カタルです。
皆さん!
ついに来ました!!
今年、日本人初の全豪ジュニアシングルスの優勝者となった 坂本 怜( さかもと れい )選手( 18歳 )が、11月24日から行われていた【 四日市 ・ チャレンジャー 】でプロ初優勝を飾りました!
❏ 苦しみのプロ活動…
プロ転向した後の 坂本 選手は、ひいき目に観ても上手く行っていたとは言いがたい戦績でした…
デビュー戦となった【 木下ジャパンオープン 】では予選 1R で当時88位の ルカ・ナルディ 選手( イタリア )にストーレートで敗れ、その後出場した ITF や チャレンジャー でも、予選からも含めて3大会連続で 1R 負けをしてしまうと言う苦しい結果が続いていました…
4大会目となった【 神戸・チャレンジャー 】で久々に予選を勝ち上がりますが、本戦 1R で176位の ユーリ・ロディオノフ 選手( オーストリア )にストレートで敗れてしまいます…
この時はまだ、厳しいプロの壁に苦しんでいる状況だったのだと思います…
そんな中、次の週に迎えた【 横浜慶応・チャレンジャー 】…
そこで、今回の優勝にも繋がったのではないかと思える運命的な出来事が起こっていました!
大会のドローは、 1R で神戸で圧倒された ロディオノフ 選手とまた当たると言う一見絶望的なものでしたが、 ロディオノフ 選手が前の週の神戸で決勝まで勝ち上がり、前日に決勝戦を戦った後と言う状況だったこともあってか、今度は逆にストレートで 坂本 選手が勝利すると言う結果になったのでした!
過程はどうあれ、そこでしっかりチャンスを勝ち取れたと言う事が、苦しんでいた坂本 選手にとって大きな自信に繋がったことでしょう!
そのままの勢いで準々決勝まで勝ち上がった 坂本 選手は、199位で 2021年の全日本選手権チャンピオンでもある 清水 悠太( しみず ゆうた )選手にファイナル タイブレークまでもつれ込む接戦を演じ…
3-6 7-6( 4 ) 6( 3 )-7 と最終的には敗れたものの、このレベルと互角に戦えたと言う事実が、プレーをより向上させる切っ掛けになったのだと思うのです!
( ちなみに 清水 選手はこのまま決勝まで勝ち上がりましたが、惜しくも準優勝と言う結果でした。 )
さて…
そんな横浜の次の週の開催されたのが【 四日市・チャレンジャー 】…
ここまでの戦績を見た上で、大会前に 坂本 選手がここまで勝ち上がれると考えていた人は恐らくほとんどいなかったのではないかと思います…
❏ 【 四日市・チャレンジャー 】優勝への道のり!
今大会は自国開催と言う事も有り、多くの日本人選手が勝ち上がっていて、坂本 選手の2R 以降の相手は、3試合連続で日本人選手となりました!
◎ 2R
2R の相手の 中川 直樹( なかがわ なおき )選手( 384位 )は、12歳の頃から IMG に留学していて、元世界ジュニアランキングは9位、2014年の全米オープンジュニアダブルスでは優勝している先輩です!
更に 2020年 全日本選手権で優勝を経験している実力者でしたが、1st をタイブレーク 11-9 と言う激戦の末ものにすると、2st は1ブレイクも与えずに取り切り…
7-6( 9 ) 6-3 でストレート勝ち!
◎ 準々決勝
準々決勝の相手は 内田 海智( うちだ かいち )選手( 366位 )!
元ジュニア世界ランク3位で、ウインブルドンジュニア、USオープンジュニア共にベスト4で、元世界ランク147位の強敵です!
強力なサーブとストロークの打ち合いとなった試合は、序盤でブレイクに成功した 坂本 選手がそのまま1ブレイク差で1stをで取り切ります!
2stはお互い一歩も譲らないキープ合戦となり、最後のタイブレークを制した 坂本 選手が…
6-4 7-6( 3 ) でストレート勝ち!
全体を通して1ブレイクしかされていないと言う熱戦でした!
◎ 準決勝
そして、日本人対決で特に注目だったのが準決勝の 望月 慎太郎( もちづき しんたろう )選手( 248位 )との一戦です!
