外資系への転職をマジで検討している方へ
みなさん「外資系」という言葉にどんなイメージを抱いていますか?
「実力主義で、ちょっと仕事ができないと切られてしまう」
「年棒はいいけど退職金さえもないその日暮らし」
「英語ができないと箸にも棒にも引っかからない」
なんかこんな感じでしょうか?
とてつもなく優秀な人が集まっている、ハードコアな世界だと思っている人が多いのではないかと思います。
実は私もかつてはそう思っていました。しかし、ひょんなことから26才の時に日本企業を辞めて外資系に移ってみたところ、驚くほど過ごしやすい環境が待っていたのです。この記事では具体的な例を挙げて、外資系への転職するメリットと、その具体的なノウハウについて解説してみたいと思います。
1)実力主義
まず、実力主義ですが... まあ別にそんなにものスゴくはありません。外資系というのは何らかの理由に日本企業にうまくフィットできなかった人たちが吹き溜まってたりするので、飛び抜けて優秀な人がいるかと思えば、口ばっかりで全然仕事できない人など、極端な人が沢山います。大リーグのスタメンみたいなのがウジャウジャいるわけじゃないんです。
ただ、外資系というのはポジションごとに職務の定義(Job Description)がハッキリと定められているので、連帯責任とかそういう感じではなく、自分の守備範囲をしっかりと満たしているかどうかが厳しく問われます。他の人なんか手伝ってもあまり評価されまませんし、付き合い残業とか本当に意味ないです。それよりも自分の守備範囲で突出するのが生き残りのポイントです。他人の仕事の心配は、上司の仕事だと心得ましょう。
なお、管理職の場合には、部下のマネージに加えて、本社に対する印象作りが非常に大事です。自分や自分のグループの成果や存在意義をアピールするのは大切な職務の一部です。平社員であれば全く関係ありません。粛々と自分の職務を全うしましょう。
それから首切りですが、外資系企業とは言え日本の法律に縛られますから、やたらめったら社員をクビなんてできません。首になる確率は普通の日本企業に比べればいくらか高いですが、キチンと職務を全うしていればまず心配することはありません。それに同じクビになるにせよ、日本企業みたいに閑職に追いやられて精神を病むまで追い詰められるより、チャッチャカ言い渡されて退職金もらって次に移った方が精神衛生上、よっぽどいいです。
2)怖いのは「撤退」
なお、解雇よりもずっと怖いのは「日本撤退」です。
「会社丸ごと日本から撤退」というようなことは起こりえますし、「採算の悪い部署の整理」もしばしば行われます。また実行が早いので、一度そういう方向でコトが決まると、あっという間に整理されてしまいます。
つまり、その時々の会社の業績の方が、個人のパフォーマンスよりもよほど大事なのです。だから業績が安定している会社や、上昇気流に乗っている会社に就職するのがポイントです。
また、もしもあなたが日本支社のトップや、それに近いポジションに就くのであれば、日本支社の貢献度を目に見える形で本社にアピールするのは非常に大事です。この辺りが下手な人がトップだと本当に大変です。僕のアップル時代にも、隣の部署が一掃されてしまったことがありましたが、要するに本社に対するアピールが下手だったからです。日本支社は日本の顧客に合わせた高水準で丁寧に仕事をしているつもりでも、本社から見るとなぜ日本だけコストと時間が突出してかかるのか理解してもらえないことがしばしばあります。どうしても時間やコストが必要なら、それを正当化するだけの議論ができることが大事です。正当化できないなら、他の国並みに生産性を上げるしかありません。
3)年棒&退職金
まず年棒ですが、同世代の同じような職業に就いている人達の1.5〜2倍程度は貰えます。日本企業からアップルに移った時にはほぼキッチリ倍に増えたことを、今でもよく覚えています。
次に退職金ですが、大抵の外資系で勤続年数に応じてそこそこの額が貰えますが、この辺りは、就職時に会社の規定を聞いてみるしかありません。私はアップルジャパンに7、8年勤めたのちに一度退職し、そのあとに米国アップル本社に就職するという形をとりましたが、その際に高級車がサクッと買えるぐらいのお金は貰えました。なお、日本企業に3年勤めたのちに辞めた時には30万円しかもらえませんでしたので、いささか驚いた記憶があります。パソコン1台買って消えました。懐かしい記憶です。
4)英語力
次に必要な英語力ですが、これは会社や部署によって大きく異なります。例えば国内営業とかだと、アップルですら90%くらいは日本語のようです。研究開発だと本社と共同のケースがほとんどですので、営業よりもずっと高い英語力が要求されます。
なお、話すよりも読み書きが大事です。TOEIC で750~800点ぐらいあればなんとかなります。そういう意味ではあまりたいした事ありません。1〜2年真面目に勉強すれば確実に狙える範囲です。
4)転職事情
