3回
2024/08 訪問
風情ある建物でいただく絶品鮎料理と温かい接客
2024/09/11 更新
2023/06 訪問
風情ある建物でいただく最高の鮎料理と温かい接客
埼玉県大里郡寄居町にある鮎料理で有名な料亭です。
昨年初めて伺ってあまりの美味しさに感動して2年連続の訪問です。
前回は4.5点を付けているのですが、旅館としての機能にはやや難点があるものの料理は最高だと思うので5.0点に上げます。
こちらは食事だけの利用も可能なのですが宿泊する事もできます。
日帰りできない距離ではないのですが、折角の料理をお酒と一緒にいただいてそのまま休みたいのと、万人受けはしないと思うものの個人的には非常に気に入っているこの建物に泊まりたいので宿泊で利用しました。
宿の詳細は前回の口コミに記載したので省略しますが、前回は2階でしたが、今回は1階の中央にある続きの間でした。
15時半頃チェックインして、庭を散策した後風呂に入り、その足で厨房に寄って瓶ビールを一本いただき部屋で飲みました。
この日は非常に天気が良く、荒川の水音を聴きながら庭を眺めたり本を読んだりしながら、夕飯までの時間をゆったりと過ごしました。
夕食のメニューは以下のとおりでした。
・うるか
・鮎の煮浸し
・とうもろこしの擦り流し、つぶ貝、稚鮎の南蛮漬け、白身魚のすり身を焼いたもの
・鮎のお造り
・湯葉、蛤、海老、蕗の炊き合わせ
・鮎の塩焼き
・鮎のから揚げ、中骨のから揚げ、沢蟹の素揚げ
・鮎飯、なめこの味噌汁、漬物
・桜桃、メロン、白玉、粒餡
夕食のメニューは昨年とほぼ同じなので、詳細は昨年の口コミに書いたため省略します。
鮎は昨年と同じく山梨県の桂川のものとの事でした。
想像ですが、塩焼き、鮎飯、南蛮漬けは天然のもので、お造り、煮浸し、から揚げは養殖かなと思いました。
天然だからと言うだけではないでしょうが、やはり塩焼きと鮎飯が最高にでした。
飲み物は、こちらも昨年同様に食前にビールをいただいていたのでオリジナルの日本酒「京亭」の純米酒を四合瓶でいただき、氷水で冷やしながらゆっくり飲みました。
食後は、近郊秩父の銘酒イチローズモルトをストレートでいただき、読書をしながらゆっくり味わいました。
翌朝の朝食のメニューは以下の通りでした。
・鮎の一夜干し
・卵焼き
・湯豆腐
・自然薯
・スナップエンドウの胡麻和え
・もろみ味噌
・豚汁
・漬物
・ご飯
・みかんジュース
こちらもやはり昨年と殆ど違いはありません。
やはり、最高の鮎を贅沢に干物にした鮎の一夜干しをさっと炙ったものが最高でした。
その他、焼きたての卵焼き、箸でつまめる自然薯のとろろ、具沢山の豚汁なども素晴らしかったです。
人によって好き嫌いはあるかもしれませんが、絶品鮎料理、風情ある素晴らしい建物、女将さん始め従業員の方の温かい接客が個人的には最高の宿です。
これからも毎年一度は行きたい一軒です。
2023/07/29 更新
2022/06 訪問
風情ある建物でいただく絶品鮎料理と親しみやすい接客
埼玉県大里郡寄居町にある料亭/旅館です。
池波正太郎も贔屓にしたと言う旅館で鮎料理で有名ですが、部屋数が少ないため6、7月の土日は予約が困難です。
早めに連絡して6、7月の空いている日を聞いて何とか予約できました。
宿は寄居町を流れる荒川のほとりにあり、電車だと寄居駅から徒歩10分くらいだと思います。
我々は車だったのですが、関越道の花園ICから10分くらいでした。
こちらの建物は元々高名なオペラ歌手の自宅として昭和初期に建てられたそうです。
木造二階建ての一軒家ですが、随所に拘りを感じさせる風情ある造りです。
建物自体も良いのですが、窓の外には立派な和風の庭園があり、そのすぐ先は10mくらいの崖の下に荒川が流れています。
荒川はこの辺りでは両岸が崖になっており、対岸は断崖絶壁になっていますが、崖の上は戦国時代の鉢形城の城跡との事です。
庭園と荒川の流れと断崖絶壁、遠くには秩父の山々も見え、素晴らしい眺めです。
こちらの建物は、1階が和室2ヶ所(1ヶ所は二間続き)と洋室1室、2階が二間続きの和室1ヶ所があります。
部屋数が少ないため、食事は昼、夜とも4組まで、宿泊は2組しかできないとの事です。
この日は食事は4組入っていたようですが、宿泊は我々だけでした。
