登録日:2017/11/26 Sun 02:24:00
更新日:2024/12/10 Tue 12:16:51
所要時間:約 15 分で読めます
ラミア(Lamia)は、ギリシア神話に登場する女性、あるいはそれが変じた怪物のことである。
女の上半身に蛇の下半身を持ち、子供をさらって食べたり人の血を吸ったりするとされた。
半人半蛇のモンスター中もっとも著名なものの一体であり、現代の
ファンタジー文化では蛇人間の代表として扱われている。
【特徴】
ラミアは人名でもあるが、多くの人がラミアと聞いて思い浮かべるのはまず美しい蛇女だろう。
ここでは蛇人間の姿をしたラミアの特徴について解説する。
○外見
ラミアは美しい人間の女性の上半身と大きな蛇の下半身を持つ魔物である。
後述の通り男を誘惑する性質上、醜悪なラミアというのはあまりいない。
またごく一部の例外を除き、蛇以外の下半身を持つラミアは存在しない。
また彼女らはかぎづめと牙くらいはあっても翼や角などといったいかにもモンスターらしいパーツはあまり備えておらず、
シンプルな女体と蛇の胴体の組み合わせが一般的である。
○能力
半人半蛇であるラミアは、人間の能力と蛇の能力をあわせもち、さらに魔物としての力までも持っている。
まず彼女らは人間並みの知能を持ち、その両手で武器を操ることもできる。
ただし原典の伝承では、人の言葉はしゃべれないとされている。
ラミアはそれに加えて下半身はもちろん、女性の上半身にも蛇の力を宿している。
蛇の胴体は洞窟や湿地のような場所でも素早く音も無く動くことができ、さらに敵をしめあげる恐るべき武器にもなる。
また女性の上半身にも下半身と同等の膂力、さらには蛇の毒牙を有している。
そして彼女らは
人のものでも蛇のものでもない、魔物としての力をもそなえている。
人の言葉を話せないかわりに美しい歌を歌ったり口笛を吹いたりして、その音色で人を魅了する。
さらに彼女らは
人の夢にもぐりこむ夢魔としての力もあり、人に悪夢を見せたり眠っている相手の精力を吸い取ったりできるともいわれる。
○性質
ラミアという魔物の性質・性格として真っ先にあげられるのは、人間特に男性を糧とするということだろう。
彼女らは子供をさらったり男を魅了したりして、彼らの血を吸ったり精力を奪ったりときにはその体をむさぼり食ったりさえしてしまうのだ。
そしてその手段として男たちを魅了し誘惑するのも彼女らの得意とするところである。
ラミアはその美しい容姿はもちろん前述の歌や口笛、さらには視線や魔術でもって男たちをとりこにし、餌食としてしまう。
しかし餌として襲うだけでなく、
人と情を交わすこともできるのが彼女らの最大の特徴。
蛇や魔物の本能で子供をさらうたび食うたびに、人の心が
疚しさにさいなまれてしまい、それらからの解放を強く望んだり
人間の男たちを餌食としてではなく伴侶として選びともに暮らして
子をなすこともあるのだ。
【来歴】
ラミアは
ギリシャ神話に登場する怪物として広く知られている。
しかし
ギリシャ神話の成立以前からラミアは存在し、現在では神話の怪物ではなく人類種と近縁の存在として扱われることも多い。
ここではラミアの来歴を4期に分けて解説する。
○ギリシャ神話以前のラミア
ラミアは元来、
スキタイやリビアにおける女頭蛇身の愛と戦いの女神であった。
原型は古代バビロニアまでさかのぼり、風の魔王
パズズの妻である
ラマシュトゥの化身の一つとも言われる。
ラマシュトゥは創造主である天空神アヌの娘で、家畜の守護神であると同時に人に病をもたらす悪霊たちを統率する死と病の神でもあった。
彼女は
みずから人を害することもあり、子供をさらったり妊婦の腹を引き裂き胎児を引きずり出したりし、その子らの血をすすったという。
これらの性質はその後の文明にも引き継がれ、ラミアは
戦いなど血なまぐさい分野をつかさどる力強い女神となった。
