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静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20241102 キャンパスフェスタ 他ブースの見学

雨だし、きっと時間があって他のブースを回れるよね、なんて思っていましたが、そんな時間はほぼなく(嬉しい悲鳴)…。交代で多団体や研究室のブースを見に行きました。

狩野川プロジェクト企画展

狩野川プロジェクトは、狩野川を管理する沼津河川国道事務所と連携しおこなっている研究プロジェクトで、放水路によるピークカットが建設から50余年を経て下流生態系にどのような影響を与えたか。また近年多発する豪雨イベントに伴う放水路の開閉が河川環境や生物群へどの程度の影響を与えるのか、また河川の流量調節が沿岸生態系へどのような影響を与えているかといったことを関わりのある多分野の先生が研究調査をおこなっています。
プロジェクト代表でキャンパスミュージアムの館長を務める塚越先生と静岡大学名誉教授の加藤憲二先生から、プロジェクトについて、模型とポスターを見ながら説明をしていただきました。
東部サテライトでの公開講座で、11/19に「狩野川アユと放⽔路の関係について」というタイトルで講義をしていただいた理学部の日下部先生、12/11に「狩野川河⼝部における微⼩⽣物の⽣態」というタイトルで講義をしていただく理学部の塚越先生の研究成果もポスター発表されていました。

狩野川放水路が周辺の環境にどのような影響を及ぼすかの模型

なんとこの模型、東部サテライトにお借り(お譲りいただく?)することが決まっております。狩野川に馴染みのあるこの地域。周辺の小学校では放水路の見学にも行きます。地域の方に実際に見ていただくことで、狩野川放水路についての学びが深まるとよいと思います。

 

静大ゆかりのモノ展

先日、東部サテライト公開講座にて「社会的な関わりのなかで創られる身近な木の価値:家具の事例から」というタイトルで講義をしていただいた

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人文社会科学部、山岳流域研究院の横田宏樹先生が「静大ゆかりのモノ展」として、キャンパス内や天竜などにある大学の演習林を活用した家具などを展示していました。見せ方がオシャレ!

演習林から切り出された樹木、見せ方が参考になります。

素材の良さをいかした写真たてが素敵です。

実際に先日の講義の中でお話のあった「先駆種」のカラスザンショウやネムノキ、 ヤマザクラなどを使用したテーブルやスツール、写真たてなどがあり、手触りや重さ、匂いを実際に確かめることができました。

 

発酵とサステナブルな地域社会研究所

また、先日のFMISのラジオにご出演いただいた大原志麻先生が所長を

toubusatellite.hateblo.jp伊豆ビジネスセミナーにご登壇いただいた横濱竜也先生を副所長を務める

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「発酵とサステナブルな地域社会研究所」の展示を見ました。ヤチヤナギという絶滅危惧種の植物を使い、中世グルートビール再現したビールや、即完売ということで実物を見たことなかった家康公ゆかりの野生酵母を使ったクラフトビール「家康公 CRAFT」などが展示されていました。

家康公ゆかりの酵母を使用したクラフトビールブランディングも参考になります。

この日に講演をおこなった(行けなくて残念)北海道総合研究所林業試験場の脇田陽一先生から「ヤチヤナギ」を分けていただき、東部サテライトの花壇で栽培中です。
こちらの展示は常設とのことなので、静岡大学静岡キャンパスにお越しの際にはぜひ人文社会科学部棟1階をお訪ねください。ちなみに人文社会科学部棟は、日本一の大学内高低差があるといわれる静大静岡キャンパスの頂上に位置しており、なかなか大変ですが、興味のある方にはぜひ実物を見ていただきたいです。

20241102 東部サテライトキャンパスフェスタのお菓子紹介

伊豆の美味しいお菓子たちが集合

キャンパスフェスタでアンケート回答のお礼にお配りした伊豆のお菓子たちを紹介します。

こちらは、内山先生が松崎プロジェクトの高齢者チームにて、一緒に活動をしている松崎十字の園さんの就労支援施設「ワークショップマナ」さんの「馬ロッククッキー」。
黄金崎の馬ロックを模したクッキーで、黄金崎のクリスタルパークやこがねすとで購入できます。