チェックイン時間は15時ですが、14時半頃着いてしまったところ、女将さんが出てきて快く迎え入れてくれました。
我々は2階の部屋を案内されたのですが、他の部屋は18時からなので、洋室にしかテレビが無いから自由に入って観て良いとか、館内や庭園は自由に見て回って良いとの事でした。
女将さんはかなり高齢ですが、気さくであたたかい接客で、有名な料亭の女将さんと言うより、祖母の家に遊びにきたような感覚でした。
15時にチェックインした後は、館内や庭を散策してから風呂に入りました。
風呂上がりは部屋でビールをいただきながら、本を読んだり外の景色を眺めたりしてゆっくりと過ごしました。
こちらは元々個人宅であり、今も料亭としての営業がメインであると思われるため、旅館としては最低限の機能しかありません。
食事の口コミからは少し逸れますが、行こうと思う方の参考になればと思い、少し長いですが書いておきます。
まず、部屋に鍵はありません。(和室の三面が全面障子の引戸なので鍵の付けようがありません)
部屋にテレビ、冷蔵庫もありません。
流石にエアコンは付いています。
トイレは共同です。(トイレ自体は最新式で快適です)
浴衣やタオルは有りますが、アメニティは歯ブラシしかありません。
風呂は1箇所です。(この日は我々だけ、最大でも2組なので問題ないですが)
風呂自体は綺麗で24時間使用可能ですが、客が入る廊下側には鍵がありますが、脱衣所と浴室にそれぞれ外に通じる扉があり鍵はかかっていません。
尚且つ高い位置ですが窓があるので下手すると外から見えます。
以上のような状況なので、私は全く問題なく快適に過ごせましたが、女性の方の宿泊はよく確認した上で決めた方が良いかと思います。
さて、楽しみにしていた夕食ですが、この日のメニューは以下の通りでした。
先付:うるか、鮎の煮浸し
前菜:沢蟹、白身魚のしんじょう、枝豆、蕪の摺流し、巻貝、鴨ロース
お造り:鮎の刺身
煮物:卵豆腐、蟹、潤菜、鞘いんげん、ミニトマト
焼物:鮎の塩焼き
酢の物:稚鮎の南蛮漬け
揚げ物:鮎の天ぷら、鮎の中骨の素揚げ、沢蟹の素揚げ
飯物:鮎飯、なめこと豆腐の味噌汁、香の物
デザート:桜桃、最中
飲み物は、生ビール、瓶ビール、日本酒、焼酎、ワイン等が用意されていました。
変わったころでは秩父が近いせいか、ウイスキーのイチローズモルト等もありました。(飲めば良かったです)
風呂上がりにビールをいただいていたので、最初から日本酒にしてオリジナルボトルの「京亭」の4合瓶をいただき、氷水に浸けて貰って冷やしながらゆっくりといただきました。
食事は最初にうるかがでてきました。
うるかは鮎の内臓の塩辛で、肝の苦味とコク、塩気が日本酒のアテに最高でした。
食事の最初から日本酒にして正解でした。
煮浸しは鮎を丸ごと甘辛い味付けで煮たものです。
頭も骨も柔らかく煮てあり全ていただきました。
鮎の刺身は初めて食べましたが、身がしっかりとして歯応えが良く美味しかったです。
鮎の刺身は水質や餌を管理できる養殖物でしかできないそうです。
貴重だとは思いましたが、鮎を美味しく食べる方法とは言えません。
鮎の塩焼きはこれまでにも何度も食べていますが、これまでで最高に美味しかったです。
時期が早い為かまだ若い鮎が二尾出て、香りが良く身は瑞々しく、肝は雑味が無く心地良い苦味が効いていました。
塩がしっかり振られていたので、そのままでも美味しかったのですが、蓼酢に漬けると鮎の香りや苦味が引き立つ気がしました。
骨も柔らかく、二尾とも頭から丸ごと食べてしまいました。
続く南蛮漬け、天ぷらも美味しかったです。
南蛮漬けは稚鮎を揚げてから甘酢に漬けてあり、これも頭から丸ごといただけました。
天ぷらは、天ぷらと言うよりから揚げに近い感じで衣は殆どなくカラッと揚げてあり、皮はカリッとした食感で身はホクホクして美味しかったです。
これも頭から骨ごといただきました。
また、天ぷらには刺身を取った後の中骨を揚げたものと、沢蟹を丸ごと揚げたものが付いていました。
沢蟹はハサミも足も丸ごと食べる事ができ、カリカリとしてお酒のつまみにちょうど良い珍味でした。
この日の1番の衝撃は、お米の上に鮎を3尾載せて鉄釜で炊いた鮎飯でした。
