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「ミドルウェアを駆使してお客さまのニーズに応える」さくらのレンタルサーバを作るインフラ開発エンジニア

現在、50万を超えるユーザーにご利用いただいているさくらのレンタルサーバ。WordPressを簡単にインストールできる「クイックインストール」や無料SSLをはじめ、Webサイトを作成するうえで便利な機能を提供しています。個人から法人、Webサイト運営初心者から上級者まで、幅広いお客さまにご愛用いただいているサービスです。

 

本記事では、さくらのレンタルサーバの開発・運用に携わるエンジニア2人へインタビュー。普段の業務や、さくらインターネットのエンジニアとして働く魅力などについて聞きました。

(写真左)山本 真史、(右)井澤 隆

山本 真史(やまもと まさふみ)プロフィール

2008年入社。これまでにデータセンタースタッフ、サーバー監視チームなどの業務を経験、現在はクラウド事業本部 インターネットサービス部 コンテンツ配信グループ マネージャー。

井澤 隆(いさわ たかし)プロフィール

2008年入社。新卒入社以来、さくらのレンタルサーバの運用に従事。現在、さくらのレンタルサーバの開発・運用を担うチームのリーダーを務める。

さくらインターネットを選んだ理由

――これまでのキャリアについてうかがいます。おふたりとも2008年にさくらインターネットに入社されていますね。

山本 真史(以下、山本):はい。入社してすぐはデータセンターのスタッフとしてオペレーションやお客さま対応を2年ほど経験したあと、サーバーの監視をしているチームに異動しました。 さらに、そのあと大阪から東京に転勤して、東京の開発第二チーム(レンタルサーバーの開発チーム)に異動していまに至ります。

 

――井澤さんは、入社以来ずっとさくらのレンタルサーバの運用をされているんでしょうか?

井澤 隆(以下、井澤):そうですね。入社してすぐはレンタルサーバーを扱っているサーバーチームというところに配属されて、その後、部門が開発と運用に別れるタイミングでレンタルサーバーの運用担当になりました。それ以来ずっと運用を担当しつつ、いまは開発と運用が同じチームになったので、そこでリーダーをしています。

 

――さくらインターネットに入社した理由をお聞きしたいです。

山本:入社のタイミングは井澤さんと同じですが、私は新卒枠ではなく契約社員として入社しています。高卒なので、そもそも応募枠がなかったのですが、学校から問い合わせてもらったところ、契約社員ならということで、選考を受けさせてもらいました。

もともと、高校生のころに自宅にサーバーを立てて、自分で利用しつつ、使いたい人にWebスペースとして貸し出す、ホスティングサービスに近いことをやっていたんです。さくらインターネットに応募しようと思ったのは、「自分がやっているようなことが仕事でできるんだ」と思ったからです。

 

――井澤さんはなぜさくらインターネットを選んだのですか?

井澤:情報系の大学に通っていて、就活のタイミングで関西にあるIT系の企業を探していたところ、さくらインターネットを見つけました。当時はそれほど大きな会社ではなかったのに、バックボーンの規模が日本一というところに興味を持ちました。

その後、選考に進んだのですが、面接のタイミングで会社を見学する機会があり、社風が自分に合っていると感じました。さくらインターネットで仕事をしているイメージができたのが、入社理由としては大きいですね。

レンタルサーバーを動かし続けるインフラ開発エンジニア

――現在、お二人が業務で携わっているサービスについて教えてください。

山本:インターネットサービス部のメインはさくらのレンタルサーバ・マネージドサーバといわれる、お客さまにroot権限(サーバーの管理者権限)をお渡ししていない共有ホスティングサービスです。付随して、チーム内では独自ドメインやSSL証明書などのサービスを提供するための開発やインフラの準備をしています。

 

――具体的な業務としてはどういったものがありますか?

井澤:さくらのレンタルサーバの場合、サーバーの物理的な部分から、 エンドユーザーへのサービス提供のところまでを一貫して扱っています。

さくらインターネットが提供しているほかのサービス、たとえばさくらのクラウドなどのroot系といわれる(お客さまにサーバーの管理者権限をお渡ししている)サービスは、サーバー自体をお客さまに提供したら、あとはお客さまの用途に合わせて使っていただくものです。

一方、さくらのレンタルサーバは、コントロールパネル上でWebサーバーやFTP、メールなどが使える設定までを提供するサービスです。

 

業務としては、まずサーバーの物理設計。具体的にはサーバーの設定、データセンターに入れるためのラックの設計、ネットワークの設計です。ネットワークの設計は、ネットワーク部門と協力しながら取り組んでいます。あと、サーバーのセットアップを自動でできるような設計や開発をしています。

サービスとしては、OSやソフトウェアの部分をホスティングサービスとして扱えるようなチューニング、どういった形でお客さまに提供するかといったコンフィグの設定ですね。お客さまご自身がおこなった設定変更をうまく反映できるよう、設定の自動投入プログラムの作成もしています。

さらに、利用者が増えるとサーバーが足りなくなったり、サーバーの障害も発生するので、滞りなくサービス提供できるよう、構築スケジュールを管理したり、構築プログラムの設計・開発、アラート対応のオペレーション手順の整備をしています。アラートの一次対応は別のチームにやっていただいていますが、二次対応は私たちがやっています。

 

山本:運用設計もすごく大事な業務です。サーバーの監視において、たとえばこういった条件でアラートを発報し、障害として対応が必要とみなすといった設計ですね。

さらに、アラートが発報されたあとどういった対応をするか、付随するオペレーションに関する手順やフローの作成をしています。

 

――インターネットサービス部では、ウェブアクセラレータ(CDNサービス)も扱っていますが、これは別のチームでしょうか?

