轟音のなかにある叙情的なメロディが引き立つのはハイレゾだった——ジャズ・パンク・バンド、KAGEROの4作品目をハイレゾ配信!!
ジャズ、パンク、ハードコア、それぞれを股にかける異端児、KAGEROから4枚目のアルバム『KAGERO Ⅳ』が到着! ライヴを主軸にした活動を行う彼らだが、メンバーの入れ替わり、そして昨年9月に初のアメリカ東海岸ツアーを経て、ライヴ・パフォーマンスのみならず録音物までもがいっそうの高みへ。KAGERO節が前面に出たファスト&ヘヴィなパンク・ナンバー「OVERDRIVE」や「sister」をはじめとし、ポップへと振り切った「flower」などを収録した12曲。そしてOTOTOYでは今作をハイレゾ(24bit/48kHz)で配信! サックス、ピアノ、ベース、ドラム――それぞれの音がハイレゾならではのクリアさで再現されたことによって、発見と刺激に溢れた音体験ができることを保証します。中心人物であるベースの白水悠、そしてピアノの菊池智恵子へのインタヴューとともにお楽しみください!
KAGERO最新作をハイレゾで!!
KAGERO / KAGERO Ⅳ
【配信価格】
【右】
ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz) :
単曲 300円 / アルバム 1,800円(各税込)
【左】
ALAC / FLAC / WAV(16bit/44.1kHz) :
単曲 250円 / アルバム 1,500円(各税込)
mp3 : 単曲 200円 / アルバム 1,500円(各税込)
【Track List】
01. OVERDRIVE / 02. flower / 03. Pile Bunker / 04. sister / 05. THE FOREST / 06. HONEY BEE / 07. 13 -Thirteen- / 08. MY SLEEPING BEAUTY / 09. LITTLE GARDEN / 10. ill / 11. The Spring Landscape / 12. CRY BABY
INTERVIEW : KAGERO
インタヴュー : 飯田仁一郎
インタヴュー写真 : 雨宮透貴
今度は「ザ・ドラマー」ってよりも「バンドマン」って感じでずっとやってたハギの感覚がほしいなって思って
――僕が今回聴いた印象としてはサックスとピアノが混じり合って、すごく"バンド"になったなあって。ドラムが変わったのも大きいですかね? ドラムの萩原(朋学)さんが加わったのはいつでしたっけ?
白水悠(以下、白水) : ちょうど前作、3枚目のアルバムのツアーが終わったころですね。
――実際ドラムが変わるって大変なことだよね。
白水 : もともとハギも(鈴木)貴之(前ドラマー)も、オリジナルのピアノ(横山菜緒)も同じ大学の軽音の仲間で、全員20歳くらいのときには知り合ってもう12年近く一緒だから、クセも音楽的な趣味もお互いわかってる。ハギはタムが好きとか(笑)。
――萩原さんを誘ったきっかけはなんでしょう?
白水 : 貴之がアメリカに行ってる間に、Yasei Collectiveの(松下)マサナオとかに叩いてもらったりしてて。貴之も日本人離れしたドラム叩いてたし、マサナオなんて将来的に日本を代表するドラマーになると思うんですけど、KAGEROってそういう人のほうが良いのかなって当時は思ってて。
――ミュージシャンを職業にしていくぐらいのドラマーってことですね。
白水 : それは智恵子にしてもるっぱさん(佐々木瑠(Sax))にしてもそうなんだけど、ミュージシャンとして独立している人間というか。自立できてる人間の集まりがKAGEROかなと思ってたんですよね。でも『KAGERO III』作ってる時ぐらいからそれだけじゃないのかなって思い始めて。そもそも僕が曲を作り始めたのってKAGEROからで、だから最初の頃とかはそんなに自分の音楽に対して確固たるものなんてなかったんですよね。まぁでもイカしたミュージシャンがイカした演奏すればなんとかなるだろみたいな(笑)。当たり前だけどピアノのことは僕より智恵子のほうが知っているし、サックスは自分よりもるっぱさんのほうが、ドラムのことは貴之やマサナオのほうが知ってるから。だから任せていて。ただ、3枚目を作り終わったぐらいから、なんか一つ違う感覚で音楽が作れるようになってきて。曲作ってる途中から全部の楽器が頭の中で鳴るようになったんですよね。それをバンドで出したいってなったときに、今度は「ザ・ドラマー」ってよりも「バンドマン」って感じでずっとやってたハギの感覚がほしいなって思って。
――智恵子さんはその感覚って分かりますか?
