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バニラ(TCG)

登録日:2009/05/27 (水) 21:09:42
更新日:2024/08/22 Thu 14:23:29
所要時間:約 2 分で読めます






「弱者が勝つ方法、それは数で攻める事。ここ、テストにでるからな!」――アクア・ティーチャー(デュエマ)

数は力。「持たない」を持つ者の逆襲。(WIXOSS)


トレーディングカードゲームにおいて「基本能力(攻撃力・守備力など)だけを持ち、特殊な効果を何も持っていないカード」の別称。
主にモンスター(クリーチャー)カード系が該当する。


概要

元々は英語圏における俗語。

バニラ味のアイス→何もトッピングされてない
→目立った特徴がない(基本のままの状態)

という発想で、主にコンピュータ業界を中心に1980年代頃から広く使われるようになった言葉(但し起源自体はもっと古く、辞書によれば特徴がないものを "plain-vanilla" と呼ぶ用例は1959年まで遡れるようだ)。
この言葉が同じ英語圏のTCGであるMtGにも浸透し、

バニラ味のアイス→何もトッピングされてない
→能力無しクリーチャー=バニラ

という意味で定着した。公式な用語ではないが、開発陣・プレイヤーの両方に通じる言葉である。
日本のTCG界隈では当初こそMtG用語かのように認識されていたが、次第に色々なカードゲームでも使われるようになった。
とりわけ遊戯王では、通常モンスターカードの枠が薄黄=バニラ色だった事もありすぐに定着した。

効果を持たないが故に初心者でも扱いやすく、初心者向けのスターターデッキには大量に投入されていることもある。
しかし近年のTCGではルールや環境などの影響もあり、ガチ対戦では見かける機会はほぼなくなっている。
そもそも多くのTCGにおいてはバニラおよびそのサポートカードの印刷頻度自体が激減しており、
頻繁に印刷されているTCGの場合は「スタッツに優れ、条件や状況に左右されない」あるいは「名称やステータスを指定した専用のサポートカードがある」ということがほとんど。

一応能力は無い分パワーとタフネスに優れていたり、バニラモンスターにだけ効果を与えるカードが存在するなど、
多くのタイトルではバニラとて冷遇されている訳でもなく、これらを軸にした強力なデッキも数多く存在する。(例 MtG:番狼などを使ったZoo 遊戯王:凡骨ビートなど)
ただしこれらのデッキは結局、時代の流れとともに「さらなる適役に取って代わられる」「そもそもコンセプト自体に利点がなくなってしまう」ということになりやすい*1


特殊な能力を持ちながらも、その能力が大して強くなかったりする為に使う機会に恵まれなかったりするカードを「準バニラ」と呼ぶことがある。
準バニラはバニラサポートを受けられないため、下手なバニラより活用が困難になりがち。

MtGでは汎用能力を1つだけ持つバニラをフレンチ・バニラと呼ぶ。
飛行・3マナ・2/2なんてのはリミテッドであれば序盤の頼れるカードである。
また呪禁・1マナ・1/1という《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》は【緑白呪禁】デッキのメインアタッカーだったりする。

なお、効果を持たないが故に上位互換が出てしまう事が多い。
パワー(攻撃力)等の数値で劣っていても種族等で差別化できれば良いのだが、差別化が困難なカードも多い。
カードプールによっては攻撃力が低い方が優先されるということもあったりするが。

各TCGにおいて

遊戯王OCG

黄色い枠で効果を持たない「通常モンスター」がこれにあたる。
ルールの時点で「通常モンスター」という種類が存在するため、他TCGに比してバニラであることを参照しやすいのが特徴。
そのため他TCGに比べると、バニラであるというデメリットが軽減されるどころかむしろ完全にメリットだった時期さえあった
枠の色とバニラという呼称もマッチしていることも有り、OCG界隈でもよく使用される。
遊戯王を代表する《ブラック・マジシャン》《青眼の白龍》《真紅眼の黒竜》といったカードもバニラである。

