竹下製菓の主力商品「ブラックモンブラン」。今回の子会社化により、関東で一口サイズなどの製造も視野に入れる

ラインに乗って次々と製造されるブラックモンブラン=2019年3月、小城市の竹下製菓

 当たりくじ付きアイス「ブラックモンブラン」などのヒット商品で知られる竹下製菓(小城市、竹下真由社長)が、埼玉県幸手市のアイス製造会社スカイフーズを完全子会社化した。竹下製菓の商品は九州で圧倒的な人気を誇るものの、関東での知名度はまだ高くなく、アイスの種類を充実させて関東での販路拡大につなげる狙い。小城市の本社工場が被災した際の非常時対応の強化も見据えている。

 買収額は非公表。10月13日付でスカイフーズの吉田真啓社長が退任、同日付で竹下社長が社長に就いて完全子会社化した。竹下製菓の売上高は現状の約1・5倍に増加する見込み。

 竹下製菓は1902(明治35)年創業の県内を代表する“100年企業”。九州を中心にアイスや菓子を出荷している。主力商品のブラックモンブランは九州で8、9割の知名度を誇るが、関東では1割程度。関東の一部スーパーに“定番商品”として置いているが、輸送費など経費面の課題から販売地域は中国地方までにとどめており、関東地域でのM&A(合併・買収)を検討していた。

 スカイフーズは相手先ブランドによる生産(OEM)で、大手のアイス製造会社や小売り大手からの製造依頼を担ってきた。一口サイズの商品やカップアイスなど、竹下製菓と一線を画すアイスの製造を得意にしている。OEMのため安定生産が難しいこともあり、事業承継を視野に入れていた。

 竹下製菓は、スカイフーズを傘下に入れたことで自社ブランドのアイスの種類を充実させ、関東への販路拡大を目指す。製造が難しいブラックモンブランの一口サイズ商品などの製造も計画している。業務用アイスにも力を入れ、小売り大手のプライベートブランド(PB)商品の種類を増やし、工場の稼働率を上げる。竹下社長は「(ブラックモンブランなど)食べておいしい商品だと自信を持っている。まだ知らない人に食べてもらう機会を増やしていきたい」と話す。

 非常時の対応を定めた事業継続計画(BCP)に関しては、生産拠点が小城市の本社工場のみで、災害時の生産や雇用維持などに課題を抱えていた。2019年の佐賀豪雨で工場の周囲が浸水したこともあり、拠点を分散することで安定した生産につなげる。(中島佑子)

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