かの大哲学者
プラトンは
戦女神アテナとラミアは起源を同一とすると記述している。
しかしラミアを信仰する文明が衰退すると、彼女は神性を奪われ邪悪な面のみを残されて、
子供をおびやかす吸血鬼・あるいは夢魔としてあつかわれるようになった。
そして「貪欲」を意味する言葉ラミュロスからとった名を与えられ、怪物ラミアとなったのである。
○ギリシャ神話のラミア
ギリシャ神話に登場する「ラミア」とは、
ポセイドンの孫として産まれた
リビアの王女である。
彼女は
ゼウスの寵愛を受けたため
ヘラの怒りをかい怪物に変えられたとされている。
あと
ギリシャ神話には彼女の他にも「ラミア」と呼ばれた、あるいはラミアに類似した半人半蛇の魔物がいくつか登場する。
この項目ではそれらについても説明する。
●リビアの女王ラミア
海の神
ポセイドンの息子ベーロスは、自身の母であるリビュエーとの間に娘をもうけた。
この女性がのちにリビアの女王となったラミアである。
ラミアはその美しさから
ゼウスの目にとまり、彼と契りをかわして子供を産んだ。
しかしそのため彼女はゼウスの妻ヘラの怒りをかい、産まれてきた子供をすべて殺されてしまった。
そしてその上狂気にとりつかれ子どもを喰らうようになり、その身も怪物と化してしまうのである。
この経緯については、以下のようにいくつか異なった伝承が存在する。
- ラミアはさらにヘラによって「眠り」を奪われ悲しみから逃れられなくなった。
子を失った悲しみにさいなまれつづけたラミアは子を持つ母らをねたみ、ついには子供をさらって殺すようになってしまった。
ゼウスはラミアから目を外して光を奪い、さらにラミア自身の望みによって彼女を半人半蛇の怪物の姿へと変えた。
幸せな他者に近づかれもせず見ずにも済むようになったラミアは、ようやく平穏な心を取り戻したのだという。
- ラミアはヘラの怒りを受け、下半身を蛇に変えられてしまった。
子を失った悲しみと蛇の貪欲さにより狂気にかられたラミアは、荒野に潜み旅人を襲って殺すようになった。
このため人々は荒野の一人旅を避けるようになったという。
- ヘラの呪いにより「自身が産み落とした子を喰らう」呪いをかけられ、そのあげく怪物に変じた。
- 子を失った悲しみのあまり蛇の怪物と化した。
- リビアの女王であったころから人喰いであり、怪物として語り継がれるようになった。
いずれの場合でもラミアは人を、特に子供をさらって殺す怪物となり、世の人々に恐れられたという。
●ヘラクレスとラミア
ヘラクレスの伝承に、
ゲリュオンの牛を追っていたさいに蛇女の情夫になるというものがある。
この蛇女は
エキドナであるとも言われているが諸説あり、ラミアとされることもある。
ヘラクレスは12の偉業のひとつであるゲーリュオンの牛を奪うため、彼と戦い打ち倒した。
主を失い逃げ去る牛の群れを追っていたヘラクレスだが、途中で乗っていた馬とはぐれてしまう。
馬を探していたヘラクレスはヒュライアという土地にたどりついた。
その地の森林の中にあった洞窟で、ヘラクレスはひとりの半人半蛇の女性に出会う。
自分の馬を見なかったかと尋ねてきたヘラクレスに、蛇女はこう答えた。
「馬はわたしのところにいる。
あなたがわたしの情夫になって子をつくってくれるなら返してやる」
ヘラクレスは悩んだあげく彼女の出した条件を受け入れてともに暮らした。
ほどなくして蛇女は三人の子供をみごもり、約束通り馬を返した。
しかしそれは彼女のもとからヘラクレスが去っていくことを意味する。
彼女はヘラクレスを引きとめはしなかったが、子供たちをどうするのか彼に聞いた。
ヘラクレスは自分の弓と、金の杯がつけられた帯を渡してこう言った。
「この帯を俺と同じように身につけ、この弓を俺と同じように引ける子をこの地に残せ。
そうでない子はこの地から追い出せ」
その後蛇女は三人の息子を産み落とした。