TCGの宿命として大多数のデッキでは効果モンスターが優先されるが、バニラサポートのカードやバニラを主軸としたデッキも登場しており、大規模な大会で結果を残したものもしばしば。
遊戯王はゲーム性の開発コンセプトに『原作の人気モンスターにこれでもかというほど有用なサポートを与える』『名称や「通常モンスター」であることを指定する』というものがあるため、他のカードゲームよりもバニラが活躍しやすい土壌がある。
細かいことではあるが、本ゲームでは「通常モンスター」と「効果を持たないモンスター」は区別される。通常モンスター以外のことをバニラと呼ぶことはほとんどない。
詳しくは通常モンスター(遊戯王OCG)を参照。


ヴァイスシュヴァルツ

ヴァイスシュヴァルツではバニラ=そのコスト、レベル帯で最もパワーの高いカードであるためかなり有用である。

…というのは昔の話。
今はレベル0・コスト0でも手札交換などでアドバンテージを稼ぐカードが一般的になったため、バニラの有用性・優位性はあまりない。
レベル1以上でも条件を満たせばバニラのパワーラインを簡単に超えられるため、トライアルデッキでルールで慣れる時以外にはあまり使わないか。


カードファイト!!ヴァンガード

カードファイト!!ヴァンガードも同じような考えで、
グレード1はパワー8000、グレード2はパワー10000と、効果持ちユニットより1000~2000高い数値に固定されている*2
一方、グレード3のバニラはケロケロエースの付録で配布された二種類しか無い。しかもパワーは11000で、ほとんどのG3の完全下位互換。
パワー12000のG3バニラが欲しいという声も一部ではあった。(漫画ではパワー13000のG3バニラが登場した)
ヴァンガードはパワーで相手を上回ることが攻防どちらでも重要なため、デメリット無しで高いパワーを発揮できるバニラはそれなりに有用なことも多く、クランの合う準バニラを入れるよりはクランの合わないバニラの方が強いこともたびたびあった。
アニメのキャラはライド要員としてバニラを都合よく引き込んでくる。

……というのも上記のヴァイス・シュヴァルツと同じく昔の話。
旧シリーズではインフレと共にカード能力活かした方が圧倒的に強くなってしまい、バニラの有用性は低くなってしまった。
Vシリーズに移行し、カードプールにリセットがかかった後はバニラのカード群は種類が増え、シールドやパワー、果てはクリティカルが通常より高低したバニラが出現している。
とくにグレード2パワー12000シールド0のユニットは使いやすい前衛で、かつてのバニラの存在感に近い。
遂には全クランで使用可能な《クレイエレメンタル》でバニラサポートのユニットが登場している。


デュエル・マスターズ

シールドを割るのにパワーが関係ないデュエマではパワーより能力の強さが重視される傾向が強く、バニラは長らく冷遇されてきた。
初期には「アクア・ビークル」がリーフ青単のアタッカーとして採用されたこともあったが、それはカードプールが少なかった時代のため。
バニラ=不遇の象徴として「シザー・アイ」や「メテオレイジ・リザード」がネタカードとして有名になっていた。
ガチデッキでの採用は1マナバニラの「予言者クルト」が光入りの速攻で使われる程度であった。

しかし、エピソード2では待望のバニラサポートが登場。
「駱駝の神輿」「アクア・ティーチャー」を筆頭に「バニラ=能力が書かれていない」であることを参照するカードが現われ、
バニラの大群で攻め込む「バニラビート」なるデッキが成立。1~4マナのバニラなら戦力として期待できるになった。*3
少なくともウィニーに関してはしょぼい効果が付いているよりは潔く能力なしであった方が活躍のチャンスがあることは間違いない。

ちなみに、多色カードは「このカードはタップしてマナゾーンに置かれる」という「能力」が書いてあるとかつては解釈されていたが、
ルール変更で多色であればタップインするという「ルール」になり、多色バニラが成立した。

また、フレーバーに「色々なアイスを食べてきたけど、結局はシンプルなバニラが最高。これからはバニラの時代が来る!」と言う文言があるなど、「バニラ」という言葉が公式に定着しつつある。ちなみにこのテキストが書かれているのは「氷菓の超人(バニラ・ジャイアント)」である。
実際に、アニメ『デュエル・マスターズ(2017)』にて、登場人物が『バニラカード』という呼称を用いた事がある。
ちなみに、デュエマでは『バニラカード』だけでなく『エクストラウィン』『リアルファイト』も半ば公式用語となっている。

バニラカード自体にも工夫が凝らされており、何も書かなくてもいいのを逆手にとってカード全体が一枚絵になっていたり、
「パーロック」シリーズのように効果テキスト欄にネタ色の強いフレーバーをびっしり書いたりとやりたい放題である。

