最高峰の28蕎麦が絶品！一品料理も素晴らしく、料理への造詣の深さを感じるお店。 : 蕎麦 市のせ

○気に入った点
・28蕎麦が絶品
・一品料理も素晴らしい
●注意点
・予約必須
○駐車場
有
○ルール
セットの予約となります

甲賀にある蕎麦屋さん。
この当たりの唯一のメイン道路、国道422号線からちょっと入ったところにある。
もう少し南下すれば、お茶と蕎麦で有名な朝宮地区がある。
そんな自然に囲まれた、山間の集落にある蕎麦屋さんだ。
なかなか人気のようなので数日前に予約をしておく。
昼は3部制、夜は完全予約制とのこと。
指定された時刻に訪問する。

店に入ると右手が座敷になっており、囲炉裏席とテーブル席が2卓といった規模。
木の温もりを感じられる落ち着いた雰囲気だ。
このお店は基本コースのみで、そこに単品を追加できるシステム。
コースについては予約時に聞かれるので、予約の際に準備が必要だ。
今回は一番お手頃な花コースをオーダーしておいた。
追加の一品料理としては、そばがきも惹かれたのだが、
鮎と野菜天ぷらと、蕎麦のつけ汁として季節の蕎麦から信州くるみのつけ蕎麦をオーダーした。
緑が美しい外の景色を眺めながらしばし待つ。

〇花セット（1500円）
花セットは蕎麦豆腐、細打蕎麦、太打蕎麦の3品から構成されている。
まず最初に蕎麦豆腐がやってきた。
・蕎麦豆腐
こちらは温かい蕎麦豆腐にワサビが載せられ、タレがかけられている。
この食感が見事。
葛焼きのような柔らかさで、少しねっとりししている。
口の中で味わうと、蕎麦の風味がとても強く感じられる。
のせられているわさびの風味も良くて、蕎麦の風味ともよく合う。
タレも上品ながらいい塩加減。
一品料理として素晴らしい蕎麦料理だ。

・細打ち
細打のもり蕎麦が信楽焼に盛られてやってくる。
薬味は無く、ワサビと塩だけなのが潔い。
まず見た目なのだが、自然光の反射も合ったと思うが、蕎麦が輝いていると感じる。
そして香り。
蕎麦の香りが非常に良い。
一口そのまま頂く。
蕎麦の風味が一気に口中に広がり、その後甘みが溢れてくる。
最後は喉越し。
つるっとした蕎麦が喉をまるで撫でていくかのように心地よい感覚を覚える。
蕎麦つゆは甘みは控えめだが、奥深いコクがあり、この芳醇な蕎麦の風味を損なわない。
これだけ香りと甘みがありながら28蕎麦なのか！？
この28蕎麦は今まで食べた中でもトップクラスに美味しい蕎麦に感じた。

・信州くるみのつけ蕎麦（＋300円）
先ほどのもり蕎麦をくるみのつけ汁でいただく。
このつけ汁が本当に濃厚。
ドロっとしていて、そこから濃厚なくるみの風味、香ばしさを感じる。
そのためもあってか、このつけ汁だと蕎麦の風味をあまり感じられなくなる。
28蕎麦の風味と甘みが最高だっただけに、敢えてオーダーはしなくて良いかな。
ただこのくるみ汁も美味しいので、くるみ汁だけで飲んで楽しんだ。

・太打ち
大野そばを超粗挽きと粗挽きに、そこにさらに竜王そばをブレンドした極太10割そば。
見るからに太いその見た目は完全にのど越しを無視している。
まずはそのまま頂く。
28が素晴らしかったのでやはり、というか当然なのかもしれないが、
蕎麦の風味、甘みを封じ込めたような食べ物になっている。
噛みしめるほどに蕎麦を感じられる。
まるで、そばの実をそのまま食べているような。
そんな気持ちにさせてくれる蕎麦。
これはこれで蕎麦の魅力を凝縮させている。
ただ完全に好みの話だが、個人的には蕎麦は香り、風味、甘み、食感、のど越しを重視している。
前半3項目は満点だが、のど越しは皆無なのでこの辺りはどうにかならないものか＾＾；
この食べ方であれば、例えばおろし蕎麦など他に強い刺激があるような場合であっても
蕎麦風味を感じるために極太蕎麦で食べるのはアリかなぁ？
28が絶品だっただけに、このお店が普通のタイプの10割蕎麦を打ったらどうなるか・・・
そんな蕎麦を出していただけたら嬉しいな＾＾

〇鮎と野菜の天ぷら（600円）
提供されたのはトウモロコシ、カボチャ、ピーマン、巨峰、小鮎。
トウモロコシとカボチャはとても甘い。
ピーマンは肉厚で食べ応えがある。
小鮎は程よい肝の苦味と風味が良い。
そして巨峰。
巨峰が出たときはビックリしたが、甘酸っぱくてトロッとした食感が楽しい。

一品料理のレベルを考えると、ただ蕎麦を打つのが上手いだけの店主ではない。
明らかに他の料理にも精通している方がやっているのだろう。
夜は完全予約制でおまかせだと思われるが、どんな料理を出してくれるのか楽しみになる。
そんな期待さえさせてくれるランチだった。
このお店の28蕎麦は過去頂いた物の中で最高レベル。
蕎麦の風味と甘みをこれほどまでに高め、食感とのど越しも素晴らしい。
必ず再訪するでしょう。