17日発売の漫画雑誌「モーニング」(講談社)に掲載された「社外取締役 島耕作」に名護市辺野古の新基地建設への抗議参加者がアルバイトで日当をもらっているという表現がある問題で、作者の弘兼憲史氏は20日、東京都内で琉球新報の取材に「(講談社から)何も言うなと言われている」とした上で「裏を取るというか、知り合いから聞いたので書いた」と語った。抗議活動にアルバイトで参加して日当をもらった人がいるという事実は確認されていない。
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弘兼氏は「知り合い」について「沖縄に住んでいる方」だと述べた。詳しい経緯については「会社対応という形になる。かなり正式に抗議されているみたいなので」と話した。
弘兼氏は20日、東京都の早稲田大学で講演し、漫画「島耕作」シリーズを続けてきた経緯などを話した。作中に登場する場所に実際に訪れて詳しく取材した上で描いていると説明。国外でも企業関係者らのつてを通じて取材し「放送や新聞でも描かれない、人にあまり分からないような情報まで取材できた」などと語った。
政治家を題材にした作品「加治隆介の議」にも触れ「どこかの政党を描くと反対派の人からクレームがいっぱい来る」と述べ「反対派の意見も3割ぐらいで入れた。政治漫画としてはよくできた」と振り返った。
今回「社外取締役 島耕作」で批判が集まっているのは、日当を受け取って抗議に参加したと登場人物の女性に語らせている場面。バランスを取るかのように辺野古工事現場の周辺海域で監視活動に従事する漁船についても言及させている。
抗議行動参加者に日当が支払われているという言説は、過去に同様の内容を放送した番組について「根拠として薄弱」とする司法判断が示されている。
(明真南斗)