね。いやにしたって赤裸々すぎる。別に「この先、薫が剣心の恋人になるかは決めかねているところです」まで書かなくてよくない!?

 1巻読んだ時、もっといろいろな感想があったはずなんだ。「原作でも薫殿かわいいね」とか、「剣心カッコいいっスね」とか……。もう和月コメントの濃さに全部持っていかれた気がする。こんな形式だって知らなかった。

 強いて言えば、「絵がシュッ!!としているところ」がすごく良かったです。実は私、ここ最近『HUNTER×HUNTER』『BLEACH』という漫画を読んだのですが……あの2作を選んだ基準も、「絵がシュッ!!としているから」でした。まぁ、自分好みの絵柄で最高ですってコトですね。 


2巻

『るろうに剣心』2巻より

 2巻しか読んでない時点で「この技絶対これ以降全く登場しないでしょ」ってわかるのなんかすごいと思う。左之助の魂を賭けてもいい。土龍閃これ以降絶対出ない。なんか見栄えが悪いから。あとこれ令和版でカットされてたよね!? 土龍閃を拙者は忘れてないでござるよ━━。

 土龍閃……たしかに強いのはわかる。格ゲーだったらこれ絶対万能飛び道具になってるから。でもビジュアルが卑怯すぎるよ……。なんかこの技を比古清十郎が使っているところを想像したくない。極論「石つぶてをぶつける技」ですからね? これが、これが飛天御剣流か……。

 ちなみに、この辺りで「飛天御剣流の技がいっぱい出ること」に驚き始めました。なぜなら、るろ剣の前に読んでいた『BLEACH』の主人公が同じ技ばかり使っていたから……。るろ剣のせいで余計に「ほぼ月牙1本で70巻近く戦い続けた黒崎一護ヤバすぎる」度が高まってきてる。

 もう黒崎一護だったら絶対「土龍閃(タメ)」「土龍閃(当身)」「土龍閃(対空)」みたいな使い方してると思う。まぁ……後々これと同じこと斎藤一に言うハメになるんだけど……。

『るろうに剣心』2巻より

 そして、2巻でひとつ気づいたことがある。
 この漫画……たぶん薫殿に感情移入して読めばいいのだ。

 るろ剣の面白いところ、それは明らかに「少女漫画」のテイストがパーツとして組み込まれているところ。『ダイの大冒険』に特撮のテイストが組み込まれていたように、るろ剣は乙女回路が搭載されている。だから私は、もう自分を薫殿だと思い込みながらるろ剣を読むことにした。

 薫殿の気持ちになって、どこからともなく助けに来てくれる彼に「剣心……!!」と、ときめきを感じながら読めばいいのだと。私はるろ剣を理解した。私は……私は神谷薫になりたい。ここから先の文章はすべて脳内でCV高橋李依かCV藤谷美紀で再生してください。

 剣心が迎えに来る時、俺は神谷薫だ!!


3巻

『るろうに剣心』3巻より

 えっ、なにこの欄外コメント。
 余白に作者のコメント入ることある!?

 ……と、多分るろ剣が連載されていた当時を知っている方はもう口を出したい気持ちでいっぱいだと思います。もうこれは私の「世代」の問題ですね。そう、「昔のジャンプは誌面に広告が入っていて、単行本化した際に余白が生まれる=和月先生はそこに作者コメントを入れている」ことを、私はるろ剣で初めて知りました。ホントに知らなかったんです……。

 いや……まぁ、それは一旦置いといて戦闘シーンで和月先生のSNK語りが挟まってくるのすごくないか!? めちゃくちゃサムスピの話してない!? 戦闘シーンの合間にサブリミナルサムスピしてくるんですけど!?

 ていうか、なんなら2巻の時点で刃衛と戦った後に「和月は同人誌肯定派です(要約)」という情報が欄外で差し込まれて余韻が全部持ってかれてたんだよ。和月先生……あんたすごいよ……。なんかこれ「るろ剣の単行本+和月伸宏の日記」としての価値が生まれてるよ……。


4巻

『るろうに剣心』4巻より

 なんかこの漫画……常日頃から私が抱えている「男性の優しさに甘えたい」欲をものすごくかき立ててくる。読んでてドキドキしてくる。やっぱりこれは男性にときめく漫画だと思う。

 自分がるろ剣にゲストとして登場するなら、絶対に剣心に助けてもらって「剣心、優しいのね……」と安堵した顔で言う単話使いきりモブが良い。嘘、やっぱり神谷薫になりたい。オリ主じゃ満足できない。アタシ、強欲なので……。剣心が迎えに来る時、俺は神谷薫だ!!

『るろうに剣心』4巻より

 もう漫画から格ゲー要素が滲み出てるんよ。

 「飛天御剣流『龍槌閃』から着地待たずの抜刀術か」ってもうこれ格ゲー用語だよ。特に「着地待たずの抜刀術か」の部分。冷静に考えたら「少女漫画」と「格闘ゲーム」のふたつの要素が不思議なバランス感覚で配合されてる序盤……なんかすごいですね。この辺のるろ剣の味がする。

 るろ剣にアールの実況機能とかほしい。戦闘中に自動で「飛天御剣流『龍槌閃』から着地待たずの抜刀術、決まったァァァァ~~~!!!」って言ってくれるやつ。左之、やっちまったァァァァ~~~!!!


5巻

『るろうに剣心』5巻より

 幕末オープンゲットじゃ……………ない!?

 ひきつづき「剣心が迎えに来る時、俺は神谷薫だ」トークになるのですが……るろ剣のすごいところって、薫殿にちゃんと「生活感」があるところだと思います。

 ものすごい漠然とした感覚ですが、「あぁ、この人は多分ちゃんと生活できている人なんだろうな」と思えるヒロイン像って、けっこう女性作家さんの得意とする部分だと思っていました。うむ、そういった決め付けもゆくゆくはナンセンスな世の中になっていくかもしれないがね……(櫂利飛太)

 だけど薫殿は、ちゃんと「生活できている人」の雰囲気を感じさせる。これはやっぱり和月先生の乙女回路がなせる技なのでしょうか……。あんなに「俺は神谷薫だ」と言いつつ、同時にるろ剣で一番好きなキャラは薫殿です。薫殿の生活感、よくないですか?

『るろうに剣心』5巻より


6巻

『るろうに剣心』6巻より

 2巻で相良隊長のビジュアル初めて見た時から思ってたんですが………こんな「平成」の塊みたいなやつ幕末にいてたまるか。そのバンダナだよバンダナ。いくらなんでも「平成」すぎるよ。剣心とか薫殿とか結構ファッションの時代考証しっかりしてそうなのに相良隊長だけ「平成」すぎるよ。

 相良総三、るろ剣の人気投票で何回か上位に来てるのも余計に面白い。コイツ実質的に「本編に登場しない」キャラやぞ!? しかもどっかの人気投票で志々雄真実の得票数を上回ってた気がする。相良総三が志々雄より上!? 顔か……? やっぱり顔なのか……? 

 あと、ちょうどこの5~6巻あたりでみんな大好き石動雷十太と赤報隊のボンバーマンが登場しているのですが……もうとっくに研究し尽くされたキャラなのでわざわざ何か言う必要もないでしょう。

 強いて言えば、和月先生すらキャラ紹介で石動雷十太に「しかし、本当にこいつは……ハァ……」とコメントしてるのが面白い。和月先生、赤裸々すぎるんですよ! 自分で蒸し返さなくてもいいですから!?


7巻

『るろうに剣心』7巻より

 貴様ーッ 雷十太先生を愚弄する気かぁっ

 もう「雷十太如きの愚物に」とか言い始めたら終わりだよ! 
 「如き愚物」て! 悪口の双龍閃か!?

 そしてこの斎藤一が登場してきた辺りのくだりで、「牙突」がるろ剣発祥なのを初めて知りました。いや、ホントに新選組がそういう技使ってたんだと思ってました。「牙突」、あまりに現代の創作物に当然のごとく登場してくるから……。え、マジで? 本当にるろ剣発祥なんですかこれ?

 この「るろ剣のせいで間接的に史実を勘違いしていた」シリーズ、この後も度々登場します。どうかご容赦ください。

『るろうに剣心』7巻より

 そしてこの辺りから理解し始める。
 この漫画、明らかに「バトルシステム」が存在している。

 いや、「対空の牙突」て。絶対るろ剣のバトルって上段・中段・下段の概念存在してるでしょ。この「対空の牙突」シーン、事前の動きが「剣心が龍槌閃で飛び込む→斎藤一が対空で牙突する」と、あまりにもゲーム画面が想像しやすすぎる流れになってるのが一番面白いと思います。

 この辺りから和月先生が気に入り始めているのか、結構「龍槌閃」の登場頻度が上がってくるのも好きです。だって龍槌閃判定強そうだもんね。るろ剣初心者は、まず波動コマンドの飛龍閃・昇竜コマンドの龍翔閃・飛び込みと龍翔閃からの連携に使える龍槌閃を覚えるところから始めましょう。

 なんか……アークシステムワークスがグラブルバーサスくらいのクオリティのるろ剣格ゲー出したら結構行けちゃう気がする。イカン、いま割とマジでワンチャンありそうなシノギを思いついてしまったのではないか。

 「格ゲー化しやすい漫画」で言えば冗談抜きでトップクラスなのでは!?    
 原作に「対空」の概念が存在しとるんやぞ!?

