一時は販売が大きく落ち込んでいたSSDとNAND型フラッシュメモリの市場は、徐々に回復しつつある。そうした中で、ストレージ市場に変化をもたらす可能性のある動きが幾つか浮上している。
SSDとNAND型フラッシュメモリの市場では、2022年から2023年にかけて販売が大きく落ち込んだ。その後出荷が回復しつつあるとみられる中で、SSDとNAND型フラッシュメモリの業界に変化をもたらす可能性がある動きが、幾つか浮上している。
SSDベンダーであるキオクシアと、SSDおよびHDDベンダーWestern Digitalの合併交渉の話はたびたび持ち上がっていた。その話が実現する話はまだ聞こえてこない。一方でストレージ市場に変化をもたらす可能性として浮上しているのが、Western Digitalの事業再編だ。同社は2024年末までに同社の事業を2つの別会社に分割し、それぞれHDDとSSDの分野に特化する方針を2023年10月に発表している。
Western DigitalはHDDの主要ベンダーの一社であるだけでなく、SSDとNAND型フラッシュメモリの主要ベンダーの一社でもある。同社はSSDとNAND型フラッシュメモリの分野で既に安定した事業基盤を隔離しており、「分社化による市場への影響は大きくはない」と、ストレージ市場調査会社Objective Analysisのゼネラルディレクター兼半導体アナリストを務めるジム・ハンディ氏は語る。Western DigitalからNAND型フラッシュメモリを購入していた顧客は、分割後の新会社から従来同様に製品を調達できるはずだ。
一方、Western Digitalの分社化後に浮上する可能性として否定できないのが、Western Digitalからスピンオフする新会社とキオクシアとの合併だ。Western Digitalとキオクシアの合併に関する話は、2021年から持ち上がっては消えていた。2023年10月に両社の合併交渉は打ち切りになったことが明らかになったが、再び議論が始まる可能性は否定できない。
Western Digitalとキオクシアは、NAND型フラッシュメモリの開発と生産で協力している。両社は合弁事業として三重県の四日市工場と岩手県の北上工場で生産している。この既存の協力関係において両社は既に有益な取引をしているため、「合併の可能性は低い」とハンディ氏はみている。
“合併の可能性”に対する見方はさまざまだ。調査会社Gartnerのアナリストであるジョセフ・アンズワース氏は、Western Digitalとキオクシアが製造設備を共有していることを前提にすれば「合併は理にかなっている」と指摘する。ただし半導体の供給や技術開発に地政学的な問題が影響することも考えられるため、合併の話は一筋縄ではいかないと考えられる。
「実際の合併を進めるとすれば、中国を含めた規制当局の承認が必要であり、その承認が得られるかどうかは分からない」とアンズワース氏は述べる。
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