フランス年間ゲーム大賞2025に『オーディン』
フランス年間ゲーム大賞選考委員会は日本時間の28日未明、カンヌ国際ゲーム祭にて、アスドール・フランス年間ゲーム大賞(As d’Or Jeu de l’année)を発表した。先月発表されていたノミネート作品の中から、アスドール(一般)部門に『オーディン』、エキスパートゲーム部門に『クトナー・ホラ:銀の町』、中級ゲーム部門に『ビハインド』、キッズゲーム部門に『ヘーゼルナッツ作戦』が選ばれた。
大賞に選ばれた『オーディン』は韓国人デザイナートリオのデザインでヘルベティク(スイス)から発売された小箱ゲーム。前の人よりも強くなるように同じ色か同じ数字のカードを出して手札を早くなくすことを目指すが、前の人から1枚回収しなければならない。すごろくやから日本語版が発売予定されている。
エキスパートゲーム部門の『クトナー・ホラ:銀の町』はチェコの歴史的な銀山都市の歴史をテーマにした経済発展と都市開発のボードゲームで、日本語版はホビージャパンから。中級ゲーム部門の『ビハインド』はヒントに従ってタイルを並べる協力謎解きゲームで、現在のところフランス語版のみ。キッズゲーム部門の『ヘーゼルナッツ作戦』は立体の木の上に丸いヘーゼルナッツコマを落とさないようにして置く器用さのゲームで、現在のところフランス語版のみ。
フランス年間ゲーム大賞の過去受賞作品は『トリオ』『アクロポリス』『世界の七不思議:建築家たち』『ミクロマクロ・クライムシティ』『オリフラム』。ファミリーや一般をターゲットにしたライト寄りの受賞傾向となっている。
🏆 La cérémonie de l’As d’Or – Jeu de l’année vient de s’achever au Palais des Festivals à Cannes. Voici les 4 lauréats de cette édition 2025 ! 🥳
Félicitations ! 👏#FIJ2025 #CannesFrance #AsdOr #JeudelAnnee pic.twitter.com/nuZFt9Ogvz— FESTIVAL DES JEUX (@fijcannes) February 27, 2025
タワーアップ(Tower Up)
最後の1区画を取りたい
建築条件のある街で、高層ビルを作っていく建設ゲーム。モノリスボードゲームズ(フランス)が発売し、ドイツ語版はペガズスシュピーレから出た。建物が増えると縛りがきつくなっていくところは作者の一人であるポーションの『メトロポリィス』(2008)を思い出させる。
最初にランダムにビルコマを置いてスタート。手番には手元のストックを使って空き地にビルを建てるが、隣接する既存の建物すべてと色が異なること、それらの建物すべてに同じ色のブロックを追加すること()という条件がある。序盤は隣に1軒しかなければ空き地用に1個、隣用に1個の色違い2個で済むが、ゲームが進むにつれて、全色が必要になっていく。
ビルを建てたら、今回置いたうち好きなほうに屋根を置いて、その高さだけ同じ色のコマを進める(屋根の上にブロックを重ねてもよい)。コマは進むほど得点が上がるほか、全色が規定ラインまで進むたびに追加手番。高いビルに置けば高得点になるが、同じ色ばかり進めても追加手番はない。
手元のストックを補充するには、1回休んで場のカードに示されたパターンで取る。この時に、ストックを補充しつつコマを進めるというカードもあり、追加手番のチャンスがあるが、必ずしもほしいものが取れる/進めるとは限らない(場のカードは入れ替わり、運の要素がある)。他プレイヤーの動向も見て、いい場所や絶好の補充パターンを逃さないよう、置くか補充するかを考えたい(ただしストックは10個まで)。毎回変わる共通目標の早取りもある。
誰かが手持ちの屋根を使い切ったら最終手番となり、4色のコマの進度に、一番上に見える自分の色の屋根の数による得点も加えて合計得点で勝負。
周囲に建物が建ってしばりがきつくなるほど高得点チャンスになるが、周囲に空き地がなくなるとそのビルは終了となる。ブロックを各色そろえて残り1区画の空き地を取れるかどうか、そのためにはどれを補充すれば間に合うか、お互いの状況が公開されている中で読み合うのが面白い。立体のビルが育って街ができていくのもいい。
Tower Up
ゲームデザイン:F.クラッタン&G.ラルジェ&S.ポーション
イラスト:N.カレガリ&L.エスコフィエ&G.ステプレンコ
モノリスボードゲームズ+ペガズスシュピーレ(2024)
2~4人用/8歳以上/30~45分
ゲームストアバネスト:タワーアップ