望月 選手は12歳から IMG に留学し、16歳でウインブルドンジュニア優勝とジュニア世界ランク1位となってプロになった、元世界ランク129位の先輩選手です!
この対戦では観客もかなり入っていたみたいで、注目度の高さが伝わってきます!
そんなグランドスラムジュニアチャンピオン同士の1stは、 坂本 選手の積極的な攻撃が 望月 選手のプレーを圧倒し、その勢いで2ブレイクをものにした 坂本 選手が先取します!
しかし 2st に入ると…
序盤、そこまで鋭く深かったラリーのペースが少し落ち、集中力を欠いたようなミスが出た坂本選手に対し、そのチャンスを逃さず積極的に攻撃した 望月 選手がいきなりブレイクに成功し、後半ブレイクバックを許すも、最後に再度ブレイクに成功した 望月 選手が 2st 目を取り返します!
そして勝負のファイナル st !
お互いのプレーが上がる中、先にブレイクに成功した 坂本 選手がその1ブレイク差を守りきり…
6-2 4-6 6-4 で接戦をものにしました!
◎ 決勝
決勝戦の相手はのドイツの クリストフ・ネグリトゥ 選手( 409位 )!
相手選手は予選から勝ち上がってきたベテラン選手で強力なサーブと、鋭いスピン系のボールを中心に相手を崩すプレーをします!
1stは、そんな ネグリトゥ 選手のスピン系のボールにタイミングが合わずにミスする場面が多く、2ブレイクされてしまった 坂本 選手がセットを失います…
しかし2stに入ると、ファーストサーブの確率とコースが向上し、苦戦していたスピンボールを狙い過ぎずに打ち込んだり、スピン系で深く打ち返す場面が増えたことで、 ネグリトゥ 選手のスピンが序盤より鋭さを失い、その結果 坂本 選手が前に入って打ち込んだり、ネットプレーでポイントを取りきる場面が増えて行きます!
その攻撃的なプレーで先にブレイクに成功した 坂本 選手がそのままリードを守り、2st目を取り返します!
ファイナル st に入ってもその勢いは止まらず、終始攻め続けた 坂本 選手が終盤にブレイクに成功し…
1-6 6-3 6-4 で見事な逆転優勝を飾りました!
❏ プロ転向から約2ヶ月での進化!
プロ転向してからの坂本選手の進化は目を見張るものが有ります!
元々210㎞以上のスピードが出ていたサーブはコースや配球が良くなり、今大会もかなり高いキープ率でした!
ストロークは元々攻撃的なショットも有りましたが、全体的に打点を落とすことが多かったのですが、下がらずに高い打点から打ち込めるようになっていて、高身長から打ち込まれるショットは強力な武器になっていました!
特に元々得意だった回り込みフォアハンドがより強力になり、前に入った時の攻撃力はかなりのものだと思います!
更に、これまで安定したラリーが中心だったバックハンドが、強力なストレートの打ち込みやカウンターが打てるようになっていて、プレーの幅がかなり広がっていました!
そして、何より進化されたたと感じるのがフットワーク!
ジュニア時代の動きは決して良いとは言えないものでしたが、今大会ではそこがかなり強化されていて、球際からの返球率もかなり高くなっていました!
この進化をたった2ヶ月で成し遂げたと言うのは本当にビックリです!
❏ まとめ
プロ転向した直後の 坂本 選手のプレーは、全豪オープンジュニアを優勝したとはいえあくまで一世代のジュニアのレベル…
まだまだチャレンジャーで勝ち上がれるだけの実力は無かったのだと思います…
しかしそのプレーが2ヶ月で進化し、チャレンジャーを優勝できる実力まで成長したと言うのは凄いことです!
恐らくサポートしているコーチ陣と本人とのビジョンがマッチしたからこそだと思います!
このチームが、今後どのような成長を見せてくれるのかホントに楽しみです!
……
ついに日本テニス界にも高身長でスケールの大きいプレーが出来る選手がうまれてきました!
ただ、この 坂本 選手の存在をただ特別なものとするのではなく、後に続くジュニア選手達の道を切り開いて行くものになって欲しい!
そんな切り開かれた道にどんどんと進んで行く日本人選手を観てみたい!
そんな思いで今日もジュニア育成に力を入れるカタルでした。
~おしまい~