カーヴドッチイベント　埼玉と新潟のコラボ : Blanc

※本日は趣旨的にワインの味わいも自分の記憶に残しておきたいので一番後ろにいつもより少し詳し目にまとめて記載しています。長文すみません。

元来ワインは大好きです。国産ワインの質も向上している事を感じます。その中で30年前から新潟の地でワインを作り続けているカーヴドッチ。
トラディショナルなワインも、どうぶつシリーズのようなナチュラルな作りのワインも醸造しています。
現地にも何度か伺ったことがありますが、新潟市内、海沿いの砂の土壌に葡萄畑が広がる光景は圧巻。今風に言えばエモいものです。

そんなカーヴドッチさんと、大宮で世話になっているフレンチblancさんがコラボとの事。これは行かねばなりません！発表後即完してましたね。危ねぇ。

blancは大宮西口から徒歩で10分位。ブーランジェリー、パティスリー、リストランテが併設されています。その中でリストランテの入り口は隠れ家感があり、従業員通用路のような場所。呼び鈴で呼び出します。シェフにマイドと挨拶しながら秘密基地のような店内へ。
普段からblancは埼玉県産の食材を多様しつつ、他の地域の優れた食材を紹介し、ローカルとローカルを繋げてイノベーティブなフレンチを提供してくれています。

本日は11:00一斉開始。コース料理とカーヴドッチのワインのペアリングです。

アミューズは3品。全てフィンガーフードで気軽に。
長崎天然本鮪のパン鮨
鮪の中トロとパン？合うのでしょうか。バルサミコ酢で調味されており、このバルサミコが鮪の鉄分とパンの小麦の風味を結びつけています。中トロの油分も適度で口中で健康的な旨さが広がり、最初からクリーンヒット！

川島町の玉蜀黍(とうもろこし)のパンナコッタと雲丹
玉蜀黍が甘い…雲丹も甘い…それぞれの素材が喧嘩せずに甘味を合言葉に高め合っています。純粋な素材のチカラでジワジワ旨い。

武州豚のリエット
豚の旨みが濃い！リエットオブリエットで分かりやすい旨さ。

埼玉県産野菜のニース風サラダ
鮮度高い野菜を焼いて温かいサラダに仕立てつつ、入梅鰯は軽く炙って。ソースは一度温玉を作って黄身部分のみ使用し、ビネガーを効かせたもの。
濃厚かつ上品な酸味のソースと火を通して甘味を増した野菜や鰯の脂が良く合って、緻密な味わい。
これがシュナンブランと良く会う…
お代わり自由の隣のブーランジェリーで焼いているパンでソース拭いて舐める様にいただきます。

琵琶湖の鮎の春巻
鮎の身を外して春巻の具材に。一緒に巻かれるのはストラチャテッラ！
ソースは鶏出汁と白ワインビネガーやバターを煮詰めて山椒のオイルを合わせて。
付け合わせはジロール茸(日本だとアンズ茸)これもアプリコットの香りと食感が楽しい。
にしても鮎とストラチャテッラがこんなに合うとは…鮎の淡白な旨みを消さずに、動物性の旨みを嫌味なく追加。川魚の香りと乳の香りも違和感無く融合。これを春巻きにする事で油分を加え、タンパクになりがちな味わいに奥行きを持たせています。山椒オイルの風味も効いてるなぁ。
これはもう傑作！浦和近代美術館展示しても良いのではないでしょうか。
そして身を外した骨は骨せんべいに。ボリボリといくらでもイケる笑
どうしても鮎と言えば塩焼き！という概念がありますが、一石どころか何石も投じまくっています。

蔵王鴨のローストと自家栽培のビーツの付け合せ
絶妙な火入れで最早色合いはエロティックです。ただ、味わいはストレート。真鴨は赤身の旨さ、濃さが違いますね…
ビーツは自家栽培。ローストしたものとマッシュ状にしたもの。共に土の香りとビーツの甘味がしっかり生きていて、ビーツ好きとしてはたまらない。
サステナブルな観点から、廃棄せざるを得ないパンや調理過程で出たものを肥料にして育てているそうです。

デセールは桃。桃のコンポートに、淡めのマンゴーとカスタードのアイス、板状のメレンゲにな柑橘の香り。クランブルも。コチラも甘さ控えつつ何層にも重なる多様な風味と食感で、あぁ、フレンチのデセールって美味いよねと納得。

コース料理とペアリング8杯、追加のワイン3杯で計約26,000円。追加が無ければ20,000ちょっとですから、調子に乗って飲み過ぎです。まぁ、一杯1,100円位なら妥当だし、限定って言葉に弱いからなぁ…
それでもやはりワイナリーの方から直接お聞きする話は貴重で分かりやすく、更に解説も的確。ワインの味わいがより深みを増しますし、とても勉強になります。
そしてコチラのお料理は予想を超えるものもあり、何より新潟と埼玉を繋げた取り組みでお店のアイデンティティを示そうとする姿勢、とても刺激になります。
貴重な体験をありがとうございました！

以下、ワインの味わいです。
やはりヨーロッパ品種を30種作っている矜持を感じる味わいです。
１杯目はFUNPY。食用葡萄を使ったカジュアルなラインで飲んでみたかったんですよね。
スチューベンとメルローでスルスル飲める気軽さの中にメルローで大人の味わいをプラス。

２杯目アミューズと共にアルバリーニョ。カーヴドッチのアイコン的な品種です。以前飲んだ時よりもアルバリーニョっぽい綺麗な酸が効いています。

3杯目はとうぶつシリーズからみつばち。シュナンブランです。みつばちだけあって、はちみつのフレーバーを強く感じます。最早巣蜜の様な濃厚さで花の香りを凝縮したようなニュアンス。本日一番のお気に入り。

4杯目としてFUNPYのオレンジ。デラウェア、ケルナー、ソーヴィニヨンブラン。生姜感を感じる爽やかなもの。スルスルいけちゃう。

5杯目はどうぶつシリーズのもぐら。シャルドネ。酸より旨み先行タイプ。

6杯目はサブレ赤。カベソー、メルロー、プティベルドなど。これも旨いですねぇ。ボルドーブランドながら軽めのタンニン。鼻腔に抜ける香りを意識したという作りがよく分かる味わい。

7杯目はFUNPYの赤。キャンベル、ベーリーA、カベソー、メルロー。日本品種は共すると甘いだけという事もありますが、カベソーメルローがしっかり大人の味わいに仕上げています。

8杯目は泡で瓶内二次醗酵したもの。カーヴドッチでは何十年も前の「タレ」を一緒に醸造する事で、泡にコクや厚みを加えているそう。これが出来るのは歴史あるワイナリーだけなので、国内でも3,4社とか。

ここから先は非売のものを追加料金で。3種ともいってしまいました…

9杯目はソーヴィニヨンブランの単一。もうソーヴィニヨンブランの単一は作っていないそうです。コチラは若干の還元香がありますが、力強い味わい。

10杯目はカベソーをリパッソして作られたもの。先程のサブレよりやはり旨みが重厚。手間がかかってもうやれないと笑

最後11杯目はどうぶつシリーズのくま。これは初めて見ます。可愛いエチケットとは裏腹に、獰猛なくまの様に、猛々しい味わい。これはまだ寝かせておいた方が美味くなりそう。