そしてヘラクレスの言葉通り、子供らに彼の弓と帯を渡してみた。
するとただひとり三男だけが、これらを父親のように扱うことができた。
この子スキュテスは長じてこの地の王となり、スキタイ人の始祖となったという。
●その他の伝承
上記のほかにも、パルナッソス山のふもとの都市デルフォイにいた怪物シュバリスや、
レスボス島で子供をさらい血を吸う女幽霊ゲローが「ラミア」とも呼ばれている。
またポセイドンの娘にも「ラミアー」という名の女性がいて、よく孫の方と混同される。
それからギリシャ神話において「ラミア」とは子どもを狙う魔物や吸血鬼全般を指す言葉として用いられていたようで、
上記のほかにも複数の伝承でその名が確認できる。
○中世のラミア
古代においてメソポタミアからギリシャへと伝わった子供を狙い血を吸う怪物ラミア。
その伝承はさらに古代ギリシャを飛び越えて、後の時代の各国へと伝わっていった。
古代において「女性と蛇を組み合わせた姿で、子供らを襲い血を吸う魔物」は割とポピュラーな存在である。
その中でも後代に強く影響を与えたギリシャ神話に登場したラミアは、そういった魔物たちを代表する存在として扱われるようになった。
その名前は「鬼女」「夢魔」「女吸血鬼」を意味する言葉となり、多くの魔物たちが「ラミア」と呼ばれた。
そしてラミアはかつて神から魔物になったようにその性質を変えていき、さらに数々の魔物と一体となっていったのである。
●エムプーサ
凶器にとりつかれ魔物と化したラミアは、その後同じギリシャ神話の
夢魔エムプーサの一員となったと伝えられる。
エムプーサとは冥府の女王
ヘカテーの配下とされる夢魔・
吸血鬼。
人間の女性あるいは雌犬のような姿をしており、
コウモリの翼とかぎづめのついた手を持っている。
その足は青銅のサンダルを履いているとも、片方が真鍮・青銅製でもう片方がロバの足ともされる。
彼女らは優れた変身能力を持っていて、美しい女性や獣に化けて人間に近づく。
そして若い男を標的として狙い、眠っているところを悪夢を見せ血をすすったり、ときには交わってからむさぼり喰うこともあるという。
ただ悪口に弱く、大声で悪態をつかれるとすっとんで逃げていくと言われている。
エムプーサの一員となり同一視されるようになったラミアは、子供だけでなく若い男を誘惑する淫魔としての性質を与えられたのだ。
●リリスとリリム
アダムの最初の妻であり、サタンの妻ともされた
魔王妃リリス(Lilith)。
そしてリリスの複数形をその名の由来とし、リリスの娘らとして扱われた
女悪魔リリム(Lilim)。
聖書に登場する悪魔として有名な彼女らだが、その起源は
キリスト教成立よりもさらに以前で
ヘブライ(古代イスラエル)、
さらには古代バビロニアまでさかのぼることができるという。
彼女らは妊婦や男の子・男の赤ん坊を狙う悪霊だとされていた。
リリス・リリムは古代ギリシャにおいては「ラミア」「エムプーサ」と呼ばれ、さらに
キリスト教においても「ラミア」と訳された。
またリリスはしばしば蛇とともに描かれたりアダムを誘惑した蛇とされたり、蛇との関係性が深い。
そのため
彼女らもまたラミアと同一視されることとなったのである。
そして中世においてリリムが男を誘惑する淫魔として扱われるようになるとラミアにもその属性がつたわり、
ラミアの「若い男を誘惑する魔物」というイメージは確固たるものとなったのである。
●その他
ブルガリアには彼女と同じ名前の「ラミア」という魔物が伝わっている。
再生能力をもった多頭の蛇で、人間特に若い娘の血を好むという、ヒドラとラミアが混ざったような魔物である。
あとラミアはアフリカに渡ってラミアイ(Lamiae)と呼ばれる子どもを狙う魔物となり、
それがさらにローマに伝わって死霊をあらわすレムレス(Lemures)という言葉のもととなったという説がある。