沼津にある「雅心苑」さんの「駿河ほろりん」は和風のクッキー。戸田(へだ)塩と千本浜きなこがありますが戸田塩をチョイス。戸田塩は沼津市駿河湾の海水から薪だけで炊く伝統的な製法で作られています。

松崎町梅月園さんのクッキー。 漆喰の盛り上がった目地がなまこに似ていることからその名がついた「なまこ壁」をアイシングで表現しています。梅月園さんといえば松崎町が全国シェアの7割を誇る桜葉で包まれた桜葉餅が有名です。

伊豆の国市大仁「ふかせ菓子店」さんの「城山」と「加農(カノン)」
伊豆の国市にある城山は、伊豆を代表する巨大な「火山の根っこ」。その雄々しさをクルミで表現しています。
加農は、伊豆の国市にある世界遺産韮山反射炉が東京お台場の砲台に据える大砲をつくっていたことから、大砲の玉をかたどった竹炭で真っ黒のお饅頭です。
ふかせ菓子店さんは地元の大仁や田京のまちあるきマップを作製したり、ガイドをしたりしています。

そしてお水はサテライト近くの「伊豆月ヶ瀬梅組合」さんの「天城の水」。「月のしずく」という天然水のスタンドも近くにあり、たまにタンクを持って買いに行くこともあります。

一緒にジオガシ旅行団さんのジオ菓子も飾らせていただいたのですが、ここだけの話、東部サテライトの活動よりもジオ菓子への興味や質問の方が多かったです(笑)。ちなみにジオガシ旅行団さんのご厚意により、ジオ菓子のサンプルセットをキャンパスミュージアムに寄贈しましたので、キャンパスミュージアムにお越しの際にはそちらも見ていただけると嬉しいです。

20241102 東部サテライトキャンパスフェスタ出展&20241118 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト 東部サテライト石川

東部サテライト、キャンパスフェスタに出展!

11/2(土)静岡大学静岡キャンパスにて開催された「キャンパスフェスタ」に東部サテライトが「伊豆半島で課題をチャンスにかえる」というテーマでブース出展をしました。この時の模様を11/18のFMIS「集まれ!静大三余塾」で東部サテライト石川がお話させていただきました。

静岡県東部地域における教育・研究・産学連携の拠点として2020年7月に開所した「東部サテライト」。今年4月、東部サテライトを伊豆での研究フィールドや活動の拠点にしてもらおう!と、「真面目な合コン」という学生と企業とのマッチングイベントに出展したのですが、

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東部サテライトの知名度がほぼなく…それはしょうがないこととして、伊豆に来たことがある、という学生さんもあまりいない状況でした。
まずは「伊豆」に東部サテライトがある、ということだけでもキャンパスフェスタの来場者の皆さんに知ってもらわなければ!ということで、「東部サテライトを知っていますか?」といった設問のアンケートを実施し、アンケートに答えてくださった方に、伊豆のお菓子をプレゼントという企画にしてみました。お菓子たちの紹介は別ページにて!

toubusatellite.hateblo.jpこの日は雨(三島駅が冠水した日です)だったので、来場してくれる人がいるのか不安でしたが、大学常設の博物館「キャンパスミュージアム」の方のご厚意で、キャンパスミュージアムの入り口という人通りのある場所をお借りできたことから、多くの方に来場をしていただけました。

キャンパスミュージアム入り口という良い場所を貸していただけました。

パネルとモニターで東部サテライトのこれまでの活動の紹介をおこなったり、特に学生さんについては、アンケートを見ながら、興味がある分野と関連がありそうな伊豆での活動事例を紹介しました。
一般の方には伊豆のイメージをお聞きしましたが、一番多かった回答は「温泉」。意外にも西伊豆を訪れたことのある方が何人かいらっしゃり、堂ヶ島がきれいだったといったことをお話していました。
東部サテライトを知ってもらう、という目的から考えると今回の出展は成功だったと思いますが、その先の「東部サテライトを利用して、伊豆を研究フィールドにしてもらう」ことを考えると、もう少しゆっくりと教員や学生さんと話をする時間が欲しいと思いました。例えば、平日の生協前で東部サテライト紹介のイベントをさせていただくといったことを今後考えていきたいと思います。

