よく「ポールスミスのスーツは着こなし次第」や「Paul Smith Londonはセンス良く着こなせて初めて似合う」というふうに言われています。でもどんな着こなしがポールスミスらしい着こなしなの?? と調べてみても実際に具体的な着こなしはあまり出てこない。
そんなわけで実際にポールスミスロンドンのスーツを一着用意して、着こなしてみました。
用意したポールスミスのスーツ
今回用意しましたのは、何度かこのウェブマガジンにも登場しているオルタネートストライプ柄スーツ。
紺地に青とボルドーのストライプが入った、ポールスミスらしいスーツです。
高級なSUPER 130’sのウールを使用したこのスーツは非常に滑らかで、繊細な手触り。
裏地もポールスミスらしい柄に仕上げられています。
このスーツを使っていろいろなシャツやネクタイを合わせてみます。
どんな着こなしをすればポールスミスロンドンのスーツが似合うのか……??
とりあえず普通に着こなしてみる
まあそうは言っても、やってみないことには「普通の着こなし」が本当にポールスミスのスーツと合わないかなんて分からない。
そういうわけで、とりあえずは普通に同系色でまとめてみました。
うーん。なんと言うか、確かにそんなに良くないというか……。
ネクタイの色やシャツの色、柄の組み合わせ的にも別に違和感はないはず。なのに何となくしっくりこない。
普通のスーツと変わらない?? そんな感じがします。
なんとなく、「ポールスミスロンドンは着こなせてなんぼ」という言葉の意味も分かる気がするかも。
ポケットチーフで「こなれ感」と「統一感」を出す
上のトルソーと同じ着こなしのまま、白のポケットチーフで着こなしに「こなれた」感じを出してみました。
普段からお洒落な人はスーツにポケットチーフを差していますが、それだけでもずいぶん良くなりますね。
なんとなく、ポールスミスらしい雰囲気が出ます。
この場合は白シャツ+白チーフ、そして紺のレジメンタルネクタイ。シンプルで統一感の着こなしが逆に、スーツの個性的なストライプを引き立てています。
こういう着こなしは、ポールスミスのスーツを今日から着始める全員におすすめしたいですね。
グレーのオッドベストで個性を演出
でもやっぱり、もっとポールスミスらしい着こなしにしたい。
そんな人におすすめなのがオッドベスト。
気軽に個性を演出でき、ポールスミスのスーツの良さもぐっと引き立ちます。
この場合はグレー、シルク混ウールのベストを組み合わせました。
紺とグレーは非常に相性が良い。非常にシャープで洗練された着こなしになります。
ちなみにこのベストはシャドーストライプ柄。ストライプ柄のスーツとストライプ柄のベストは組み合わせていいの??と疑問に思われる方もいるかもしれません。
基本的にシャドーストライプは控えめなので、他のストライプとの組み合わせは可能だと考えてOK。
でも例えばこのコーディネートでシャツがストライプなどだと、くどくなってしまうので気をつけて。
全体を引き立てる差し色を入れる
もっとポールスミスロンドンのスーツを上手く着こなしたいのなら、差し色を入れましょう。
つまるところアクセントのことですね。
紺ともグレーとも非常に相性の良い色と言ったら……ダントツで赤です。
紺と相性の良いベージュや青は??
ベージュはグレーと組み合わせると暖かみが出てしまう。今回は洗練された着こなしの似合うベストとスーツなのでやめておきます。青は差し色、紺に対するアクセントとしては同系色なので弱い。
グレーと相性の良い黒や白は??
黒は存在感が強いので紺とぶつかってしまいます。全身グレーなら良いですが、今回はNGですね。白はシャツと同色になってしまうのでちょっといけません。
そういうわけで、紺に華やかさを与え、グレーを上品に引き立てる赤でいきましょう。
また、赤の中でも今回のように青みの入ったワインレッドはとくに相性が良い色です。
意外性のある色使いで演出する
かなりいい感じにはなってきましたが、それでももっと上級着こなしに挑戦したい!という人もいるはず。
そんな人は意外な色を組み合わせて勝負に出ましょう。
こちらはガンクラブチェックのベストですね。
別の記事でも紹介していますが、マローネ・エ・アズーロという茶と青の好相性を応用した茶と紺の組み合わせです。
意外性がありながら、なんとなくしっくりくる。こんな着こなしはポールスミスのスーツを活かせますね。
またこの場合のコツはネクタイを派手にしすぎない(柄の目立つものにしない)のが重要。もちろんベストの良さをしっかりと引き立ててあげるためですね。
センツァクラヴァッタで決める
センツァクラヴァッタというのは、身もふたもない言い方をすればノーネクタイのこと。
でもただネクタイを外すだけでは芸が無いし、だらしないと思われてしまう。ポールスミスのスーツには似合わない着こなしですね。
そうなってしまわないためにも、まずはセンツァクラヴァッタの着こなしの基本をおさらいしましょう。
・台襟の高いシャツを選ぶ
・ボタンダウンなどネクタイをしなくても立体的になるシャツを選ぶ
・ネクタイ無しでも存在感のある&スーツと相性の良い柄や色のシャツを選ぶ
・ボタンは基本的に2つ開けるもしくは全部止める
ひとつ目とふたつ目ですが、これはネクタイをしなくても首もとが貧相にならないための工夫です。
ボタンダウンは襟を立ててくれるので立体感が出ます。また、低い襟よりも高い襟の方がエレガントさがある。疲れてネクタイを外した会社帰りのサラリーマンだと思われない襟です。
また、ネクタイをしない分シンプルになるのがセンツァクラヴァッタ。全体との調和を考えながらも、地味になりすぎないシャツを合わせましょう。
今回のように、ボタンが濃い色になっているシャツはネクタイの代わりの胸元アクセントになるのでおすすめ。
ボタンの外す数ですが、2つ外すのが一般的。
またセンツァクラヴァッタでボタンを外す場合にはインナーにシャツを着ないようにしましょう。
なぜかって??
もともとドレスシャツ、一般的に言うYシャツは下着でした。
なのでスーツ原理主義者に言わせればインナーを着るなんていうのは「トランクスの下にブリーフをはくようなもの」と、まあつまり不名誉なことなわけです。
でも日本はイギリスのように涼しくないし、高温多湿の中毎日スーツを着なければならない。インナーを着るのは別に悪いことではありません。
でもセンツァクラヴァッタのときにインナーのシャツが襟からのぞくのは格好わるいのでやめましょう。
ちなみに写真ではボタンを全部しめています。パリコレなどの写真を見てみると意外とボタンを全部しめていることが多い。ちょっとモードな雰囲気になりますね。
今回の着こなしではポールスミスロンドンのスーツなので、Paul Smith The British Collection ブリティッシュコレクションのシャツを合わせてみました。
ガンクラブチェックがお洒落な、グレーのシャツです。
全体をシックに統一する
上のセンツァクラヴァッタの着こなしにネクタイを加えるなら、どんなネクタイでしょうか。
紺のレジメンタル??ドット??
いやいや、さっきのワインレッドのネクタイでしょ!
個人的にはこれこそがポールスミスロンドンのスーツらしい着こなしだと思っています。
紺のスーツとグレーのシャツで全体をシックにしておきながら、あえてワインレッドのシックなネクタイを合わせる。
またネクタイとポケットチーフを同色で決めて統一感を出す。
こんな感じなら「ポールスミスのスーツの意味がない」とは言わせないですね!
いかがでしょうか。
今回は「着こなせる人しかポールスミスのスーツは買うな」という言葉に「じゃどんな着こなしすれば良いんだ!」と疑問を持ったあなたのためのページでした。