朝ドラにヒロインが“ほとんど登場しない”週を入れた理由とは? 『おむすび』制作陣に聞く

朝ドラにヒロインが“登場しない”週がなぜ?

 NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。

 第16週では、結が本格的に管理栄養士国家試験に向けて勉強をスタート。職を失い困るルーリー(みりちゃむ)をチャンミカ(松井玲奈)に紹介すると、「結は育児と勉強に集中してもらい、しばらくここからは神戸の米田家の日常を見てみましょう」とのナレーションが入り、その後は歩(仲里依紗)を中心に物語が描かれてきた。

 “ヒロインがほとんど登場しない”というチャレンジングな構成について、制作統括の真鍋斎は「第16週、17週はイレギュラーな週かと思いますが、決して思いつきでやったわけではなく、当初から予定していた展開です」とし、「これほど長いスパンで放送されるテレビドラマは、今の日本では朝ドラと大河くらいです。いろいろなアプローチの仕方があるとは思いますが、こういったドラマを世界的に紐解いたときに、やはりそのメリットは“主人公だけではない、いろいろな人たちの背景を描けることではないか”と。思い切ってそこを集約させて描写してみてもいいのではないかというのが、この構成を用いた最大の狙いです」と語る。

 『第75回NHK紅白歌合戦』の司会をはじめ多忙な橋本のスケジュールを考慮した構成なのでは、とも勘ぐってしまうが、真鍋は「司会になってくれたらいいなとは思っていましたが、それを知ったのはみなさんと同じタイミングです。ですから、『紅白歌合戦』の司会はまったく影響していません。ただし、橋本さんの1年間のスケジュールをやりくりする、ということは当然ありまして。他の出演者の方も含めた全体のスケジュールの中で、今回のやり方が収録的にも進めやすく、物語的にも筋が立つと考えて、このタイミングにしました」と内情を明かした。

 これまでにない大胆な手法によって、より深く描かれることとなった阪神・淡路大震災から時を経た人々の思い。

 真鍋は「阪神・淡路大震災から10年ほど経った頃には神戸でも商店街の復興はされたようですが、そこからまた5年、10年と時が経つ中で、なかなか昔のような活気のある商店街には戻らない、と。つまりは街が元に戻ったから、それで万々歳というわけではないんです。取材を通して、そんな側面が現れてくる時期だとわかりましたので、そういった商店街の方々や、阪神・淡路大震災で深い傷を負った歩を中心に描くことにしました」と説明する。

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