20241025 伊豆未来デザインラボ

ぬましんCOMPASS沼津さんのきれいな会議室

月に1回開催している企業・自治体・大学の情報交換の場「伊豆未来デザインラボ」。10月25日のラボは、沼津にある「ぬましんCOMPASS沼津」で開催しました。静岡大学は、沼津信用金庫静岡県東部地域における地域社会構築をはかるための連携協定を締結しており、ぬましんCOMPASS沼津に、産学連携などに取り組む「沼津イノベーションオフィス」を構えています。

今回参加してくださったのは、株式会社アーティスティックス・NTT西日本NPOサプライズ・静岡鉄道株式会社・静岡放送株式会社・株式会社ドコモビジネスソリューションズ・沼津信用金庫・UR都市機構の方々。

アーティスティックスさんからは、県東部では初開催となる「Kintoneカフェ」の紹介、静岡放送さんからは、静岡新聞社が新たに立ち上げた企業向けの課題解決サポートメディア「SHIZUOKA Business Compass」の紹介などがありました。
今回、こちらで紹介させていただくのは3点、匿名制研究ポスター発表大会「全国キャラバン3QUESTIONS」、システム思考とデザイン思考をテーマにしたワークショップ、音羽町のフードホール「Siiito」に「らいすぼうる」さん出店というトピックスです。

匿名制研究ポスター発表大会「全国キャラバン3QUESTIONS」を紹介したのは、静岡大学研究戦略室の牧野先生。このイベントは、一般向けの研究者のポスター発表大会で、元々京都大学が始めた「100人論文」という企画を全国キャラバンの形式で展開しているもので、11/10-14に開催した東海地区大会を静岡大学が共催しました。
分野不問、匿名でおこなわれることがこの会の特徴。発表者は、研究テーマについて、3つの質問(どんな不思議を追っているか、これまでやってきたこと・やろうとしていること、みなに問いかけたいこと)と1つの画像を提出。参加者はそれを見て、付箋を使ってコメントをし、質問に答えるという形式です。サイエンスライターが内容を一般向けに修正し、誰でも理解しやすい形にすることも重要なポイントとなっています。
先日開催した静岡大学の学祭でも、同じようにポスタープレゼンテーションを匿名でおこない、見た人が付箋を貼って質問や感想を書くというイベントを開催。主催者は発表者、付箋を貼った人を分かっているので、一緒に何かやりたいといった場合のマッチングにもこの会をいかしています。

リカレント教育を推進している静岡大学地域創造教育センターの辻本先生は、12/22(日)に開催する「地域社会の未来をつくる思考法」というイベントを紹介。副題は「システム思考×デザイン思考を学び、実務に活かす」となっています。
社会の複雑な現象をいろんな要素の関係性を基に考え、システムとして分析していく「システム思考」と、現実の観察から始まり、プロトタイピングを通じてアイデアを形にしていく「デザイン思考」。新しいものを作る時には、この2つの思考法をうまく組み合わせることが重要。例えば、デザイン思考で素晴らしいものを作り上げても、その結果として環境負荷が増すようなことがあれば本末転倒、一方で、システム思考による課題解決だけでは、創発的な新しいアイデアを生み出すことは難しい、ということで、この2つを組み合わせたワークショップ+修善寺のまちのフィールドワークも組み合わせて、たっぷり1日(10:00-17:00)までおこないます。場所は修善寺ITJベース。実験的な開催となるため参加費は無料です。興味のある方は東部サテライトまでご連絡ください。

静岡鉄道さんからは、音羽町駅前のフードホール「Siiito」に11/2(土)オープンした「らいすぼうる」さんを紹介。らいすぼうるを運営しているのは、「富士山白糸ファーム」という富士宮市の会社で、白糸の滝近くの田んぼで、お米を栽培し、地域の人たちと一緒におにぎりを作って販売しており、ユニークで美味しいおにぎりが評判です。静岡に行く際にはぜひお立ち寄りください。

20241021  第9回青羽根柿木歴史大学

話題にあがった浄蓮の滝近くの祠

月に一度、地域の歴史を地域の人同士で学び合う「青羽根柿木歴史大学(通称:青柿大)」。地域の方がまとめたテキストを元にそれを読みながら、質問や付け加えたい情報などを出し合いながら座学を進めています。
今回、主に話題となったのが浄蓮の滝についてと天城隧道の建設。

