大将の真骨頂　蟹におぼれる : すし処 めくみ

数年ぶりに再訪しました。

しかも、大将の真骨頂と言われる

蟹の時期真っ盛り。

文字どおり、蟹におぼれる、贅沢な

時間を楽しませていただきました。

蟹そのものもさることながら、

まず、女将の抜群の笑顔。

満面の笑みで出迎えれられ、

旅の疲れも吹っ飛びます。

そして、大将の冗談連発のトーク。

名店の大将は、本当にジョークを

連発されるものです。

そして、お店になごやかな「気」を

造るのです。

ただでさえ美味な蟹が、ますます

おいしくなります。

蟹を食べながら、大爆笑の渦。

これが、北陸を代表する名店の

真髄です。

さて、ご存じのように、

こちらでは、つまみまで撮影ＯＫ．

握りは、少しでも早く口に運んでほしいので、

撮影不可。　とても納得できます。

大将の究極にエアリーな握りの技。

そっと持たないと、その場で崩れます。

よく、形を保っているな、と思えるほど、

繊細な握り。

愛おしささえ感じます。

この日は、

紅ズワイ蟹、ズワイ蟹、藻屑蟹、

甲箱蟹が続々登場。

大将が、熟練の技で、次々に

手際よく、切りつけていきます。


ちなみに、大将は、まだ、神経〆という

言葉が周知されていないころから、

海外のシェフたちに、それを教えたことも

あるそう。

しかも、脳と内臓の関係など、大学で

理論まで研究。

しかし、理論に入る前には、

まず、感性で見極めることが大事、とのこと。

感性で大枠を把握し、細部は理論で深める、

というのが、大将の流儀。

極めた人の言葉です。

それでいて、あくまで、謙虚な心を

持ち続ける大将。　尊敬です。


店内には、秋の桜の木が配されています。

これは山に入っても、知る人しか

見つけられないそう。

カウンターには、黒文字の枝が

あしらわれたお手拭きが。

さて、この日の内容です。

１，蟹のお粥
　　お粥といっても
　　全部ミキサーで汁状にしてあり、
　　胃が温まります。

２，紅ズワイ蟹
　　ズワイ蟹と違って、
　　脚の表と裏まで、全部赤です。
　　蟹味噌と。

２，ズワイ蟹
　　蒸して。
　　繊維がしっかりしています。

３，モズク蟹
　　雌の焼いたもの。

４，甲箱蟹
　　頭は蒸し焼きで。

握り
・叩いた甘エビ
　昆布の上で叩きます。
　叩くとシャリとの馴染みが
　よくなり、一体となって
　溶けていきます。
・鰆　能登　鵜川漁港
・鰤
・雲丹ご飯
　シャリの入った大きなボールに
　どんどん雲丹を入れている大将。
　あまりにたくさんなので、
　笑いが起きたほど。
　大将が一言
　「入れすぎたかな」

・ボタン海老　炙り
　巨大でした。
・白子
・焼き紅ズワイ蟹　味噌と
・蒸しズワイ蟹　味噌と

ここからお弟子さんの握りです。
・のどぐろ
・穴子

海苔のお吸い物

・玉子と干瓢の巻物
・甘えび、卵の白身のメレンゲ、黄身

・金せん茶

お供は、
梅酒のソーダ割

蟹の価格が高騰し、

なかなかのお値段になっていますが、

それだけの価値があります。

日本が誇る名店。
　　

金沢から車で30分ほど。

野々市という町の住宅街にある寿司の名店で、

予約至難。

大将、山口尚享さんは、銀座「ほかけ」などで修行をし、

独立。

次々に新たなチャレンジをしていらっしゃることでも

知られています。

特に、大学の研究論文を読み、試行錯誤して

到達した鮑の蒸し方は、他の追随を許さないとのことで、

楽しみにしてきました。


到着すると、ウェイティングスペースで待つことしばし。

ほどなく、明るい店内に案内されます。

左官仕事の土壁には、アケビの木が。

大将は、穏やかなお人柄で、魚のことをずっと

語ってくれます。　心底、仕事を愛していらっしゃる様子。

ご自身で、毎日産地をめぐり、素材を確認するという

徹底ぶり。

それでは、この日の内容です。

つまみ

１，赤イカのルイベ
　　大将とお弟子さんが、たくさんの烏賊を
　　包丁でうす切りにし始めました。
　　え？　この人数でそんなに？という量です。
　　能登の漁師料理で、大葉を巻いたものと、
　　海苔を巻いたものの薄切りで、
　　出汁をかけると溶けていき、まさに、
　　烏賊素麺。　つるつると入ります。

２，輪島のシマ海老

３，ヒラメと縁側

４，輪島の黒鮑
　　これが噂の黒鮑です。
　　大将は、もう時期の最後とおっしゃってました。
　　通常ではありえないほどの蒸し時間。
　　温度管理をすることで、旨味成分がマックスに
　　なるように蒸しています。
　　艶やかなテクスチュア。

５，ご飯と海老の団子
　　串刺しで登場。
　　遊び心のある一品

６，天然鰻
　　福井　三方湖産。
　　養殖との違いは、皮の旨味。
　　サクサクと焼きあがっています。

７，焼きくちこ
　　40匹分です。
　　こんなものが、さらりと登場してしまいます。

８，赤雲丹2種
　　唐津の赤雲丹に、小浜の赤雲丹の塩煮
　　赤雲丹の塩味で、赤雲丹を食べる、という楽しみ。

握り
（握りは、撮影禁止）

１．ひらめ
２，赤烏賊
３，白海老
４，雲丹
　　香りの余韻を感じます。
５，シャリと雲丹　醤油1滴
６，富山の牡丹海老
７，のど黒
８，高浜の岩ガキ
　　自分の水分で煮ています。
　　これが、大将が、「レスピラシオン」に
　　紹介した極上岩ガキ。
９，鰻の蒲焼の海苔巻き
10、出汁巻き玉子
　　鮑の貝柱でとった出汁で
11、海苔のお吸い物
12、甘海老の玉子焼き

13、スイカジュース

お供は、梅酒のソーダ割


シャリは柔らかめで、さらにふわっふわに

握っているので、口の中でハラハラとほどけます。


店内には、鈴虫の涼やかな声が響き渡り、

ちょっと鳴きやむと、大将が、

「あれ、朝から鳴いてたから、疲れっちゃったかな」

といって、皆を笑わせていました。

北陸の幸と技、存分に楽しませていただきました。