またユーラシア大陸を横断し遠く中国・日本に伝わって白蛇伝承のもととなったという説もある。
○現代のラミア
蛇の体を持ち子供や男の血を吸う妖女ラミア。
彼女らはわがままな子供や好色な男をいましめる存在として、世の母親・女性に語り継がれてきたのだろう。
そして中世においては異種婚姻譚の主役として扱われることが多くなった。
彼女はいずれ必ず悲しい別れが訪れるつかの間の恋に身を焦がす悲劇のヒロインとして、男女ともに人気を博したのである。
そうして世の人々に広く受け入れられたラミアは、現在でもなお人々にその名を広く知られている。
ただ、現在のラミアは
夢魔・吸血鬼としてより蛇人間としてのイメージのほうが強い。
女の夢魔・
吸血鬼としてはリリス(リリム)、
サキュバス・
ヴァンパイアらがすでに定着してしまっており、
ラミアは半人半蛇の女性という特徴がよりクローズアップされるようになったのだろう。
「半人半蛇の女性」は同じギリシャ神話の
エキドナやインドの
ナーギニー、中国の
女媧など世界各国に数多く存在するが、
ラミアはその中でももっとも有名な魔物であり、彼女ら蛇女を代表する存在として認知されている。
そして彼女らはその活躍の場を
ファンタジー文化へと移し、現代でも幻想世界の重要な構成員をつとめているのである。
【創作文化におけるラミア】
創作におけるラミアたちの役どころは大きく分けると、モンスターか亜人かのいずれかになる。
どちらの場合でも彼女らというキャラクターの重要な要素は「蛇」「男を魅了する女性」のふたつだろう。
○モンスターとしてのラミア
モンスター、すなわち意思を疎通する余地が全くない純然たる敵として登場するラミアは恐るべき存在として人間たちの前に立ちはだかってくる。
ラミアの下半身は人間と同程度の胴まわりの太さをもつ大蛇のものであり、その長さは大きいものだと10数mにも及ぶ。
大蛇の体はその大きさにもかかわらず音も無く這いよりたちまち巻きつき締めあげて、武装した人間さえたやすくひねりつぶすのだ。
そして上半身にもそれに見合っただけの膂力があり、顎の力もきわめて強くさらに牙も太く長く鋭い。しかもその牙はほとんど毒牙である。
その毒は体格に見合った量と強力な毒性をあわせ持ち、彼女らの強力な顎の力と鋭く長い牙で打ちこめば人どころか巨大な怪物さえ倒しうる。
それに彼女らは歌声・視線で人(特に男性)を魅了することができ、さらに人間並みの知性でもって策略や魔法を駆使してくる。
ラミアは巨大な毒蛇と蠱惑的な悪女、精強な戦士と老獪な魔術師の力をあわせ持った非常に危険な魔物なのだ。
彼女らと同等以上の戦力を持ちかつ誘惑を受け付けない女性の味方がいない限り、熟練の冒険者らであっても苦戦は免れないだろう。
○亜人としてのラミア
ラミアが
亜人種、つまり人の近縁種・隣人として登場する場合にはたいてい
人と心を通わせることができる存在である。
友好的であれ敵対的であれ、彼女らは人に対して無関心ということはあまりない。
なぜなら人間の男性は彼女らにとって
重要な恋愛対象であるからだ。
ラミアは蛇人間の中では比較的人間に近くかつ種族ごと女性であることが多い。
頭だけ人間であったり男性であったりする場合はあまりラミアとは呼ばれないだろう。
さらに夢魔であった頃の名残りか自分たちから積極的に男性を誘惑してきがち。
人間に近い心身を持ち男性の同族がいないラミアたちが人間の男性を身近な恋の相手として見るのはむしろ自然なことであるのかもしれない。
なので彼女らは人間らの良き友人、時には恋人にさえなってくれる。
その時にはモンスターとしての恐ろしさがそのまま頼もしい力強さに変わる。
戦闘も魔法も恋のかけひきもなんでもござれの心強い味方となることだろう。
しかし彼女らは、魔物の中では比較的人間に近いとはいえ、それでも明らかに異形な存在であることは変わりない。