極めつけは効果を持たないバニラの呪文
…こんなんでどう戦えというんだ。
と思ったらカテゴリーに属しているバニラ呪文が登場し、カテゴリーサポートを使えば採用圏内というカードも存在する。


バトルスピリッツ

バトスピにおいてもバニラスピリットは他のTCGと同じく基礎BPが少し高めに設定される傾向がある。
また、青の色の役割の中に「効果の記述を持たないスピリット」という括りでサポートを行うものがある。

しかしながら長年のBPインフレによってバニラの大半は効果を持ったスピリット達の下位互換となっていった。

そこでコラボブースター 東宝怪獣大決戦で、バニラスピリットのBPの大幅な見直しが行われた。
以降のバニラスピリット達は同コスト帯の標準的なBPのおよそ2倍の値に設定ようになったのだ。
現在のバニラスピリット最強格は「宇宙恐竜ハイパーゼットン(イマーゴ)」。
単純に高いBPとダブルシンボルを持ち、効果がないながらも戦闘力全振りの化け物に仕上がっている。
が、直後に登場した十二神皇達は効果を持ちながらもBP設定がさらに高めですぐに肩身が狭くなった。

また、現状バニラのアルティメットはいないがバニラのブレイヴなら存在する。
合体してシンボルとBPが加算されるブレイヴというシステム自体が強いため、バニラ感はあまりない。
バニラスピリットに効果を持つブレイヴが合体するとバニラでなくなってしまうが、バニラのスピリットにバニラのブレイヴを合体させれば「効果の記述を持たないスピリット」のままとなる。


WIXOSS

WIXOSSでは2つのデッキ(ルリグデッキ・メインデッキ)を必ず使用するが、そのどちらにもバニラカードは存在する。
ルリグデッキではルリグのバニラがあり、場に出せるシグニのリミット(レベルの上限)やグロウコストに関わる。
特にリミット面ではレベル1ではリミット2、レベル2は5、レベル3は8、レベル4は12となり、バニラでは高レベルのシグニを多く出せるようなっている。*4

メインデッキではシグニのバニラがあり、レベル1ではパワー3000、レベル2は7000、レベル3は10000、レベル4は15000と同レベルでは最も高いパワーを有する。
レベル4に至っては効果持ちしかいないレベル5シグニと同等パワーを持っている為、バニラだからと言って侮れない存在である。

ただし、バニラシグニをサポートするカードはルリグデッキにしかなく、WXK-P02「フルスクラッチ」時点で「バニラ・スクランブル」と「一途の巫女 ユキ」の2種類のみ。
どちらもバニラシグニの直接強化に繋がらない*5がメインデッキへの採用率は大幅に向上し、後者のユキは参加者約250名の公式イベントで準優勝のデッキに採用された(バニラシグニが採用された)功績を持っている。


Precious Memories

初期は使用コスト4、発生コスト1、AP/DP 40/40の大型バニラが各キャラ用意されたり、低コストでも特殊能力を持たない分数値が高めだったりと一般的なバニラカードが存在したが、インフレが進んだ結果、今ではバニラカードはほぼなくなった。
それだけならTCGでは特筆する事ではないが、Working!の松本 麻耶の「自分は他の人達と違って変人ではなく普通の人」という普通にこだわるキャラクターから、「テキストを持たないキャラ」を対象にした松本 麻耶が複数存在する。
バニラカードの配置をサポートしたり、強化したりすることが可能で、元々バニラカードは能力を持たない分だけ数値が盛られているので実装当初は使いづらいがそれなりに強かった。今ではインフレの波に飲まれて見る影もないが。
そして、そんな普通にこだわる松本は変人だと周りから思われている通り、松本 麻耶自身のバニラカードは存在しない