『るろうに剣心』7巻より

 このコマなんか面白くない?

 どこだろう……特に集中線っスかね……。全く言語化できない謎の面白さがあります。あと、当然のように初代内閣内務卿:大久保利通本人が出てくるのも面白いと思う。いやリアル大久保利通やんけ! えっ、急に大久保利通出てくるの……? まぁすぐ宗ちゃんに殺されちゃうんですけど……。


8巻

『るろうに剣心』8巻より

 もうお前らが悲鳴を上げるまで「俺は神谷薫だ」シリーズを定期的に差し込み続けてやるからな。というか、緋村剣心が全部悪いんですよ。緋村剣心が「なんだかフラフラしていて、私が見てないとどこかへ消えてしまいそうな人」という特大ヒロインオーラ力<ちから>を纏っているのが悪いのです。

 あの瘴気の前では、誰だって神谷薫にならざるを得ないのではないだろうか。助けるだけ助けて……なんだか辛そうな顔だけ見せて……どこか消えちゃいそうなまま、本当に消えちゃって……。私やっぱり……剣心に会いたいよ!

『るろうに剣心』8巻より

 この動き……7巻だかの欄外コメントで和月先生が「とうとうプレステとセガサターンをゲットしました。ヴァンパイアとバーチャ2やります(要約)」って言ってたのがまんま次回予告になってるのすごいですよね。10年早いんだよ! 崩撃雲身双虎掌、出るか!?

 剣心はどっちかっていうとSNKの動きしてるけど、少なくとも上の操の動きはポリゴンみたいな動きしてますから。大(おお)格ゲー漫画やね。もうさっきから「俺は神谷薫だ」と「ゲーム」の話しかしてないので薄々察しているかもしれませんが……この記事は大体ここ2軸で最後まで行きます。

『るろうに剣心』7巻より


9巻

『るろうに剣心』9巻より

 出た、ゲームでしか見ない階段。
 しかもこれダンジョンの階段ね。1フロアにポツンとある階段ね。

 るろ剣の感想記事のクセに、あまりにも本編の話をしていない気がするので一応しておくと……瀬田宗次郎だけはホンマに「やりすぎ」だと思います。設定も顔面も何もかも「やりすぎ」だよ。自分が中学生だったら絶対授業中に瀬田宗次郎が助けてくれる妄想しかしてなかったと思います。

 こんなに格ゲー要素が多い漫画だけど、もうひとつ「少女漫画」の軸も存在してるから、宗ちゃんが出てくるといよいよ「乙女ゲー」になってくる。明治剣客乙女格ゲー漫画。すごいジャンルだ。るろ剣のSNKver.とルビパver.、見たい気がしてきた。そこ、「月華の剣士」は禁止ワードだ! 

『るろうに剣心』9巻より

 はぁ……宗ちゃんの顔面良すぎる……………。

 あんなに「薫殿がなんだかんだ一番好きかな😊」とかカワイ子ぶったこと言いまくってからで申し訳ないが、瀬田宗次郎も一番好きなキャラだ。悪いな、アタシ面食いなんだよ。少女革命ウテナでも幹くん好きなんだよ。

 何気に、この巻のヒキとして「左之助に二重の極みを教えていた安慈が十本刀の一員だと発覚する」という展開が用意されてるのが良かったです。単にバトル漫画のヒキとして最高。読んでて普通に「るろ剣面白えじゃねえか……」って言っちゃったよ。

 ここまで散々格ゲーの話ばっかしてたけど、るろ剣って普通にジャンプの一時代背負ってた漫画ですよね。面白いに決まってるんだよ。普通に「時代の王」ですよね。ごめんね、私が漫画あんま読んでないばっかりに……。



京都編

10巻

『るろうに剣心』10巻より

 めちゃくちゃ『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』の文句書いてる……。

 これ、何が面白いって同じ10巻内の作者コメントで和月先生直々に当時のアニメ版への抜き身の刀のようなコメント(オブラート表現)が書かれているのに対し、そのあと当然のごとく『斬紅郎無双剣』トークが始まるところです。流石に和月先生がこの幕末で最も自由な男でござるよ……。

 流石にもうこれ本編よりコメントの方が楽しみになっちゃってきてるんだけど。こっちが半分メインコンテンツだよ。だってドラマCD版とアニメ版で声優が違うことにいろいろ言ったあとで「いかんせんゲーム全体のバランスが……」なんて話出ると思わないじゃん。面白すぎる。

 ということで、Nintendo Switchで配信されている『アケアカNEOGEO サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』を買いました。いや、俺はるろ剣に真剣だから。で、実際に触ってみたんですけど……たしかにバランスキツいですねこれ。まず、アーケードモードが難しかった……。

 そもそも私が格ゲーカジュアル勢=プレイスキルが皆無なのもあるとは思うのですが、もうどのキャラ選んでも全然気持ち良く勝てない。要は、CPUがやたら強い! まぁ、逆にそこがある種の「歯応え」になってる部分もあるのですが! いろんな意味で懐が広い感じがするゲームです。

 あまりに勝てないので、しっかりキャラランクを調べて遊び始めました。もう、覇王丸(羅刹)が強すぎる。旋風波が中段になってるの流石にヤバいでしょ……。あんなに服部半蔵でチクチクやってたのがバカらしくなってくる。『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』……覇王丸(羅刹)が一番好き!

『るろうに剣心』10巻より

 あんた以前<まえ>新月村の栄二に「幸せになれ」って言ったでしょ
 それってあんた自身にだって言える事なんだからな!
 独りで何もかも背負い込んであんた一人が不幸になるなんて結末、私は絶対納得しないからね!

 そもそも私は神谷薫以前に、「るろ剣女子」が好きなのかもしれない。巻町操……いい女すぎる……。やっぱり基本的にヒロインの想いの矢印が「剣心が心配」に向いてるのが……もうね……和月伸宏コノヤロー!!!

 流石に「俺は巻町操だ」まで行くと強欲すぎるので遠慮しておきますが、操もかなり好きです。この「なんだかんだ剣心と操の関係っておいしかったよね?」が後々すさまじい回収のされ方をするのも好き。

 そして10巻あたりから、龍槌閃に負けず劣らず「龍翔閃」の使用頻度も上がってくる。明らかに昇竜技なんだからそりゃそうである。
 ただ、「おいこれまた土龍閃より判定強そうな技出てきたぞ……」という身体の震えも止まらない。もうこれ剣心も影で「土龍閃は流石に産廃技でござる」とか言ってるんじゃないか。


11巻

『るろうに剣心』11巻より

 なんか急に四乃森蒼紫がめちゃくちゃかっこよく見えてきた。

 この男……冷静に考えると瀬田宗次郎ばりに属性ドカ盛りキャラである。「最初のボス(が、強くなってくる)」「忍者」「復讐鬼」「二刀流」と、あらゆる属性がドカ盛り状態。あと……なんか見覚えあるコート。上の「小太刀二刀流 回転剣舞六連」、カッコ良すぎ。これは時代の王ですわ。

 あと、思ったより「御庭番衆」の存在が引っ張られ続けるのもちょっと面白い。なぜなら、後出しで「御庭番衆は強かった……」みたいな情報が出るたびに、どんどんるろ剣最強リセマラランキング内の「回転式機関砲<ガトリングガン>」の位置がわからなくなってくるから。

 割とみんな「回転式機関砲<ガトリングガン>は強いよな」「回転式機関砲<ガトリングガン>はどうにもならん」という意識は統一されてそうなのが面白い。頑張ればどのキャラにも回転式機関砲<ガトリングガン>でワンチャン狙えそうな気がする。回転式機関砲<ガトリングガン>の抑止力。

『るろうに剣心』11巻より


12巻

『るろうに剣心』12巻より

 この「優し過ぎて剣客にはそぐわないな」というセリフ、るろ剣のすべてが詰まっていると思います。るろ剣作中の最大のギミックでもあり、一番面白いところ、それは「優し過ぎて剣客にはそぐわない」。

 るろ剣って、すごい「純粋」な作品だと思います。ここの「純粋さ」みたいなものがあるから、読んでて心が洗われるような気持ちになったりします。もう、強烈に純粋で、脅迫的に優しい作品だと思います。こんなに真正面から「優しさ」を語っていいんだ、と思うくらいに。

 『トライガン』という漫画を初めて読んだ時、「“銃”を取り扱った作品なのに、最後は“歩み寄ること”の大切さを語っている」ことに驚きました。だって、銃は遠隔で相手を殺すものだから。対象の顔を見ずに、人生を奪える道具だから。この世で最も、「歩み寄ること」とは対極に位置する道具だと思います。なのにあの作品は、最後に「手を取り合うこと」を謳った。

 『るろうに剣心』も、結構それに近いものを感じました。
 そもそも「刀」は、相手を殺すことにしか使えない。最初から「命を奪うもの」としてデザインされている。そんな道具を扱っていながら、「不殺」を描こうとしている。「優しさ」を語ろうとしている。

 この取り扱っているものに対する、正反対のテーマが結構好きです。むしろ、テーマに対して正反対の道具を使っているからこそ、どんなに語り尽くされたお話であったとしても、心を揺さぶられるのだと思いました。るろ剣の「優しさ」が、大好きです。

『るろうに剣心』12巻より

 斬紅郎無双剣結構気に入ってんじゃねえか!
 あんなに文句ばっか言ってたのに!! いや、でもわかる……わかりますよ和月先生……なぜならゲームって文句言ってる時が一番楽しいから……。なんかもう「ゲーマー」としての和月先生が好きになってきている。

 るろ剣で好きなキャラランキングを私がつけるなら、第1位に神谷薫と瀬田宗次郎が来て、第2位に「ゲームの話をしてる時の和月先生」が来ると思います。

 あと、昔テレビでチラッと見た実写版のせいで「左之助と言えば斬馬刀」というイメージがあったのですが……原作の左之助って斬馬刀全然使わないんですね。もういつの間にか素手と手榴弾のボマーゴリラですよ。

 素手が通る相手には素手。素手が通らない煉獄には手榴弾。この「テレビでチラッと見た実写版」という話で私の年代を薄々察してください。


13巻

『るろうに剣心』13巻より

 もうこれ流石に「細かすぎて伝わらないるろうに剣心」の域に入ってくるかもしれませんが……左之助の戦いを見守ってる時の剣心が明らかに後方腕組み抜刀斎と化してるのめちゃくちゃ良くないですか? 