菊池智恵子(以下、菊池) : 3枚目以降は「こういう音だからこういうのを弾いて」みたいなのを言ってて。白水くんには、完成の予想があるんだろうとは思ってたんですけど、どういうふうになるんだろうっていつも思ってて。とりあえず弾いてみて、後でみんなで聴いて、それが形になるとこんなふうになるんだって。一旦その感じがわかってからは、そういう作り方でやるようになりました。
――セッション的な作り方ではなくなったのは大きな変化ですね。メンバーのみんなはスッと受け入れられたんでしょうか? 表現者としては言われたことをやるのが嫌な人もいるじゃないですか。
菊池 : 全部指示通りじゃないですけど、言われたものをやるとどうなるのかなっていうワクワク感みたいなのがあって。あとピアノは結構無茶なこと言われます(笑)。そんな鍵盤の動き方やったことないみたいなのとか。そういう意味だと自分の手癖だったり、弾きやすいほうにいかずに、新しいやりかたができてて、おもしろいですね。
――白水さんが先程「頭の中で鳴りはじめた」っておっしゃってましたけど、まるで才能が開花したかのようですね。実際、なにかきっかけはありますか?
白水 : 3枚目を作り終わってから1人でも音楽を作るようになったんですよ。KAGEROじゃなくて、I love you Aloneって名義で、ノイズみたいのとか、ピアノ弾いたり、街で流れてる音をサンプリングしてその上からアコギ重ねたりとか。そういう音楽を作りはじめてからでしょうね。
――それを始めたのはなんでなんですか?
白水 : なんでだろう。暇だったからじゃないですかね(笑)。
菊池 : 趣味が音楽みたいなものだからね(笑)。
白水 : 他にやることがないんですよ(笑)。
――1枚目、2枚目の音では、ちょっと物足りなくなっていった感じでしょうか?
白水 : いや、2枚目を作り終えたら貴之がアメリカに行くのは決まってて、その後はマサナオが叩いたりとか、ライブによってドラマーが違う状態が1年ぐらいあって。その状態で3枚目のアルバムを作ってたんで、完全なジャムだけでいくのには時間的にも温度的にも限界があるなって。やっぱり1枚目と2枚目は貴之の力が強いんですよね。それがなくなったときに「同じやりかたをしても多分もう前の2枚は超えられないだろうな」って感覚で3枚目に立ち向かってて。だからもうジャケットやミュージック・ビデオにしても、自分だけは納得いくものでって思って。売れるにしても売れないにしても。周りの意見じゃなくてね、自分が納得いったもので勝負しようという感覚を強く持つようになりましたね。
――では今回のアルバムには白水さんの世界観が強く出てるんでしょうか?
白水 : スタジオワークは自分の中のものを皆に落とし込む作業が多かったりするんですけど、でもKAGEROはライヴが主軸だから。ライヴをやると完全に全員の世界になりますよね(笑)。今までもあんまりコンセプト・アルバムみたいには作ってなくて、1枚目はそれまでのベストみたいな感じだし、2枚目から4枚目まで共通してるのは、ライヴをやる上でこれまでのセットリストを超えられるものを作るっていう感覚かな。
その光景が目の前にあるとステージの演奏って当たり前にすごく変わるんですよね
――おふたりにとってライヴはどういうポジションなんですか?
菊池 : それがないとダメっていうものですね。
白水 : 自然なことですよね、音楽をやってる上で。ただAloneを初めてからライヴをやることだけが音楽の全てじゃないって感じて。それだけにね、こういうライヴができるKAGEROってバンドがあって良かったなって。こういうライヴができるのって当たり前じゃないんだなって感じましたね。
――KAGEROにとっての良いライヴとは、どういうものですか?
白水 : 昔はプレイヤーの集まりって感覚が強かったんで、極端に言えばお客さんのリアクションとか二の次な部分があって。まずは自分たちがどうなのかって。プレイが上手くできるどうこうじゃなくて、刺激的な演奏、例えばアドリブの入れ方だったりとか。決まっている部分にしても惰性で出てる音と感覚が透き通ってるときの音って当たり前に違うんで、それができるかっていうところが1番強かったんですよ。その中で、「KAGEROのライヴってお客さんが動かないなー」ってずっと思ってて。それでも「楽しかったです」みたいな感じだからまあいいかと思ってたんですけど、去年ツアーでアメリカに行って。そのときも別に煽るわけでもなくいつも通りにやって。どういうリアクションになるのか興味があったんですけど。
菊池 : そしたらボカンと盛り上がって。
白水 : 日本じゃ考えられないくらいあがりまくってて。サークル・モッシュが起きたりとか(笑)。ほんと初日のデラウェアから客がすごい踊り狂ってて。その光景が目の前にあるとステージの演奏って当たり前にすごく変わるんですよね。今までは内部の、4人の中で刺激を与え合っていた感覚が、フロアからの刺激も演奏に干渉してくるっていうか。でも本来は僕にとって、KAGEROってそういうイメージだったんで。
――イメージが実現になったんですね。
白水 : あ、これを今後もやりたいって思ったんですよ。でも、日本に帰ってきて同じようにやっても変わらないんですよね。棒立ち、固まっちゃった、みたいな(笑)。それが悪いわけじゃないんですけど、ただあのときの感覚がずっと忘れられなくて。勿論お決まりごとで盛り上げたいわけじゃなくて、お客さんが自発的にくる感覚をフロアに与えたい。それでこっちもよりエネルギーがあるものを返せると思うので。
菊池 : アメリカに行ってからかな、ピアノを弾いてるときの映像を見返すとわけのわからない動きをしてたりとか、すごい自由になった。
白水 : こっちがより自由になることでお客さんも自由になるのかなーとか。そんな感じでライヴでの意識は変わったと思います。そのためだけに音楽自体を変えるなんてことは絶対ないんだけど、でもライヴってステージからのちょっとしたことでお客さんが自由になるっていうのが段々とわかってきたから。
――たとえば?
