Twitterは2008年に日本語版が開始され、現在主流のSNSの中でも比較的早く広まった。そのため「古参SNS」という印象を持つ人も少なくないだろう。「Twitterのアカウントを作ったけれど放置している」という読者もいるのではないか。しかし若者世代では今も、TwitterはSNSにおける主役の一角を成している。
それを裏付ける調査結果を、東京工科大学が2019年5月に発表した。同大学は新入生を対象に、コミュニケーションツールの利用状況のアンケート調査を実施している。2014年に開始して2019年は6回目。今回は1795人が回答した。この調査によると、SNS別の利用率は1位が99.0%のLINE、2位が80.7%のTwitterだった。この2つの利用率はここ4年間安定している。
明暗が分かれたのはFacebookだ。同調査を開始した2014年には利用率21.3%だったが、毎年少しずつ下げ2019年には9.9%になった。
一般に若者世代は、SNSが長く続くほど使わなくなっていく傾向があるとされる。Facebookはまさにその状況に直面している。だが、TwitterはLINEと共にそうなっていない。なぜTwitterは若者を惹きつけるのか。若者たちのSNSの使い方からひも解いてみたい。
LINEだけでは物足りない高校生
今の若者はおおよそ小学生後半から中学生でスマホを持ちLINEを始める。LINEは当初、家族との連絡手段だが、親しい友人ともつながるようになる。さらに部活のグループで先輩や後輩ともアカウントを交換して、つながる相手を広げていく。
中学生まではLINE以外のSNSを使っている人は少ない。自分の近況報告のような内容は、LINEの「タイムライン」機能に投稿している場合が多い。タイムラインは自分の「友だち」に登録しているユーザーの投稿を見られるページで、友だちの近況を知るのに役立つ。大人世代からは「何のための機能か分からない」という声も聞くが、多くの中学生にとってはTwitterやInstagram、Facebookの代わりになっているのだ。
しかしLINEのタイムラインは基本的に直接知っている友だちだけの閉じた世界だ。現実の生活との密着度が強く、息苦しさを感じる面も出てくる。入ってくる情報が少なく、物足りなく感じるようにもなる。そこで高校生くらいになると、多くの人がTwitterデビューを果たす。
FacebookでなくTwitterである理由は2つ考えられる。
1つは匿名性が高いこと。Facebookを始めたところで、LINEと同じように現実の生活と密着したコミュニティーがネット上に構築されるだけ。若者からすると、そうしたSNSはLINEだけで十分と映るのかもしれない。
もう1つは単純に知名度だ。10代にとってFacebookの知名度はかなり低く、今からスタートしようというSNSではない。