鮎飯の仕上げは女将さんがやって来て、鮎の頭や骨や鰭を外し、分葱と大葉を刻んだ薬味といっしょにご飯に混ぜて作ってくれました。
鮎の出汁が染み込んだ時々お焦げもあるご飯に、ほぐした鮎の身と薬味が合わさって、香りも味も素晴らしいご飯でした。
ご飯の量は二人で1合半くらいはあり、残ったら夜食用にお握りにしてくれるとの事でしたが、美味しくて全て食べてしまいました。
最後のデザートは桜桃と自家製の一口サイズの最中でした。
鮎飯でお腹いっぱいなっていたので、最後に少し甘味をいただいて気持ち良く食事を終えるました。
鮎ずくしの食事は、最初にうるかと煮浸しで期待を持たせ、珍しい刺身から王道の塩焼き、南蛮漬け、天ぷらと変化を楽しみ、最後に鮎飯で度肝を抜くと言う素晴らしい組み立てでした。
また、鮎は刺身以外全て天然物で、琵琶湖産や山梨産等、料理によって産地を使い分けていました。
(今年は目の前の荒川は、まだあまり状態が良くないとの事で使われていませんでした)
なお、うるか、煮浸し、一夜干し、塩焼き、鮎飯はお土産にもできるそうです。
夕食の後は、残った日本酒をゆっくり飲みながら静かな夜を過ごした後、続きの間に敷いていただいた布団で眠りにつきました。
翌朝は起床した後、ゆっくり朝風呂に入ってから庭に出て、清々しい早朝の荒川を眺めながら散歩をしました。
朝食は、女将さんがお一人で用意されるとの事で、厨房から近い1階の洋室でいただきました。
朝食のメニューは以下の通りでした。
・オレンジジュース/牛乳
・鮎の一夜干し
・湯豆腐
・卵焼き
・山菜の煮物
・とろろ
・漬物
・豚汁
・ご飯
朝食でも鮎が出てきました。
自家製の鮎の一夜干しは、席に着いてからさっと炙って出してくれました。
塩焼きとはまた違い、水分が抜けて身が締まり、鮎の旨味が凝縮した感じで美味しかったです。
鮎以外は、良い意味で田舎の旅館の朝食でした。
炊き立てのご飯、熱々の豚汁、焼き立ての卵焼き、地元で取れた山菜の煮物、疲れた胃に優しい一口の湯豆腐、箸でつまめるくらいしっかりしたとろろ等、どれも珍しさはありませんが真っ当な料理で美味しかったです。
朝食をいただいた後は、チェックアウト時間まで部屋でゆっくり寛いでから宿を後にしました。
こちらは上で書いた通り、旅館としては万人向けでは無いかもしれませんが(私は非常に気に入りました)、料理は最高レベルだと思います。
また、料理、素晴らしい建物とロケーションに加えてもうひとつ素晴らしいのが、女将さんを初めとした従業員の接客です。
高級店の洗練されたサービスはありませんが、皆さん非常に感じが良く、親しみやすくあたたかい接客のおかげで寛いで過ごす事ができました。
鮎の季節には必ずまた行きたい一軒です。
2022/06/29 更新
埼玉県大里郡寄居町にある鮎が名物の旅館、料亭です。
ここでしかいただけない絶品の鮎料理、荒川を眺める絶景のロケーションと素晴らしい雰囲気の建物、女将さんや従業員の皆さんの温かい接客が大変気に入って、3年連続3回目の訪問です。
過去2回は6月に行ったので、今回は8月のお盆時期にしてみました。
昨年は1階の部屋でしたが、今回は2階の部屋に通されました。
この宿はやはり2階が落ち着く気がします。
こちらの宿は、食事は昼夜共に一度に3組まで、宿泊は2組までしかできません。
夜も食事だけで帰る事もできますが、最高の料理を寛いでいただくにはやはり宿泊が良いと思います。
但し、私は全く気にならないのですが、宿の機能としては人によっては(特に女性は)不便に感じる事もあるかもしれませんので、私の前々回の口コミを参考にしていただければと思います。
この日はチェックイン時間の15時に到着してひとっ風呂浴びて早速部屋でビールをいただきました。
目の前の日本庭園やその下の荒川の流れを眺めて、川の水音やセミの鳴き声を聞きながら畳の上で飲むビールは最高です。
夕食はいつも通りのメニューで以下の通りでした。
・潤香
・鮎の煮浸し
・モロヘイヤとオクラのお浸し、白身魚と蟹の真丈、鴨ロース、巻貝、枝豆の山椒炒め
・鮎のお造り
・冷やし煮(海老、とうもろこし、インゲン、茄子、ズッキーニ、潤菜、ジュレ)
・鮎の塩焼き、茗荷、蓼酢
・鮎の天ぷら、中骨の唐揚げ、沢蟹の素揚げ、蓼おろし