Magic the Gathering

他TCGと異なり、「バニラ」という概念を指すルール用語やバニラを特徴づけるスタッツが存在しない。
バニラであることを参照し強化するカードも長い歴史の中でたった3枚しか存在しないため、レアリティの低いバニラクリーチャーは基本的にリミテッド戦のために収録されていると考えていい。
これに加え、これらのバニラ補佐カードは「能力を持たないクリーチャー・トークン」「予示や変異で裏向きになっているクリーチャー」「能力を持たない当事者カード」など様々な抜け道が存在しており、あえてバニラクリーチャーを採用するメリットに乏しいと言わざるを得ない。
そもそもフレンチ・バニラの存在ゆえ、構築戦においてバニラクリーチャーが採用されることはまずない*6
ただし《甲鱗のワーム/Scaled Wurm》《さまようもの/Wandering Ones》《アーボーグの暴食、ヤーグル/Yargle, Glutton of Urborg》など、プレイヤーの間で妙な人気が出たバニラクリーチャーもまれにある。


……と解説されているが、これはおそらくここ数年くらいのMTGしかやったことのないプレイヤーの解説。
実際のところバニラクリーチャーが真面目な理由で構築のデッキに入った例は多い。白ウィニーの《サバンナ・ライオン》は有名だが、他にも《今田家の猟犬、勇丸》もバニラであり、非常に頻繁に見かけたカードである。
コンボパーツとしての活躍が主になるが、0マナのバニラであるコボルドシリーズや《メムナイト》《ファイレクシアの歩行機械》などもよく用いられたカード。
これらは「他に選択肢がないから仕方なく」ではなく、彼らの唯一無二の性質を見込んでの採用である。

さらにぶっ飛んだスタッツのバニラはコアな人気をを呼ぶことが多い。
「基本セット2019」の《ギガントサウルス》(GGGGG/10/10)はそのテキストの単純さから「小学生が作ったようなカード」と褒め称えられ、なんとか使ってやろうと様々なプレイヤーが挑戦した。
実際「5マナでパワー10」という性質は唯一無二なので「これを参照して無理やりコンボパーツにした」デッキも存在した*7他、色拘束の強さから緑単信心における信心稼ぎ要員として採用することもあったようである。どちらもファンデッキ止まりではあったが、当時のスタンダードではその分かりやすさから大変人気を博したクリーチャーだった。
さらに「機械兵団の進軍」において登場した《ヤーグルとムルタニ》(3BBG/18/6)はクリーチャーに印刷されているパワーの最大値を更新してしまい、しかもたった6マナで出せるというところから、パワーを参照するカードと組み合わせるべく様々なデッキが開発される。
特にモダンでは【クラガンウィックシュート】という1ショットキルデッキにおけるコスト要員として用いられ、同デッキを大きく強化した。このデッキにおける《ヤーグルとムルタニ》の長所は、他のコスト用クリーチャーと異なりバニラなので相手に奪われてもチャンプブロックでしのぎ続けられるという点にある。このデッキではバニラの弱点を「味方にすると頼もしいが、敵に回しても怖くない」という純粋なメリットにさえしてしまったのだ。

「アラーラの断片~ゼンディカー」の頃のスタンダードは、バニラクリーチャーの活躍した最後の時期ともいえる。
当時はタフネス3を除去できる《稲妻》の最盛期であり、タフネス4以上であることはひとつのメリットとして扱われた。そのため《クラーケンの幼子》(U/0/4)、《長毛のソクター》(RGW/5/4)、《皮背のベイロス》(GGG/4/5)などは、マナ総量に対するタフネスの高さゆえに「クリーチャー戦を制しつつ稲妻も対策できる」という役割を期待された。
特に《長毛のソクター》は当時のレガシーで見かけることさえあったという知る人ぞ知る名クリーチャーである。「4回殴れば相手が死ぬ3マナのクリーチャー」というのは、当時のレガシー基準でも結構珍しかったのだ。
白ウィニーの1マナ域にあまりいい選択肢がなかったことなども相まって使われた《先兵の精鋭》(W/2/1、《サバンナ・ライオン》の同型再販)なんてのものある。
つまり「バニラは黎明期の《サバンナ・ライオン》しか活躍しておらず、それ以降は単なるリミテ用」という考え自体が、「ヴィンテージではパワー9フル投入が当たり前」というレベルの偏見だったりする。
昔のことを知っているプレイヤーなら、他にも「こんなバニラが活躍した」という思い出話をしてくれるかもしれない。

