もともとは保存食として作られていた

昔、ひなまつりには多種類の餅をたくさん作りました。それは、ひなまつりが農作業が忙しくなる前の時期だったため、保存がきく間食としての食を作って貯蔵する期間でもあったのです。

餅は水がめの中で水に浸して保存していました。長く浸しすぎた餅は、水っぽくてまずかったそうです。

型いろいろ

木型には、いろんな種類があります。

昔ながらの扇、菊、魚(たぶん鯛)、カブなどに交じって、丸型ポストやドラ●も●という、ひなまつりに関係のないものまである不思議……。

丸型ポストの型を「赤色の餅があまった時に便利なんです」と名古屋市民。え? そんな理由!?(笑)

木型に入れて作ったおこしもんは、素朴でほっとする味と食感。砂糖醬油を付けて食べます。

昔は精米時に欠けたりしてしまった「くず米」が材料に使われていました。ムダなく使い切る心を感じながら食べてみて。
昔は精米時に欠けたりしてしまった「くず米」が材料に使われていました。ムダなく使い切る心を感じながら食べてみて。

名の由来とレシピ

おこしもんは「おしもん」「おこしもち」「おしもち」などとも呼ばれます。

その名の由来は、作り方の中に答えがあります。

【おこしもんレシピ】
①米粉を熱湯でこねる
②色粉を用いて4色の餅を作る(白は多めに作る)
③型に4色を適当に詰める(上から白をかぶせる)
④上からギュッと押す
この押す作業から
「押し物」「押し紋」→おしもん となった説
⑤型を机などに打ちつけて餅をはがす
この作業が餅を起こしているかんじなので……
「起こし物」→おこしもん となった説
⑥蒸し器で蒸したら完成
蒸し上がると色粉の色がめちゃくちゃ鮮やかに!

昔はひなまつりになると、近所のあちこちの家から、型を打ちつける「ゴンッゴンッ」という音がよく聞こえたそうです。

取材・文・イラスト・写真=松鳥むう