【3639】今西 純米吟醸 朝日 秋あがり(いまにし)【奈良県】

【日本酒研究会月例会 全6回の⑥完】
異業種の酒飲み人が月1回、M居酒屋に集う日本酒研究会。研究会とは名ばかりで、単なる飲み会。ちょっとカッコつけて研究会だ。毎月欠かさず開き、足かけ12年になる。今回は、フルメンバー8人のうち6人が参加した。
店主がまず持ってきたのは、わたくしたちにとって初蔵酒の「若駒 辛口 純米」。そして「水尾 純米吟醸 金紋錦」「上喜元 雄町 生酛 純米吟醸 中取り」「天喜 純米大吟醸 ひやおろし」「両関 霧時雨 純米 瓶火入れ一回」に続き、最後6番目に持ってきたのは「今西 純米吟醸 朝日 秋あがり」だった。
今西酒造の酒はこれまで、当連載で「みむろ杉」を5種類、「三諸杉」を1種類取り上げている。菩提酛で醸した酒、という印象が非常に強い。今回のお酒はどうか。
酒蛙「わたくしの好きなセメダイン香(ベンゼン環芳香族系の芳香)がいる」
Y 「これ、旨い! 今日の一番だ」
SA「甘くはないですね」
SI「キレが良く、残らない」
酒蛙「さっぱり、すっきりした飲み口。軽快ながら、きれいな酸味があり、甘旨みがあり、飲みごたえが適度にあって良い」
Y 「温度がすこし上がったら、メロンのような香りが出てきた」
SI「たしかに!」
酒蛙「バナナや洋ナシの香りに感じる」
Y 「メロンだよ」
瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。
「酒の神が鎮まる地 奈良・三輪で350有余年受け継がれる酒造り。仕込み水は蔵内井戸から湧き出る御神体『三輪山』の伏流水、米は朝日米を100%使用。全量10kgずつ小分けした洗米と徹底した限定吸水、麹は酒蔵に泊まり込みで昼夜を問わず徹底した品温管理、蒸米移動は全量手運び、醪工程では低温長期発酵、上槽後はすぐに瓶詰と瓶燗。朝日米の持つ力を最大限引き出せるように丁寧に醸した純米吟醸酒です」
裏ラベルの表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 朝日米100%、アルコール分15度、精米歩合60%、製造年月2018.9」。
使用米の「朝日米」について、ウィキペディアは以下のように記述している。
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【概要】明治41年に京都府向日市で山本新次郎という農家が「日ノ出」という品種の米を栽培していた時、その中に特異な2穂を発見した。それを育て、日ノ出から連想させて「朝日」と名称を定めたが、すでに同名の品種が京都府内に存在していたため、明治44年に京都府農業試験場が「旭(京都旭)」と正式に命名した。
大正時代に岡山県農業試験場が旭の品種改良を行ったが、岡山県内ではすでに旭という品種が別に存在していたために混同を避けるため、「朝日」という名称に決定した。 大正14年2月に岡山県の奨励品種に定められた。
その後も岡山農業試験場は試験・品種改良を続け、「朝日47号」を分離選出した。現在栽培されている朝日の大半はこれである。
コシヒカリ・ササニシキ・あきたこまちも品種改良をたどれば、この朝日(旭)にルーツがある。
【特徴】大粒で、適度な粘りと歯ごたえが持ち味である。また、ふくよかでほどよい甘さのある上品な味わいだといわれる。米飯の他、握り飯や寿司(握り寿司、ばら寿司など)に適している。
中心部分に心白が少ない品種であるが、酒米としても使用される。
欠点としては、背が高いため栽培時に倒れやすく育てにくい、脱粒しやすい等の点が挙げられる。
【主要産地】岡山県 - 南部を中心に栽培される。アケボノ、ヒノヒカリ、雄町とともに岡山米の代表格とされている。
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この蔵の主銘柄は「三諸杉」(みむろすぎ)と「みむろ杉」。蔵のホームページは、「三諸杉」の由来について、以下のように説明している。
「三輪には昔三軒の酒蔵がありましたが、現存している酒蔵は当蔵のみです。当蔵では【三輪山は古来から『三諸山(みむろやま)』と呼ばれている事】また、【三輪山は『杉』に神様が宿るとされている事】から350有余年『三諸杉(みむろすぎ)』という商標で酒造りを行っています。仕込み水には三輪山の伏流水、米は三輪産、と『三輪』に拘っています」