 左之助に対してだけ、他のキャラとは明確に違う態度なんですよね。完全に客席で「高み」に来るのを待ってる決勝シード抜刀斎の顔になってると思います。ここの「剣心と左之助の関係」、なんだかるろ剣ではあんまり出ないダシが出てる気がする。京都編なんかみんな楽しそうなんだよな。

 あと、ここで出てくる「二重の極みの遠当て」とかいう技が流石になんでもアリすぎて面白かったです。いや、「なんでもアリ」っていうか、これも格ゲー理論な気がする。「地面に二重の極みしたら衝撃(?)が地面を伝って飛んでくる」ってなんやねん。安慈に一応搭載されてる飛び道具だよね。

『るろうに剣心』13巻より

 そして和月先生、とうとう発売された『サムライスピリッツ 天草降臨』の完成度の高さにめちゃくちゃお喜びになられている。そんなに斬紅郎無双剣が嫌だったのか。和月先生がテンション上がっててなんか俺も嬉しい。和月ゲーム日記、少なくとも私の中ではメインコンテンツだよ……。

 ということで、Nintendo Switchで配信されている『アケアカNEOGEO サムライスピリッツ 天草降臨』を買いました。私はるろ剣に真剣なので。

 うん、明らかに『斬紅郎無双剣』よりバランスがいい。どのキャラを選んでも比較的戦いやすい。相変わらず私はカジュアル勢なので、特に対戦環境どうこうの話はできないのですが……にしてもアーケードモードの理不尽さ(?)が減って、ちゃんと好きなキャラで戦えるのが楽しいですね。

 あと、ドットの表現もかなり良くなっている気がします。みんなかわいい。あんなに羅刹覇王丸しか勝たんとか言ってたくせに、天草降臨はバトルバランスが結構いい感じなことを理由にナコルルばっかり使いました。なぜなら……かわいいから。

 勝利時にちゃんとキャラ絵が出るのも良いですよね。ないより、絶対あった方がいい。なぜなら……かわいいから。『サムライスピリッツ 天草降臨』……普通に名作! ナコルルかわいい!!


14巻

『るろうに剣心』14巻より

 キミらM-1出場狙ってみたら?

 るろ剣ってキャラ設定コーナーが半分くらい和月先生の自己反省コーナーと化している時があるから、「魚沼宇水ってなんだったの……?」と思ったら案の定設定解説コーナーで「上手くいかなかった……」的なことが書かれているのが面白いと思います。赤裸々すぎるわ!!

 いや……ティンベーとローチンて……。私、少なくとも宇水さんが「この人は十本刀No.2」みたいな紹介されてたの絶対嘘だと思ってますからね。多分No.2は不二だろ! なんなら宇水さん飛翔の蝙也にもワンチャン負けそうじゃない!? ティンベーとローチンで勝てる相手が想像できないよ!!

 どうでもいいですが、「魚沼宇水」で検索しようとしたらサジェストで「龍鳴閃」が出てきたのも面白かったです。宇水さんは……宇水さんはいつだってお前たちに有利な明かりのある場所で戦ってるんだ! 宇水さんは負けてない!! 何が可笑しい!!!

『るろうに剣心』14巻より

 ここ、るろ剣で一番好きなシーンです。

 四乃森蒼紫……四乃森蒼紫マジカッコ良すぎる……。もう四乃森蒼紫だけ流石に信者になりそう。「俺が巻町操だ」までは行かずとも蒼紫さまファンクラブという名の御庭番衆を結成しそう。やっぱ「小太刀二刀流 回転剣舞六連」って技名がカッコ良すぎるんだよ。

 この剣心vs蒼紫の第2回戦、「書庫」というシチュエーションがあまりに完璧。フィニッシュの「天翔龍閃」初披露まで含めて最高。個人的にるろ剣ベストバウトとして挙げたいくらいです。なんでこのシチュエーション選びの良さを宇水さんに分けてあげられなかったんだ。

『るろうに剣心』14巻より

 この「強き心を取り戻せ!そして失った誇りを呼び返せ!!観柳邸で止まった時間を動かすのは今なんだ!!」というセリフ……ただただ真っ直ぐにカッコ良くて、なんか読んでて理由もわからず涙が出ていました。

 ここまで記事を読んでいる人にはわかる通り、私は死ぬほどひねくれている人間です。だからもう、どんなに真っ直ぐ熱い話が来てもはいはいそうですかとスルーしてしまうのですが……なんだかこれは耐えられなかったです。るろ剣に、自分まで純粋にさせられている気がします。

 直前の操について語っている時の「あの真っ直ぐな涙に応えられるのは、この世にお前一人しかいないんだ」「……操は強い娘だ」みたいなセリフも……なんかもうずっとカッコいいんですよ……! 

 ……と、珍しく純粋に感動していた剣心vs蒼紫戦直後の和月コメントコーナーで「天草降臨とバーチャロンめちゃくちゃハマってます!!」がぶっこまれて情緒がめちゃくちゃになるところまで含めてワンセットですね。


15巻

『るろうに剣心』15巻より

 コイツ、マジで何……?

 飛翔の蝙也、なにもかも異様。しかも十本刀のくせに弥彦相手に負けるし。こんな出方して弥彦に負けるか!? なんかこの人と宇水さんが十本刀の面白人斬り集団度を底上げしている気がする。何……? 何なの……?

 もう飛翔の蝙也のコトここでしか書かないと思うからだいぶ先取りしますけど、北海道編で十本刀が仲間に加わった時にしれっとコイツも瀬田宗次郎に並んで「あの飛翔の蝙也が、仲間に━━━?」みたいな顔してるのが面白すぎる。オメーそんな大した活躍してねえだろ!

『るろうに剣心』15巻より

 いや神谷活心流エグすぎだろwwwwwwwwwwwww

 そもそも「特定部位の破壊」を前提としてる時点で飛天御剣流よりよっぽど凶悪じゃない!? しかもこれ別に剣持ってなくてもその辺の木片があればワンチャン狙えるのが凶悪すぎる。「とりあえず殺さなきゃOK」ってモンでもないって。最悪人生破壊技やからね!?

 正直、神谷活心流「膝挫」に比べたら九頭龍閃も天翔龍閃もかなり人の心があるように見える。「痛みが一瞬なだけまだ救いがある」ってヤツですよね。剣心が「膝挫」習得したら志々雄戦すぐ決着ついたのでは? 活心剣は……こんなにも人の心を捨てなければいけないのか……。

 よく見ると「ゴキイイイ」って擬音鳴ってるのもヤバい。痛いって! マジで痛いヤツだってこれ!! 鎌足がかわいそうだよ!! 薫殿のお父さんはどれだけの幕末志士の膝を折ってきたのだ!? 「神谷活心流被害者の会」とか結成されてる勢いなんじゃないのか!?

『るろうに剣心』15巻より

 そしてこの辺になってくると、単純に年代が年代なのでゲームトークもどんどん濃くなってきます。ウワッ……これってFF7発売当時!? いや、実はわたしPSのスクウェア作品よく遊ぶので……そういう意味でもいろいろヤバいです。FF7発売当時……そうか、るろ剣京都編とFF7が大体同期か……。

 そしてこの辺りから、和月先生のキャラ解説コーナーにおける「このキャラのイメージはエヴァの○○です」率がどんどん高まってくる。鎌足が碇ユイ意識してるらしいのは流石に笑った。しかもこんなにエヴァをデザインモチーフとして取り込んでいるのに、旧劇に関しては結構辛口なコメントを書いてるのが和月先生マジ和月先生って感じで好きです。

 いやでも……ここだけ切り抜かれて若干荒れそうだけど俺は和月先生が旧劇に「キャラへの愛を感じない(意訳)」って言ってるの解釈一致で結構好きだから……。るろ剣マジで「愛着」の漫画って感じするじゃないですか。マズい、いよいよ本当に書いてること古の個人ブログみたいじゃないか!? 

『るろうに剣心』15巻より

 はい、牙突以来の「るろ剣のせいで間接的に史実を勘違いしていた」シリーズです。わたし……るろ剣を読むまで本気で「沖田総司は縮地を使っていた」のだと勘違いしていました。いや、なんか沖田総司ならやってそうかなって。やっててもおかしくないかなって……。

 俺は……俺はFGOに何年騙されていたんだ!!!!!!

