優しい空気が流れるお店 : 吉浜食堂

岩手県は豊かな自然と歴史・文化が調和したとても素敵な場所です。そんな自然と歴史・文化を楽しむ拠点として盛岡に滞在しました。盛岡は人口30万人弱ですが、本当に大きな街で魅力的な飲食店が多く軒を連ねているため飲食を楽しむためのお店選びは苦労しました。

そんな中、絶対に外すことができないと思い、列車の切符や宿の手配と同じタイミングでこちらのお店に予約の電話を入れました。電話の対応もとても感じが良く素敵だったので、予約をしてから伺うことを本当に心待ちにしていました。

こちらのお店は、オーナーを務める奥様と大船渡で漁師ををする旦那様のご夫婦で切り盛りされています。今回のお目当ては何と言っても漁師の旦那様が獲ってくる三陸の海の幸。また、岩手の日本酒を豊富に取り揃えているため海の幸とのペアリングを楽しみにしながら伺いました。

北上川沿いのお店でアペリティーボを楽しんで、予約時間の19時に伺うと、この日は土曜日ということもあり入口には予約のお客様のみの案内がされていました。早めに予約しておいて本当に良かったです。

重厚なドアを開けてお店に入ると、ブティックのようにディスプレイがされたオシャレな空間が出迎えてくれます。店内は奥行きがあり、入り口付近の素敵な意匠が続いています。個人店は店主の思いを反映するというオーナーの考えの通り、アパレル出身のオーナーらしいお店作りだなと感じました。

今回は2名で伺ったので、カウンター席を用意していただきました。漁師でもある旦那様が調理する様子を観ることができる特等席です。ファーストドリンクはハートランド。このビールを取り扱っているお店は間違いない。

お料理のメニューはボードで用意されます。広いお店を調理担当の旦那様とフロアを担当する奥様、スタッフの方の3名体制度で回しているため、お料理は食べたいものを一気にオーダーしました。お願いしたのは、椎茸のステーキ、お刺身盛合わせ、シャインマスカットとチーズのサラダです。

大好きなハートランドをゆっくり楽しみながら待っていると椎茸のステーキが登場。一口嚙めば、しっかりとした食感の肉厚な椎茸の旨味が口の中に広がります。岩手の食l材を楽しむために、早速日本酒にスイッチすることにします。

こちらの日本酒のメニューは酒蔵の場所や銘柄と共に使用されている酒米が書かれています。量は75㎖、1合、2合の用意があります。75㎖は珍しいですが、少ない量で多くの銘柄を楽しめるのはとても良いと思います。

特に日本酒に詳しくないので、まずはメニューの一番上に書かれていた岩手県花巻市の「酉与右衛門」です。使用している酒米は「吟ぎんが」。少しシュワッとする舌触りでフルーティーな味わいで1杯目にピッタリのお酒です。

ここでお刺身の盛合わせが登場。フロアスタッフの方が持ってくてくれますが、その後に調理を担当する旦那様がカウンターから出てきて魚の説明をしてくれます。盛った状態の色合いに華やかさはありませんが、これぞ今食べられる三陸の地魚です。秋口の白身魚らしくどれも身が締まってとても美味しいです。

お刺身を食べ進めれば当然日本酒が足りなくなります。2杯目は岩手の有名な銘柄「赤武」。使用している酒米はやはり吟ぎんが。1杯目の吟ぎんがを使用したお酒がおいしかったので、ここは1合徳利でいただきます。普段飲んでいる岩手米の赤武と比べると、より強く甘みと酸味を感じる味わいでとても美味しかったです。

この後もお刺身を味わいながら、岩手県釜石の浜千鳥（吟ぎんが）、岩手県一関の百磐純米吟醸（ぎんおとめ）、岩手県奥州の奥六（結の香）、RYUTO SAKAZUKIと飲み進めました。

ここで白身魚のフライを追加。最後の日本酒が残り少ないこともあり、また、フライにはビールでしょというとでラストはベアレンビールをオーダー。

白身魚のフライは、魚種はわかりませんが身厚でしっかりとした食感で、フライでありなら魚の旨味をしっかりと味わうことができます。もちろん、ビールにもピッタリです。

そして、最初にオーダーしたシャインマスカットとチーズのサラダですが、機を逸してしまったので、デザートとして最後に出していただきました。甘くて瑞々しいシャインマスカットとチーズの塩味が絶妙なバランスでとても美味しかったです。

三陸の海の幸とふくよかな美味しさの岩手の日本酒を満喫しました。今度はウニの季節に訪れたいと思います。