【行かなきゃ ASP Episode12】「どんな感情も共有して、もっとひとつになりたい」──ナ前ナ以の捉え方
新体制、初の東名阪ツアー〈REDO BEGiNNiNG TOUR〉を終えたばかりのASP。3周目となる個別インタヴュー企画の第4回は、スパイキーヘアーが定着しつつある、ナ前ナ以が登場! 彼女は、セカンド・フル・アルバム『PLACEBO』をどのように捉えているのか。また、2021年11月24日に脱退したナアユの想いを聞いたときの気持ちや、ツインズのこと。そして、2022年はどんな年にしていくのか話を訊きました。ライヴ中は、その髪型のような鋭い姿を見せるも、喋ると角がなくなる、ナ前ナ以のおっとりとしたインタヴューをお届けします。
セカンド・フル・アルバム『PLACEBO』ロスレス配信中!
INTERVIEW : ナ前ナ以
ASPのキーパーソンは、ナ前ナ以だ。素晴らしい声質とエモーショナルなパッション、 WACKの中でも過去に類を見ない異才。「柏木由紀なりのWACK EXHiBiTiON and SELECT 7」で、くじ引きによって、リンリン(BiSH)、YU-Ki EMPiRE(EMPiRE)とともにクソユニットのメンバーを引き当てたが、不思議と彼女が選ばれることは当然のように思えた。得体の知れないパワーを彼女は持っていることを確信している。それにしても、彼女のスパイキーヘアーは、相当似合っている。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 東原春菜
写真 : 大橋祐希
教える側になったことが変化
──スパイキーヘアーは慣れましたか?
ナ前ナ以 : 慣れちゃいました。ライヴの前後に他の仕事があると、その髪型のまま移動します。
──その髪型で誰かを刺したことありますか?
ナ前ナ以 : ユメカちゃんのお尻を刺しました(笑)。
──(笑)。ナアユさんの脱退を聞いたとき、どのような気持ちになりましたか?
ナ前ナ以 : ナアユちゃんの脱退を聞いたときは苦しかったです。はじめてナアユちゃんから「辞めたい」って北海道で言われたとき、芯が堅い感じがしたんです。あのとき本気で引き止めたんですけど、あの子の「辞める意思」は揺らがないと思いました。自分なりにいろいろ考えたんですけど、なにが最善かわからなくなりました。でも、いまは「前に進まなきゃいけないから仕方ないよね」って思えるようになりました。
──ツインズが加入する話を聞いてどう思いましたか?
ナ前ナ以 : 新メンバーが入る話をいただいたとき、私はすごく嬉しかったです。グループがもっと成長できるなと思いました。新しい風が吹くことで、ASPがいい方向に進んでいくんじゃないかなって。
──ツインズとはちゃんと会話できていますか?
ナ前ナ以 : 会話できていますよ(笑)。
──なかなかすごいキャラクターですよね。
ナ前ナ以 : OTOTOYさんの双子のインタヴューを読ませていただいたんですけど、たしかに擬音ばっかりでおもしろい表現するなって思いました。まだ人間に慣れてないんだなって思います。だから、ふたりが人間に慣れていけるように、私たちも積極的にお話をさせていただいています。でも、私も話すのが得意じゃないので、たまにラジオとかで双子と私だけになったら、「ユメカちゃん助けて!」ってなっちゃいます。
──ナアユさんが脱退しツインズが入ってきたことによって、ASPはどう変化しましたか?
ナ前ナ以 : ASPの変化というより、自分が教える側になったことが変化ですね。1週間前までは、ツインズにとってやりやすい環境がいちばんいいなと思っていたんです。自分がASPに入ったときに苦しかったことだったらさせないようにしようとか、してもらって嬉しかったことだったらやってあげたいと思って接していました。
──それからは、どう接し方が変わったんですか?
ナ前ナ以 : 同じグループで活動していても、痛みを共有していないと他人のままだなと思うようになりました。私が入ったときは上手くいかないことがたくさんあって、もっと苦しかったんです。これまでは、その苦しみを双子にも体験させないようにと気を使って「これは言わないほうがいいや」と思っていたんですけど、それだと5人の絆が深まらなくて。双子を苦しませたいとは思っていないんですけど、もっと違うやり方があったなって後悔しています。
──なるほど。
ナ前ナ以 : このままだったら東名阪ツアーがスッキリして終われないなって思っちゃって。でも、このことをメンバーに伝えたら理解してくれました。
──それは、ナ前ナ以さんが気を使いすぎたんだね。
ナ前ナ以 : そうですね。実力は伸びているんですけど、ツインズも私たちもパフォーマンスに信頼をおけない気がしたんです。同じグループなのに他人と活動しているみたいになっちゃダメだし、苦しくなさ過ぎて逆に苦しくなっちゃって、このままじゃダメだと思いました。本当に、楽しくやってもらうのがいちばんなんですけど、自分は履き違えていたなと思っています。