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稲妻/Lightning Bolt(MtG)

登録日:2011/03/27(日) 22:02:59
更新日:2024/12/11 Wed 21:36:55
所要時間:約 4 分で読めます





「最初の魔術師は荒れ狂う嵐の怒りを目撃し、それに応えようとした。」
――嵐大工の文書

稲妻とは、マジック:ザ・ギャザリングに存在するカードである。初出は最初のセット「アルファ」。


稲妻/Lightning Bolt (赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。


MtGはおろかTCG全体で見ても史上初の「火力」、すなわちバーン」や「ダメージによる除去」というコンセプトの起源である。
その性能は原点にして頂点。「赤マナ1点という破格のマナ・コストから、インスタントで、任意の対象に、デメリット皆無の3点ダメージというコストパフォーマンスは未だに破られていない。
を象徴するカードであり、史上初のサイクル「ブーンズ」を成すカードでもある。

ちなみにカジュアル思考プレイヤーの多かった最初期には4枚制限を無視し「山20と稲妻40だけ」というデッキが組まれた事もあったらしい。
黎明期は構築も下限が40枚でかつパワー9もまだ安かったので「Black Lotusアンリコと稲妻だけで均等に計40枚」とかあったらしいけど

だが、そんな高性能…いや、ぶっ壊れたコストパフォーマンスのカードの存在など許されるはずもなく、基本セットの第四版までと2010、2011以外は特殊セットでしか収録されておらず、通常構築ではモダン以下でないと使用できない。


しかし、モダン以下という幅広いフォーマットで使用できるため需要は非常に高く、特にアルファやベータの稲妻だと下手なレアも真っ青な高額で取引されるカードとしてもよく知られている。



スタンダード(とパイオニア)には稲妻の調整版である火力呪文が多数登場している。

  • 《ショック/Shock》
ダメージが2点に減った稲妻の下位互換。
度重なる再録によって稲妻なき時代の大半に存在しており、現代のスタンにおける1マナ火力の代名詞。
なんだかんだで1マナな点が意外な場面で役立つことも。

  • 《稲妻の連鎖/Chain Lightning》
ソーサリーになり、(赤)(赤)を相手に払われると撃ち返されてしまう稲妻。
だがそのデメリット自体は大したことがなく*1、ソーサリーになったこと以外は使い勝手があまり変わらない優良火力であり、5枚目以降の稲妻としてよく使われる。
再録機会がなかなかなかったため、高額コモンとしても有名だったが、エターナルマスターズでアンコモンに格上げされて日本語名を得るとともに初めてパックに再録されて以降は価格が落ち着いている。

  • 《火葬/Incinerate》
マナコストに(1)追加したら、クリーチャーの再生能力を禁止できるようになった稲妻。
クリーチャー戦には稲妻以上に強いため、デッキによっては稲妻より優先される優良火力。
基本セット第五版や第十版、基本セット2012に再録された。

  • 《稲妻のらせん/Lightning Hellix》
マナコストに(白)追加したら、3点回復が付いてきた稲妻。
見かけ上ドレイン呪文だが2マナ3点ドレインは破格。黒が泣いている。
ぶっちゃけ稲妻にも負けないパワーカードであり、効果は赤白の定番として定着したものの後発の性能は軒並み劣化している。
こいつと(赤)(白)でどこにでも撃てる4点火力のモードを持つ《ボロスの魔除け/Boros Charm》のおかげで、モダン・パイオニアではバーンが赤タッチ白で組まれがちである。

  • 《灼熱の槍/Searing Spear》
火葬から再生禁止を取り払ったもの。下記の火山の槌のさらなる調整版。つまり(1)重いだけの稲妻の下位互換。
基本セット2013にてその火葬と入れ替わる形で初登場。翌年のテーロスでは同型再版の《稲妻の一撃/Lightning Strike》を代わりに収録。
稲妻であることが重んじられたのか灼熱の槍ではなくそっちが度々再録され、ショックと並んで現代の代表的火力となっていた。
なお、現代では再生がそもそも刷られなくなったため、スタン的には火葬の下位互換であることは実害がなくなった。

  • 《火山の鎚/Volcanic Hammer》
ソーサリーな灼熱の槍(登場はこっちが先)。
第七~九版に再録された。稲妻退場後、灼熱の槍が登場するまでは3点火力の代表選手だった。

