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「複雑だけど消滅よりはマシかもね」“新生”RB大宮アルディージャ開幕戦で耳にしたサポーターの本音「昨季J3だった大宮に…クロップがいるなんて」
posted2025/02/18 11:03

J2開幕戦、2-1でモンテディオ山形を撃破したRB大宮アルディージャ
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井川洋一Yoichi Igawa
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J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images
キックオフまで90分以上あるというのに、NACK5スタジアム大宮周辺の道路はひどく渋滞していた。
クラブから案内されていた第二公園の駐車場への道は、近くなるにつれてほとんど動かなくなったので、より遠目の第三公園へ回ると、最後のひと枠だけ空いていた。
そこから1キロほど離れたRB大宮アルディージャの本拠地へ、歩いて向かう。スタジアム付近の通りではクラブの新しいエンブレムの旗が揺れ、気の早いサポーターのチャントと彼らが鳴らす打楽器の音が、昼下がりの快晴の空にこだましている。この日の来場者全員に配布された暖かいフリースポンチョをまとうファンは、どこか誇らしげな表情をしている。そこにはフレッシュなリスタートにふさわしい高揚感が、確かにあった。
レッドブルが目論む大宮の再建
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昨年、オーストリアの大手飲料メーカー、レッドブルが大宮を買収し、今季からクラブはRB大宮アルディージャとして始動した。近年、世界で増加の一途を辿るマルチ・クラブ・オーナーシップ(同一オーナーが複数のフットボールクラブを運営すること。UEFAによると2012年には40クラブに満たなかったが、2023年には世界で180以上のクラブがその形式にあるという)。その先駆けのひとつであるレッドブルにとって、大宮は通算8つ目の完全保有クラブとなるが、外資の企業が単独で日本の主要プロスポーツクラブを保有するのは、初めてのことだ(シティ・フットボール・グループの横浜F・マリノスは株式の約20%を同グループに保有されている)。
レッドブルのオリバー・ミンツラフCEOが「眠れる巨人」と評す大宮は、買収が決定した後にJ3優勝とJ2昇格を決め、3部に初降格した一昨季の屈辱を晴らした。J1で5位に入った経験を持つチームの2部への即復帰は、ファンの期待通りだったかもしれないが、世界最大のエナジードリンクメーカーがオーナーになるなんてことは、誰にも予想できなかったはずだ。さらに、買収後にユルゲン・クロップがレッドブルのグローバルサッカー部門責任者に就任し、2025年シーズンの開幕戦を視察に来るなんてことも。