マーケティングオートメーション(MA)は、顧客対応を効率化する自動化ツールのことを指します。
このツールを活用することで、見込み顧客のデータ分析から販売プロセスの自動化、あるいは現存顧客のエンゲージメントまで、広く販売プロセスを改善できます。
本記事では、MAの基礎から実践的なインサイトまでを解説します。
目次
マーケティングオートメーション〜MA〜とは?
例えば、よく行くお店に入ったとき、対応してくれたスタッフが自分を覚えていてくれたらどう思いますか?さらに自分の好みにピッタリの商品をお勧めしてもらえたら、買い物の満足度が格段に向上しますよね。
また、昔購入したことのあるお店から自分が探していた情報をもらえたり、「以前ご希望されていた商品が入荷しました」と連絡があったら、久しぶりに足を向けてみようかなと思う方も多いでしょう。
マーケティングオートメーション(MA)は、これをデジタルで実現するツールです。
MAの定義と基本機能
マーケティングオートメーション(MA)は、マーケティングチームの作業を自動化するソフトウェアの一種です。
主な機能には、販売メールの自動送信、顧客の行動観察、分析ツール、およびリードスコアの計測が含まれます。これらの機能を利用することで、顧客の関心をモデル化し、最適な解決策を提供できます。
MAが普及した背景と重要性
情報源が一家に一つのテレビやラジオ、新聞だった時代とは違い、今は学生から高齢者まで一人一人がスマートフォンを持つ時代です。
「20代」「女性」「社会人」といったステレオタイプではなく、個人の好みに合わせた情報を選ぶことが可能になっています。「誰もが同じものを見る」のではなく、「誰もが自分だけのものを探す」時代において、MAは個別化されたコミュニケーションを自動化し、大規模な展開も可能にしています。
さらに、探していたサービスの中で最も満足できる価値を与えてもらい、自分では気づいていなかった欲求も解消してくれるとなると「自分のことをわかってくれている!」と顧客はファンへと変化していきます。
これにより、その後の情報発信のチェックやサイト訪問の機会が増え、リピーターになる可能性も高まります。
MAを活用した顧客対応のメリット
顧客情報の一元管理による効率化
MAは、さまざまなタッチポイントやデータベースを統一して一元管理できます。
これにより、顧客の行動や利用状況を正確に把握することが可能になり、データに基づいた一人一人へのカスタマイズ対応を実現できます。
顧客の興味・関心の数値化と分析
ウェブサイトの訪問回数・閲覧テーマ・離脱ポイント・購入サービスと金額など、顧客の行動を数値化してデータを蓄積し、次回訪問時や情報発信に活用することができます。
これにより、適切なタイミングでのフォローアップや、個々のニーズに合わせた提案が行えます。
一度商談をして失注した顧客が半年後にサイトに訪問し、再度サービスのページを何度も見に来ていると担当営業に通知することも可能です。
これは生身の人間ではできない、MAならではのメリットと言えます。
自動化された効果的なメールマーケティング
特定の条件に応じて自動でメールを配信することで、顧客とのエンゲージメントを高められます。
例えば、購入後のフォローアップメールやキャンペーンの案内を自動化することで、顧客満足度を向上させるとともに、リピーター獲得にもつながります。
MA導入による顧客対応の具体的な事例
見込み顧客の育成とナーチャリング
MAを活用することで、見込み顧客に適切なコンテンツをタイミングよく提供し、購買意欲を高めることが可能です。
例えば、特定のページを訪問した顧客に対して関連するホワイトペーパーを提供したり、ウェビナーへの誘導を行うといった施策が挙げられます。
また、お悩みや課題別のコンテンツを事前に作成しておけば、それに対するリアクションを通して、顧客の関心データを蓄積していくこともできます。
既存顧客へのクロスセル・アップセル戦略
MAは既存顧客の購買データや行動履歴を分析し、関連性の高い商品やサービスを提案することでクロスセルやアップセルを促進します。
たった一人でECサイトを開設した場合でも、MAを導入すればオススメ上手な「やり手の営業スタッフ」をマンツーマンで配置するような対応が可能になります。これにより、顧客単価の向上やロイヤルティの強化が期待できます。
MA導入時の注意点と成功のポイント
適切なツール選定と社内体制の整備
MAで使いたい機能を明確化し、不要な機能に費用をかけないようにすることが重要です。
また、できればトライアルを利用し、複数の人数でテスト運用することをおすすめします。操作が複雑で使えないツールは導入する意味がありません。自社のスタッフのリテラシーにあっているかもヒアリングしましょう。
データの正確性とプライバシー管理
MAツールは保有リード数が少ないと効果を発揮できません。少ない場合は、名刺情報をデータ化し、リードフォームでの情報取得をまず進める必要があります。
さらに、配信するコンテンツを準備することも重要です。
例えば、サイトやサービス資料をコンテンツ化し、年代別・業種別にまとめ直すことで活用の幅が広がります。また、購買プロセス別の心理を把握し、そのタイミングで適切なメールを発信する仕組みを整えることもポイントです。
特にBtoBにおいてはリード獲得後、架電など営業からの直接的なアプローチをなるだけ素早く行うことが重要です。MAの仕組みを作成する際には、営業とのリレーションの仕組みを連携させることで、より高い効果が期待できます。
まとめ
マーケティングオートメーション(MA)は、効率的かつ効果的な顧客対応を実現するための強力なツールです。
その導入には注意点もありますが、適切に活用することで顧客満足度の向上や売上の拡大が期待できます。顧客セグメントごとのニーズ設定やマーケティング戦略をしっかりと整備し、MAを活用して競争力を高めていきましょう。
文責:識学 西入