 一応、誤解を招かないようしっかり補足を入れます。
 まず、「縮地」がるろ剣発祥ではないのは知っています。そして、るろ剣内に「沖田総司(本人)」が存在してることもちゃんと把握しています。これはもう沖田総司(本人)が作中に存在してるのに、さらに沖田オマージュのキャラを重ねて出してくる和月先生に文句を言ってほしい。

 ただ、私の脳内に存在していた「沖田総司(みたいなキャラ)」=「縮地」の図式が辿ってみれば大体るろ剣から派生していることを、たった今……理解したぜ!!!というお話でした。これ、私より年下及び同世代で「沖田=縮地」認識刷り込まれてるヤツ絶対多いと思いますよ。マジで。

 なんならどっかのワイドショーで街頭調査取ってほしい。「実際の沖田総司は縮地を使えた?」って問題に10代~20代は割と〇つけるはずです。たぶん。これはもう和月・きのこ・経験値のデルタアタックだよ。FGOの開始から逆算したらこのデルタアタックに大体8年騙されてたよ。怖ッ!!


16巻

『るろうに剣心』16巻より

 宗ちゃんもっと好きになってきた━━━━━。

 瀬田宗次郎……本当に多くの人間を狂わせてきたキャラに違いない。瀬田宗次郎の名前に「あざとさ」というルビを振ってしまいたくなるくらい、“やりすぎ”キャラだと思う。和月の最終兵器。えっ、これでCV日髙のり子? えっ、これで神木隆之介? やりすぎでしょ……。

 まず、そもそもの「喜怒哀楽の“楽”以外を封印してる」とかいう設定がやりすぎてる感じがする。あんなにニコニコしてたくせに段々“牙”を取り戻し始める。そして明かされる悲しき過去…っていうワンセットが「やりすぎ」ですよね。原神だったら「やりすぎ」って効果の聖遺物4セットしてる。

『るろうに剣心』16巻より

 なんか個人的な感覚ですけど……「ここで瀬田宗次郎が死ねなかった」ことがちょっと悲しいです。というか、ちょっと寂しいなと思いました。瀬田宗次郎はここで死ななかったがゆえに北海道編に登場することができたとも言えるのですが……なんだか「置いていかれてしまった」感もある。

 なにせ志々雄・方治・由美の仲があまりにも良いから、あの3人の地獄での国盗りに瀬田宗次郎は着いていなかったのが……ちょっと寂しい気がします。仲良し人斬りサークルで先輩だけ先に卒業しちゃったみたいな寂しさがあります。宗ちゃん……。

 メタ的には人気キャラであるがゆえの宿命というか、お話的にはまだ「未来」があった天才だからこそ、「最後までついていくことは叶わなかった」悲哀を感じさせるというか……。ここ、個人的にちょっと共感&寂しさがありました。


17巻

『るろうに剣心』17巻より

 もう実況チームの盛り上がりがすごい。

 みんな楽しくなっちゃってんじゃんこれ。観客席のお前らこの戦いの前に一杯ひっかけとるやろ? なにこの実況チームの熱気。EVOの会場? EVO KYOTO始まってる? まぁ、剣心vs志々雄は流石にEVO決勝戦か……。

 もしご自宅or電書で原作るろ剣を持ってる方がいたら、剣心vs志々雄戦をもう一度読み返してほしい。本当に実況チームの盛り上がりが異様なので。中学からの付き合いの友達と久しぶりにスマブラやった時でもここまで盛り上がらない。剣心・志々雄チームでゲーム大会とかやってほしい。

 なんなら左之助・斎藤一・蒼紫あたりは完全にゲーセンベガ立ち連中と化してる。完全に剣心側の筐体で腕組んで見守ってるヤツ。お前らめちゃくちゃ仲良いな。京都遠征で天一とか食べに行っちゃうヤツでしょ。

『るろうに剣心』17巻より
『るろうに剣心』17巻より

 由美が死ぬところもるろ剣で一番好きなシーンかもしれない。

 るろ剣女子……やっぱりカッコいいと思う。本当に最後の最後まで志々雄に尽くして死ねるとか、めちゃくちゃカッコいい。あとほら、わたしFF14のヨツユ好きだから……。わからない方は「FF14 ヨツユ」で検索すると、見た目だけで「あぁ~……」ってなると思います。

 あと由美の面白いところって、ゴリゴリに傾国しそうなビジュアルに反して割と中身が俗っぽいところだと思います。こんなに深謀遠慮を張り巡らせそうなビジュアルの割に、結構コメディリリーフに回っていることが多い気がする。だけど、最後の最後に「愛」を見せてくる。

 ここ、和月漫画の「トロ」の部分ですよね。最後に見せるストレートな「愛」が、本当にカッコいい。「和月味」ってなんだか言語化が難しいのですが……こういうところに詰まっている気がしなくもないです。

『るろうに剣心』17巻より

 もうこんなの十本刀箱推しになっちゃうよ……。

 十本刀ってある意味「志々雄のカリスマ性の下に集った面白人斬りサークル」だと思うのですが……本当の意味で最後まで「志々雄の強さの下に集っただけの人たち」の側面が強調されてるのが好き。

 さっきもチラッと「るろ剣は“愛着”の漫画」みたいなこと書きましたけど、もうぶっちゃけここのことを指してますね。なんか和月先生の中で「描いてる内に志々雄と方治と由美が可愛くなっちゃった」のがひしひしと伝わってくる。キャラへの愛がすごい。もう「親心」すら感じさせる。

 個人的には「宇水も多分こっちに来てると思うから今度は本当の仲間にしてあげましょうよ」「そうだな 考えておくか」のほのぼの感が大好き。マジで仲良すぎるやろ。俺が方治でも号泣しながら「ハッ、只今!!」って声張りあげてると思う。この十本刀コアメンバーの愛嬌……本当に良いよね。


18巻

『るろうに剣心』18巻より

 いや思い出の中の方治の存在デカッ。

 ということで、京都編がいよいよ完結してしまう18巻です。やっぱり京都編で一番言及したいのは……「京都編最終話のサブタイトル」ですよね。
 その名も……「IN THE BLUE SKY」。

 ぜってえバーチャロンだわこれ!!!!!

 いや……でも流石にそんなことあるか……? 和月先生があんなに命削って書いてたであろう京都編最終話のサブタイがテムジンステージのBGM名になることあるか……? いくらこの幕末で最も自由な男といえど、流石にそんなことはしないのではないか……? たまたまかな?

『るろうに剣心』18巻より

 知ってた。

 和月伸宏、本当に期待を裏切らない。すごすぎる。なぜここでバーチャロンをチョイスできるのか。一番大事な回のサブタイにバーチャロンを持ってこれなければ、時代を獲る漫画家にはなれない。

 ここのセンス、ちょうど今『鵺の陰陽師(ルビ:ゼノブレード)』が完全に正統後継者として君臨しそうなので川江先生には勝手に期待のまなざしを向けています。『鵺の陰陽師』、みんな買ってくれよな!!

 俺だって和月先生に負けず劣らず「IN THE BLUE SKY」は大好きな曲なのに(何様……?)、もう「IN THE BLUE SKYを聞くたびに京都編最終話を思い出す」という訳のわからないパッシブスキルを獲得してしまいました。

 ということで、『電脳戦機バーチャロン』を買いました。
 え? 「知ってた」 

 ちなみにこちら、PSstoreで配信されている『電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995~2001』というオールインワンパック的なサムシングに収録されているものです。いやほら……実は私、ゲームが本業なのでこの辺は意地でも「実機プレイ」を遵守したいのです。

 一応、『第3次スーパーロボット大戦α』でバーチャロンは知っていたのですが……この機会に本家本元もプレイするべきだよね! で、実際にプレイしてみると、高速戦闘っぷりが中々に楽しい。 

 思った以上に対戦ゲームとしての側面が強くて驚いたのですが、3Dの「縦横自由に動かせる」強みを活かしつつ、ロボットを駆使したビームやボムが飛び交うバトルもスタイリッシュ! あの「キュイイイイン」っていう移動音が良いですよね。あと、「IN THE BLUE SKY」はやっぱり名曲。

 個人的にフェイ・イェンも結構好きです。てかカトキハジメだから思いっきりノーベルガンダム(セーラームーン)じゃねえか! ハイパーモードってお前!! ……みたいな、サルファを遊んだ時には完全にスルーしていたことに気がついたりしました。あと、「IN THE BLUE SKY」はやっぱり名曲。

『るろうに剣心』18巻より

 そして、この辺りから比古清十郎の襟が育ちに育ってコマ外まで貫通し始めるのもちょっと面白い。まぁ、この形状もアメコミ(スポーン)由来らしいんですけど……でも最初からこんなに伸びてなかったって。もうエヴァのウェポンラックみたいになってるやん。ちゃんと美容院で襟切ってもらえ。


人誅編

19巻

『るろうに剣心』19巻より

 アタシ……このマーク知ってる……。

 このマーク、最初はアシスタント時代のこの海で一番自由な奴が描き入れたものだと思ってたんですが……よくよく調べると、おそらく人誅編が始まったころにはこの海で一番自由な漫画が連載開始されているんですよね。

 だから、和月先生が応援とかそういう意味で入れたものなのかな、とか思いを馳せてみたり……。俺はもう和月伸宏に惚れそうだよ。もう和月先生の歴代アシスタントがロックス海賊団みたいになってる。

『るろうに剣心』19巻より

 巴、「貞本族」すぎる。

 いや、確かに貞本デザイン多分この年代にそれこそセカンドインパクト級の特異点を発生させているんだろうけど……にしたって「貞本族」すぎる。鎌足と不二でギリギリ隠せていたネオンジェネシス風味がいよいよ漏れ出ている。これ……令和アニメ版でもそのまま行くのか……?