たとえ心を通わせることがあったとしても、下半身が大蛇である彼女らが人とともに暮らすのは並大抵のことではない。
人間の男とラミアの恋はしばしば悲恋に終わる。 そして、それだからこそ、その想いが狂おしく燃え上がるのだろう。
詳しくは次の項目にて。
○恋愛対象としてのラミア
現在の萌え・エロ文化において一つの大きな分野を形作る
モンスター娘。
獣娘から発展したであろうこの分野において
ラミアは代表的なキャラクターのひとりである。
というよりも
「モンスター娘」のルーツのひとつがこのラミアであるといっても過言ではないだろう。
なぜなら彼女らは古来からの神話・伝承の時点で、現在のモンスター娘の要素をすでに確立していたからだ。
ラミアは元来夢魔であり、男を積極的に誘惑する存在である。
彼女らがモンスターとして現れた時に用いる魅了手段は、恋愛においてはそのまま駆け引きの道具になる。
視線・歌声・魔力、そして人間の女性も用いるであろう「女の武器」を駆使して意中の男性をものにするのだ。
これらはリリスや
サキュバスといった淫魔たちも当然のように行ってくる。
しかし翼や尻尾など隠そうと思えば隠せるものしか持たない彼女たちと違って、
下半身が大蛇のラミアは
明らかに人とは違う異形の存在である。
一目見てそれとわかる異形・異質の存在と、心を通わせ情を交わし結ばれる。
これこそが創作における恋愛対象としてのラミア、ひいてはモンスター娘そのものの存在意義だろう。
それを象徴するジャンルが前述した
異類婚姻譚である。
ラミアは同じく異形の下半身を持つ
人魚と違って陸地に生息し、人との距離はより近い。
その分出会いもより多くなるが、それはすなわち
いさかいや別れもより多くなることにほかならない。
そして
爬虫類の肉体は、他の生物のそれよりも強い警戒心・嫌悪感を人にもたらす。
ラミアは
ミノタウロス・ケンタウロス・ウェアウルフなど、女性化しても獣娘とそれほど変わらない彼女らともまた異質な存在なのだ。
そんな彼女らは人と恋をすることはできても、愛をはぐぐむのは難しい。
人間社会ではともに暮らせない彼女らとは、いずれ別れるよりほかにないうたかたの恋しか望めない。
仮に包容力のある社会であっても、恋する男とはまるで違う自分の肉体を見つめて葛藤しないことはまずないだろう。
しかし障害を抱えているからこそ恋心はなお一層燃え上がるもの。
だがラミアはそんな障害をものともせずに、魔物の力と欲望で果敢に男性を魅了し誘惑していく。
しかしそれでも大蛇の体と本能はふたりに平凡な恋を許さず、彼女は人の心と想いでもって思い悩む。
そんな人と蛇と魔の間で激しく揺れ動く心は、彼女と愛する男を突き動かし、周囲さえも巻きこんでいく。
そんな豊かな感情をもちうるからこそ、ラミアは人と魔物との恋のストーリーを力強く牽引していく理想の主人公になれるのである。
ただし恋愛の障害にはなる蛇の体も、エロ視点から見るとこの上ない長所ともなりうるのだ。
○エロ要員としてのラミア
そもそもの伝承において男を性的に魅了し蹂躙する存在であったラミアは、
現代でも当然のようにファンタジー世界の主要なお色気・エロ要員として活躍している。
美しい容姿と豊満な乳房を持つ女人の上半身と、なめらかな鱗に覆われなまめかしくうねりくねる大蛇の下半身の組み合わせは
見る者に性的なものを想起させずにはいられないだろう。
それから蛇は交尾の際、お互いの体をからめあう。
ラミアも交わる際には上半身で抱き寄せたうえに下半身をぐるぐるとまきつけてから男を迎え入れる描写が多い。
これは海外において「ロールミー」という名称でもって呼ばれる性的嗜好の一つである。
女体と蛇体に隙間なく包まれうずもれれば、男は文字通り虜となってしまうだろう。
さらにちろちろとのびる細く長い舌は体のおもてをくまなく
くすぐり、牙の毒は体のなかを心地よくしびれさせる。
