ジャパンディスプレイ(JDI)は,サーマルイメージングカメラモジュールを製造・販売する米Obsidian Sensors, Inc.との間で,高解像度サーマルイメージングセンサーの共同開発・製造に関するパートナーシップを合意したと発表した(ニュースリリース)。
JDIは,従来のディスプレー領域に加え,新たな高成長分野へ経営資源を投入する事業戦略「BEYOND DISPLAY」を掲げている。特に,ディスプレー技術を応用したセンサーの開発には注力しており,今般共同開発を行なうサーマルイメージセンサーも,高い成長が見込まれる重要分野として開発を進めてきたという。
サーマルイメージングセンサーは,一般のカメラが光を検出する代わりに,物体から放射される赤外線エネルギーや反射される赤外線エネルギーを検出して映像化する。このサーマルイメージングセンサーを用いたカメラは,暗い場所や強い逆光下など,一般的なカメラでは撮影が困難な環境での撮影を可能にする。
このため,セキュリティ,工業分野,車載カメラ,防衛産業など多くの用途での需要が伸びており,より高解像度の映像化が求められている。同社は,Obsidian Sensorsとのパートナーシップを通じて,市場の要求に応えるという。
同社は,Obsidian Sensorsが保有する,ガラス基板上のTFT(薄膜トランジスタ)構成と表面微細加工技術を統合した LAMP(Large Area MEMS Platform)という革新的な設計・製造技術・知的財産を活用し,同社が高精細TFTガラス基板製造で培った微細加工技術・知的財産・生産設備により,従来は20数μmが限界であったサーマルイメージングセンサーの解像度を12μmピッチにまで高めることで対象物の特定精度を向上するための共同開発を行ない,製造を目指すとしている。
同社での開発・製造は石川工場(第4.5世代)で行ない,サーマルイメージングセンサー用の高解像度(SXGA(1280×1024),12µmピッチ)ガラス基板を2026年までに開発する予定だという。