実は外資系間の転職はかなり頻繁にあります。私はコンピュータ関係でしたが、当時だとデルからマイクロソフトに移り、そこからアップルに移り、そのあと再びマイクロソフトとか、そんな人はゾロゾロいました。今だとよく聞くのはアマゾン→グーグルとか、マイクロソフト→アップル→アマゾン、とかですね。なお、グーグルはよほど働きやすいらしく、グーグルから他に移る人の話はあまり聞きません。みんな少しずつステップアップし、転職するたびにポジションや年棒を少しずつ上げています。業界ごとに色々とルートがあるようなので、ぜひ調べてみてください。
5)日本企業から外資系に移りたい場合
もしも日本企業から外資系に移ることを検討しているのでしたら、日本企業に3〜5年ほど勤めた後に外資系に転職するのはかなり強くお勧めします。今は日本の企業で薄給で滅私奉公しても、自分が65歳まで会社が持つかどうかは定かではありません。そしたら退職金もクソもないのです。
次に採用側の心理ですが、日本企業でキッチリとした職歴がある人ってすごく貴重なんです。外資系にくる人材は本当に極端な人が多いので、フツーでいいから安定したパフォーマンスの方が入ってくれると、大変な戦力になります。私の部署にもNECとか藤倉電装とか東芝などといった老舗の日本企業から移ってきた方々が何名かいらっしゃいましたが、どの方も本当に当てになる貴重な戦力でした。彼らは皆、今でもアップルで活躍しています。
具体的に準備をしたい方へ
外資系は基本的にそれぞれの部署が必要なポジションを求人するので、よほど日本化した企業でないと、新人の一括採用とかはありません。どの会社も自社のサイトに求人を出していますから、ブラウズしてどんな職種があるのか、ちょっと見てみましょう。
ここではアップルの求人サイトに出ていたソフトウェア・エンジニアのポジションの職務内容を例に、押さえるべきポイントを洗い出してみます。
Software Engineer
Job Summary
The Mac Systems Peripherals QA (Quality Assurance) team is looking for a highly creative and motivated Software engineer who is passionate about quality, and has excellent problem solving and communication skills. You will join a dedicated team responsible for testing the latest Mac products and their peripherals, working to ensure a great customer experience.
This position requires a dynamic individual with strong technical skills who is comfortable working with many cross-functional teams in a fast-paced environment. Your main responsibilities include developing and executing automation software to ensure Mac products quality. The successful candidate will have a passion for product quality and a strong aptitude for learning new technologies. Additionally, this position requires a good instinct for discovering defects in software and hardware.
Key Qualifications
4+ years of experience in software development and QA engineering
Good understanding of test methodologies and practices
Strong object-oriented programming skills. Knowledge of scripting languages, such as Python, is preferred.
Self-motivated and have flexibility to respond and react to changing priorities quickly and efficiently
Verbal and written communication skills in English and Japanese
Description
- You will design, implement and execute automated tests to verify compatibility of Mac products and 3rd party devices.
