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ネットのアンケートをもとに世論を論じるのは全くの誤りです

 ツイッターの投票機能などを利用して内閣の支持・不支持や個別の政策の賛否を問うアンケートが増えているようです。中には10万人近くが回答しているものもありました。新聞やテレビ局が行う世論調査は回答数が1000程度ですから、10万というのははるかに多いです。けれどもそれはネットのアンケートが正確だということを何ら意味しないことに注意が必要です。

 世論調査で正確な民意を知るためには、単なるアンケートと違って「質問をかける対象者を有権者全体の中からランダムに選ぶ」というプロセスが必要です。これを「無作為抽出」と言います。

 例えば味噌汁の味見をするとき、かき混ぜないまま透明な上澄みをコップ一杯すくって飲むのと、よくかき混ぜてから一さじ舐めるのを想像してください。どちらの方が正確な味見になるでしょうか。後者であることが明らかですよね。この「よくかき混ぜる」というプロセスが「無作為抽出」に相当するわけです。

 世論調査の回答数1000件というのは、全国の有権者1憶500万人の中からランダムに選ばれた人たちによる回答です。世論調査は平日の昼間、固定電話にかけるから対象が偏っていると言う人もいますが、これは完全な間違いで、今の世論調査はすでに携帯電話が主力となっているし、土日を含む日程で朝9時ごろから夜10時ごろまでの時間、不在などの場合も最大6回ほどかけなおして行います。また無作為であることが徹底されるため、電話に出た人がそのまま回答者になるわけでもなく、家族に代わってもらうこともあります。

 それに対してネットのアンケートでは回答したい人だけが群がって回答するわけです。ですからそれは何万件の回答を集めたところで、かき混ぜないままコップで味見をしているのと一緒のことになってしまうのです。そんなものに翻弄されるのはやめましょうね。