山本:はい。私たちレンタルサーバーチームではなく、同じ部門内のコンテンツ配信チームです。

さくらのレンタルサーバにコンテンツブーストという機能があるのですが、ウェブアクセラレータの機能をさくらのレンタルサーバでも使えるように、部門内で協力して実装しました。そういった部門内でのサービス開発もたまにありますね。

 

――さくらインターネットのほかのサービスを提供しているチームとの違いはどういったところでしょうか?

山本:VPS、専用サーバー、クラウド(IaaS)は、OSの手前まで提供して、OSから上のレイヤーはお客さまが自由にカスタマイズできるサービスです。一方、私たちインターネットサービス部で提供しているサービスは、OSの上の部分まで作って提供しています。

Webやメールのホスティングをするサービスなので、ほかのチームにくらべるとミドルウェアのレイヤーを触ることがより多いかもしれません。

具体的な話をすると、Webサーバでは Apache、Nginx、メールサーバでは Sendmail や Courier-IMAP、FTPサーバは ProFTPD、データベースサーバーは MySQL など、さまざまなミドルウェアの検証やチューニング、不具合の調査などをしています。

サーバーも、さくらの専用サーバ、さくらのクラウドなど自社サービスを組み合わせて利用したり、サーバーを選定して自分たちで物理環境を設計したりして使っていますね。

 

――これまでのお話で、業務の範囲がかなり幅広いなと思いました。

山本:物理の作業もありますし、それ以外にもレイヤーの高い作業もありますし、本当にインフラ開発エンジニアと言ってもいろいろな人がいます。物理の検証、ラックの設計といった本当に物理に近いことが得意な方もいますし、WebサーバーのモジュールをC言語で書いている方もいます。

さくらのレンタルサーバは、お客さまがコントロールパネルからボタンをクリックするだけで設定が入ります。ということは、そういったプログラムが必要なので、コントロールパネルはアプリケーションのグループが作っていますが、サーバーのミドルウェアに設定が入る最後の部分は私たちのチームで作っています。そういう意味ではコードを書いてる人もいますし、本当に幅広いですね。

 

――インフラ開発エンジニアとして、大変なところややりがいについて教えてください。

山本:少し設定を変えただけでお客さまに影響が出てしまうことはあるので、大変ではあります。さくらのレンタルサーバは、10年以上継続してご利用いただいているお客さまも多いので、各種のバージョンアップの際などは、影響が少なくなるよう工夫をしていますね。なので、実際に本番環境に導入するまでに時間がかかることもあります。

ただ、とくに問題なくリリースできたときは、エンジニア冥利に尽きるというか、「これをやるためにエンジニアやってるんだよね」という感覚はあります。当たり前に動いているものを当たり前に動かし続けることに苦労はありますが、やりがいは感じています。

お客さまから得られる新たな発見

――物理からミドルウェアまで、さまざまな知識が必要になるとのことですが、どのように知識を身につけてこられたのでしょうか?

山本:仕事の中で身についた知識のほうが多いですね。もちろん幅が広い分、自分で勉強することもありつつ、仕事を通していろいろなものに触れる機会があるので、自然と知識が身につく環境ではあるのかなと思います。

 

たとえば、お客さまからのお問い合わせ対応は学びがたくさんあります。基本的にはカスタマーサポートの方がお客さまの対応をしていますが、「これって仕様としておかしくないですか」というような技術的な内容は、私たちエンジニアにエスカレーションされます。中にはこちらもがんばって調べないとわからないもの、私たちにとっても「こんなことあるの?」というものが結構あるんですよね。

そういった発見から調べていって知識がついたり、「このお客さまがこんな使い方してるんだったら、ほかのお客さまにもこういう提供の仕方ができるんじゃないか」とか、そういうところから得られることはたくさんあります。

 

井澤:そうですね。お問い合わせをきっかけに「こういうことがあるんだ」と知れる機会は多いと思います。

リモートワークで情報共有がスムーズに

――リモートワークを続けている中で、チームでのコミュニケーションはどのようにとられているのでしょうか?

井澤:基本的には、メンバーで週に1回、進捗を共有するミーティングがあります。部全体では、月に1回、オンラインでミーティングをしていますね。

それとは別に、来期に向けてさまざまなプロジェクトが走っているので、その開発に関しては都度Slack(チャットツール)などで気軽に相談したり、適宜Zoomで共有しながら取り組んでいます。

 

さくらのレンタルサーバの関係者は、もちろんエンジニアだけではありません。企画のメンバーやアプリケーションエンジニアといった方々もいて、お互いに意見を出しあいます。どんなサービスにしていくか、どういった機能があったらいいかなどを都度検討しながら、開発や改善を進めています。

あとは監視部門や、お客さまからのお問い合わせに対応いただいているサポート部門とも定期的に意見交換をしたり、お互いに積極的に情報を出しあったりして、より良い運用を目指しています。

 

――リモートワーク前提の働き方になってから、変わった部分はありますか?