・鮎飯、なめこと豆腐の味噌汁、香の物
・メロン、ブルーベリー、梨、粒あん
飲み物は、既に瓶ビールを一本飲んでいたのでオリジナルの日本酒、京亭(お隣長瀞の酒蔵)を四合瓶でいただき、氷水で冷やしながらゆっくり楽しみました。
最初はいつも通り潤香と煮浸しでスタートでした。屋形船の形をした器で出てくる潤香は、鮎の香り、ワタの苦味、塩気が効いて日本酒のつまみに最高です。
一度に食べるのは勿体無いので、料理の合間に舐めては日本酒を飲んで、ゆっくり楽しみました。
煮浸しは頭から骨まで全ていただけるくらい柔らかく煮てあるのですが、全く煮崩れせず皮も破れていないのが不思議です。
甘辛く煮付けてあってこれもまた酒が進みました。
前菜は季節感のある取り合わせで、見た目も美しく食欲が湧いてきます。
鮎のお造りは専門店以外では中々味わえず、私はここでしかいただいた事がありません。
涼しげな見た目と繊細な味でした。
冷たい煮物はエビと夏野菜の見た目が美しく、潤菜と出汁のジュレの食感も良く、夏にぴったりの一品でした。
この日の塩焼きは富山の神通川との事でした。
炭火で香ばしく焼き上げてあり、中骨以外は頭も肝も全ていただきました。
ふっくらとして香ばしい身と、苦味と旨味の濃い肝が最高でした。
天ぷらは琵琶湖の鮎との事でした。
カリッと揚げた衣とホクホク熱々の身が美味しかったです。
刺身を取った後の中骨をカリカリに揚げた唐揚げや、沢蟹の素揚げもこちらの定番でお酒のアテに最高でした。
最後が最も楽しみにしている鮎飯です。
鉄鍋でご飯と鮎を一緒に炊いて鍋ごと運んできて、目の前で女将さんが鮎をほぐして大葉と浅葱を加えて混ぜてくれます。
料理は中居さんが運んで来られるのですが、この鮎飯の最後の仕上げだけは必ず女将さんがやってくれます。
鮎の香りを纏って出汁を吸ったご飯はまさに絶品で、これをいただくためだけに寄居まで行く価値があります。
鍋底はお焦げになっておりこれまた絶品です。
鮎飯は天然と養殖の鮎を混ぜて使うそうで、女将さん曰く「天然物を一匹入れると香りが全然違う」との事です。
鮎ご飯は二人分で2合くらいあり結構量があるのですが、お腹いっぱいになりながらも完食しました。
食べ切れなかったら夜食のおにぎりにもしていただけるのですが、毎回完食してしまいます。
鮎飯でお腹いっぱいになった後は、デザートに一口ずつのフルーツの盛り合わせとお茶をいただいて至福の夕食は終了です。
個人の邸宅を改装した小さな宿なので、夕食後は特にする事もないのですが、私の密かな楽しみは近郊の秩父で蒸留される世界的な銘柄イチローズモルトをいただく事です。
女将さんや中居さんは夕食が終わって布団を敷くと休まれたり帰宅されるので、食事の最後にウイスキーを一杯いただいておいて静かな邸宅でゆっくりといただきました。
翌朝は朝食は、1階の洋室か池に面した和室でいただけるのですが、今回は和室でいただきました。
メニューは毎回ほぼ同じ内容で以下の通りでした。
・寄居の蜜柑ジュース
・鮎の一夜干し
・焼きたての卵焼き
・湯豆腐
・とろろ
・南瓜の煮物
・もろみ味噌
・ご飯
・油揚げとオクラの味噌汁
・香の物(茗荷、大根、胡瓜、梅干)
素晴らしい鮎の一夜干し以外はそれほど珍しいものは無く、よくある旅館の朝食なのですが、一品一品丁寧に作られており出来たてで温かく非常に満足度の高い朝食です。
鮎の一夜干しは流石の美味しさで、鮎に塩して干す事で旨味が凝縮されており、塩加減、干し具合、焼き具合いずれも完璧で、焼きたてのホクホクした身は非常に美味しかったです。
焼きたての卵焼きや、優しい味わいの湯豆腐、箸でつまめるとろろ等、どれも上質で素晴らしく美味しかったです。
また、こちらの宿ではお土産として、潤香、煮浸し、塩焼き、一夜干し、鮎飯等の持ち帰りも可能です。
今回は近所の義実家への手土産に鮎飯を購入してみました。
最後に価格面ですが、一泊二食で一人25,000円(税抜)でした。
お酒を入れても一人3万円以内で、少し有名な温泉の旅館に行くとすぐに5万円くらいいく事を考えると、この内容でこの価格は破格だと思います。
絶品の鮎料理、風情ある建物と眼前に広がる絶景、女将さんや従業員の温かい接客、全て大満足でした。
来年も必ず行こうと思います。