お茶とカレーと狭山と、伊豆の海のようなおおらかさ② : 狭山カレー工房 りとるほっと。

３月が終わる。
４月はすぐそこ。

休日の朝、お昼からをどう過ごそうか、コーヒー飲みつつ考えた。ほあっと、春の陽気の気配。今日はきっとお天気だ。
「あそこの・・・カレーなんてどうかな。」

こんな日にはぴったりの雰囲気の、狭山のカレー屋さんを思い出したのだ。

日曜昼の、駐車場は満車。辛うじて1台分空いていたお店の前へ車を置かせてもらう。

店外は相変わらず白浜大浜海岸沿いの雰囲気。
そこいらに掛かったカラフルなレイ、コカ・コーラの真っ赤なベンチ、更に目の前に伊豆ナンバーの私の車。
強めの春の日差しの中、ゆったりと待った。

程なく店内へ案内され、席についてメニューを見る。
この日にお願いしたのは「アボカドとトマトのカレー」温玉を追加トッピング、辛さは中辛で。

アボカドとトマトのカレーは期待通り、副菜までお野菜たっぷり。
具合よく熟したアボカド、甘いトマト、アクセントのフライドオニオンにタルタルソースが合う。
副菜は旬の菜の花と、人参。これは手をかけすぎないのが良い。埼玉は野菜が、特に葉物野菜が美味しい。
相変わらず、お米も旨い！
辛さが選べる中で中辛でお願いしたカレー。上品な辛味に温玉+タルタルソースが良い仕事してくれた。

お昼時のピークを過ぎてもお客さんは途切れない。
これもお店を切り盛りするご夫妻の、朗らかなお人柄だと感じる。

ごちそうさまをして外へ出ると、気温は更に急上昇していた。
3月だけど、これはもう、茶摘みの頃の陽気だ。高校生くらいまで自分ちの畑で手摘みで茶摘みをしていた頃が懐かしくなる。
ここはお茶所狭山、多くの茶畑をこの店の近辺にも見ることができる。

長閑な道を行きながら、気分よくドライブした。
BGMは80年代J-POP。レベッカとか、南野陽子とか、柏原芳恵とか流して。

2月も終盤。
空はピーカン。
力強くなった日の光を察した鳥の声が柔らかくなっている。今日はきっと、気温が上がる。
「・・・カレー、食べたいな。」
おなかを空かせた私、ぬくぬくの、布団の中でぽっと呟いた。
そんでもって、平日休日の食欲魔人はようやくベッドからずるずると這い出した。
スマホを手に取り食べログ検索をかけ、伊豆ナンバーの軽自動車と共に目指したのは、狭山。
レビューを参考にさせてもらっているmilan1110さまの訪問記録が決め手となった。

駐車場がどこだかと迷っていると、お客様の一人が「あっちに4台分あります」と教えてくれた。
有難い。おかげで1台分空いていたそこへ停められた。
お昼時の店内、決して多くない席数のようだ。
案内は送れますとの旨を電話した際に確認していたので、じき空くだろうと外でちょっと待つ。

店外、これはまるで、私の元の勤め先の近所だった白浜大浜海岸沿いの雰囲気、およそ狭山の空気感はない。
そこいらに掛かったカラフルなレイ、コカ・コーラの真っ赤なベンチ、これで波の音と吹き飛ばされて来る砂なんかがあればまさに白浜大浜海岸前だ。なんだかこれ、懐かしいな。
お日様が暖かく、呑気なハワイアンミュージック+ぽかぽかの中で心地よく待っていた。

やがて案内され入った店内はもっと「海っ端」っぽかった。
壁にはムームー（私の夏の部屋着w）にアロハシャツが掛けられている、更にサーフボードまで。
ここが狭山という事を忘れかけてしまう。

メニューからお願いしたのは「ほうれん草の焼きカレー」、これを甘口で。
温玉を追加トッピング、サラダとドリンクのセットにした。

サラダのドレッシングの、甘めの味が良い。いやいや、ドレッシングではなく野菜そのものが鮮度よく旨い。切れ端のほんの小さなひとつすら、しゃっきり綺麗な味がする。

やがてメインのカレー。
ほうれん草がいっぱい！埼玉は野菜が、特に葉物野菜が美味しいのでこれが食べてみたかった。
ふんだんに入った青々としたのの上に欧風カレー、たっぷりチーズ、フライドオニオン、ぱらぱらっと、ふりかけみたいなのはお茶の葉か、この香りが素晴らしいアクセント。
ふんだんに使ったお茶は、スパイスやハーブのような作用がここまであるのだ。
ターメリックライスも良い味出している。米も旨い！
甘口だけれど後味にしっかり辛味も残すカレー。温玉が良い仕事してくれた。
一緒の人の緑色の狭山茶カレーも少し味見、これもびっくり、コクがある上にバランスが良い。
この感じはご店主の修業先のカレー店でも同じように味わったことがあった（ここはウチから歩いて1５分くらい）。

珈琲をいただきながら、ランチのお客の途切れたタイミングでお店をするご夫妻とお話しをした。話したかったのは私だった、何故狭山で波乗りや海の空気感なのかを知りたかった。
ところが日焼けしたご主人は波乗りので焼けたのではなく、農作業によるものだそう。サーファーではないんですとおずおずお話しされる様子に実直なお人柄が垣間見える。
旨味たっぷりのほうれん草は窓の外の畑からの採れたて、そりゃあ旨いわけだ。
にこやか朗らかなご夫妻と北から南まで伊豆の話を話すうちに、いよいよここが狭山だという事を忘れてしまいそうななった。
いや、伊豆だってそもそも山と崖と砂浜しかない。
私も高校生くらいまでは自分ちの畑に植わっていたお茶の木を手摘みして半年くらいそれがウチのお茶になっていた。
お茶処の中心地である静岡市にも6年住んだが、ここまでバランスの良くお茶を料理に取り入れた確立されたものには出会ったことは無い。きっと試行錯誤を幾重にも重ねられたのだろう。そうであったとしても、なんと朗らかでおおらかなお二人なのだろう。

価格も抑え目、ここは絶対、またいただきに来なくては。
次はお店の外で、畑を見ながらウクレレのBGMを聴きながら。
そんないい季節も、すぐそこ。