井澤:なにか問題が起きたときの共有がとても早くなったと思います。口頭で共有されるとテキストとして残らないし、その場にいないと把握できないことが多いですよね。

リモートワークになってからは、物理的に離れているので、逆にテキストでのやりとりや、Zoomで話したこともしっかり共有するようになりました。あとから見直して「あのときこういうことをやったな」と、きちんと把握できるようになったのはいい変化でしたね。興味があれば、誰でも情報を見つけられる状況になったと思います。

 

山本:リモートワークは、最初はしんどいかなと思っていましたけど、やってみれば意外となんとかなるものですね(笑)。もともとレンタルサーバーの開発チームは全員大阪にいたのですが、最近は北海道から九州まで、いろいろな地域に住んでいる人が増えました。どこにいても仕事ができるようになったのはいいことだと思います。

反面、いまだに会ったことがない人もいるので、そのあたりは課題ですね。今後は実際に会う機会もつくりたいと思っています。

お客さまの「やりたいことをできるに変える」を実現したい

――今後、チームとして目指していることは何でしょうか?

井澤:直近だと、サーバーのリプレイスですね。2022年にさくらのレンタルサーバーは大幅にリニューアルしたのですが、大量のサーバーを管理しているので、すべてのお客さまをリニューアル後の環境に移行できていません。

すべてのお客さまに新しい環境で使っていただけるよう、リプレイスをしっかり進めていくのが大事だと思います。そのタイミングで、より効率よくパフォーマンスできる環境を開発・検証していく。そこに力を入れていきたいです。

 

あとは、そういったインフラ部分だけでなく、運用の自動化や、カスタマーサポートチームと連携して、お客さまへのサポート改善にもより一層取り組んでいきたいですね。目指していることというか、いまやらなければならないことだと思っています。

 

――これからチャレンジしたいことについて教えてください。

井澤:さくらのレンタルサーバは、本当に幅広いお客さまに使っていただいているサービスです。Webやメールのホスティングといったコアな機能だけではなく、それ以外にも、お客さまの”やりたいこと”を簡単に”できる”に変えることができる、そんな機能を増やしたいと思っています。

お客さまの「やりたいことをできるに変える」をもっと実現できるよう、Webとメールだけではない価値を提供できるサービスにしたいですね。

インフラ開発エンジニアの魅力

――一緒に働きたいと思うのはどういった人でしょうか?

山本:ミドルウェアを駆使してお客さまのニーズに応えたいという気持ちがある方とぜひ一緒に働きたいですね。自分の知識やできることの幅を広げたい方、いろいろなことを貪欲に吸収したい方は、活躍できると思います。

 

レンタルサーバーというと、歴史のあるサービスなので、古いことばかりやっていると思われてしまうのかもしれません。じつは、それは当たらずとも遠からずで、古いこともやりますし、新しいこともやる必要があります。

さくらのレンタルサーバには、物理サーバーもクラウドで動いてるものもあります。ミドルウェアも触る必要があって、FTPサーバー、メールサーバー、Webサーバーなど、お客さまに提供するためのさまざまなものに取り組むので、幅広い知識が必要になります。

もちろん、全部わかるというスーパーマンは存在しないと思いますが、やってみたい気持ちがある、なにか強みを持っている方はたくさんいると思います。

サーバー運用が好きであることももちろん大事ですが、インフラを運用しながらサービスをより良いものにしたい、お客さまによろこんでもらえるサービスや価値を提供したい、そしてそこに喜びを感じられる方がいいですね。

 

――さくらインターネットで働く楽しさや魅力は何だと思いますか?

井澤:物理の部分からサービス提供やサポートまでを社員で一貫してやっていますので、さまざまな意見を多く聞けたり、それぞれの部分で能力を発揮できる機会があることだと思います。さくらインターネットの中にもいろいろなサービスがあるので、横のつながりもありますし、インフラのみならず非常に幅の広い業務ができることが魅力です。

 

山本:Twitterなどでお客さまの反応を知ることができるのは大きいですね。それは、顧客数が多いからこそなのかもしれません。もちろんお叱りを受けることもありますが、良い反応をいただけると励みになります。

 

あと、井澤さんも言っていたとおり、自分次第でかなり幅広いレイヤーに関わることができます。私は”自称サーバーエンジニア”ですが、データセンターに行って物理作業をすることがあります。また、ネットワークの設計に一緒に入ったり、リニューアル前の旧コントロールパネルではコードを書いたりもしていました。

企画にエンジニアが関わることも多いので、そういう意味では”サービスを全部見るエンジニア”ですね。関われる幅が広いのはさくらインターネット特有なのかなと思います。

 

 

インフラ開発エンジニア採用情報

 

執筆

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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