 特にこのヘアースタイルよ! 上から下に向かって収束していくこの進撃の巨人のラスボスみたいなヘアースタイル! これ「貞本族」すぎるから!! もうキャラ解説見る必要すらないってこれ!!

『るろうに剣心』19巻より

 そして『月華の剣士』を遊び始めている和月先生。
 冷静に考えたらこの人、週刊連載+当時のるろ剣メディアミックスで鬼忙しいはずなのにインプット量ヤバくないですか? オマージュの多さ=インプット量の多さだと思うとヤバい。これは普通に見習わんと……。

 ということで、例によって『アケアカNEOGEO 幕末浪漫 月華の剣士』を買いました。もうここまで来たら俺と和月先生の根競べ……と言いたいところですが、単純に「その作品のルーツになった作品に触れる」ことが私の趣味でもあるので、普通に楽しいです。

 劇場版閃ハサ見に行って「ペーネロペーの鳴き声みたいな演出がイリスに似てる」って言われてるの見たところから平成ガメラ見たりしてるので……単にこれ私の趣味なんです。もうここの「ルーツ巡り」まで含めてるろ剣を楽しんでしまっている節があります。

 『月華の剣士』の感想はもう……「雪が強すぎる」に尽きますね。

 「美人だしなんとなくこの子にしてみるか」くらいのノリで選んだ雪があまりにも強すぎる。リーチが長い。火力もある。氷柱みたいなの出すから画面制圧力もヤバい。逆に雪の弱点って何……? これもあってか『月華の剣士 第二幕』ではありえないくらい弱体化しているらしい。そらそうやろ。

 私くらい適当なカジュアル勢になってしまうと、もう格闘ゲームは「これは、より多くの判定を相手に押し付けるゲームだ」と、ぷよぷよにおけるおじゃまぷよの押し付け合いみたいな考え方で遊んでしまっているのですが……その点においても雪は最強でした。ひたすら凶悪な判定が出まくる。

 『月華の剣士』……雪が最強!!!!!!!!


20巻

『るろうに剣心』20巻より

 若き日のポニテ緋村剣心リリィ……萌え萌え侍すぎるでござるーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!

 そう、この記事であえてここまで封印していた話題、今こそ解き放つ時。それは、「るろうに剣心、なんだかんだで緋村剣心が一番“萌え”なんじゃないか」ということ。「緋村剣心に、一番の“癖”が詰め込まれているんじゃないか」ということ。剣心が、一番エッチなんじゃないかってこと!!!!!

 緋村剣心の「本当は28歳バツイチ、身長は低く端正な顔立ちで中性的、本気を出すと口調が荒くなるが、普段は『ござる』とか『おろ』とか言ってる」とかいうキャラ造形……ヤバすぎないか? 多分令和の環境に投入されても家元と戦える気がする。この見た目で28のバツイチて……「未亡人」どころの話じゃないと思うんですけど……。

 私、るろ剣の序盤を読んでる時にひとつ思ったことがあって……剣心の「ござる」と「おろ」の使い方って、大体プリパラアイドルなんじゃないかと思ってます。つまり、語尾系アイドル。しかも、「本当は28歳バツイチで緋村抜刀斎の本性を隠している」ところまで含めて、プリパラアイドル。

 あれですよ、プリパラ内だと「おろろ~っ!」とか言ってる侍系アイドルなのに、現実だと28歳バツイチの未亡人という……。こんな煩悩の塊みたいな主人公おるけ? 多分今のジャンプに投入されても「えっちさ」で真正面から殴り合えるキャラなんじゃないか? え、誰と戦うのかって? うーん、傑<塩顔イケメン>とか……?

『るろうに剣心』20巻より

 おい。

 これまであんまりアメコミの話に触れてないあたり、なんとなく私がアメコミに詳しくないことは察せると思うのですが……これは流石に初見で理解できました。これ……………令和版でどうすんの!?


21巻

『るろうに剣心』21巻より

 ここからは、そもそもの「人誅編」というお話全体の感想になります。まだ記事は続くのですが、なんとなくここで書くのが適切かなと思いました。

 人誅編を読み進めている時、一番感じたのは「あぁ、『るろうに剣心』で描きたかったのは、“ここ”なんだな」ということでした。それくらい京都編とは、お話の凄惨さ・描き方・温度感……そして覚悟が違う。

 「緋村抜刀斎」が、「緋村剣心」になるまでのお話。
 どうやっても落ちることのない血の匂い。消えてしまった白梅香。「抜刀斎」としての己に、緋村剣心はどうやって立ち向かうのか。永遠に「殺し合い」が続く人生に、その優しさがゆえに剣客に到底向かない男は……どうやって決着をつけるのか。

 この雪代巴との過去回想が明かされた時、正直「ここまでやってしまうのか」と、衝撃を受けました。『るろうに剣心』は、基本的にハッピーエンドのお話。だけど「殺しの道具」を扱う以上、「緋村抜刀斎」という男を主人公に据えた以上、「命を奪った罪を、どうやって贖うのか?」を描かざるを得ない。少年漫画で、こんなお話を描かなきゃいけない。

 その罪に対する答えを出すのが、人誅編。
 その愛に対する答えを探し出すのが、人誅編。
 その人生に対する答えを見つけるのが、人誅編。

 巴を失ってから、子供たちと遊んであげる剣心の後姿を描いたシーンが……今も鮮明に焼き付いています。京都編だけで終わらず、「贖罪」を描いた人誅編があるからこそ、『るろうに剣心』は素晴らしい作品なのだと思います。少年漫画で「贖罪」を描いた誠実さが、私は好きです。

『るろうに剣心』21巻より
公式サイトより

 そしてちょっと時系列が前後するのですが、るろ剣全巻を読み終えてから以前発売されたOVA「追憶編」「星霜編」を見ました。
 実はどこの配信サービスにも存在していなかったので、知り合いの方を頼って、なんとか視聴しました。これを見てる担当者は今すぐ配信サービスに追憶編と星霜編を追加しなさい!!

 正直この2作は「別物」と言っていい存在だとは思うのですが……これの話をするなら、もうここしかないだろうと思いました。必殺技を叫ばないだとか、コメディシーンほぼ全カットだとか、るろ剣ヴェノムが顔だけ出てこないだとか……とにかく「別物」としての仕上げ方がすごい。

 その上で、「人誅編」の核の部分に迫っている。るろ剣の「少年漫画」の側面をすべて焼き払ったかのような作風……中々に痺れました。より残酷に、かつ写実的に描かれる緋村剣心の過去。「るろ剣が描きたかった(であろう)部分」に、最も克明に迫った作品だと思います。

 ……という、もうただただ「追憶編」の話をしたいだけのコーナーでした。だって出来めっちゃいいんだもん! あんなん見せられて書かずにいられるかってーの!! なんとなく、アニメ版のチェンソーマンってこういうことをしたかったのかな、とか思ったり……。

 「星霜編」に関してはもう、「異聞帯」としか言いようがない気がする。あとはノーコメントで。北海道編が始まってから見る星霜編、味わい深すぎる。本家に北海道編がある今だからこそ、「ありえたかもしれない未来」としての謎のすごみを感じます。いや、剣児出ると思わないじゃん!?

『るろうに剣心』21巻より

 いけーっ 神谷の娘!!

 帰ってきた、「俺は神谷薫だ」シリーズです。いや、もうここに関しては応援する側になってますね。巴の過去エピソード挟んだ直後にこの告白持ってくる見せ方、純粋に感情の乗せ方が上手い。

 このスルッと告白したあとに「ご、御免!今の無し!忘れて!!あっはは!!」と笑いながら誤魔化して逃げようとするところに「神谷薫が好きな理由」が詰まっています。

 この「薫殿が好きな理由」、さっき「生活感のある女性キャラが好き」のところで一瞬書こうと思ってやめたのですが……そろそろみなさんジスロマック濃度で頭がおかしくなってきている頃合いだと思うのでぶっこみます。

『るろうに剣心』21巻より

 もっと明確に言えば、私は「人為的な欠落のあるキャラ」があまり好きになれない傾向にあります。これは割とキャラを作る人の間では有名な方法かもしれませんが、「愛されてもらうため」になにかしらの「欠落」を用意しておくことは、キャラクターを立てる上で割と普通の技法だと思います。

 だけど、そうやって人為的に欠落が用意されているキャラよりかは、きっちり「人」として自立しているキャラクターの方が好きです。なので、薫殿が好きです。……これ、伝わってますかね? 

