アトリー監督
映画館で予告を見て、あー、黒髪の無力な妻とか母がやたら高音の曲が流れる中、悪役に殺されて、完全無欠の夫とか長男とかが歌って踊りながらキメキメ無双するやつか~。いま見たい気分じゃないなあ…と思って、スルー予定でした。でも鑑賞した映画ジャンルのかたが大絶賛なさっているので、見に行った。
かなり違いました。冒頭は、あー、弱者が蹂躙されてスーパーヒーローがー…だったけど、そのあとが全く違った。どうなるのこれ!?と思った。面白かったです。
注意:犬が死にます。死体がバッチリ映ります。
ラストまでばれ。
体制を批判しつつ、愛国を成立させていて凄い。
冒頭の中国軍の侵略も(アルナチャルプラデシュ州領土権主張)、
病院に酸素が届かず子供が死んだ事件も、
工場による環境汚染で死者が出た事件も、
すべて現実にあった事件を下敷きにしているとのこと。
そして父と長男は強くて無双をするのだが、完璧な強さを持っているわけではなく、父には記憶がない。なので復讐も誇り高さも彼は持っていない。肉体が強いだけ。長男は父と母を知らず、優しいたくさんの女たちに育てられて、女性の守護者となったが、しかしどこか寄る辺なく、不安を抱えている。
冷蔵庫の女、たしかに女は死ぬが、その前に自分に危機が及んだら目にもとまらぬ速さで3人殺して死刑になる。若いお嬢さんがシャベルで悪漢の頭をカチ割る。無力に裸にされて死を選ぶのは男性だったりする(なんでモザイクがかかってたんだろう?はみ出ていた?)。
彼等の強さは個の復讐だけでなく社会正義のための鉄槌となる。
ラストはまさに時流、タイムリーなのだが、日本よりもインドのほうが大変そうだと思った。そうか宗教、金、カースト…。
(日本は「知っている人」にともかく弱すぎるけども。あと「庄屋様の跡取り息子」を無条件で信頼するのはよすんだ…)
私は息子と、父の若い頃が1人2役だと思ってたが、全部1人で演じておられたの!?59歳なの!?なにもかもがすごい。
息子の親衛隊は美女たちで、父親の親衛隊がおじい軍団なのも面白く、見応えがありました。(女児ちゃんもかわいかった!見合いすんなよ…とは思いましたが)
最後で突然のシャイニングねた?それとも元の格言ねた?
https://www.youtube.com/watch?v=sL-0ZTUGEHo
「囚人なら強く気高くあれ 囚人の中の囚人であれ」
ってちょっとJOJOみを感じる。