ジャンボ! 今回もまたケニアのポテト事情を紹介するポテト通信だよ。
今回行ってみたのは『Fry’z Inn』って名前のフードコート……みたいなお店。いろんなお店が入っているんだ。
中に入ると、1人の女性スタッフが走ってきて、私を優しく出迎えてくれた。そしてスタッフは息を切らせながらこう言った。
「どこのお店を選んでもサービスしますよ!」と。やっぱりフードコートみたいな施設っぽい。彼女はおそらく注文取りだ。
私が選んだのは、『ムード スウィート デリシャス(mood sweet delicious)』ってお店。そのことを女性スタッフに告げると、彼女はニヤリとしながらこう言った。
「新鮮なものを食べると新鮮な気分になりますよね」。
深い言葉なのか浅い言葉なのかよくわからないけど、私は「そうだね」と相槌を打った。
そんな『ムード スウィート デリシャス』で私が選んだのは、もちろんポテト。女性スタッフに「ポテトだけを注文したい」と告げると、彼女は嬉しそうにこう説明してくれた。
「ポテトには、とても熱いスープが付きます。そのスープは牛の骨から作られていて、よく煮込まれているので実にデリシャス。スープは1杯50ケニアシリング(約60円)、ポテトは100kes(約120円)です!」
しかし私には、スープ不要。なぜならば、私のポケットの中には100kesしか入っていなかったから。恥ずかしながら、そのことを彼女に伝えると、急に真顔になってこう言った。
「それしか無いのですか……。そうですか……。まあ、たぶんポテトは買えるでしょうけど、とにかく、この店に来る時は、ありったけのお金を持ってきたほうがいいです。なぜならば、この店で食事をするとき、支払うお金が無いとわかると、警備員やレストランの店員たちに殴られるので」
なんなんだよそのシステム。めちゃくちゃバイオレンスだな。でもまあ、それだけ無銭飲食がケニアでは問題になってるってことの裏返しでもある。いずれにしても、私は100kesしか持っていないので、あらためて女性スタッフに
「殴られたくない。暴力は反対だ。どうかポテトだけ頼むことはできないか」
と懇願した。彼女は「わかりました。かけあってみます」と、『ムード スウィート デリシャス』へと消えていった。
交渉はうまくいったようで、やがてポテトがやってきた。たくさんのサラダが付いているポテトだった。
いざポテトを食べてみると、
まずかった。
しかし、サラダはうまかった。とても新鮮な野菜を使ったサラダだった。
ふと女性スタッフを見ると、相変わらずニヤリとしながらこちらを見ていた。その顔は、「お味はどう? どんな気分?」と言っているようだった。
私は彼女の言葉を思い出した。
「新鮮なものを食べると新鮮な気分になる」──。
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
▼おそらく鍋の中にあるのが牛骨スープだ。
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