大型複合施設に入る本屋といえば、おおむね「TSUTAYA」と相場が決まっている。特に都内は多く、渋谷スクランブルスクエアに行っても、銀座シックスに行っても、六本木ヒルズに行ってもどっこもTSUTAYA。まるでTSUTAYAが結界を張ったかのごとく、他の書店が入る隙さえない。
……と思っていたが! 2023年11月24日にオープンした麻布台ヒルズに入っている書店は、TSUTAYAじゃない! 関西発祥の「大垣書店」が入っているのである。実際に行ってみたところ、もしかして大垣はTSUTAYAの牙城を崩せる!? と思ってしまった。
・日本一高いビル
麻布台ヒルズは中央に公園を有する巨大な複合施設だ。メインタワー・東棟・西棟・麻布台ヒルズガーデンプラザで構成されており、施設内にはオフィス・住宅・店舗・インターナショナルスクールやホテルなどなど。余裕で迷子になれる広大さである。
特にメインタワー(麻布台ヒルズ森JPタワー)はトンデモないデカさで、地上64階・地下5階建て。高さ325メートルで、すぐ近くにある東京タワーに匹敵するのだとか。
2014年、大阪にあべのハルカス(高さ約300メートル)が誕生して以来、関西に奪われていた「日本一高いビル」の座を、このメインタワーの誕生によって東京が獲り返したとのこと。
しかしまあ、こんな街のなかによくこんなデカいものを……。東京タワーと同じ高さとは、いやはや。上階に住む人は、まさに天上人のようだな。
・京都発の大垣書店
ここも六本木や表参道、虎ノ門などの他のヒルズと同じく、たくさんのお店が出店しており、その数約150店舗。来年春までにすべてのテナントの出店が出揃うそうだ。高級ファッションブランドの出店に先駆け、飲食店は開業と同時に営業を開始している。
飲食店も気になるけど、私(佐藤)が注目したのが今回紹介する大垣書店である。というのは、先に述べたように、都内はTSUTAYA一強時代が続いており、この手の大型商業施設で他の書店をほとんど見たことがない。
TSUTAYAのお膝元だといってもおかしくない東京で、京都に本社を置く大垣書店が入ることができたのには何か理由があるのだろう。それを確かめるためにやってきた。
お店はメインタワーのタワープラザ4階にある。中央の吹き抜け部分を囲うようにして、書棚やギャラリーが配置されており、売場面積は約300坪に相当する。
通路が広く、棚と棚の間隔が広いのでゆったりと本を探すことができる。棚の各段にライトを備えているので、本の背表紙の文字が読みやすいのが良い。
街の書店に比べると上質な雰囲気を演出しているけど、先に挙げた点を除けば銀座や六本木のTSUTAYAとそれほど大きな違いはない気がする。
「ちょっと違うな」と思ったのが、フリーの読書スペースだ。店内にいくつか椅子を設けており、まるで図書館のようにゆっくりと本を楽しむことができる。
ギャラリー裏のスペースは、眼下にヒルズの公園が広がっており、解放感があっていいね。
・書店のバー!
もっとも印象的だったのが、カフェ & バー「SLOW PAGE」だ。書店にバーがあるって最高じゃない?
メニューはビール・ウイスキーなどのアルコール類に……。
コーヒー・紅茶などのソフトドリンク。それからスナック類にカレーも用意されている。
コーヒーはドリップではなく、注文ごとに目の前で抽出するサイフォン式だ。
サイフォンコーヒーは税込800円で2杯分である。こんなキレイな書店のバーで、ページをめくりながらコーヒーを飲むって、とっても贅沢。この環境で2杯分800円は安い。1杯1000円でもおかしくないよ。
この日は特に読みたい本がなかったので、本に囲まれながらその雰囲気を楽しみつつコーヒーを飲んだ。それでも十分に満足。夜なら肴がなくても、書棚を見ながらウイスキーで心地よく酔えそうである。
TSUTAYAとはひと味違った大垣書店。今後都内でさらに店舗を増やすことになるのだろうか? できれば、バー併設の店舗を出店してほしい。これからが楽しみだ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 大垣書店 麻布台ヒルズ店
住所 東京都港区麻布台一丁目3番1号 麻布台ヒルズ タワープラザ4階
時間 11:00~20:00
定休日 なし(施設に準ずる)
参考リンク:大垣書店
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]