SCORMとは
eラーニングの世界標準規格スコーム
SCORM(スコーム)
SCORM(スコーム)とは Sharable Content Object Reference Model(共有可能なコンテンツオブジェクト参照モデル)の略称です。
eラーニングにおける共通化のための標準規格のことです。
- SCORM(スコーム)とは
- SCORM(スコーム)とは、Sharable Content Object Reference Model(共有可能なコンテンツオブジェクト参照モデル)の略称で、eラーニングにおける共通化のための標準規格です。
- こんな方におすすめ
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- SCORMのeラーニングでの役割など、技術的な情報を知りたい。
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SCORMの歴史
SCORMの生い立ち
SCORMは、米国のADL(Advanced Distributed Learning)という標準化推進団体により定義・公開されており、eラーニング共通化規格として、事実上の世界標準となっています。
SCORMの登場以前は、AICC(航空産業CBT委員会:Aviation Industry CBT Committee)が策定した規格などが利用されていましたが、現在のeラーニングではSCORMを基本とした製品が一般的となっています。
ADLとは?
ADL(Advanced Distributed Learning)とは、アメリカの国防総省や連邦政府により設立された、学習の仕様や設計を取り決め促進させるための標準化団体です。
学習環境を共通化することで、相互運用やコスト削減などを推進できるよう、SCORMの仕様策定など活動しています。
日本での普及
日本では、デジタルラーニング・コンソーシアム(DLC)が中心となり、SCORMの標準化を推進しています。
デジタルラーニング・コンソーシアムでは、SCORM規格の普及活動のほか、SCORM技術者資格とよばれる専門家の認定や、講習会などのコミュニティ活動など、幅広い活動を行っています。
日本ではあまり馴染みがないつづりのためか、「SCROM」「SCORN」などの誤記が多く見られます。
デジタルラーニング・コンソーシアム(DLC)とは?
デジタルラーニング・コンソーシアムとは、日本でのeラーニングの普及に向けて活動している、特定非営利活動法人です。
SCORMの認証制度も実施しており、SCORM技術者資格とよばれる専門家の認定も行っています。
SCORMのバージョン
現在一般に利用されているSCORMのバージョンは、SCORM 1.2とSCORM 2004の2種類です。1.2の次期バージョンとして1.3もありましたが、正式採用されず2004が策定されました。
SCORM 2004は1.2から機能が多数追加され、1.2では作ることのできなかった「学習の順序分け」や「データの共有」が可能になり、より効果的な学習スタイルを設計できます。
詳細はSCORM 2004 連載記事にてご紹介しています。
SCORMの目的
4つの目的
SCORMは
- 学習コンテンツの再利用性(reusability)
- アクセス可能性(accessibility)
- 耐用性(durability)
- 相互互換性(interoperability)
を目的に設計され、学習コンテンツ(学習教材)と学習管理システム(LMS:Learning Management System)の総合的な運用性を高めるために策定されています。
SCORMの利点・メリット
ネットワークを使った学習では、学習コンテンツの配信をLMS(学習管理システム)が行い、受信を学習端末(PCやモバイル端末など)が行います。
LMSと学習端末の関係は、学習環境の提供もさることながら、学習履歴の保存と送信としての役割もあります。
このようなeラーニングに関する規定は複数存在し、それらは必ずしも互換性はありませんでした。
たとえば下図のように、A社とB社のLMSで採用している規格が異なると、学習コンテンツはそれぞれのLMSでしか利用できません。LMSを新しくしたり、異なるシステムで学習コンテンツをそのまま利用できない弊害が発生します。
このような弊害をなくし、学習コンテンツとLMSとの通信を統一化して、両者の総合運用性を高める事を目的としているのがSCORMです。
SCORMの仕組み
SCORMとは、どのような仕組みになっているのでしょうか。
SCORMは大きくわけて、ランタイム環境とコンテンツアグリゲーションの2つ側面から説明できます。
ランタイム環境
前述したとおり、eラーニングにおいてLMSは学習コンテンツを配信する側にあたりますが、履歴データに関しては保持・保管する側となります。
学習履歴に関する情報は学習コンテンツにより生成され、LMSにより保持・保管されます。
このような履歴データの送受信は、SCORMではAPIアダプタを通じて行うと規定されています。
APIアダプタはLMSが用意し、コンテンツと共に学習環境に配信されることになっています。
履歴データは学習コンテンツによりいったんAPIアダプタに送信され、それからAPIアダプタによりLMSに送信されます。
学習コンテンツがLMSから履歴データを受信する際にも、APIアダプタが中間連絡を行います。
このような役割分担を行うことで、学習コンテンツは通信作法を一切気にすることなく、学習体験を提供できます。
LMSによるAPIアダプタの提供と役割はSCORMで規定されているため、LMSが変わるたびに学習コンテンツを改変する必要はありません。
コンテンツアグリゲーション
SCORMにはもうひとつ、コンテンツアグリゲーションと呼ばれる、履歴通信以外で重要な仕組みがあります。
コンテンツアグリゲーションは、学習コンテンツを流通させるために必要な情報を定義し、検索性や再利用性を高める役割を持ちます。
具体的には、関連するキーワードや制作者、バージョン、紹介文などの情報を、規定されているXMLのフォーマットに記入します。
そのXMLファイルを学習コンテンツと一緒にパッケージ(ZIPファイル)し、LMSに登録します。
LMSは登録されたXMLを解釈し、教材情報一覧を生成します。このようにして登録された一覧情報から、目的に沿った教材を抽出できます。