白水 : まだ試してる最中なんだけど、ここが盛り上がるとこだよって1つ合図を入れるだけで日本では違うのかなって。ホントは何もしたくないですよ、煽ったりするのは。でもお客さんが自由になるなら、自分の中でカッコ悪くないって範囲で、仕掛けを試みてますね。
菊池 : 私は何もしてない(笑)。
――カッコ悪い煽り方ってありますよね。
白水 : お客さんを煽ること自体、そんなにカッコいいこととは思ってないんで。でもやっぱ他のバンドのそういう部分とか見るようになるよね。カッコいいやりかたもあるんだなーって。ATATAとかさ。
――あれはナベさん(奈部川光義)にしか無理ですよ(笑)。
白水 : いきなりナベちゃんみたいになるのは無理ですね(笑)。
――ATATAも確かにナベさんの存在がなかったらお客さんが暴れたりしないでしょうね。今回の音源もそうなんですが、KAGEROって勢いが止まらないじゃないですか。静かな曲もほとんどないし。もうちょっとミドルテンポの曲を入れようとか、そういう小細工みたいなのが全くないのは意識してるんですか?
白水 : それはコンセプト・アルバムを作ってるわけじゃないからですね。でもこれを作ったのが3月の終わりから4月の頭で、そこからさらに半年近くが経って。その間に色んな音楽も入ってくるし、例えばローとかミドルとか、テンポだけじゃないですけどやりたい音楽はいくらでも広がりますよね。もともとインストの音楽をあんまり聴かなくて、歌のある音楽を聴いたり、美術館とか行ったり、また生み出したい世界が増えてきて。でもむずかしいですけどね。僕の中ではサックスもピアノもスタンダードな楽器じゃなくて、ギター、ベース、ドラムの音楽が1番血になってるから。ただ、その血が流れてる僕がこの編成で音楽を作ってるから、世の中にないものになってんだろうなって。だからアメリカ行っても「こんな音楽を聴いたことない!」って言われるんだろうなって。
高い温度で一緒にできるものを模索してます
――「新しい音楽を作る」という気持ちはありますか?
白水 : 音楽に限らず、表現をしていく上でなにかの猿真似をするぐらいなら僕がやる必要はないかなって。何かの焼き増ししてる人を否定してるわけじゃないんですけど。結局僕が「うわっ!」って思うのは「こんなもの見たことない、でも入ってくる」っていうもので。突拍子がなければいいってわけでもなくて。僕自身が「取っ付きやすくて、でも体感したことがない表現」にしかあまり興味がないから、おのずと自分が作るものもそのベクトルのものになりますよね。
――智恵子さんはどうですか?
菊池 : 私は特になにも考えてないです。とにかく体当たりが出来るフレーズだったりとか、ライヴでワッとなれるフレーズを弾くだけみたいな。何も考えてないです。
――それは作曲の時もですか?
菊池 : 小賢しいことを弾いてみるんですけど、「それ絶対ライヴで埋もれるじゃん」って言われて「え?」って思うんですけど確かにそうなんですよ。で、ピアノとドラムが合わさるところでも弾き方ではピアノが負けちゃったり、サックスやベースに飲まれちゃったり、それが簡単に起こっちゃうのがピアノなので。とにかくピアノが後ろにいかないように、前に出る。目立とうとしています(笑)。
白水 : 結局ピアノを活かすための演奏ってのをKAGEROはしてないし、言っちゃえばサックスを活かす演奏もそんなにしてないと思うんですよ。その中で音を飛ばすには、ひとりひとりが演奏に対して温度を高めていくしかないんで。高い温度で一緒にできるものを模索してます。
――るっぱさんが前に出たときにるっぱさんを聴かせるピアノじゃなくて、るっぱさんを越えるピアノを弾けってことですよね。
菊池 : るっぱ君のソロ中にもっとうるさく弾くみたいな(笑)。
――そんなバンドないですよ(笑)。それは無心になりたいからなんですかね?