- You will collaborate tightly with engineers and cross-functional teams on high-profile, critical projects to prioritize, identify, reproduce, isolate issues, and drive resolution
Education
BSEE/CS with good professional experience
Additional Requirements
- Experience working with IO technologies, protocol stacks and computer accessories (USB, Thunderbolt devices) is a plus
- Experience operating/programming industrial robot is a plus
ポイントを抽出して準備する
色々書いてありますが、まずは要点を洗い出してみます。このJob Description だと、以下のような感じです。自分が希望するポジションの職務内容を見つけたら、まずは何がポイントなのか洗い出しましょう。
職務内容:
- 品質保証部門にて、テストを自動化するためのプログラム作成とその実行
必要条件:
- 4年制の大学を出ていること
- Python などでのオブジェクト指向プログラミングの経験
- ハードウェアI/Oへの理解
- 最低4年間の品質保証の経験
- 英語、日本語でもコミュニケーションスキル
- 自分で問題点や必要なリソースを洗い出し、提案を出したりインプリできること
この手のポジションは、いわゆる「エントリーレベルポジション」と呼ばれるもので、20代のうちにアップルに潜り込むにはかなりいい感じのポジションです。
まずこの中で一番で重要なのは次の3つです。
- Python などでのオブジェクト指向プログラミングの経験
- ハードウェアI/Oへの理解
- 自分で問題点や必要なリソースを洗い出し、提案を出したりインプリできること
この職務の要は、1)テストツールを開発し、2)それを実行し、3)結果を報告することです。ですから、まずはこの3つを満たすことが最重要です。逆にいうと、面接でアピールするポイントも、実際にコードが書けることです。コードが書けないことにはお話になりません。面接時にラップトップを渡されてコードを書かされたり、ホワイトボードにアルゴリズムを書いて説明を求められることなどもあります。ここでしくじると落ちます。頑張るポイントかここです。
2つ目のアピールポイントは積極的に自分からコミュニケーションを取れることです。外資系は日本企業のように先輩が手取り足取りしてくれたりはしません。ですのでわからないことは自分からガンガン聞いて解決できることがポイントになります。日本企業から移ってきて失敗する人のパターンは、変な遠慮をして聞くことを躊躇してしまうことにあります。逆にいうと、面接でもモジモジせずに訊くべきことは訊きましょう。モジモジしてるのは美徳になりません。
では英語の能力は、というと、昨今ではメールとチャットがとにかく多いので、しゃべるよりも読み書きの方がよほど重要です。なので、書く英語の能力はかなり気にします。英文のレジュメはバチッとしたものを書いていきましょう。実はあれ、しっかり読んでいます。TOEICの点数などを一つの目安にするのであれば、750点くらいは取得しておきましょう。英検なら準1級といったところです。
英語面接があることもありますが、この場合に心がけることは、素早く返事をすることです。どんなに遅くても2秒以内に返事をすること。これに尽きます。ぶつ切りの文章でもいいので、どんどん返答しましょう。返答が遅いと「あ、これは使えないな」とすぐに判断されます。
チャレンジしてみよう!
先ほども述べたとおりこの手のツールエンジニアのポジションはエントリーレベルのポジションですから、とにかくなんとかアップルに潜り込むにはかなり手頃です。他の部署にもこういったポジションはありますし、どの会社にも、同じようなポジションが必ずあります。入社後の数年でしっかり力をつけて存在感を上げていけば、社内転職の道がグッと拓けてきます。また、別の会社に移るにせよ大きな武器になります。僕も最初はこういう感じのエントリーポジションで入社しました。希望する会社のサイトを隅から隅まで調べ、めぼしいポジションのJob Description をプリントアウトして、この例のように分解して、何が重要なポイントなのか見定めて面接に臨んでみてください。
英語が不安な方へ
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なお、関連記事を書きましたのでこちらもどうぞ!