前回の会の時に話題にあがった浄蓮の滝近くの祠について、どこなのか、といった質問があり、実際に行ったことのあるメンバーが写真を見せながら話が進みました。
場所は浄蓮の滝の南、浄蓮の集落に入る前にあります。祠を作ったのは大阪の方で、天城の木材、炭を請け負う商人が入り込んできた証であるとのことでした。
十字をきった観音様がいるということから、キリシタンとの関係も?という話にもなりました。
この祠のある道を進んでいくと、銀を採っていた鉱山、浄蓮鉱山があります。この付近には、「女郎蜘蛛伝説」という恐ろしい伝承が残っていますが、鉱山に人を近づけないためのものだったのでは?という意見がありました。
昔、浄蓮の滝は「三段の滝」と言われていたとのことで、メンバーの方が持ってきてくださった「豆州志稿」にも「三段の滝」としてでており、明治39年、観光地化されて整備された際に浄蓮の滝と名付けられたとのことでした。それまでは人が近づけない断崖で、安藤藤右衛門という人が私財を投じて遊歩道を整備したとのことです。
この「浄蓮の滝」という名称は、かつて前述の祠のある道を進んだところにあった「浄蓮寺」から名付けられたもので、浄蓮寺は本谷川に流されてしまいなくなってしまいましたが、そのときに流れてきた弁財天についての解説が浄蓮の滝の観光センターにあるとのことでした。浄蓮寺については、おそらく鉱山の仕事に従事するための集落にあるお寺だったので、危険がともなう鉱山の仕事の安全祈願のためにあったのでは?という意見がありました。
また、浄蓮の滝の近く、現在の天城山荘付近を流れる川付近にある「岩尾地蔵伽藍」でわさび栽培の祖である板垣勘四郎がわさびの試栽培を開始したとのことですが、岩尾地蔵伽藍がどこであるのか?といったことは皆さんご存知ありませんでした。

地元青羽根の先祖子孫についてを地域の方が説明する中で、天城山隧道の建設に関わった石工の組から青羽根に定住されている方がいるという話になりました。明治33年、天城隧道起工にともない、石工の技術が進んでいた山梨から来た方の末裔とのこと。
道の駅「天城越え」の近くの山中に、天城隧道工事の安全を祈願した石塔があり、当時工事に関わった沼津、三津、湯ヶ島の棟梁の名前が刻んであるとのことで、その方のお名前があるかも…という話になりました。天城隧道というあれだけの技術的に完成度の高いトンネルを伊豆の石工さんが造ったというのはすごいこと、ということで、新たな発見がまた一つありました。

20241111 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト 静岡大学辻佐保子先生

今年8月、ベアードビールさんを視察した辻先生

11/11のFMIS「集まれ!静大三余塾」のゲストは、静岡大学人文社会科学部言語文化学科の辻佐保子先生でした。先生の専門はアメリカのミュージカルですが、前回出演した大原先生が所長を務める「発酵とサステナブルな地域社会研究所(以下、発酵研)」のメンバーでもあります。

アメリカのミュージカルが専門

私の専門はアメリカのミュージカルで、ミュージカルの舞台が、映画やラジオ、テレビの制作者とかぶっているときに、舞台でその経験をどのように応用したのかといったことを研究しており、特にラジオに関しては、音声だけで物語を伝える技術を学んだ作り手たちが、舞台ではどのように応用しているのかということに注目しています。

発酵研との関係

アメリカ、特にニューヨークはクラフトビールが盛んなので、ニューヨークの状況を知っているということで、発酵研所長の大原先生にお誘いを受けました。
アメリカのビール文化は非常に面白く、スーパーに聞いたことも見たこともないクラフトビールがずらっと並んでいます。特にハロウィンのシーズンになると、かぼちゃ味のビールなどが限定販売されます。アメリカではビールを作るための法律が日本とは異なり、例えばガレージで自家製ビールを作ることができるなど緩やかです。
日本では劇場での飲食が禁止されているのが一般的ですが、ニューヨークのブロードウェイの劇場では、お酒を飲みながら演劇を楽しむことができ、作品にインスパイアされたカクテルとかも作られています。

