基本的に開発者しか使わないが、グーグルのブラウザ「Google Chrome」のインターフェイスの上部にあるアドレスバー兼検索ボックスの正式名称は「オムニボックス」だ。小さなテキスト入力欄に付けられたこの名前は、ウェブアドレスの入力や「Google 検索」をする以外にもさまざまな機能を備えていることを反映している。
オムニボックスのすべての機能を知れば、さまざまなアプリやサイトを行き来する手間が省かれ、より効率的に作業をこなせるはずだ。また、グーグルはオムニボックスに新機能を定期的に追加している。予想通りかもしれないが、最近ではGemini AIとも機能連携した。
ここでは、オムニボックスで使える機能をいくつか紹介しよう。参考例として記載した引用符以外の部分をオムニボックスに入力して試してみてほしい。
Geminiとチャットする
Google Chromeではオムニボックスの最新アップグレードでAIチャットボットの「Gemini」 が追加されたことに先ほど触れたので、まずはそこから説明しよう。アドレスバーに「@gemini」とスペースを入力し、続けてチャットボットへの指示を入力する。指示を入力したら「Enter」を押すと、グーグルのチャットボット「Gemini」がそれに基づいて応答する。Google Chromeは、あなたの「Google アカウント」で利用可能なGeminiのバージョンを自動で起動する(有料プランに加入している場合はGemini Advancedが起動するということだ)。
単位の変換
万能なオムニボックスは、どんなものの単位でも変換してくれる。例えば、キロメートルをマイルに、ドルをユーロに、日数を月数に変換できる。知りたい単位の変換をわかりやすく入力するだけでいい。例えば「34ユーロを米ドルに」と入力すれば、Google Chromeは何をすべきかを理解し、結果がすぐに下に表示される。「Enter」を押す必要はない。
簡単な計算に対応
これに関連して、Google Chromeのオムニボックスには簡単な計算機能も備わっている。ここでも「Enter」を押す必要はない。「24*8」や「352+91」といった計算式を入力すると、即座に結果がアドレスバーの下に表示される。「24*8-352+91」といった少し複雑な計算でも機能する。式の一部を先に計算させたい場合は括弧を使って指示することが可能だ。「Enter」を押すと、すべての機能を備えたGoogle Chromeの計算機が表示される。
天気を確認する
Google Chromeのオムニボックスから現在の天気を確認できる。「天気」と入力するだけで、あなたがいる場所の天気に関する簡単な情報が表示される(「Enter」を押す必要はない)。ただし、Google Chromeに現在地に関する情報へのアクセスを許可している場合にのみ、正確な結果が表示される。町名や都市名、郵便番号を入力すれば、その場所の天気も確認でき、「Enter」を押すと詳しい予報が表示される。
Google Chromeでメモをとる
Google Chromeを使っている最中、パッとメモをとりたいが別のプログラムを立ち上げたくない場合、アドレスバーに「data:text/html, <html contenteditable>」を入力して「Enter」を押すと、テキストを入力できる空白のタブが表示される。高度なテキストエディターというわけではないが(書式設定や自動保存機能はない)、簡単なメモをとるには便利な方法だ。
新しいドキュメントを作成する
グーグルが提供している一連の仕事用のオンラインツールに対応するドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションを素早く作成し開くことができる。「docs.new」、「sheets.new」、「slides.new」とオムニボックスに入力し「Enter」を押すと、新しいファイルがそのとき使用している「Google アカウント」の「Google ドライブ」に作成される。いま使用しているウィンドウを残したまま新しいウィンドウでファイルを作成するには、コマンドを入力した後に「Shift+Enter」を押す。
「.new」のショートカットで作成できるものは多数あり、グーグルは定期的に新機能を追加している。
新しいメールを作成する
コンピューターの既定のメールソフトで新しいメールを作成するための、似たようなコマンドもある。「mailto:」と入力して「Enter」を押すと、空白のメールを作成できる。宛先のメールアドレスがわかっている場合は、コロンの後に入力することで設定することが可能だ。Windowsで既定のメールソフトを選ぶには「アプリ」を開き、設定の 「既定のアプリ」から選択する。macOSでは「メール」のアプリを開き、「設定」にある「一般」の「デフォルトメールソフト」から選択する。
「Google 検索」の簡易的な検索
「Google 検索」で調べものをすると、検索結果にあるリンクの一覧の上に回答が表示されることがある。こうした簡易的な検索はGoogle Chromeでもできる。例えば、エッフェル塔の高さや木星の質量、セレブの年齢、特定の日までの日数、企業の株価、国の大きさ、本の著者などの情報について調べると、アドレスバーのすぐ下に回答が表示される。
(Originally published on wired.com. Translated by Nozomi Okuma, edited by Mamiko Nakano)
※『WIRED』によるChromeの関連記事はこちら。
雑誌『WIRED』日本版 VOL.54
「The Regenerative City」
今後、都市への人口集中はますます進み、2050年には、世界人口の約70%が都市で暮らしていると予想されている。「都市の未来」を考えることは、つまり「わたしたちの暮らしの未来」を考えることと同義なのだ。だからこそ、都市が直面する課題──気候変動に伴う災害の激甚化や文化の喪失、貧困や格差──に「いまこそ」向き合う必要がある。そして、課題に立ち向かうために重要なのが、自然本来の生成力を生かして都市を再生する「リジェネラティブ」 の視点だと『WIRED』日本版は考える。「100年に一度」とも称される大規模再開発が進む東京で、次代の「リジェネラティブ・シティ」の姿を描き出す、総力特集! 詳細はこちら。