ただしこの「そもそもフレンチ・バニラの存在ゆえ、構築戦においてバニラクリーチャーが採用されることはまずない」というものだって決して間違いではない。
実際のところ多くのプレイヤーにとってバニラとはさほど魅力的なカードではない。そのため純正のバニラは、他のカードと比べた場合に戦略的なメリットを見出すことがとても難しい。ここ数年で人気のあるバニラクリーチャーである《アーボーグの暴食、ヤーグル》《ギガントサウルス》《ヤーグルとムルタニ》はいずれもそのぶっとんだスタッツゆえに話題になっただけであり、バニラクリーチャーであることを熱狂的に歓迎する人というのは非常に少数なのである。
現在の構築戦においてバニラがさっぱり採用されないのは、「ブロック構築」「2ブロック制*8」のような狭いルールが消えたことで他の優秀な選択肢が極めて増えたことや、そもそもバニラが印刷されない(後述)ことに因ると言った方が正しいだろう。
「単に弱いので使われない」という他TCGと異なり、因果関係が若干複雑なのだ。

MTGにおいてはフレンチ・バニラなどのバニラ亜種に加えて《野生のナカティル》《タルモゴイフ》《金属ガエル》《マイアの超越種》《果てしなきもの》のように「戦場においては実質バニラ」のような運用をするクリーチャーもかなり多い。これらのクリーチャーを運用している時に「ああ、除去耐性があれば!突破力があれば!」とやきもきするのは使用者としてはかなりありがちなことであり、それを揶揄して「(実質)バニラ」と評することも決して珍しいことではなかった。
ぶっちゃけて言えば、MTGではプレイヤーにとってバニラはさほど魅力的な存在ではないのである。
そのため「フォーゴトン・レルム探訪」ではついにバニラが未収録となり、その後も純粋なバニラ・クリーチャーの収録機会自体が激減している。これについてはマーク・ローズウォーターが自身のTumblrで「We’ve found them not necessary as much of the time.(そんなに必要とされてないと分かった)」と回答している。
それを裏付けるように、「ストリクスヘイヴン:魔法学院(2021年4月23日)」の《有刺カローク》から「機械兵団の進軍(2023年4月21日)」の《ヤーグルとムルタニ》までの約2年の間、新規のバニラクリーチャーは一切印刷されなかった。つまりあえてバニラを採用したくても、スタンダードにバニラという選択肢自体がないのだ。
一応「ルール上バニラである」というものであれば「エルドレインの森」の当事者カードなどが存在するが、フレーバー・テキストしか書いていないバニラ・クリーチャー自体が現在のMTGでは絶滅危惧種になりつつある。今後構築戦でバニラを見かける機会は極めて少なくなってしまうだろう。

かつては《甲鱗のワーム》《さまようもの》《熱心な士官候補生》のようなカードで人気を博したバニラだが、ここ最近ではすっかり見かけることもなくなってしまった。
マーク・ローズウォーター曰く「I’d say endangered(絶滅危惧種だと思う)」。バニラを取り巻く環境も、ここ数年ですっかり様変わりしてしまったのである。

なお、知る人ぞ知るカードとして「モーニングタイド」のレア枠として収録された《不屈の古樹》(2WW/2/10)というバニラカードがある。
ツリーフォークかつ《包囲の塔、ドラン》という相性のいいカードが存在していたため、当時のスタンダードにおいては決して悪いカードではなかったのだが、ぶっちゃけ「4マナ出るならラスゴ打つでしょ」というような時代に単体では攻めに転じられないクリーチャーなんてあまり採用したいものではない。
しかもこの時代は飛行やシャドーのような回避能力を持ったクリーチャーがかなり多く、除去もとても強い環境だったことに加えて同エキスパンションには《苦花》《ヴェンディリオン三人衆》《カメレオンの巨像》《変わり谷》のような優秀なカードが収録されていたことから、ハズレ枠として大変に恐れられた。レアのバニラというのはそれだけ物議をかもす存在なのだ。


ファイアーエムブレム0

全てのカードに何かしらのスキル(能力)がつけられており、純粋なバニラが存在しない。
ただし、一般的なバニラの役割にあたるカードとして、一定の恵まれた基本性能を持つ代わりに「このカードは絆エリアに置くことができない」というデメリット能力だけ持っている互換カードが存在する。
手札から絆エリアに置けないので、手札が2枚でこのカードとの2択になって他のカードの方を出したいという時には邪魔になるという仕組み。
一部を除いて各作品の「ジェイガン系」のキャラクターがこのカードになっているため、ジェイガンと呼ばれることが多い。
初期~前期は多用されていたが全体のインフレ・カードプール増加・基準の変化で徐々に採用率が下がっていく、というお決まりのパターンだが、直接的に「ジェイガンの上位互換」扱いされるカード自体はほぼ登場せず、この手のカードでは恵まれている部類と言えるか。