飲酒文化と演劇の発展

飲酒文化と演劇の発展といったところに興味があります。というのも、例えば、アメリカのボードビルと呼ばれる大衆芸能は、演芸場での飲酒を制限する条例が出されたことに始まります。当時、非常に高額なライセンス料を支払わないといけないといったことがあり、逆に、お酒を飲めない子供や身分高い人々が気軽に足を運べる演劇場を作ろうという発想の転換がありました。それが巡り巡って、ミュージカルのはじまりの一つにもなっていくという歴史があるので、演劇と飲酒文化は意外と深い関係があるかもしれないと思っています。

ミュージカルの魅力

母がアメリカからの帰国子女で通訳をしていることから、子供のころから英語やアメリカに関することが身近な環境でした。中学に入った頃、友達に誘われて宝塚や劇団四季の舞台を観に行ったことが、観劇に興味を持ったきっかけで、そこからミュージカルに興味を持ちました。
アメリカのミュージカルは日本でも上演されるものが多く、華やかで非日常的な、世界を描いている魅力があります。しかし、アメリカのミュージカルは特にニューヨークの地元の人々が観る演劇として発展してきたため、作られた背景には、アメリカ社会の現実やその時々の問題が垣間見えることがあります。そういったテーマを強烈に表現しすぎると、観客にとって少し押しつけがましく感じられることもあるので、歌や踊り、音楽といったエンターテイメント性を加えることで、観客に無理なくメッセージを届けることができるんですね。
つまり、観客が「今、アメリカではこんなことが起こっている」とか「こういう問題について考えなければならない」ということを、自然に考えさせてくれるところが、アメリカのミュージカルの魅力だと思います。問題を描くにしても、演劇は映画やテレビ、ラジオと比べて制作に時間がかかります。作りたいテーマが決まってから実際に舞台にかけるまで、何人もの人々が集まり知恵を絞って作品を作り上げていきます。このプロセスそのものが「発酵」のメタファーとして解釈できると思っています。作品を見ながら、その過程でどんな変化があったのか、どこにどんな反応が現れているのかを考えることがとても楽しいです。

おすすめのミュージカルとビールは?

私が好きな作品の一つに「ON THE TOWN(オン・ザ・タウン)」があります。1944年に初演された古い作品ですが、最近では2017年に宝塚でも上演されるなど、定期的に再演されている作品です。ニューヨークを舞台にしたこの作品は、戦争中の水兵たちが24時間の休暇をもらってニューヨークを観光するという、非常にアップテンポで楽しい作品です。若い水兵たちが限られた時間の中で大冒険を繰り広げるのですが、その中で見えてくるのは、彼らが享受している自由と平和な時間の貴重さと切実さです。
ビールについては、さっきほど話したカボチャのクラフトビールは非常に美味しかったです。小麦の味がしっかりしていて、カボチャの甘みがあり、さらにシナモンのスパイシーな風味が加わり、まるでパンプキンパイを飲んでいるような感じです。毎年この時期には、色々なニューヨークのクラフトビールのメーカーがそういった味わいのビールを出すのでおススメです。

 

辻先生、ありがとうございました。サテライト近くのベアードビールさんでも、カボチャのクラフトビールを出していたことを思い出しました。地域のお酒を楽しみながらの観劇、観光との親和性も高そうです。

20241104 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト 静岡大学大原志麻先生

家康公ゆかりの地の酵母を使用したクラフトビール「家康公CRAFT」

静岡大学人文社会科学部スペイン史を専門としている大原志麻先生に、ご自身が所長を務める「発酵とサステナブルな地域社会研究所(以下、発酵研)」についてお話をいただきました。

発酵とサステナブルな地域社会研究所とは?