菊池 : まあ楽しいんですよね。盛り上がっていくと。
白水 : そうだね。その感覚がまだあるんだろうね。初めのころから僕らが共通して好きだったジャズって、楽器の挑発のし合いなんですよね。ピアノ・ソロのときに皆が後ろに下がればそれはピアノ・ソロになるけど、そういうのは僕ら誰も好んで聴いてなくて。ピアノのフレーズにどんどん絡んでいって、ピアノ・ソロなんだけど、全部の楽器の音が昇っていく状況。ビル・エバンス・トリオとか。
菊池 : そもそもジャズは、なにか、あったものをぶっ壊せっていうイメージなので。やんちゃ。ぶっ壊し精神(笑)。
白水 : ぶっ壊し精神がないとつまんないものになっちゃうから、その名残は未だにありますね。メンバー同士の刺激って意味でも、サックス・ソロのときに智恵子がふふーんって顔してピアノを弾いていたら、ピアノ蹴飛ばしたりとか。そんなんでいいの? って。そういうものじゃないともう楽しくないからね。
菊池 : KAGEROは「伴奏の仕事」をやってるわけじゃないので。
――プラスが積み重なり合って、最高潮で終われるバンドなんて他にいないですからね。
白水 : そういう意味でも楽器が少なくて良かったなって思いますけどね。この編成だからそれができる。最近他のバンドに「ベースなに使ってるんですか」とか「音すごいですね」って言われるんですけど「いやそれ僕らギターいないから」って(笑)。
――次のKAGEROの音楽的な動きとしては他に何かありますか?
白水 : 今回のアルバムを作ったあと、新しい曲を1曲だけ作ったんですけど、やっぱ個人的に音楽でやりたいことって尽きないんだなーって。多分ハギだったり智恵子もなんかやりたいこと出てきたんだろうなって感じてるし。
菊池 : わたし新しく全然違うエフェクター買った。
白水 : このメンバーになってアルバムを作るのは初めてだったんで、またメンバーからも色々出てくるんだろうな、とは思っていたりね。今回のアルバムで変わったって感じてくれる人も多いみたいなんですけど、僕の好みが今までリズムリズムって感じだったのが、今は旋律だったりとかになってきてて。現代美術とかの影響なのかもしれないですけど。昔は汚いものが怖いって思ってたんですよ。でも最近、整理されたものって狂ってるって感覚があって。ちょっとそっちに振り切ったものとか作ってみようかなーって。すごい抽象的だけど、そういう表現ができたら良いですね。
KAGERO DISCOGRAPHY
KAGERO 特集ページ
・ベスト盤『KAGERO ZERO』配信開始&メンバー全員インタヴュー
・ライヴ音源『カゲロウ 2011 Tour "SINGLES" FINAL -LIVE at 新宿紅布 2011.12.04-』ハイレゾ配信
・『KAGERO Ⅲ』配信&白水悠+佐々木瑠 インタヴュー
LIVE SCHEDULE
2.5D×ヒソミネ「KAGERO×ADAM at」
2014年10月27日(月)@大宮ヒソミネ
『KAGERO IV』リリース・ツアー「The Winter Landscape」
2014年11月7日(金)@下北沢SHELTER (ワンマン公演)
2014年11月16日(日) @心斎橋FANJ
w/ THE TEENAGE KISSERS and more
2014年11月23日(日)@札幌SPIRITUAL LOUNGE
KAGERO vs Jake stone garage
2014年11月30日(日) @仙台PARK SQUARE
w/ GEEKSTREEKS and more
2015年1月10日(土) @名古屋CLUB ROCK’n’ROLL
KAGERO vs ???
2015年1月17日(土) @静岡Freaky Show
KAGERO vs ADAM at
2015年2月1日(日) @新宿LOFT(ツアー・ファイナル)
PROFILE
KAGERO
白水悠(Ba)、佐々木“Ruppa"瑠(Sax)、菊池智恵子(Piano)、萩原朋学(Dr)
ジャズ・カルテット編成の想像を覆す攻撃的な轟音とパンク・スピリット溢れるライヴ・パフォーマンスを武器に、国内の数多のフェスやサーキット・イベントで話題沸騰。 ジャズ、パンク、ハードコア・シーンを股にかける異端児として全国、そして海外より注目が集まる。 これまでに3枚のオリジナル・アルバムを発表。再録ベスト盤のリード曲「Pyro Hippo Ride」はiTunesジャズ・チャート1位を獲得し、2013年9月には、初のアメリカ東海岸ツアー「STANDING EGG TOUR」でも成功を収めた。2014年7月からは毎月1日にiTunesデジタル・シングル・リリースをスタート。10月に待望の4thオリジナル・アルバム『KAGERO Ⅳ』をリリース。