舌で知る体の状態を診る舌診とは
舌診とは、東洋医学にある体の状態をみる診察方法の一つです。
舌には人体の様々な状態が現れます
舌を毎日観察することで、自分の体がどのような不調に陥りやすいか、その時はどの様に対処すれば良いのかがわかるようになると、日常生活の過ごし方も変化してきますよ。
この「カンタン東洋医学」シリーズでは、東洋医学を生活に取り入れるために不要な部分を削いで簡素化したものです。東洋医学を専門的に学んでいない方を対象にしていますので、すでに知識をお持ちの方がお読みになると物足りない内容となっているかもしれません。
しかし、難解な文言を簡素化すると、案外本当に大事な部分のみが残るもので、新たな「気づき」も得られるかもしれませんので、よろしければお付き合いください。
今回ご紹介するのは
⑤淡白舌(たんぱくぜつ)
⑥嫩(どん)
の二種類となります。
「淡白舌」とは
淡白舌の特徴
淡白舌とは、下のイラストの様に、通常時よりも舌全体が白っぽい状態のことを言います
通常の健康時の舌は
①と②の様に、やや薄いピンクから少し紅みがかったピンク色をしており、舌全体に白い苔がうすく乗っている状態が健康時の舌と言われています。
「淡白舌」はこの健康舌よりもさらに薄い色になっており、全体的な印象としては「白っぽい」に近い印象となります。
カンタン東洋医学 第一回(舌診①) これから少しずつ、難しくてとっつきにくい東洋医学を、日常生活でも応用できるように、簡単に解説していこうと思います。 第一回の今回は、舌を見て体の状態を知る、「舌診」です。 舌診とは?[…]
淡白舌が現す体の不調
この淡白舌は、「体を温めるエネルギーが失われた状態」を意味しています。
東洋医学では「気虚」もしくは「陽虚」といわれる状態です。
見られる体の不調
・喉の渇きが少ない
・大便が泥状、もしくは水様便となる
・精神衰弱・倦怠感
・少食、息切れ、顔色が白い、暑くないのに汗が止まらない等
淡白舌の時の対処法
気虚・陽虚の原因は、簡単に説明すると「エネルギー不足」です。
エネルギー不足の原因は、過労・長期間の不調・飲食の不摂生等が挙げられます。
偏った食事は体の内部の循環を失調させ、冷えを生み出してしまいます。
また、過労も同じく、エネルギーを過剰に枯渇させて冷えを生み出してしまいます。
対処法は、栄養バランスの取れた食事と、適度な休息です。
しかし、これがなかなか難しい。
人間、自分の優先順位はいつも最下位にありますから、無理に無理を重ねてしまいがちです。
自分ではまだいける!と思っていても、体はあなたの不調をしっかりと表してくれているのです。
体の声に耳を傾けて、少し休みましょう。
「嫩」とは
これは「嫩」どん、と読みます。
イラストの様に、舌全体が口の幅よりも大きいかのようにデロンッとした印象の舌です。
「嫩」が現す体の不調
嫩が現す不調も淡白舌と同じ「エネルギー不足」ですが、淡白舌よりもやや不足の度合いが進行しているといえます。
体の、(エネルギー=気)には、体をしっかりと内側に引き締める力が働いています。(気の作用については、いずれお話しします。ここでは「あぁそうなんだ」という程度で読んでいただいて大丈夫です。)
この嫩は(エネルギー=気)の力が弱まったため、引き締め作用も弱くなり、舌がデロンと大きくなってしまっていると考えられています。
見られる体の不調
・寒がり、手足の冷え
・精神虚弱、倦怠・無力感
・肌が湿っぽい
嫩の時の対処法
嫩は、淡白舌よりもさらに進行したエネルギー不足といえますので、早急な休息が求められます。
なぜならば、体の不調だけでなく、精神にまでその疲労感が波及してしまっていることが少なくないからです。
精神の疲労感は、一度慢性化してしまうと回復させるのに時間がかかります。
その前に、肉体を回復させて、滋養してあげましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか?
当てはまる舌はありましたか?(あると困りますが…)
鍼灸治療は、この様なエネルギーに作用して回復を促す施術を大変得意としています。
東洋医学の思想に「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があります。これは
というものです。
精神と肉体は分けて考えることはできず、お互いに関係している。ともいえます。
つまり、精神の疲労は肉体の疲労を回復してあげることで、自ずと回復するということです。
「心の疲れをどうしたらいいかわからない」という方は、一度騙されたと思って当院に足を運んでください。
来た時よりも心が軽くなっていることを実感していただけると自負しております。
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それでは、これからジメジメしたシーズンが到来しますが、皆様体調管理に気をつけてお過ごしくださいませ。