さらに妖しいまなざしや艶やかな声、恋の魔法で心をとろかされれば堕ちない男はまずいない。
神話の時点でエロ要員としてすでに完成されていたラミアは、いまなおその役割を変わることなく果たし続けているのだ。
【主な登場作品】
この項目では上半身が人で下半身が蛇、かつ種族名が「ラミア」であると明記されているキャラクターをとりあげる。だから『
べるぜバブ』とかはナシね。
種族名がはっきりしない蛇女や、
ナーガや
メデューサなどの別種は除外する。
○ゲーム
- D&Dシリーズ:前述の通り。なぜか半人半獅子。高位種は神話通りの半人半蛇である。
- ソード・ワールド2.0:魔物寄りの亜人種「蛮族」の一種として登場し、プレイアブルキャラクターとして作成可能。生きるために定期的な人からの吸血が必須。
かつ繁殖のために異種の男性を必要とする。一日の大半を人化して過ごせる特殊能力持ちのため、人族の街に紛れ込んでスパイ活動をしたり、
また逆に人に紛れ込んでひっそりと、または密かに得た理解者と共に過ごしていく比較的人畜無害なラミアもいたりする。
- ファイナルファンタジーシリーズ:主に敵として登場。『II』ではイベントボスをつとめ、王女に化けて主人公に近づき誘惑した。ちなみに『IX』ではかなりブス。
- テイルズオブシリーズ:エターニア、デスティニー2、シンフォニアに雑魚敵として登場。上級種にメデューサがいる。
- 女神転生シリーズ:初作から例外なく仲魔になりうる存在として出現。バランスのとれた能力とさまざまな魔法・特技を持った扱いやすい仲魔。
- アイドルマスター シンデレラガールズ:ミニゲーム「ダイスDEシンデレラ2」において一ノ瀬志希がラミアに扮して登場。
『グランブルーファンタジー』でのコラボ時にもこの時の衣装が採用された。
○漫画・アニメ
- モンスター娘のいる日常:メインヒロイン格として「ミーア」が登場。積極的・情熱的で、かつ一途な性格。
種族としては女性の上半身と巨大な蛇の下半身というオーソドックスな容姿を持ち、
味蕾が少ない、変温性、下半身の蛇の部分は定期的に脱皮する、熱を視覚情報として捉える天然サーモグラフィー機能が目に備わっているなど、蛇の身体特性を持つ。
女性しかいない種族であるため、種の存続のために人間の男性を連れてきては『一族の夫』とし、一対多のハーレム状態で交わるのが風習となっていた。
そのためか、ミーアの母親曰く「ラミアの娘はテクニシャン揃い」で、かつ、ラミアに嫌悪感を持つ男性を誘惑するための媚香などが開発されているらしい。
ちなみに人間の男性と交わる都合上、基本的に下半身は蛇だが性器は人間の女性のそれと同じ形状をしており、前に貼り付ける特殊なショーツを身に着けている。
○18禁
- もんむす・くえすと!:モンスター娘を主題として扱うだけあって、メインヒロインとして(『ぱらどっくすRPG』ではヒロインの一人)「アリス」が登場。
魔王の正当血統であり、遺伝子的には純粋なラミアとは異なるのだが、容姿的には青系の肌に紋様が走るなど、人外要素が強めで立派な蛇の尾を持つ。魔力も膂力も非常に高く、ムフフな夜はもちろん戦闘面でも超頼りになるお手本のようなラミア。
どちらかと言えば冷静で知的な性格であり、思慮深い面が大きいものの、一度怒らせたら容赦なく捻り潰してくるモンスターとしての恐ろしさを備えている。
また気に入った相手を徹底的にねちっこく搾り尽くすその姿はまさに蛇の化身。湿っぽい情熱的な交尾を好む。
人間に比べれば巨体ゆえか大食いであったり、美味しいものに目がないグルメだったり、人間っぽい可愛らしい一面も。
なお『ぱらどっくすRPG』ではとある原因でロリ化してしまっており、
そのため豊かな胸や妖艶な女としての女性的な魅力が抜け落ちたロリラミアというちょっとレアな状態に。
え? それでえっちなことはできるのかって? 大丈夫、そのための人外娘だよ。やったね!
