Webアクセスの新しい通信プロトコル「HTTP/3」が登場した。従来のHTTPよりもWebアクセスを劇的に効率化する。HTTP/3が登場した背景やその仕組みを解説する。
HTTP(HyperText Transfer Protocol)はWebの世界を支えるプロトコルである。Webページの内容を記述するHTMLファイル、レイアウトを決定するCSSファイルなど、Webサイトを構成する要素はHTTPを使ってWebサーバーからWebブラウザーに送られる。
HTTPの最初のバージョンであるHTTP/1.0が登場したのは1996年。
翌年の1997年には、バーチャルホストに対応するなどの改良を加えたHTTP/1.1が登場した。バーチャルホストは、同じIPアドレスを複数のドメインで共有する技術だ。現在のWebサイトへのアクセスにはHTTP/1.1が広く使われている。
HTTPの次のバージョンであるHTTP/2が登場したのは2015年。HTTP/1.1の登場から実に18年もたっていた。背景にあったのは、大規模コンテンツ事業者(OTT:Over The Top)の登場だ。OTTの1社である米グーグル(Google)は、大量のWebアクセスをさばくためにSPDYという独自プロトコルを開発した。SPDYを基にインターネット技術の標準化団体であるIETF(Internet Engineering Task Force)が策定したのがHTTP/2である。HTTP/2は現在、OTTを中心に利用されている。
ただ、HTTP/2は従来のHTTPと同じく、トランスポート層のプロトコルとしてTCPを使っている。このことが、通信の効率化の足かせになっていた。
そこで2019年に登場するのが「HTTP/3」である。TCPではなくUDPを利用することで、通信のさらなる効率化を実現する。