発酵とサステナブルな地域社会研究所は、静岡大学の6学部からの教員が参加しているプロジェクトで、私は主に歴史学の観点から発酵の重要性を研究しています。
人類は発酵を通じて摂取できる食物の幅を広げ、特にアルコール飲料やワイン、ビールといったものは、ヨーロッパの都市社会の中心となり、社会文化や地域社会の形成にも大きな影響を与えてきました。発酵研では、歴史の中で失われたアルコール飲料を復元したいと考えています。特に注目しているのは、中世グルートビールの製造に使用されていたホップの一種「ヤチヤナギ」という現在では絶滅危惧種の植物。ヤチヤナギは現在、日本本州にはほとんどありませんが、北海道の林業試験場で保存されていたものを静岡に送ってもらい、それを育ててビールに使用したりしています。今はまだ試験醸造の段階で、静岡大学農学部の木村洋子先生の協力を得て、文理融合で研究を進めています。
ビールの起源は、パンにできないような穀物を発酵させ、栄養を摂取するために作られたと言われています。最近、バルセロナでヨーロッパ最古のビールを発見しました。発酵による味わいや香りが素晴らしく、歴史的に復刻されたビールを味わうことができました。当時は水が安全ではなかったことから、アルコールとして発酵させることで、安全に摂取できるということで、古代から重宝されていたと言われています。

東部サテライトでもヤチヤナギの栽培に挑戦中

シンポジウムを開催します!

静岡市南アルプスユネスコエコパークに登録されて10周年を迎えるのを記念したシンポジウムを静岡大学で開催し、発酵と地域の活用をテーマにした講演会や展示がおこなわれます。静岡キャンパスは11月2・3日に開催、浜松キャンパス(テクノフェスタ)は11月9日に開催予定です。※詳細はこちらのチラシから

11月2・3日の静岡キャンパスでは、静岡の自然やその利活用に関わるさまざまな専門家が登壇しました。11月2日は、『静岡の自然と利活用』をテーマに、井川蒸溜所(十山株式会社)さんと共同で南アルプス高山植物ウイスキーを作る酵母研究をおこなう静岡大学の丑丸先生が司会進行、テレビにもよく出演している植物学者の静岡大学増沢先生が「南アルプスの自然の保全」についてを報告。ヤチヤナギを送ってくださる北海道の森林研究本部林業試験場で環境部長を務める脇田先生が、「静岡を南限とする植物の利活用」について講演。和ホップと呼ばれるカラハナソウの南限が静岡の川根地方であるといった話を紹介しました。
11月3日は、「グローカルな発酵文化と観光」をテーマに、チェコのビール文化に詳しい静岡大学の藤井先生が司会進行、「イギリスのエールビール文化」についてを静岡大学の鈴木実佳先生が話し、井川蒸溜所の平井さんが、「南アルプス高山植物由来の酵母を使用したウイスキー作り」についてを紹介しました。さらに、発酵研副所長の静岡大学横濱先生が、「静岡市クラフトビールツーリズム」について、昨年度の大河ドラマに絡めた「家康公CRAFT」というクラフトビール作りや観光資源としての活用について紹介しました。
静岡大学人文B棟105(常設展示)では、ビールやウイスキー、日本酒の文化、さらにはアイラ島ウイスキー文化といった盛りだくさんの展示もおこないました。

11月9日の浜松キャンパス(情報学部2号館1階 情13教室 14:00~16:10)では、ガストロノミーツーリズムと発酵食品の文化について紹介する予定です。
(大原先生が司会進行)ふじのくに地球環境史ミュージアムの佐藤館長が「浜松の伝統食」というタイトルで浜松の発酵食品文化について、井川蒸溜所の平井さんが「南アルプス高山植物由来の酵母を使用したウイスキー作り」について、さらに、静岡県ガストロノミーツーリズムフォーラム統括コーディネーターの静岡産業大学岩澤先生が「浜松から広がるガストロノミーツーリズム」というタイトルで講演をします。

大原先生オススメのビールやワインは?

ヨーロッパでは、気候帯によってビール文化とワイン文化圏に分かれています。ヨーロッパのワイン、スペインのリベラ・デル・ドゥエロのワインは特に素晴らしく、赤ワインが好きな方におスス。白はバルセロナのカヴァが素晴らしいです。ビールは、新石器時代のビールの復刻版をバルセロナから分けてもらいました。美味しいとなると、チェコのビール、醸造所に併設されたビアバーがたくさんあります。先日、伊豆市のベアードビールで試飲しましたが、生のホップにこだわっていてとても香りが良く、美味しかったです。

次週11/11も発酵研の先生からお話をいただきます。