(※この作品ではラミア種そのものが食物連鎖の上位に位置する種族であり、基本的に強い。肉食。
色々な個体がいるが何を間違ったのか、心底から神を崇めるシスターラミアなんてのもいる。
でも魔物娘だからえっちなことをする。通常種よりSっ気が強いのはたぶん気のせいじゃない)
- 魔物娘図鑑:こちらもモンスター娘をメインに扱うコンテンツ。上記もんむす・くえすと!のヒロインアリスは、このコンテンツの管理者健康クロス氏の手によるデザインである。
魔物娘図鑑においてもラミアは代表的なキャラクターのひとりで、男性を声で魅了し蛇体で巻きしめて愛するという上記の性質のままに初期のころから登場している。
編集・追記は彼女の情夫となって子供をもうけてからお願いします。
- 蛇のウロコの滑らかな質感も人間の肌の柔らかな感触も両方併せ持つ素晴らしき存在 -- 名無しさん (2017-11-26 03:47:16)
- 作成乙です。確かスパロボOGにもこの名前を持つキャラがいた気が。 -- 名無しさん (2017-11-26 04:25:40)
- くそっ、おうじょに ばけていたな! -- 名無しさん (2017-11-26 08:36:34)
- サム・ライミ監督の映画「スペル」にも呪いとして登場していたな。 -- 名無しさん (2017-11-26 08:48:14)
- ↑2 W17ことラミアのことか。ついでにいうと同じ半人半蛇の怪物が元ネタのW16ことエキドナもいる -- 名無しさん (2017-11-26 10:00:20)
- FF9じゃダサい見た目だったがなんであんなのに誘惑されるんだよ?www -- 名無しさん (2017-11-26 21:19:07)
- 一ノ瀬志希もコラボイベントではラミアになってた。ただし、被り物だけど。 -- 名無しさん (2017-11-26 23:48:33)
- 上半身人間下半身蛇の姿で表されるようになったのは結構最近とも聞いたことがあるが -- 名無しさん (2017-11-27 18:02:03)
- 「FF5」のラミア系の魔物はサボテンダーに先駆けて「はりせんぼん」をぶっ放していた事はあまり知られていない -- 名無しさん (2017-11-27 21:14:16)
- なんかの本で「しゃべれないので綺麗な口笛でおびき寄せる」と書いてあった。 -- 名無しさん (2017-11-28 10:05:10)
- 「悪魔の花嫁」という漫画では子供好きな優しい性格で(ただし目を奪った者には容赦がないが)最後はディモスに人間にされて戦争地帯で身寄りのない子供たちのお母さんになっていた。 -- 名無しさん (2017-11-28 10:07:05)
- ↑4 それについては、このページでの見解は「ラミアはもともと半人半蛇であった」としています。 私見や憶測が大いに混じるのですがかいつまんで言うと、もとのギリシャ神話ではかならずしもラミアを蛇としてはいません。怪物、野獣としている場合もあります。 けれどもさらにおおもとの「ラミアのもととなった神」、つまりスキタイやリビアで崇拝されていた神やプラトンがアテナの原型とした神は半人半蛇の女神であったことは確かなようです。 -- ページ作成者 (2017-11-28 14:35:03)
- ↑1続き そして本文で説明した通り「ラミア」という言葉は鬼女、夢魔、吸血鬼といった「女の魔物」を総称する言葉となっていきました。しかしこれはラミアに限ったことではなく、エムプーサもまた同じように数々の魔物を意味する言葉として使われていました。古代ギリシャでリリスがラミアともエムプーサとも呼ばれていたり、あきらかにエムプーサとしか思えない姿の魔物がラミアと呼ばれていたりです。 -- ページ作成者 (2017-11-28 14:39:16)
- ↑1続き これらは、あちこちの国に伝播していった魔物たちの伝承が、ときに合流したりふたたび枝分かれしたりして交雑を繰り返し、その結果魔物の像に混乱が生じた結果なのではないかと自分は考えています。当時は情報の伝わる速度も精度も現在よりは大きく劣っていましたから、ラミアという魔物の像がなかなか確定されなかったのではないでしょうか。 -- ページ作成者 (2017-11-28 14:48:48)
