対馬丸事件の舞台制作を発表 宮本亜門さん演出、那覇で公演

2025年03月24日 19時08分
太平洋戦争中に撃沈され、学童ら1500人近くが死亡した学童疎開船「対馬丸」を題材にした舞台の制作発表記者会見が24日、那覇市の対馬丸記念館で開かれた。演出家の宮本亜門さんが手がける。生存者の高良政勝さん(84)は「あらゆる形で事件を伝える人たちが思いを寄せ、忘れないことこそが犠牲者へ手向ける私たちの平和の決意だ」と訴えた。
約30年前に沖縄に移住した宮本さんは、生存者から体験を聞いてきたといい、昨年8月に那覇市であった慰霊祭に参列し制作を決意。「生きようとする人間の底力を、生の体を通して伝えたい」と抱負を語った。
公演は今年8月16日に「那覇文化芸術劇場なはーと」(那覇市)で予定する。
対馬丸は1944年8月21日、長崎を目指し那覇を出航。国民学校(現在の小学校)の学童や一般疎開者ら1788人を乗せていたとされる。22日夜、鹿児島県・悪石島沖で米軍の潜水艦の魚雷を受け沈没した。日本軍は生存者らにかん口令を敷き、事件を秘匿した。