 端的に言うと、「うーん、これはちょっと人として心配だな……」と思ってしまうポイントが作為的に見えてしまうと、かなりガックシ来てしまいます。そして、その「人為的な欠落」に頼っていない自立したキャラクターが好きです。薫殿は、その「生活しているところ」が見えたキャラです。

 もちろん、「ダメなところがあるキャラは苦手」とかではありません。ただ、現実で考えて「ちょっと人として心配になっちゃうな……」と感じるキャラは、どうしても一歩引いた視点で見てしまいます。どんなに美貌を持っていても、そこが一度気になるとうまく入り込めない。

 だから、創作物の中であったとしても「ちゃんと生活しているところを想像できるキャラ」であってほしいと、いつも思ってしまいます。なんか真面目な話すぎるな。以上、薫殿が好きな理由の説明終わり!!

『るろうに剣心』21巻より

 斬馬刀きたああああああああ!!!!!!!!!

 序盤以降全く登場していなかった斬馬刀がここで復活してくるやつ……なぜか泣きそうになってしまう。ほんとになんでだよ。でも読んでた時マジでちょっと泣きそうになってたんだよ。京都編の左之助はかなりボマーゴリラと化していたものの、人誅編の左之助は本当に頼りがいがある。


22巻

『るろうに剣心』22巻より

 正直、十本刀の中で夷腕坊が最もよくわかりませんでした。いや、キャラ性とか動かし方とか以前に、「どういうキャラなんだよ」と。オデ系かと思いきや、実は中に人間が入っていた。しかも、ロボットとしてどんどんパワーアップしていく。その上、体型もなんだか不気味。

 何……? このキャラ何なの……?

 しかし、その疑問も和月先生解説コーナーの「この時期にヴァンパイアにハマったせいか、ビクトルとサスカッチが混じり……」の一言だけですべて納得いきました。サスカッチかよこれ!!!

 いや、にしたってすごい。あんなに意図が全く理解できないキャラだったのに「サスカッチ」の一言ですべて理解できる。この「和月解説コーナーの答え合わせまで含めて楽しむ」というコンテンツ形式、私からすると未知の体験すぎる。もう自分が漫画家になるなら絶対和月式で行きたい。


23巻

『るろうに剣心』23巻より

 このシーンでコラ画像作った奴マジで許さねえ!!!!!!!

 良いシーンだろ! 剣心が珍しく本気で怒る良いシーンだろ!!
 元のセリフが「それだけは絶対に許さんッ!!」なのもちょっと面白くなってきた。まぁ確かに剣心言われてみれば「主夫」だけどね!?

 そして和月先生がるろ剣ヴェノムに対して解説コーナーで「バカです。アホです。それ以前に漫画家失格です(原文ママ)」とボロクソ自虐してるのもさらに面白い。もうここまで来たら自虐芸と化してるよ。俺は大好きだけど、これ志々雄の紅蓮腕の元ネタが風間の大爆殺だった時にも大体同じ反省の仕方してませんでした!?


24巻

『るろうに剣心』24巻より

 「薫」なんですよね。薫殿じゃない。「薫」。

 るろ剣、本当にすごい。ここで初めて、「薫」と呼ぶ。しかもここ、剣心の一人称が「俺」。「全部がハマってる時のるろ剣」は本当にすごい。これ……当時リアタイしてた人はどんな気持ちで読んでたの!?

 そしてこの辺りから、私の「るろ剣好きなキャラランキング」において、すさまじい猛追を見せてくるキャラが出てきます。この記事内でも一度も言及していなかったあのキャラです。

『るろうに剣心』24巻より

 そう、「弥彦」

 私は……この手のポジションのキャラを好きになることが全くと言っていいほどありませんでした。具体的に「どういう枠」とはうまく説明できないのですが、なんて言えばいいんでしょう……「なんかバトルについてくるキッズ枠」と言えばいいんですかね……。

 とにかく、こういうポジションのキャラが全然好きになれませんでした。だから、弥彦にも一切興味がありませんでした。だけど、人誅編からどんどん弥彦が好きになってきた。少年は成長し、剣士になった。

 ただ理由もなく剣を振るうだけだった少年は、「誰かを守るために剣を振るう人」の姿を見た。光を見た。英雄を見た。進むべき道を見た。だからこそ、「これまで剣心がそうしてきたように」戦う。


25巻

『るろうに剣心』25巻より

 るろ剣で描かれてる「真っ直ぐなカッコ良さ」……本当に大好き。

 もう、弥彦がカッコいいところ見せてるだけで泣きそうになってくる。弥彦に対する「好き」の感情だけ、これまで全然味わったことのない「好き」の感情なんです。これ何? どういう気持ち? 親心?

 つい最近、『魔法少女まどか☆マギカ』最終話の瓦礫の中にひとり立ち尽くす鹿目まどかを見た時も感じたのですが……どうやら私は「誰かのために、何かを守るためにたったひとりで立ち向かえる人」の姿を見ると問答無用で心を掴まれてしまうらしいです。

 目の前にいる人を守るために、たとえ無謀であったとしても勇気を振り絞って立ち向かう。そんなの、全然ダサいことじゃない。カッコ悪いことでもない。それは何より、誇っていいことなんだから。

 アカン、記事書いてる最中なのに「けど誰もいないからこそせめて、ここは俺一人だけでも闘わねェとな」のセリフ見てたら泣きそうになってきた。

『るろうに剣心』25巻より

 弥彦――――――――――!!!
 頑張れ―――――――――――!!!!!

 もうこれ……「ヒーロー」だよ…………。

 こういう直球すぎるヒーロー像に意外と弱いタイプなんです。「カッコ悪い、カッコ良さ」を持ってるヒーローに弱いんです。誰かのために頑張れるヒーローって、応援したくなるじゃないですか……だから私、最近の『仮面ライダー ガッチャード』とか大好きなんすよ……。

 ここら辺の「弥彦のカッコ良さ」で、ふと思い出したのが6巻の巻末に掲載されていた和月先生の読み切りデビュー作品『戦国の三日月』です。

 この読み切りに対し、和月先生は「比古や剣心のような強い男が活躍するのが少年誌の王道ですが、やっぱり弱い男が勇気を振り絞る一瞬というのに、和月はすごく心を打たれます」とコメントしていて……あぁ、なるほどと。これもすべてに合点がいったかのような感覚でした。「やさしさが強さになって現れる一瞬」という表現、ものすごく好きです。

『るろうに剣心』7巻より
『るろうに剣心』24巻より

 そしてこのあたりで、FF8が発売されたらしいです。
 ウ、ウオオ……マジで「時代の記録」としての価値がある……。

 そう、何を隠そう私はFFシリーズだとFF8が一番好きなのです。もう、FF8がぶっちぎってます。「僅差でFFXより上」とかでもなく、圧倒的にFF8です。ストーリー、キャラ、ゲームシステム……何もかもぶっ飛んでて最高ですよね。FF8を上回るFFは今後出ないし、逆にFF8を下回るFFも今後出ない。

 まさかるろ剣でFF8の話が出るとは思わなかった。てかなんでるろ剣の記事でこんなにFF8の話してるんだ。とにかく、FF8最高です。


26巻

『るろうに剣心』26巻より

 『HUNTER×HUNTER』や『BLEACH』でも全く同じ現象が起きていたのですが……同じ作品を続けて読んでいると、こういう本当に何気ない描写に、ものすごくグッと来てしまいます。「愛着」というやつでしょうか。

 なんとなく、作中で「剣心が他者に助けを求めるシーン」ってほとんどなかったような気がします。まぁ、当人が死ぬほど強いので「そもそも誰かに助けを求める必要がなかった」とも言えるのですが……。

 だけど、この終盤でついに剣心から、「拙者に力を貸してくれ」という言葉が出る。もう……これだけでグッと来ちゃうじゃん!「仲間」だよ!!

 あぁ……るろうに剣心が終わってしまう……読み終えてしまう……。
 終わるなー! あと10巻ぐらい和月ゲーム日記やってくれーー!!

『るろうに剣心』26巻より

 和月先生、ついに『To Heart』を遊び始めている! てかこのド終盤にフリートークほぼ丸々使ってToHeartの話してるの流石に無法すぎるだろ和月先生!! もうToHeartへのテキスト量がすごいじゃない!!!

 一応26巻は「剣心が完全復活して雪代縁と決着をつけに行く」という激アツエピソードが展開されているのですが……合間にすごい量の和月ToHeart語りが挟まってくるので、もう結果的にToHeartのことしか頭に残ってなかったです。神岸あかりなんだ……そうか……。

 ってことで、『To Heart』買ったよ!!!!!!!
 
大丈夫、ゲームの話はもうこれでラストです。ただ……流石にクリアまでは行けていません。本当に序盤だけ遊びました。あ、ちなみにコンシューマー版(PS)のToHeartです。ここも合わせに行っているという。

 え、「もうお前ToHeartで記事書けよ」って?
 えぇ~~~どうしよっかなぁ~~~~~~~~

 ちょうど最近、『ゼーガペイン』という作品がTokyo MXで再放送されています。日曜の夜はなんとなくあの再放送をボーっと見るのが好きなのですが……そこで思ったのが、「川澄綾子の声が全然変わっていない」ということ。2006年のシズノ先輩と、今の川澄綾子の声が全く変わっていない。

 まぁ……言葉を選ばず言ってしまうと、「マジで声が老けてない」ってことです。川澄綾子、すごい。これは永世名誉アルトリア・ペンドラゴンですよ。とか言ってたら神岸あかりの声優川澄綾子なんだよね!!!!!