  • 《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
ソーサリーかつクリーチャーに撃てない稲妻。
プレイヤーを中心に狙いたいバーンにとっては実質9枚目以降の稲妻なのでよく使われる。
あと、一応秘儀呪文。
のちに秘儀ではない代わりに各対戦相手に3点飛ばすようになった《稲妻波/Boltwave》なる亜種が登場した。

  • 《裂け目の稲妻/Rift Bolt》
普通なら3マナかかるが、待機(マナコスト先払い能力)により、(赤)を払うと次の自分のアップキープにタダで撃てる。時間差はあるが、稲妻と同じ効率の優良火力。

  • 《火花の精霊/Spark Elemental》
赤マナ1点から3/1速攻トランプルで出てくるクリーチャー。ただしターン終了時に生け贄で強制退場。
要は元祖歩く火力ボール・ライトニングの1マナ3点版。ダメージ効率は稲妻と同じだが、クリーチャー故に止まりやすい。

  • 《焦熱の槍/Scorching Spear》
1マナ1点ダメージのソーサリー
カードパワーの低さに定評のあるポータル産とはいえ、全世界の赤使いが我が目を疑った火力呪文。何かの冗談だと信じたいカード。後にエターナル環境で使用可になるが、ポータル内でもイマイチな為需要はお察し。

  • 《発射/Open Fire》
灼熱の槍からさらに1マナ増えて3マナに。
既にだいぶ弱いのだが、コレが性能そのままにソーサリーになった《正確な稲妻/Precision Bolt》なんてのもある。緻密さなんて赤には要らなかったんや…

  • 《魔術師の稲妻/Wizard's Lightning》
普段は3マナ3点だが、ウィザードをコントロールしていれば1マナ3点、すなわち 稲妻と同じ性能 になる。
当時のスタンダードの赤には軽くて有力なウィザードが多かったので無理に部族デッキに寄せなくても活躍できた。
ドミナリア期に赤単をトップメタへ押し上げた要因。

  • 《批判家刺殺/Skewer the Critics》
普段は3マナ3点だが、絢爛(このターンに相手がライフを失っている)を達成すると1マナになるソーサリー。
バーンなら絢爛達成は容易なので、稲妻のかさ増しとして使える。



また、稲妻の他にアルファから存在する1マナで3つの何かを得られるカード達は5ブーン(Boon:恩恵)カード、またはサイクル名で「ブーンズ」とも呼ばれる。

それぞれの色の性質に合った効果なのだが、青の《Ancestral Recall》はパワー9に名を連ねるぶっ壊れとして有名だが、白の《治癒の軟膏》はどうしようもなく弱いと、かなりパワーにバラ付きがあるのが特徴。黎明期故のバランスと言えばそれまでだが。
ぶっ壊れとまではいかずともモダンリーガルの稲妻は《巨大化》以上《暗黒の儀式》未満の3番目といったところ。




そして2009年夏。

稲妻は生まれ変わったマジック…基本セット2010にて久々に再録。
クリーチャーのインフレにより相対的に稲妻のカードパワーが下がり、環境に存在しても問題なかろうと言う理由で、一時的ながら復活を果たした。

ついでになんかボール・ライトニングも一緒に付いて来た。

火花魔道士は叫び、彼が若かった頃の嵐の怒りを呼び起こそうとした。驚いたことに、空はもう再び見られないと思った恐るべき力で応えた。

これが基本セット2010に再録された稲妻のフレーバーテキストである。
久々の再録ゆえに、かなり凝っている。

そして続く基本セット2011でも何事もなかったかのように再録。

……しかし、基本セット2012には入らず、再びスタンダード落ちすることになった。
以降は改めてショック他に取って代わられ、結局スタンには過ぎたる存在という立場に逆戻りした。


しかしこの再録により近年メジャーとなっているモダン環境で使用でき、コモン故にパウパーでも使える。
もちろんカードパワーを買われてエターナル環境でも使われる。
その為赤使いなら間違いなくデッキに入っているカードと言っても過言ではない。
全ての火力の祖は、今日もどこかの山から飛び出しているのだ。



―Wiki籠もりは叫び、彼が若かった頃の追記を呼び起こそうとした。驚いたことに、冥殿はもう再び見られないと思った恐るべき修正で応えた。―

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最終更新:2024年12月11日 21:36

*1 相手が赤でないなら問題なし。そして赤のデッキはすぐマナを使い切ることが多い。