土質調査の原位置試験は、現場で簡易に土質を判定したい場合や、土質試験に供する乱さない試料の採取が困難な場合に実施する試験です。
原位置試験には、
が該当します。
今回は、サウンディング試験について解説します。
土質調査におけるサウンディング試験について
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サウンディング試験とは、ロッドの先端につけた抵抗体を土中に挿入して、貫入・回転・引抜きなどの荷重をかけて、地盤の固さや締まり具合の性状を調査する方法です。
サウンディング試験には、以下の種類があります。
【サウンディング試験の種類】
- 標準貫入試験
- ポータブルコーン貫入試験
- スウェ-デン式サウンディング試験
- ベーン試験
標準貫入試験
標準貫入試験(SPT:standard penetration test)は、掘削した孔を土をサンプリングして、1mごとに地盤の硬さを測定する調査で、ボーリング調査と呼ばれる地盤調査法です。
標準貫入試験に得られるデータをN値(標準的な地盤指標)と呼び、地盤の安定性を推定する目安になります。
標準貫入試験とともに、土の試料を採取することができ、地盤の性状判定・室内土質試験が可能です。
標準貫入試験の方法を簡単に説明すると、63.5(±0.5)kgのハンマーを760(±10)mmの高さから自由落下させて、SPTサンプラーを土中に300mm貫入させるのに要する打撃回数を測定する試験で、この時の打撃回数がN値になります。
標準貫入試験の詳細については、下記記事にてご参照ください。
参考ページ:標準貫入試験の試験方法と結果について
ポータブルコーン貫入試験
ポータブルコーン貫入試験(コーンペネトロメータ)は、人力でコーンを貫入し、貫入抵抗を求める静的貫入試験です。
コンペネ試験とも呼ばれ、「コーン指数qc(kN/m2)」を計測することが目的です。
粘性土・腐植土などの軟弱地盤における土層構成や厚さ (深さ) などを求め、
- 建設機械のトラフィカビリティ (通行性能)
- 盛土締め固め管理
- 戸建住宅地の地耐力
の判定に使用されています。
ポータブルコーン貫入試験の詳細については、下記記事にてご参照ください。
参考ページ:ポータブルコーン貫入試験の試験方法と結果について
スウェーデン式サウンディング試験
スウェーデン式サウンディング試験は、深さ10m程度の軟弱地盤層を対象に、原位置における土の硬軟・締まり具合・土層の構成を判定するための静的貫入抵抗を求める試験方法について規定され、 2013年JIS A 1221:2013が制定されました。
戸建住宅向けの地盤調査のほとんどがスウェーデン式サウンディングを用いています。
規格名称をJIS A 1221:2020「スクリューウエイト貫入試験」に変更され、「SWS試験」とも呼ばれています。
- 簡易的に地盤支持力(換算N値)を求められる。
- 費用が安く、小規模建築物(住宅など)の地盤調査方法として広く普及している。
- 調査期間が短く、5ポイントの場合、半日程度で完了する。
などの特徴があります。
スウェーデン式サウンディングの詳細については、下記記事にてご参照ください。
ベーン試験
ベーン試験は、土の原位置試験の1つで、軟弱地盤のせん断強さを測る試験です。地盤工学会基準 JGS 1411 に規定されている「原位置ベーンせん断試験」です。
せん断強さを調べる試験方法として、室内試験では三軸圧縮試験、粘性土地盤の非排水では一軸圧縮試験が用いられているのが一般的です。
軟弱さに応じて、水平載荷試験、ベーンせん断試験等も各種調査指針、技術基準などの調査方法の一つとして位置づけられています。
地盤改良の方法(工法)や杭を含めた基礎の種類の選択指針にもなります。
ベーン試験の詳細については、下記記事にてご参照ください
参考ページ:ベーン試験の試験方法と結果について
まとめ
土質調査におけるサウンディング試験についてまとめました。
【サウンディング試験の種類】
他の原位置試験についてもまとめさせていただいてますので、詳しく知りたい方は下記をご参照ください。
参考ページ:土質調査における原位置試験について
紹介させて頂いた知識は土木施工管理技士の試験にも出てくるほど重要な知識です。
勉強に使用した書籍をまとめていますので、ご参照ください。
参考文献
小規模建築物基礎設計指針.日本建築学会
住宅地盤の調査・施工に関する技術基準書.住宅地盤品質協会
地盤調査の方法と解説.地盤工学会
建築物の構造関係技術基準解説書〈2015年版〉. 建築研究所 (監修), 国土交通省住宅局建築指導課 (編集), 日本建築構造技術者協会 (編集)