アーケードカードゲーム

三国志大戦、戦国大戦

厳密には全ての武将が何らかの計略を持つためバニラというものは存在しない。
しかし計略「強化戦法」「正兵の構え」「覚悟の構え」は自分の武力(もしくは統率)を中程度上げるだけという単純な物であり役に立たない為、プレイヤーの間では計略無しと考えられている。
そんな強化戦法持ちだが殆どの場合は能力値が高かったり、その国(他のゲームで言う色)に少ない兵種だったりとデッキパーツとして有能な武将が多い。
ただし三国志大戦リブート後は直接戦闘に影響しない「征圧」*9を低めにする、撃破されると復活時間が長くなるデメリット特技「刻印」をつけることで高スペック武将が主流、またエラッタにより固有計略をつけられたりしており強化戦法持ちは日に日に減少していたりする。
ちなみに計略無しと言われた強化戦法であるが、そもそもこのゲームは相手の城を攻めるゲームであり、極論を言えば相手に攻城させなければ勝利するというもの。
使わないことに越したことはない計略なのは間違いないが、その為使えば通常時の呂布くらいなら相手に出来るため少しでも敵攻城までの時間稼ぎが出来る等、全くに役に立たないわけではない。

悠久の車輪~Eternal Wheel~

このゲームにはアビリティ(カードごとが持つ固有のゲージが溜まると使用できる)、スキル(条件を満たすと自動的に発動する)の二つがあるが、そのどちらも持たない代わりに能力が高いカードは最初期から登場していた。
また第三弾は「バニラ強化」がテーマだった為、「アビリティは持たないがスキルを持ち、能力も高い」準バニラカードやバニラサポートカードも多数登場した。
なお主人公のポルタの新カードも同時期に出たが出た弾が弾なのでバニラサポートにされてしまったのは語り草。
当初はそのスペックの高さからほぼ全てのカードがデッキの穴埋めとして活躍していたが、どんどん追加される強力なアビリティ、スキル持ちにはかなわず淘汰されていった。
最後まで使われたのはコスト1ながらコスト3クラスの能力を持つ(ただし復活させるコストが大きい)「戦闘用メイド トロネラ」位であった。

なお「“ほぼ”全て」と言った通り、バニラなのに活躍できなかったカードもある。
特に「挑戦する タンシー」は「バニラなのに普通に強いアビリティ持ち同コストに負けている」というある意味環境の犠牲者であった。
しかし「ネクロポリスシナリオでうろたえながら主人公に『挑戦』し、小物のように散っていった」「ポーズがダサい」「しかし後半復活した時はやたらかっこいい」「彼の配下のベルガが可愛い」事から、性能の事もありネタキャラとしては愛されていた。





弱者が勝つ方法、それは追記・修正の数で攻める事。ここ、テストにでるからな!――アニヲタ・ティーチャー

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最終更新:2024年08月22日 14:23

*1 当wikiではMtGの《番狼》の話がやたら好まれているが、あれも結局3ヶ月後には他のカードに取って代わられていった。話題性だけがひとり歩きしている例である。

*2 効果持ちのパワーは、G1は7000、G2は9000が基本

*3 特にサポーター2人と同じ文明を持ち、コスト軽減が無駄にならない3マナ&水文明・自然文明のバニラクリーチャーは激戦地帯である

*4 効果付きのルリグではリミット1引かれるが例外も多い

*5 効果がバニラサーチ+αの為。

*6 往年の白ウィニーを支えた名バニラクリーチャー《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》も、現在では同等の能力にメリット能力を備えた上位互換がいくらでも存在する。

*7 実際のところ、こんな変なことをせずに緑単デッキに入れて普通に殴った方が強かったようである。

*8 昔のスタンダードは使用できるカードの範囲が最長2年のものであり、そのエキスパンションの発売も「大・小・小・基本セット」というものだった。つまり現在に比べてスタンダードのカードプールが圧倒的に狭く、そのメカニズムも今に比べて少なめだった。

*9 戦場の支配度に影響する能力値