- ↑1続き しかし中世から近世にかけて、絵や文章の質や量、それらが伝わる速度や精度の向上がなされると、ひとつひとつの魔物たちの情報がえり分けられて整理されていったのでしょう。 その結果ラミアはおおもとの神のおもかげをとりもどし、半人半蛇の女の魔物とされたのだと自分は思っています。 -- ページ作成者 (2017-11-28 14:52:42)
- ↑1続き つまり「ラミアはけっこう最近になってから半人半蛇となった」のではなく「けっこう最近になってから半人半蛇に戻った」のだろうというのが自分の見解です。 日本においてかつてことごとく「河童」と呼ばれていたものから水虎や兵主部が再度分化したのと同じことが起きたのではないかと。 むろんこれは自分の私見、妄想に近いものなので、話半分で考えてもらえると。 もし何かこれについて意見があったなら、どんどん編集していっていただけると幸いです。 -- ページ作成者 (2017-11-28 14:58:37)
- ……ゴクッ…… -- フリオニール (2017-11-28 15:17:46)
- 古代ギリシャ神話が関わる魔物ってラミア含めて大体がヘカテーのしもべなんだな -- 名無しさん (2017-11-28 21:38:24)
- ↑1 「ラミア」という言葉自体に「女の魔物全般」という意味がありますので、ヘカテーの異名のひとつ「ラミアの母」とは「すべての女怪の母」という意味かもしれません。 -- ページ作成者 (2017-11-28 22:13:30)
- ジュウレンジャーが初対面だったせいで、サソリの怪物だと思ってた -- 名無しさん (2018-01-31 17:13:18)
- タグの「何故かなかなか立たなかった」が違う意味に見える。 -- 名無しさん (2018-01-31 18:36:14)
- 好みもあるだろうけど自分はすぐ勃ちます。 -- ページ作成者 (2018-01-31 19:13:25)
- 上半身だけを見せて近づいてきた男を襲うって高層階の窓から降りてくる方のテケテケともちょっと似てるなあとふと思った。もしかして元ネタなのかな? -- 名無しさん (2018-05-26 08:33:55)
- 四足歩行のバージョンもあるらしい。やっぱり「女の魔物全般」という意味からか?> https://reki.hatenablog.com/entry/160609-Unfamous-Greece-Creatures http://flamboyant.jp/monster/anatomy115/anatomy115.html -- 名無しさん (2018-05-27 10:03:33)
- ↑これらはかなりあからさまにエンプーサの姿をしてますね。 逆にエンプーサが人身蛇体の姿の怪物とされることもあります。 -- ページ作成者 (2018-06-10 22:47:06)
- ギリシャ神話には同じ蛇女のエキドナもいるけどラミアは若い娘として描かれることが多いのに対してエキドナは大人のお姉さんという感じで差別化されてるイメージがある。 -- 名無しさん (2019-03-14 16:33:07)
- 追記条件が無理ゲー過ぎる(笑) -- 名無しさん (2020-09-21 22:26:43)
- 辺境の老騎士に、独自の設定を追加してアレンジされた「マヌーノ」という種族がいるぞ -- 名無しさん (2020-10-23 09:14:25)
- ここまでベターマンネタ無し。 -- 名無しさん (2021-11-28 16:32:18)
- W17のラミアは「半身半蛇の怪物」を「人造人間」という形で解釈して、影鏡を離反した時の「私は自分の足で次の楽園を〜」は「ラミアの名を冠するのに自分の足=普通の人間としての一歩を歩み出す」って表現にしてるんだな -- 名無しさん (2022-04-17 08:22:06)
- 下半身が蛇なので性癖の上級者向け。 -- 名無しさん (2022-05-27 17:44:52)
- 下半身が筋肉の塊だろ?消費カロリーどんだけだよ日頃何食べてるんだよ… -- 名無しさん (2022-05-27 20:32:12)
- 触手系の女性版みたいなものかな(ロールミー) -- 名無しさん (2022-05-27 20:50:19)
- オヒュカス・クイーンはないのか? -- 名無しさん (2024-06-10 14:55:09)
- 「さようなら竜生、こんにちは人生」のセリナ -- 名無しさん (2024-12-10 12:16:51)
最終更新:2024年12月10日 12:16