 もうToHeart遊び始めて、神岸あかりが寝坊しかかってる主人公を起こしに来る冒頭あるじゃないですか。あれ聞いた瞬間「え!?これ川澄綾子!?」って椅子から転げ落ちそうになったよ。声若すぎて一瞬わかんなかったよ! こちとらFGO世代やぞ!! もう川澄綾子の話しかしてねえ!!!

 しかし……『るろうに剣心』の全体を改めて振り返ってみると、序盤にSNKの2D格ゲーの話が出て、京都編に入るとバーチャロンやFF7といった3Dポリゴンを駆使したゲームの話が出て、人誅編に入るとエロゲーがコンシューマーに移植されたToHeartなどの話が出ています。

 もうこれ、るろ剣には割と本気で「ゲームの一時代を追体験する漫画」としての側面があるんじゃないかと思っています。もうわけわかんねえよ。まさか自分もるろ剣からToHeart遊ぶことになると思わなかったよ。とにかく、自分はるろ剣のここがめちゃくちゃ好きでした……。ゲームって最高だね!

 16bitセンセーション!(素振り)
 16bitセンセーション!!(素振り)
 16bitセンセーション!!!(素振り)


27巻

『るろうに剣心』27巻より

 「最終決戦の前に出てきたこの朱雀・青龍・玄武・白虎とかいうコピペハゲなんなんだよ……和月先生がToHeartにハマりすぎてとうとうおかしくなったのか……?」とか思っていたら、まさかの操からこのコメント。もうお前が言い出したら終わりだよ。

 そしてこの辺りで薄々思い始めていたのですが……斎藤一のバトルが、とにかくしょっぱい。この人、もう誰と戦っても牙突一点突破でどうにかなってしまう。コイツが真の黒崎一護だったか。月牙マンと牙突マン。

 だって、斎藤一のバトルって大体……

牙突

貴様の牙突は見きった!

見切られた程度で牙突を破れるとでも?

GAME SET!!

 ……みたいな感じじゃないですか? 牙突をどうにかしても牙突が飛んでくる。最後のコピペハゲとの戦いすら牙突一点突破。はいはい牙突牙突。二の矢も三の矢も全て牙突。るろ剣が格ゲーになっても斎藤一だけ技コマンド「徒手空拳」か「牙突」しかなさそう。

『るろうに剣心』27巻より

「死」は恐ろしくない……だがそれで罪が償えるとは、どうしても思えない。まして自害などという命の投げ捨てなどでは、尚更思えない
縁、お前が仕掛けた生き地獄の中で拙者は考えた……
生のコト……死のコト……罪のコト……罰のコト……
 
そして結局たどり着いたのは原点……決して捨てるコトの出来ない拙者唯一の真実━━この目に映る人々を全て守りたい……苦しんでいる人、悲しんでいる人の力になりたい……一人でも多くの笑顔に遭いたかった……

けれどそのために敵を斬り捨て……そして命を斬り捨てて来た……
斬り捨てられた者もまた拙者と同じ想いで必死に闘っていただろうことにも気づかず……。全ては拙者の過ち……だから、いかなる罰も受け入れる

しかし、今はまだ罪とともに殺めた者達の想いを背負い、拙者は生きる
生きて、より一人でも多くの笑顔と、より一つでも多くの幸せをこの世に灯すため、拙者はこれまで通り不殺の闘いを続けていく!!

『るろうに剣心』27巻より

 まぁ、ここですよね。

 普通に、途中から「どうやってこの問題に決着をつけるのだろう?」と思いながら読んでいたのですが……もう、最高です。普通の勢いでこのセリフが出てきたら「なーにを甘えたことをッ!」と思っていたところですが、るろ剣でこの「答え」が出てきたら、もう何も言えない。

 「剣と心を賭して、この闘いの人生を完遂する!」……うん、めちゃくちゃカッコいい。「多くの笑顔と、多くの幸せをこの世に灯す」を真正面から言い放って、本気でカッコいいのは……もうるろ剣の「作風の勝利」だと思います。この結論のためにこれまでのお話があったと言われても、なんの文句もない。るろ剣、カッコいい漫画だと思います。

 あぁ、もう次が最終巻じゃないか……。
 終わりたくねぇよ……………(髙羽史彦)


28巻

『るろうに剣心』28巻より

 なんかもう最終巻に関しては、「最終巻でも容赦なく和月先生がライジングザンとToHeartの話をしている」とか「雪代縁がちょっとヴァッシュ・ザ・スタンピードに似てるのってたまたまなんだ……」とかいろいろあるのですが……ギリギリで本編の感動の方が上回ってますね。ギリギリで。

 特にグッと来てしまったのは……やっぱり「仲間との別れ」のシーンでしょうか。るろ剣のパーティーメンバーって、想像以上になし崩し的に集まったメンバーというか……ぶっちゃけ「剣心・左之助・斎藤一・蒼紫」の4人に大した接点なんかないんですよね。たまにEVOの会場みたいにはなるけど。

 ただ、それでも「共に戦ってきた仲間」ではある。むしろ、普段改まって言葉を交わすことが少ない男性陣だからこそ、最後の別れの一言に、得も言われぬ寂しさと「物語の終わり」を感じさせてくれる。もちろん縁や薫殿とのお話もよかったけど、個人的にはここが一番心を掴まれました。

『るろうに剣心』28巻より
『るろうに剣心』28巻より

 特にここ、剣心が左之助のことを「友人」と呼ぶシーン。
 剣心の口から「友人」という言葉が出てくるだけで、ちょっと泣かされそうになるこの感じ……なんなんでしょうね! 緋村剣心、本当にズルい男。

 最後に、ちょっと恥ずかしいことを言おうと思います。
 私は、大体2ヶ月くらいかけてるろ剣を読んでいたのですが……あの2か月間、本当に『るろうに剣心』という作品が「生きる希望」になっていたような感覚があります。

 「まぁ、辛いけど明日るろ剣読めるから……」とか思いながら、2ヶ月間を過ごしていました。そのくらい、私にとっては純粋な「優しさ」をくれる作品でした。光をくれた作品でした。どこまで行っても、うざったいくらい暖かさのある作品だな、と思いました。

 追い詰められている時、人は……本当に全てのものが毒に見えてしまうことがある。ふと流れていたテレビ番組が、自分を責め立てているように見える。ふと流れてきたSNSの投稿が、自分の悪口を言っているように見える。人は、このままでは心が壊れてしまう。

 だけど、どうにか、生きなければいけない。
 そんな中でも、『るろうに剣心』だけは、全く毒に見えなかった。

 その時、「優しい漫画なんだな」と、心の底から思いました。もちろんお話も面白い。キャラも立っている。間違いなく、一時代を築いた作品。
 だけどそれ以上に、心が落ち着くような感覚がありました。ある日は自宅で、ある時は出先で、たまに電車で。るろ剣は、間違いなく日常を彩ってくれた作品でした。こんなに優しさをくれる漫画、他にありましょうか!?

 だからもう、最後に書きたいことは「ありがとう」しかないです。
 こんなに優しさをくれて、暖かさをくれて、ありがとうございました。

 とりあえず、お疲れ様。

『るろうに剣心』28巻より




るろうに剣心 -北海道編-

『武装錬金』1巻より

 おろ?

 あれ? もしかしてみんな、北海道編あると思ってた?
 目次に「北海道編」って書いてあるから、騙されちゃいました?

 残念『武装錬金』編でしたーーー!!!!!!!!!!

 いやだって……北海道編まだ完結してないし……完結してから感想書きたい派なので……。ってことで、ここからは武装錬金の話だーーーッ!!!

『武装錬金』1巻より

 ものすごく正直に白状すると、「るろ剣の作者コメントであまりにも気になってしまい、和月先生のことを調べ始める」→「へぇ、武装錬金もこの人が書いてたんだ」→「武装錬金に出てくる津村斗貴子ってキャラ、めっちゃ良くない?」→「はよ武装錬金読みてェ……」で、るろ剣読破するとっくの前に武装錬金全巻買ってました。へへっ!(照れ)

 で、やっぱり津村斗貴子……最高だね!!!!!!!!!!

 もう、津村斗貴子に関しては特にpixiv百科事典も開かずビジュアルだけで「うん、これは俺が好きなキャラだな」と勘だけで一点突破しました。もう好きな女がいたので、勘で全巻買いました。そして、俺の判断は何も間違ってなかった。悪いな、こういう時の勘は絶対外れないんだよ。

 というか……津村斗貴子って、ほぼ「津村抜刀斎」ですよね?
 この「戦うヒロイン」要素といい、「戦いに巻き込みたくない」姿勢だったり、ちょいちょい見せる優しさの顔が完全に……もう完全よ!!!

『武装錬金』1巻より

 今から津村斗貴子の好きなところバーッて書いていくから、覚悟してね。

 まず、「バルキリースカート」が最高。なんなのあれ? 形状が革新的すぎて結局バトルだとあんまり活用しきれてないところまで含めて好きすぎる。最後らへんとか「なんか強いキックが出る」くらいになってたような気がする。でも良いんだ、バルスカはこれでいいンだ。カッコいいだろう!?

 なんかこう……「明らかに体躯に合わない巨大な武装を纏っているキャラ」が好きになってしまうのですよね。『ゼノブレイド3』のニコルとか、『スターオーシャン2』のプリシスとか……使いこなせてるかどうかじゃない、「カッコいいかどうか」なんだ!!

