学歴について、どれくらい重視して考えるべきか。学歴研究家のじゅそうけんさんは「日本はバリバリの学歴社会である。多くの大企業は『マーチ以上』に設定された暗黙のルールをとりあえず設けている。野球の大谷翔平選手や将棋の藤井聡太竜王・名人など、常軌を逸した才能の持ち主でなければ、無難にできるだけ難関の大学に行っておくべきだ」という――。

※本稿は、じゅそうけん『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

仕事の面接
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職業や所得、社会的権威が学歴によって決まる社会

中学受験にしろ、高校受験にしろ、成功すれば良い学歴が手に入ります。そもそも論として、「学歴」とはなんなのでしょうか。

一般的に学歴とは個人の学業上の経歴を指すもので、主に小学校、中学校、高校、大学、専門学校、短期大学、高等専門学校、大学院の経歴を示す場合が多いです。最後に卒業した学校歴は「最終学歴」と呼ばれます。

また「学歴」をもとに職業や所得、社会的権威が決まる社会のことを「学歴社会」と呼びます。現代では就職の際、その人の最終学歴が応募の条件になっているなど、学歴によって職業選択のパスポートを得られることは常識ですが、近代以前の社会では身分、家柄、財産、縁故といった要素が大きな割合を占めていたと言われています。

日本においては明治時代以降、近代的な官僚制度が誕生し、官僚たちに学歴や学力試験が要求されたことから、学歴社会の基礎が築かれたというのが定説です。1872年には学制が発布され、大学区、中学区、小学区に1校ずつ学校が設置されました。

1877年には当時日本で唯一の大学であった東京大学が、20年後の1897年には京都大学が設立されました。

大学は北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の7校の他に、台湾にあった台北大学、韓国にあった京城大学を合わせても9校しかありませんでした。大正時代に入ると大学令により日本最初の私立大学が認められ、福沢諭吉が設立した慶應義塾や、大隈重信が設立した早稲田が正式に私立大学として発足しました。