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サソリとカエルの寓話

登録日:2013/05/28 Tue 20:50:00
更新日:2024/11/13 Wed 11:14:10
所要時間:約 3 分で読めます




ある森に一匹のサソリがいた。
サソリは川の向こう岸に行きたかった。しかしサソリはカナヅチだった。

そこでカエルに向こう岸まで運んでもらうように頼んだ。
「カエルくん。俺を背負って向こう岸まで泳いでくれないか」

カエルは断った。
「いやだよ。サソリさんを背中に乗せたらきっと僕を刺し殺すだろう」

なおもサソリは食い下がる。
「君を刺したら俺まで溺れ死んじまう。そんなに馬鹿な事はしないよ」

これに納得したカエルはサソリを背負って川を泳ぐ事にした。
川の流れは穏やかでサソリ一匹背負っても問題なく泳ぎきれそうな距離だった。

しかし半ばまで泳ぐとカエルの背中に激痛が走る。
後ろを見遣るとサソリが尻尾を突き立てている。

薄れ行く意識の中でカエルはサソリに質問をした。
「サソリさん。何故僕を刺したんだ?これでは君も死んでしまうだろう」

サソリは最期に答えた。
「仕方が無いさ。何故なら俺はサソリだから」

解説

作者は不明*1
人の性を端的に表す寓話として世界中で愛されている。
ベトナム戦争を象徴する話として、その当時に流行したとも言われている。

元々はペルシャ圏の寓話で、そこではカエルではなくカメが登場していた。
サソリが自らの性に従いカメを刺すのは同じだが、カメはその甲羅によって無事で、サソリを落として沈めたり、そのまま向こう岸へ渡ったりと展開は様々。
その他にも、バリエーションとしてサソリの代わりにヘビが出てくるバージョンもあるらしい。

サソリは今の生活を投げ出してまで新天地を求めた。それは一世一代の夢だったのかも知れない。
カエルは疑いつつも見返りも求めずにサソリを運ぶ事を了承した。以前から友人だったのかも知れない。
何よりサソリに自殺願望など微塵も無かった。

それでもカエルを刺してしまった。それがサソリの性だから。
それが身の破滅に繋がろうとも無防備なカエルの後姿を無視する事が出来なかった。
夢も友人も自分の命も捨てる結果になってもサソリはサソリである事を選んだ。

サソリが死守したものはアイデンティティか、それともただの悪癖か。一体どちらなのだろうか。

サソリとカエルの寓話が作中に関わってくる作品

  • クライング・ゲーム(映画)
  • サイボーグ009(漫画)
  • 悪魔のミカタ666(ライトノベル
  • エデンズボゥイ(アニメ)
  • 世紀末博狼伝サガ(漫画)
  • NOBELU -演-(漫画)
  • ヤング ブラック・ジャック(アニメ)
  • スタートレック・ヴォイジャー 第68話「生命体8472」(前)
  • 刑事スタスキー&ハッチ 第3話 「深夜の暴行殺人事件」
  • 処刑人Ⅱ(映画)
  • メガロボクス(アニメ)
  • ダイナー(小説)
  • ドライヴ(映画)
  • アーカディン/秘密調査報告書(映画)


「サソリさん。何故この項目を追記・修正したんだ?」

「仕方が無いさ。何故なら俺はサソリだから」

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  • メガロボクス
  • エデンズボゥイ
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  • カエル
  • 後味の悪いオチ
  • 考えさせられる話
  • サガ
  • 世紀末博狼伝サガ
  • 悪魔のミカタ666
  • ヤング ブラック・ジャック
  • 刑事スタスキー&ハッチ
  • ダブル主人公
  • 裏切り
  • 裏切り者
  • バッドエンド
  • NOBELU -演-
  • 溺死
  • W主人公
  • クライング・ゲーム
  • アーカディン/秘密調査報告書
  • ドライヴ
  • DINER
  • 哲学

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最終更新:2024年11月13日 11:14

*1 1933年にロシア小説Немецкая слободаが初出という説あり