『武装錬金』1巻より
『武装錬金』1巻より

 そしてあとは……………「萌え」ですよね。

 一見「巻き込みたくない」的なスタンスを取りつつ、武藤カズキの頑張り屋さんなところにちょっと嬉しくなっちゃってるとことか、エロ本見つけて「そうか カズキはこういうのがスキなのか と言うかなんだ キミ エロスは程々にしときなさい」ってよくわからんコメントするところとか……もう全部です!!! 津村斗貴子、オール萌えです!!!!

 みんな大好き和月解説コーナーで「カズキは巻町操を現代の男子高校生にするというコンセプトのキャラです」とか書かれている通り、やっぱり武藤カズキと津村斗貴子のやり取りは「剣心と操」を思い出します。

 武装錬金の1~3巻を読んだあたりで真っ先に思ったことは、「剣心と操の性別逆転させるとか天才か!?」でした。やっぱり剣心と操って良い関係だったよね!? 薫殿には及ばなかったかもしれないけど、やっぱ操もかなりいい味で出たよね!? この記事的にも超ロング伏線回収です。

『武装錬金』2巻より

 あと……正直こんなにも「武藤カズキと津村斗貴子の愛嬌」で一点突破してくる漫画だとは思ってませんでした。いや、もちろん設定とかビジュアルとかも良いんだけど、やっぱ主軸に「萌え」が来てますよね。もう半分くらい「ラブコメ」の域に入っちゃってるでしょ。

 冷静に考えてみると、「剣心がヒロインになったらもう誰も勝てねェ」「しちまえばいいじゃん 斗貴子に」理論を実践に移している漫画でもある。こんなん「衛宮士郎がヒロインになったら誰も勝てない」理論だよ。

 しかし、武装錬金がこんなにも「こっち方面」で勝負を仕掛けに来ている作品だとは本当に思っていなかった。怒らないでくださいね、るろ剣読んでる時は「これは一時代を築いた王の漫画やね……」と思っていましたが、武装錬金に関しては大体『鵺の陰陽師』読んでる時と同じ気持ちです。

 鵺の陰陽師、お前が武装錬金の正統後継者や……。

 なんかこう……とにかく「ギャグの切れ味」がるろ剣より倍増しになってる気がします。普通にコメディのセンスがすごい。るろ剣で炸裂していなかっただけで、和月先生はコメディもすごかった。いや大体蝶野のせいでは?

『武装錬金』2巻より

 しかも、この「ギャグの切れ味」が終盤まで全く落ちないのが本当にすごい。なんだかんだ少年漫画は展開が重くなればなるほど、どこかで「笑い」を振り落とさなければならないとは思うのですが……武装錬金は「半分ギャグ、半分バトル」の独特すぎる温度感が全く変わらない。何この漫画?

 特に蝶野攻爵ことパピヨン。もう、「コイツ抜きにして武装錬金は語れない。いや、語らせない」と言っても過言ではないキャラクター。パピヨン描いてる時の尋常じゃない筆の乗り方……個人的には京都編のクライマックスで「悪役」としてのポジションを「愛嬌」が上回っちゃってる志々雄・方治・由美を思い出しました。完全にあの時のトップスピードが出てる。

 もう、明らかにパピヨンだけ途中から「敵」とか「味方」とかそういうんじゃない領域の存在と化してきてますから。なんだろう、武装錬金ワールドに住まう妖精? ページを開くと出てくるフェアリーさんですかね?

『武装錬金』4巻より

 もう記事が長すぎるのでザクザク行くべきだけど、どうしてもここだけは言及したかった「ソードサムライX」。まずソードサムライXって元ネタ武装錬金だったのかよ!! わたし、どうやら「ソードサムライX」のことだけは武装錬金を読む前から知っていたようです。さぁ、なんででしょう……?

 いや…………「ソードサムライX」て…………。
 わかりますよ、わかりますとも。これを読んでいる人の多くが「いや、るろ剣の英語タイトルだから」と言いたいであろうことが。でもそういう問題じゃなくない? 自分の武装錬金の名前、「ソードサムライX」だよ?

 「サンライトハート」「バルキリースカート」「シルバースキン」と来て、「ソードサムライX」ですよ? 流石に神のネーミングセンスを呪いたくならないか? いや、なんなら姉も「エンジェル御膳」だけど……にしたって秋水くんの気持ちを考えてあげてくださいよ!!

 秋水くんだって異能バトルお決まりの「僕の(能力名)は~」って説明するヤツで、「僕のソードサムライXは」と言わなきゃいけないんですよ? 「僕のソードサムライX」だぞ。「僕のソードサムライX」だぞ!!

『武装錬金』3巻より

 もう、正直武装錬金については書こうと思えばいくらでも書けてしまう。

 「途中で和月先生がサンライトハートを動かすのが絵的に難しいと反省し始めたと思ったら、後半から本当にスリムになるのすごすぎる」とか「ルナールの名前がダグラムから来てるのオタクすぎる」とか「段々武器がネタ切れしてきて黒色火薬の武装錬金だの月牙の武装錬金だの出てくるのライブ感すぎる」とか…………ヤバい、マジで無限に出てくるじゃねえか!!

 だけど……それより触れなきゃいけないのは、やっぱり「この漫画が10巻で終わっていることが許せない」ということ。そして、その気持ちと同時に存在している「まぁ10巻で終わってもおかしくないか」という思い。この両方が同じ100%の気持ちで存在しているのが、武装錬金だ!!

 いよいよクライマックスに突入する7~8巻あたりで気がついてきたのですが……武装錬金は「ここは筆が乗っている」「ここは筆が乗っていない」箇所があまりにも如実に二極化している。まさに魔人の斧みたいな作品である。すごいクリティカルヒットが出るか、それとも大空振りが出るか。

 これが………これが武装錬金なのだ!!!

『武装錬金』9巻より

 そして始まる武装錬金ファイナル。「その覚悟、一体どこから……?」「もちろん!あの惑星<ほし>から」のやり取り、めちゃくちゃ熱い。「やさしさが強さになって現れる一瞬」なんだよね。もう泣いちゃう……。

 ちょっとメタな話ですが、「終わってしまうことが決まってからの、火事場のクソ力」を発動する作品って……あるじゃないですか。武装錬金で、その究極系を見た気がします。究極で最高の打ち切り。最後に見せた、眩すぎる陽光。この輝きを見れただけで、もう俺は満足です。

 ……いや、正確には「打ち切られ後のクソ力」なんだろうけど……。

『武装錬金』10巻より

 まだ終わってない! まだ終わってなかった武装錬金!!
 ファイナル→ピリオドのこの流れ! しぶとい!!!

 武装錬金ピリオド……なにもかもすごすぎる。もし「るろ剣の感想読みに来たのにずっと武装錬金の話見せられてんだけど……」と困惑している方がいたら、どうか武装錬金ピリオドまで読んでほしい。本当に「自分は伝説を目撃してしまったのだ」という読後感に襲われるので。

 特に、「貴様にはいるのか 武藤カズキの代わりが」「カズキの代わりはいない 誰もカズキの代わりになれるはずもない」というパピヨンと斗貴子のやり取りですよね。「もう完全にダブルヒロインじゃねえか」とかそういうのは一旦置いておいて、ここには「ビターエンドを受け入れた者」と「それでもハッピーエンドを諦めなかった者」がいる。

 その「ビターエンドに抗う」話こそが、武装錬金にとっての「ピリオド」なんじゃないかと思いました。これ……「終わり」に抗う話なんじゃないかって。オッ、深読みか~~~!? 考察ブログみたいになってきた!?

『武装錬金』10巻より

 でも、そんなことを考えてしまうくらい、武装錬金ピリオドの読後感はすさまじかったのです。だから、武装錬金の感想を一言で言うなら…………

 「伝説」ですね。

 見た、見てしまった。伝説を。俺は、武装錬金という伝説を見届けたのだと。なんか、そういう「とんでもないものを見てしまった」という満足感が尋常じゃない。恐ろしいくらい「伝説」という言葉がしっくり来ている。

 間違いなく、他の作品と並べた時に「いや、武装錬金は……武装錬金はそういうんじゃないんだ!!」と暴れ出したくなるような作品だと思います。暴徒生み出してんじゃん。「武装錬金の面白さ」を、他と一切比較できない気がする。だからもう……伝説です! 武装錬金、お前がレジェンド!!

『GUN BLAZE WEST』2巻より

 あ、ちなみに武装錬金にやたらと経験値が活かされているらしい『GUN BLAZE WEST』も読みました。コリス・サトーがかわいいと思います。

 そしてこの記事、完全にオチを見失いました。

 ただまぁ……ここまで読んだ人は「お前、るろ剣っていうより和月先生のことが好きになっちゃってない?」と思っているはず。ご明察!!! 

 もう、私は和月伸宏という漫画家が好きになってしまいました。頼むからどこかで和月ゲーム日記をまた書いてほしい。北海道編にゲーム日記載ってないの寂しすぎる。最近どのゲームやったかだけでも教えてほしい。

 だから……そうですね。ここであえて「終わり」とは言わず、またいつか「北海道編の感想」を書こうと思います。何年後か、それとも何十年後か!? はい? エンバーミング? じゃ、じゃあそれも北海道編と一緒に……。とにかく、しっかり最後まで追いますからね!!!

 北海道編に、続く!!!!!!!!!!!!!!!


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